バクラク

経費の主な勘定科目16選|正しく仕訳をするための注意点や間違えないポイントも解説

経費は正しく仕訳をすることで、財務状況が把握しやすくなり経営判断の指標として役立ちます。正しく仕訳をするには、適切な勘定科目へ分類することが重要です。そのためには、第三者でも分かり易い勘定科目設定や、仕訳に関するルールを社内で統一することが必要です。

本記事では、仕訳で使用する主な勘定科目と、正しく仕訳するための注意点や、間違えないポイントを解説します。

経理に必須のAIスキルは?

AIにより経理業務にどのような変化が訪れ、これからどんなスキルが要求されるかを解説しています。

経費の主な勘定科目16選|正しく仕訳をするための注意点や間違えないポイントも解説

経費の勘定科目とは?

勘定科目とは、収入や支出の内容を示すための項目です。勘定科目によりそれぞれの金額の内容が明らかになると、資金の流れを把握しやすくなります。

支出のうち、仕入等を除いた事業にかかるコスト全般を「経費」といい、経費の勘定科目とは、そのコストの内容を具体的に表現するものです。取引を帳簿に記載する際は、勘定科目を使って経費を仕訳していきます。

勘定科目に従って経費を仕訳する理由

勘定科目に従って経費を仕訳することで、取引の内容を正確に記録できるため、経営判断の指標として役立ちます。また、株主をはじめとする利害関係者に公開する決算書でも、勘定科目を使えば財務状況を適切に発信できます。税金の計算にも勘定科目による仕訳は必須です。勘定項目は、経営判断、財務状況の発信、税金の計算など、さまざまなシーンで重要な役割を果たします。

経費の主な勘定科目16選

勘定科目は法律などで明確に定義されておらず、会計ソフトによっても異なります。細かく分類すると200以上の勘定科目があるといわれていますが、よく使う科目は限定的です。ここでは、経費の主な勘定科目の内容と具体例をまとめています。

1.租税公課

租税公課とは、税金や各公共団体に納める公的な目的で支払った経費を指します。租税の代表例としては、印紙税・自動車税・固定資産税・不動産取得税、公課の代表例としては商工会や町内会の会費・印鑑証明書・住民票の発行手数料が挙げられます。

2.地代家賃

オフィスが入っている建物や駐車場などの賃料は、地代家賃として仕訳します。家賃だけでなく、オフィスの共益費や管理費、20万円未満の礼金や更新料も地代家賃として計上することが可能です。自宅兼事務所の場合は、事業用と私用の割合を算出したうえで、事業用分だけを経費とします。

3.給与賃金

給与賃金は従業員へ支払った報酬です。労働の対価である給与のほかに、各種手当も給与賃金に含まれます。具体例としては、基本給・ボーナス・退職金・役職手当・住宅手当などが挙げられます。

4.水道光熱費

水道光熱費は、水道・ガス・電気代などを計上する勘定科目です。企業によっては、水道料金・ガス料金などに分けて仕訳するところもあります。細かく分類することで、コストがかかっている項目を把握しやすくなりますが、増やしすぎると管理の負担が大きくなります。

5.通信費

事業に使った通信に関する経費は、通信費として仕訳します。通話料・FAX代・インターネット費・郵送代・宅配代・テレビの受信料などが通信費に該当します。個人の携帯電話を経費として計上したい場合は、事業用と私用で按分する必要があります。

▶︎「通信費」とは?|勘定科目の概要や仕訳方法、注意点など具体的に解説!

6.福利厚生費

福利厚生費とは、給与や賞与とは別に、会社が社員のために利用する費用です。福利厚生には、法律で定められている「法定福利費」と会社が独自に設定している「法定外福利厚生」の2つがあります。一般的に、経費精算における福利厚生費を指すのは後者の「法定外福利厚生」です。 

具体例としては、社員の健康診断費用や慰安旅行費・社宅賃料・保養所の維持管理費・新年会や忘年会・レクリエーション費用・慶弔見舞金などがあります。福利厚生費として計上するためには、すべての従業員が利用できる制度であり、支給額も常識の範囲内に設定することが重要です。

7.接待交際費

接待交際費は、取引先との関係を築くために使用された経費です。接待交際費の代表例としては、飲食代・取引先関係者の慶弔費・贈答品・接待ゴルフなどが挙げられます。

8.交通費

交通費とは、通常の勤務地の周辺を移動するためにかかる費用です。例えば、顧客先へ訪問する際にかかる電車賃やバス代などが交通費に該当します。

▶︎交通費の経費精算|旅費交通費との違いや交通費を精算する手順・注意点を解説

9.旅費交通費

旅費交通費とは出張にかかる交通費や経費などのことです。旅費交通費には移動にかかる交通費や宿泊費に加え、出張手当(日当)も含まれます。

▶︎旅費交通費は非課税?課税対象になる状況や節税する方法を解説

10.広告宣伝費

広告宣伝費は、商品やサービスなどの宣伝目的で使われた経費を指します。例えば、求人サイトの掲載費用・インターネット広告・テレビCMなどが広告宣伝費の項目です。試供品の費用やイベント出店料・チラシやパンフレットの制作費用・ホームページ制作費用も広告宣伝費として計上できます。

11.消耗品費

取得価格が10万円未満、もしくは耐用年数が1年未満の物品の購入に使われた経費は、消耗品費となります。コピー紙・文房具・名刺・USBメモリやSDカード・洗剤といった消費サイクルが短いオフィス用品は、消耗品費に含まれます。

12.雑費

雑費とは、ほかの勘定科目に分けにくい費用や、一時的な少額の費用に用いられる勘定科目です。例えば、ごみの処理費用・クリーニング代・少額の手数料などは、雑費として処理できます。

▶︎領収書における「雑費」とは?|消耗品費との違いや仕訳方法、注意点など徹底解説

13.荷造運賃

荷造運賃は、自社の商品や製品の出荷に関わる包装と輸送に関連する包括的な費用です。例えば、商品発送の際の梱包に必要な段ボールやガムテープ・緩衝材などの資材を購入する費用や、運送会社や郵便局に支払う発送費用などが該当します。

14.修繕費

修繕費は、固定資産のメンテナンスや修繕などに使用される経費です。固定資産には、オフィス・社用車・専門機材などがあり、これらのメンテナンスコストが発生した場合は、修繕費として計上します。

15.新聞図書費

事業に関する情報が得られる媒体を購入したときの経費は、新聞図書費となります。新聞購読料をはじめ、情報誌や雑誌の購入費が該当します。新聞図書という名前がついていますが、対象は紙媒体に限りません。情報収集を目的にしているのであれば、データベースの利用料やメールマガジン購読料・有料サイト購読料なども新聞図書費に含まれます。

16.減価償却費

減価償却費とは、償却資産を購入した費用を耐用年数に応じて計上する経費です。償却資産としては、パソコンやオフィス家具・ソフトウェアなどが挙げられます。耐用年数は資産によって異なるため、国税庁が公開している耐用年数表などで確認が必要です。 

参考:【国税庁】主な減価償却資産の耐用年数表

迷いがちな経費の勘定科目を判断するポイント

勘定科目には似ているものも多いため、どのように処理すべきか迷ってしまうことがあります。ここでは、迷いがちな経費の勘定科目を判断するポイントを解説します。

福利厚生費と似ている勘定科目

福利厚生費と似ている勘定項目として、接待交際費と会議費があります。どれも飲食代が関わってくるため混合しやすいですが、下記を参考に振り分けましょう。福利厚生費・接待交際費・会議費は、支出の目的や金額によって区別できます。

福利厚生費従業員全員が対象で、現物支給ではないとき
接待交際費接待にかかわる費用で、1人あたりの金額が5,000円以上のとき
会議費会議のための経費で、1人あたりの金額が5,000円以下のとき

交通費と似ている勘定科目

交通費と似ている勘定科目として旅費交通費があります。どちらも移動の費用を計上するときに使いますが、下記の違いがあります。

交通費通常の勤務地に出社したり、勤務地の近辺で移動したりするとき
旅費交通費遠方に出張するとき

移動の経費は「交通費」の勘定科目は使わず、「旅費交通費」だけで処理している企業も少なくありません。企業によっては旅費規定を定めており、ホテルの宿泊費・日当・食事代も旅費交通費に含むケースがあります。

経費の勘定科目を選ぶ際の注意点

勘定科目には厳格な決まりはなく、事業や業種に合わせて自由に設定することができます。その分、勘定科目の科目名や科目区分、運用ルールの設定には注意が必要です。第三者にも理解できる分かりやすい勘定科目設定を意識しましょう。

勘定科目は分かりやすい名前を設定する

会計ソフトに適切な勘定科目が見つからない場合、雑費にできなければ新たに勘定科目を設定することができます。新しく勘定科目を追加する場合は、誰が見ても分かる名前にして、専門用語や業界用語は避けましょう。また、勘定科目が増えすぎると会計処理が複雑化する恐れがあるため、社内で必要性を検討したうえで判断することが大切です。

勘定科目のルールを企業内で統一する

勘定科目設定において、企業内でルールを統一し、一貫性を維持することが重要です。特定の費用に対して一度勘定科目を定めたら、同じ勘定科目を使い続けましょう。仕訳が作業する人によって異なると、会計情報の信頼性が低下するリスクにつながります。

万が一、勘定科目設定のルールが決まっていない会社は、「過去の仕訳を参考にマニュアルを作成する」「仕訳を自動化できるデジタルツールを導入する」など、対策を講じることが必要です。

勘定科目が分からないときや間違えたときは?

勘定科目が分からない場合は、まずは社内ルールの確認や会計ソフトのヘルプ機能を活用しましょう。経費がどのような用途で使われたかを考えたり、過去に同じ内容でどの勘定科目を使ったか確認したりすることも有効です。

万が一、選んだ勘定科目が間違っていた場合でも、少額かつ同じ「経費科目」のなかであればそれほど大きな問題にはなりません。なぜなら、勘定科目は経費の内訳のようなものであり、「経費科目」の計算結果には影響しないからです。ただし、税金の計算に影響がある「交際費」などの勘定科目には注意が必要です。また税金の計算に影響はなくても、間違った額が大きいと経営判断や財務状況の把握が正確にできなくなるため、気を付けましょう。

まとめ

会社の財務状況を正確に把握するためには、社内でルールを統一して、適切な勘定科目で計上することが大切です。基本的に、勘定科目は会計ソフトに登録されているものから選択しますが、似ている科目も多く、迷ってしまうケースは少なくありません。

「仕訳のミスを減らしたい」「経理の負担を軽くしたい」といったときは、仕訳学習機能が備わったツールの活用を検討してみましょう。バクラク経費精算は、仕訳学習機能をはじめ領収書自動読み取りや二重申請自動検知といった、さまざま機能で経理業務をサポートいたします。まずは、無料体験をお気軽にお試しください。

インボイス制度や電子帳簿保存法の施行によって、経費精算で注意するべき6つのトピックとは?(資料のご紹介)

インボイス制度や電子帳簿保存など、法制度の対応が必要なシーンが増えています。経費精算についても、こうした法制度への対応が必要となります。

今回ご紹介する資料ではこうしたインボイス制度や電子帳簿保存法への対応について、経費精算に絞り6つのトピックを紹介しています。ぜひダウンロードし、ご活用ください。

バクラク経費精算のご紹介

パソコン、スマホから手軽に経費精算が可能。領収書をアップロードするとデータが自動入力されるので、手入力がゼロに。インボイス制度・電子帳簿保存法に対応しています。簡単で正確な経費精算を実現するソフトをぜひご体感ください。