勘定科目「販売促進費」とは?具体例・広告宣伝費との違い、仕訳方法

販売促進費は、自社商品・サービスの販売力向上やブランディングのためには欠かせない費用です。
しかし、広告宣伝費、交際費などよく似た勘定科目もあり、実際に仕訳を行う際には判断に迷うこともあるかもしれません。

本記事では販売促進費について、考え方や当てはまる費用の例、仕訳方法を解説します。混同しがちな他の勘定科目との違いも解説していますので、理解を深めるのにお役立てください。

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勘定科目「販売促進費」とは?具体例・広告宣伝費との違い、仕訳方法

販売促進費とは?

販売促進費とは、自社商品・サービスの販売を促進するのに使った費用全般を示します。具体的な例は後述しますが、売上アップのための販売活動や、売上につながるようなブランディング活動で使用した費用が当てはまります。

また、販売促進費は損益計算書における「販売費及び一般管理費(販管費)」のひとつです。

販売促進費の考え方と具体例

販売促進費として処理するには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 商品・サービスの売上アップにつながる支出である
  • 顧客である消費者や取引先を対象に支払っている
  • 損金算入しても問題がない経費である

2つ目の支払対象については、自社商品を購入すると考えられる消費者や取引先と、直接関わりがあるかどうかが判断材料になるといえるでしょう。

また3つ目の損金算入について、資産にカウントされる支出は販売促進費に含まれないため注意しましょう。

参考として、販売促進費の具体的な費用例は以下のとおりです。

  • 商品展示会・実演販売などのイベント出展費用
  • 割引クーポンの制作・配布費用
  • キャンペーン企画の運用費用
  • サンプルやノベルティグッズの制作・配布費用
  • 販売手数料や販売奨励金

これらの費用の中でも、支出方法によっては他の勘定科目(広告宣伝費・交際費など)になる可能性もあるため、先に提示した条件と照らし合わせながら仕訳時に判断しましょう。

類似する勘定科目との違い

販売促進費に似ている勘定科目として、広告宣伝費と交際費が挙げられます。両者との違いを押さえて、仕訳を間違えないようにしましょう。

広告宣伝費との違い

広告宣伝費は、商品やサービスを広く宣伝するために使った費用をいいます。

販売促進費・広告宣伝費どちらも販管費に該当し、売上につながる販売活動とはいえるものの、その対象に大きな違いがあるのが特徴です。

販売促進費は特定の顧客や取引先に対する支出ですが、広告宣伝費は相手を特定せず多くの人を対象とする支出です。具体的には、以下の費用が該当します。

  • パンフレットやチラシの制作費用
  • CMやWeb広告の制作・配信費用
  • 雑誌や新聞、Webメディアなどへの掲載費用
  • 会社案内資料の制作費用

しかし、ケースによっては販売促進費との区別がつきにくい費用もあるかもしれません。

たとえば、商品のサンプル配布キャンペーンを実施した場合です。キャンペーンの宣伝にかかった費用は広告宣伝費となり、サンプルの制作・配布は個人を対象としているため販売促進費となるでしょう。

両者の境界線や判断基準について法的には特に規定がなく、細かい部分は企業に判断が委ねられている状態です。どちらの費用として処理するかは、社内で事前にルール化しておくのがよいでしょう。

交際費との違い

交際費とは、特定の顧客や取引先などに対して支払った事業目的の支出を示します。ただし、広告宣伝を目的とした支出は含まれません。

具体的には、以下のような費用が含まれます。

  • 取引先への手土産代
  • 取引先との飲食代

販売促進費と同様に、販管費の一種で特定の相手を対象としています。かつ、最終的には商品の販売につながる可能性がある点も共通しているため、判断に迷うこともあるかもしれません。

しかし、交際費は広告宣伝を目的としていないのが特徴です。たとえば自社のPRになるような手土産(社名が入ったグッズや自社商品)を手渡す場合には、交際費ではなく販売促進費や広告宣伝費として扱われます。

また、交際費には一人あたりの計上上限額が設けられている一方、販売促進費には上限がありません。そのため、節税効果があるのは販売促進費のほうです。

ここで例として紹介した費用以外の勘定科目を知りたい方は、以下の記事もお読みください。

関連記事:経費の主な勘定科目20選|正しく仕訳をするための注意点や間違えないポイントも解説

販売促進費の仕訳例

ここからは、販売促進費の実際の仕訳例を確認しましょう。

「販売促進費のみ」と「販売促進費と他の費用が含まれている場合」の仕訳をそれぞれ紹介します。

販売促進費のみの場合

商品サンプルを制作し、制作会社へ現金で50,000円を支払った場合の仕訳は、以下のとおりです。

借方貸方
販売促進費50,000円現金50,000

摘要欄には「サンプル制作費」などと記載しておくとよいでしょう。

なお、費用を後払いした場合には「未払金」の勘定科目を使って、2段階の処理を行います。ここでは、50,000円を後から口座振込した場合の仕訳を見てみましょう。

<制作費用発生時>

借方貸方
販売促進費50,000円未払金50,000

<支払時>

借方貸方
未払金50,000円普通預金50,000

商品の仕入れでは未払金ではなく「買掛金」を使用しますが、販売促進費は仕入れにはならないため、未払金を使うのが原則です。

販売促進費以外の費用が含まれている場合

1回の支出に販売促進費と他の費用が含まれている場合には、それぞれを分けて計上します。すべての費用をまとめて計上すると、コストバランスを正確に把握するのが困難になってしまうため、勘定科目は分けて計上するのが一般的です。

ここでは、見本市への出展費用15万円、会場で配布したチラシ代5万円、イベント終了後に行った取引先との会食費用3万円の仕訳例を見てみましょう。

支払ったのは合計23万円で、普通預金口座から振込しています。なお、出展費用は販売促進費、チラシ制作・配布費用は広告宣伝費、会食代は交際費に該当します。

借方貸方
販売促進費150,000円普通預金230,000
広告宣伝費50,000円  
交際費30,000円  

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販売促進費は、売上構築のためには必須とも言える重要な経費の一種です。

しかしながら、広告宣伝費や交際費との区別がつきにくいこともあり、誤った経理処理をしてしまう担当者もいるかもしれません。本記事で解説したそれぞれの特徴を理解して、適切に計上しましょう。

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