
経費で落とせるもの一覧|落とせないものや迷いがちな費用も紹介
- 記事公開日:
- 最終更新日:2025-10-20
- この記事の3つのポイント
- 経費で落とせるものは、租税公課や地代家賃などをはじめ、代表的な勘定科目で17種類ある
- 経営者や役員、従業員の個人的な支出などは経費で落とせず、迷いがちな費用も混在するため要注意
- 経費管理を正確かつスムーズに行いたいなら、法人カードや経費精算システムの活用がおすすめ
事業上必要とされる支出は、経費で落とせます。一部支出を経費として計上することで、利益を少なくでき、支払うべき法人税を抑えられます。
一方、なかには経費で落とせないものもあるため注意が必要です。適切な経費計上を行うためには、経費で落とせる勘定科目を正しく理解することが大切です。
本記事では、経費で落とせるものと落とせないもの、迷いがちな費用まで紹介します。経費で落とすメリット・デメリットや注意点も解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
経費で落とせるもの一覧|落とせないものや迷いがちな費用も紹介
経費で落とせるもの一覧
法人・個人事業主を問わず、事業に必要な支出であれば、以下のようなものは経費として計上できます。代表的な経費の勘定科目の17種類をまとめたので、ご覧ください。
勘定科目 | 内容 |
租税公課 |
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地代家賃 |
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給与賃金 |
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水道光熱費 |
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通信費 |
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福利厚生費 |
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接待交際費 |
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交通費 |
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旅費交通費 |
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広告宣伝費 |
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消耗品費 |
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雑費 |
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荷造運賃 |
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研究開発費 |
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修繕費 |
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新聞図書費 |
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減価償却費 |
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経費を正しく仕訳する際のポイントについては、以下の記事で紹介しています。
経費で落とせないもの
経費として認められるのは、事業運営に関わるものだけです。
経営者や役員、従業員の個人的な支出は、経費として落とせません。経費にできないものの例としては、友人を交えた個人旅行にかかる費用や家族との飲食費、自宅で使うための家具や文房具の購入費などが挙げられます。
ただし自宅とオフィスを同じにしている法人の場合は、事業分とプライベート分の線引きを明確にできれば、事業用部分についてのみ経費にしてもかまいません。その際には、税務調査時にきちんと説明できるようにしておく必要があります。
プライベートな支出以外では、法人税や住民税といった税金、事業には関係のない個人の社会保険料、交通違反や申告漏れによる罰金などを経費には含むことができません。
また、個人事業主の場合、自分への給与は経費として計上できないため注意が必要です。個人事業主のお金の流れは「事業のお金を事業主に貸している」と考えるため「事業所得」として一括で処理します。
経費処理について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
経費で落とせるか否かの判断に迷いがちな費用
経費になるかならないか、判断に迷うものもなかにはあるでしょう。ここでは、特に判断に迷いがちな4つの費用項目について、経費精算時のポイントを解説します。
役員報酬
役員報酬は、原則経費として認められません。しかし、一定の要件を満たせば経費として計上することが可能です。たとえば、月額の固定報酬を支払うと決めておく場合や、事前に支給額を決めて税務署へ届け出ている場合には経費として損金算入できます。
なお毎月固定報酬を支払う場合は、会計年度の開始から3カ月以内に定額とすることを決めておく必要があります。税務署へ事前に支給額を申し出る場合の期限は、会計年度の開始から4カ月以内です。
これらを満たせないと、役員報酬を経費にできないため注意しましょう。
以下の記事では、給与の勘定項目について解説しています。仕訳例や個人事業主の場合も紹介しているので、気になる方はぜひ参考にしてみてください。
関連記事:給与の勘定科目は?給料・賃金との違いや仕訳例、個人事業主の場合について解説
接待交際費
接待交際費には、経費として計上できる金額に上限が設けられています。
上限額(損金算入限度額)を超過した部分の交際費は、経費から除外しなくてはなりません。
全額を経費にできる金額は原則一人あたり5,000円までとされていますが、法人の資本金額によってこの限度額は変動します。また企業の親子関係によっては、親会社基準となる場合もあるため、必ずしも自社の企業規模での限度額とならない点に注意しましょう。
接待交際費の詳細については以下の記事で解説しているので、ぜひご覧ください。
関連記事:接待交際費とは?経費にできる範囲(上限金額・内容)や仕訳例
社用車関連費用
社用車を保有する場合は、その購入費用について減価償却することが可能です。ローンを利用した購入であれば、利息分も経費として認められます。また、購入費用以外にガソリン代や保険料、駐車代、税金、車検代といった関連費用も経費として計上してかまいません。
ただし車の名義が社長など個人の名義である場合は、経費として認められませんので注意が必要です。自社で購入した社用車を経費にするには、必ず車を法人名義にしましょう。
以下の記事では、車を購入したときの勘定科目について詳しく解説しています。
関連記事:車を購入したときの勘定科目とは?車両の仕訳例や注意点を解説
役員や従業員のスーツ購入費用
役員・従業員のために購入したスーツ費用は、経費に含まれます。
ただし税務調査の際には、業務に必要であることの説明が必要です。スーツは税務調査時に特に指摘されやすい事項として知られており、業務以外にも使う目的がある場合には全額を経費にできません。
毎日スーツを着用して業務を行う営業担当者であれば、購入費用を経費にできますが、月の多くを在宅勤務で過ごす従業員が、月に数回出社するときのみ任意でスーツを着用し、私用でも同じスーツを使っている場合、業務に必要ないと判断されるかもしれません。
そのためスーツを法人で購入する場合には業務用であると示せるよう、使用状況を明確にしておくことが重要です。
経費で落とすメリットとデメリット
そもそも経費とは、事業を運営するために発生する必要経費や収益獲得のために使った費用のことです。「経費で落とす」とは、これらの経費を法人の損金として計上することを示します。
損金は会社の利益から差し引けるもので、利益を少なくすることが可能です。利益を少なくすることで、支払うべき法人税を抑えられます。
節税という目的において、支出を経費として計上できるのは大きなメリットです。また、広告宣伝費や研究開発費などの経費を事業資金として活かせば、将来的な事業拡大や組織成長を実現しやすくなります。
一方、経費で落とすことには、以下のようなデメリットもあります。
- 税法上必要な書類の保管が煩雑になる
- 会計上赤字になることで借り入れなどが不利になるリスクがある
- 経理の業務負担が増加する可能性がある
経費で落とすものが多いと、領収書やレシートなどの保管すべき書類が増え、管理が煩雑になりがちです。同時に、経理の業務負担が増加する可能性もあります。
また、節税目的で必要以上に経費計上を行うと、企業会計上の利益減につながります。会計上赤字になることで、金融機関からの信頼を得にくくなり、借り入れなどで不利になるリスクがあるため注意が必要です。
経費計上のメリット・デメリット、効率化の方策について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:意外と知らない経費の仕組み|経費計上のメリット・デメリットと効率化の方策
経費計上する際の注意点
ここでは、経費計上の際の注意点を紹介します。不適切な経費計上にならないよう、しっかりと押さえておきましょう。
領収書があればなんでも経費計上できるわけではない
領収書があるからといって、なんでも経費計上できるわけではありません。事業遂行において必要となる支出のみが対象であり、それ以外の費用を経費として計上した場合には、税務調査で否認される可能性があるため注意が必要です。
税務調査で不正計上とみなされ、過少申告加算税や無申告加算税、重加算税といったペナルティが科されるリスクもあります。
以下の記事では、経費精算の不正事例をまとめています。原因や対策も解説しているので、気になる方はぜひご覧ください。
関連記事:領収書・経費精算の不正事例まとめ|原因や対策を解説
領収書やレシートなどを保管する必要がある
正当性をもって経費精算を行い、税務調査時にきちんと説明できるようにするためにも、経費計上時には根拠となる書類を保管しておくことが大切です。根拠となる書類とは、主に以下のようなものが挙げられます。
- 領収書
- 請求書
- レシート
- クレジットカードの利用控え
保存期間は原則7年で、過去に赤字決済をしており、繰越欠損金の控除を使う場合は10年間の保存が義務付けられています。
参考:国税庁「No.5930 帳簿書類等の保存期間」
税務調査があった場合でも柔軟に対応できるよう、法律に遵守して、領収書などは正しく保管しておきましょう。
以下の記事では、領収書の保管・管理方法について詳しく解説しています。電子帳簿保存法における保存方法を紹介した記事もあるので、ぜひご覧ください。
経費精算を正確かつ効率的に行うポイント
ここでは、正確かつ効率的に経費精算を進めるために取り入れたい3つのポイントを紹介します。適切な範囲での経費計上を行えるよう、しっかり押さえておきましょう。
経費精算規定を設ける
経費精算規定を設けると、従業員による手続きミスや経費申請時の判断の迷いを防げます。経費精算規定とは、経費精算に関わるルールをまとめたもので、社内マニュアルの一つです。
規定を設ければ各従業員がルールに沿って経費申請できるようになり、ミスや書類の不備を減らせます。また規定の周知によって、従業員による経費の水増し請求や架空請求といった不正も抑制でき、正当性のある運用がしやすくなるでしょう。
経費精算規定を作成する際のポイントは、以下の記事をお読みください。
関連記事:経費精算規定(ルール)が必要な理由とは?作成のポイントや注意点を解説
法人クレジットカードを利用する
法人クレジットカードの導入も、不正利用防止やミスの軽減につながるでしょう。法人クレジットカードがあれば各従業員の支出を一元管理できるため、誰が何にいくら使っているのかをすぐに把握でき、不正が起こりにくい環境を構築できます。
また多くのカードが会計ソフトと連携させられるため、手入力での転記作業が不要となり経理担当者による人的ミスも軽減できるでしょう。経費精算全体の工数削減にもつながり、業務効率化も期待できます。
法人クレジットカードを導入するメリット・デメリットは、以下の記事をご確認ください。
関連記事:法人カードを導入するメリットとは?デメリットや実際の運用事例
経費精算システムを導入する
経理業務の効率化や不正抑制、紙による運用・管理からの脱却には、経費精算システムが有効です。経費精算システムは、経費精算に関わる業務を効率化できるシステムで、ほとんどの工程を電子化できます。
経費申請から承認までのフローがスムーズになり手作業が減るため、計算ミスや記入漏れなどの不備も発生しにくくなるでしょう。また、申請の確認や催促もしやすくなるため不正防止も期待できます。
紙での保管が不要となり証憑書類の管理がしやすくなる点も、経費精算の正当性を保つのに役立ちます。
経費精算システムの概要は、以下の記事をお読みください。
関連記事:経費精算システムとは?導入するメリット・デメリットや選び方を解説
経費の仕訳作業を効率化するなら「バクラク経費精算」
事業上必要とされる支出は、基本的に経費として計上できます。また、事業資金としてうまく活かすことで、組織拡大を目指せるでしょう。
一方経費として認められないものも多く、過剰な経費計上は税務調査で否認される可能性やペナルティが科されるリスクもあります。また、手作業での経費精算は、経費の誤計上や管理の煩雑化などによる、人為的ミスや業務負担の増加につながります。
経費精算を正確かつ効率的に行いたいなら、経費精算システム「バクラク経費精算」を導入するのがおすすめです。
スマートフォンによる領収書の一括読み取りや申請、承認が可能なため、手作業を大幅に削減できます。二重申請を防止できる機能を搭載しており、不正も防止できます。
また、仕訳学習機能が備わっているため、過去の仕訳パターンをもとに自動補完してくれる点も魅力です。人為的ミスのリスクを抑えつつ、経理業務の大幅な負担軽減を実現したい方は、ぜひ「バクラク経費精算」の導入をご検討ください。