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雑費とは何を含む?仕訳の具体例と消耗品費・予備費など他の科目との違いを解説

経理作業で領収書を経費として計上する際、何が「雑費」に該当するのか明確に把握できていない人は少なくありません。経理担当者は「勘定科目が不明だから雑費にする」「とりあえず雑費にしておく」などと計上せず、内容や対象範囲をしっかりと把握することが大切です。

本記事では、雑費の概要や消耗品費との違い、仕訳方法などを解説しています。雑費について詳しく知りたい経理担当者は、ぜひ参考にしてください。

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雑費とは何を含む?仕訳の具体例と消耗品費・予備費など他の科目との違いを解説

勘定科目「雑費」とは?何の費用が含まれる?

雑費とは、事業の経費の中で他の勘定科目に分けにくい費用や、一時的かつ少額な費用に用いられる勘定科目です。適切な勘定科目が不明であったり決められなかったりする場合に、簡易的な処理をするのに用います。

雑費の具体例

雑費が使用される支出の主な例としては、文房具や日用品などが挙げられます。例えば、ボールペンやコピー用紙、修正液などの文具、電球やトイレットペーパー、掃除用品などの日用品が挙げられます。他にも、機材などの一時的なレンタル代、クリーニング代、引越し料金などの目に見えないサービスへの出費も、雑費として仕訳されることの多い出費です。

これらを「一時的に」出費しているのであれば、雑費として処理することができます。しかし、「継続的に」購入するのであれば、各々に適切な勘定科目を設定した方がよいです。

雑費はいくらまで仕訳できる?金額の目安

雑費には、たとえば「価格が10万円未満である」や「使用寿命が1年未満である場合に使われる」といった仕訳のルールがあるわけではありません。ただし、何でもかんでも雑費へ仕訳をすると、「使途不明金」として税務調査の指摘対象になりやすいです。

そのため、一般的には経費総額の5%〜10%程度までが、雑費を科目として使用できる目安だと考えておきましょう。なお、前述のリスクがあるのでなるべく少額に抑えたい勘定科目ですし、可能であれば一切、雑費への仕訳を行わないのが理想的です。

「雑費」と他の勘定科目との使い分け

「雑費」と「消耗品費」の違い

雑費と最も混同されがちな勘定科目として「消耗品費」があります。そもそも雑費と消耗品費はそれぞれ税法上の厳密な定義が存在せず、明確な違いを付けづらいため、会計処理における判断基準がしばしば不透明になりがちです。

両者の主な違いは、「消耗品費のほうが雑費よりも金額が大きな経費に使われる」「通常は消耗品のほうが頻繁に使用され、業務においてより重要な役割を果たす傾向がある」という2点です。

考え方として、消耗品費は、「使用寿命が1年未満または価格が10万円未満の消耗品や物品の購入にかかる費用」を指す一方、雑費は「他の具体的な勘定科目に分類しづらい、通常は小額で一時的な支出」といえます。この点を押さえておけば、より明確な使い分けが可能です。

<消耗品費に仕訳される経費の例>

  • 事務用品・日用品・OA機器の購入費用
  • (製造業などの)工作機械のオイルや研磨剤、グリースなど
  • (飲食業などの)使い捨てナプキン、カトラリーなど

「雑費」と「雑損失」の違い

消耗品費と同様、雑費と混同しやすいもう1つの勘定項目に「雑損失」があります。この2つの科目は、「本業の売上拡大に関わる支出かどうか」が区別するポイントです。

雑費は通常、本業の売上を増やす過程で発生する「経費」であるが、金額が比較的小さく、特別な勘定科目を設定する必要がない場合に使用されます。一方で雑損失は、本業の売上には関係のない「営業外費用」に区分される科目です。通常の業務活動外で突発的に発生した損失・支出に対して使用されます。

<雑損失に仕訳される経費の例>

  • 自然災害による設備破損の修繕費用
  •  火災による商品の損害費用
  • 会社備品の盗難による損害費用

「雑費」と「予備費」の違い

雑費は「予備費」とも混同されるケースがあります。予備費は、会社の予算編成時に「何かあった時へ備えて」確保しておく財源に設定する科目です。突発的な支出が発生したり、期中に思いがけない投資の機会が訪れた際などへの備えです。

つまり、雑費と予備費は「備えとして使途を決めずに抑えていた費用であるか」や「財源と呼べるほど金額的に大きいか」などが違いを考えるポイントです。

「雑費」と「交際費」の違い

もう1つ、雑費との明確な線引きを付けておくべき勘定科目が「交際費」です。交際費とは、企業をはじめとする組織が効果的な経営を実現するために、主に取引先との関係を維持し、交渉を進めるための取り組みで発生する経費を指します。

例えば、取引先との接待で生じた食事代は、交際費として計上されます。一方で、雑費は勘定科目のなかでも金額が少額で、「その他」に該当するものとみてよいでしょう。例えば取引先に物品贈与する場合にかかった物品代など、額面によっては雑費として計上される可能性があります。

<交際費に仕訳される経費の例>

  • 取引先との会食代金
  • 取引先へ持っていくお土産の代金
  • 取引先を自社イベントに招待する際の移動費用など

雑費を仕訳する方法

雑費の仕訳を学ぶ上で参考になるのが、実際の具体例です。以下の3つの例を参考に、雑費を仕訳する方法を解説していきます。

ケース1. 取引先の洋服クリーニング代を支払った場合

先述のとおり、クリーニング代は目に見えない無形のサービスのため、雑費として計上されることが多い支出の1つです。

例えば、従業員が取引先との接待中に先方の洋服を汚してしまい、クリーニング代として3,000円を支払わなければならなくなった場合の仕訳はどうなるかを見てみましょう。この場合、借方は雑費として3,000円、貸方は現金として3,000円、摘要はクリーニング代として仕訳します。

借方貸方摘要
雑費3,000円現金3,000円クリーニング代(雑費)

ケース2. 業務で使用するノートを100冊購入した場合

文房具は消耗品として計上されることが多い項目ですが、企業によっては雑費として計上されるルールが設けられる場合もあります。

例えば、会社で必要なノートを一時的に100冊購入して10,000円分を支払った場合の仕訳がどうなるかを見てみましょう。ノートの購入時は、借方に雑費として10,000円を計上します。

借方貸方摘要
雑費10,000円現金10,000円ノート代(雑費)

一方で、決算時に使い切らなかったノートが存在する場合、残ったノート分の金額は、以下のように、借方に貯蔵品として計上します。

借方貸方摘要
貯蔵品10,000円雑費10,000円ノート代(雑費)

ケース3. 本社の移転で引っ越し費用をクレジットカードで支払った場合

会社の移転などにまつわる引っ越し費用は、雑費として仕訳けられることが多い支出項目です。引っ越し費用をクレジットカードで支払う場合、決済した際、また実際に銀行口座から引き落とされた際の2回に分けて仕訳を記載する必要があります。

例えば、本社の移転に伴う引っ越し費用が400,000円だった場合、クレジットカードでの決済時は「未払金」、引き落とされた場合は「普通預金」として仕訳します。どのような代金なのか分かるように、摘要欄には「〇〇引越センター 本社引越し費」などと記載するのがおすすめです。

<決済時の仕訳例>

借方貸方摘要
雑費400,000円未払金400,000円

カート引っ越しセンター 本社引っ越し費用(雑費)

クレジットカード

<カード料金引き落とし時の仕訳例>

借方貸方摘要
雑費400,000円普通預金400,000円

カート引っ越しセンター 本社引っ越し費用(雑費)

クレジットカード引き落とし

雑費に関する5つの注意点

経理作業で雑費を計上する際、将来的なリスクやトラブルを未然に防ぐうえでおさえておきたいいくつかの注意点があります。5つのポイントに分けて解説します。

1. 雑費が多すぎると税務調査で指摘される可能性がある

雑費は明確な仕訳が判断しづらい、あるいは少額でさほど重要ではない支出を仕訳ける上で便利な勘定科目です。ただ、ついつい何でも雑費に計上してしまうと、雑費の総額が大きく膨らんでしまう恐れがあります。

あまりにも金額が多いと、何を目的とした経費であるかが不明瞭になり、税務調査や会計監査において使途不明金とみなされ、内訳が詳細に調査される可能性が高まるので、注意が必要です。

2. 摘要欄に詳細を記載して分かりやすくする

仕訳をする際の摘要欄に、何のための支出であるかの詳細を記載して、帳簿を分かりやすい状態に維持するのも大切なポイントです。摘要(てきよう)という欄は、各種帳簿や伝票に設けられています。特に各種帳簿では、摘要欄に取引に関する情報を詳しく記すことで、メモ欄のような役割を果たしています。

例えばボールペンを購入した場合でも、ただ「文房具代として」だけではなく、購入した本数や購入先の店舗名、購入の目的などの詳細も合わせて記載しておくと、他の文房具代との区別がつきやすく、かつ混乱しにくいのがメリットです。

3. 固定資産は雑費として計上できない

固定資産は雑費として計上できないのも留意すべきポイントです。固定資産とは、ビジネスで長期的に使用される資産を表す用語です。具体的には、取得価額10万円以上、あるいは使用可能期間が1年以上の資産が該当します。

そのため、一時的な手数料や会費などが含まれる雑費とは、性質がまったく異なる勘定科目です。以上の特徴を参考に、固定資産を誤って雑費として計上しないよう注意しましょう。

4. 雑費の消費税区分を一括りにしない

支出を雑費として計上する際、消費税区分を間違えずに仕訳するのも重要です。取引は大きく分けて、消費税が課税される「課税取引」と、消費税が非課税あるいは免除となる「不課税取引」「非課税取引」「免税取引」のいずれかに区分されます。

取引が雑費として仕訳される場合、大半は課税取引として扱われます。一方、中には不課税や非課税として仕訳される取引もあるので、何でも課税取引として一括りにしないよう注意しましょう。

5. 雑費と雑損失を混同しない

雑費として仕訳する際は、雑損失と混同しないよう気を付けるのも、押さえておくべき注意点です。

雑費と雑損失はどちらも似た響きを持つ勘定科目ですが、本記事でも解説したとおり、主に「本業との関連性」において定義が異なります。本業に関わるほうが雑費、関わらないのが雑損失です。混同を回避するためにも、本業に関わる支出かどうかを基準に適切な仕訳を行いましょう。

まとめ

雑費は、ほかの勘定科目に仕訳しにくい費用や、一時的に発生した少額の費用を計上する上で便利な勘定科目です。とはいえ何でも雑費に計上すると、内容が把握しづらい支出が膨らみ、税務調査などで引っかかる恐れがあるので、なるべく少ない範囲に収めるよう努める必要があります。

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