経費処理とは?経費となる・ならない具体例や流れ・注意点を解説

経費処理は、企業の健全な運営と適正な納税に不可欠ですが、業務内容は複雑です。

本記事では、経費処理の概念から具体的な処理対象や業務フロー、注意点まで詳しく解説します。さらに、経費処理で頻発する課題とその解決策も紹介しています。

経費処理の全体像を掴み、日々の業務を正確かつ効率的に進めるための知識を身につけましょう。

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経費処理とは?経費となる・ならない具体例や流れ・注意点を解説

経費処理とは?

経費処理とは会計業務の一種で、事業運営費用の支出入計算・記録を行う処理のことです。まずは、経費と経費処理の概要を理解しておきましょう。

経費とは

経費とは、事業を運営し収益を得るために必要な費用です。会社の利益は正しく計算し、適切な法人税額を算出する必要があります。経費を漏れなく計上することは、有効な節税対策になります。

たとえば、商品の仕入れにかかった費用、従業員へ支払う給与、事務所の賃料、水道光熱費、広告宣伝費などは経費です。一方、事業とは直接関係のない個人的な支出などは、原則として経費には含まれません。

「経費」と間違えやすい言葉に「費用」と「損金」があります。費用は収益を得るために使われたお金全般を指すのに対し、損金は税金の計算上、利益(益金)から差し引かれるものです。経費・費用・損金の違いを理解しておきましょう。

経費処理とは

経費処理とは、企業が事業活動を行う中で発生した経費について、その内容を正確に記録・分類し、最終的に支払いをするまでの一連の業務プロセス全体を指します。

経費処理業務は、企業の財政状態を正しく把握し、適切な経営判断を下すための基礎となるため、重要です。

計上された経費の額は、課税所得を計算する上で直接差し引かれます。そのため、経費処理の正確さが、最終的に納める法人税の金額にも影響を及ぼします。

経費処理は、企業の健全な運営と適正な納税のために不可欠な業務といえるでしょう。経費処理の具体的な業務内容としては、以下のものがあります。

  • 従業員の立替経費精算
  • 取引先への請求書支払い処理
  • 証憑書類の整理・保管
  • 会計帳簿への仕訳入力

経費処理業務は、確認項目が多いのが特徴です。また、関係者からの書類提出遅延などで作業が煩雑になる傾向があるため注意しましょう。

経費処理と似ている言葉の違い

経費処理には「経費精算」「経理処理」「会計処理」といった、似たような意味合いで使われがちな言葉が存在します。企業の財務を正確に理解するには、言葉の違いを把握しておかなければなりません。以下で詳しく解説します。

経費精算

経費精算とは、従業員が業務を遂行する上で一時的に立て替えた費用を、会社が後から支払う手続きのことです。経費精算は「経費処理」という大きな業務プロセスの中の一部にあたります。 具体的には、従業員が交通費、出張費、会議費、消耗品費などの立替払いをした際に、領収書を添付して会社に精算申請を行います。経理担当者は申請内容を確認・承認し、定められた期日に従業員の口座へ振り込む、といった一連の流れが経費精算です。 つまり、経費精算は主に「従業員の立替経費」に焦点を当てた、会社と従業員間のお金のやり取りに関する処理を指します。

経理処理

経理処理とは、会社におけるお金の流れ全般を記録、管理、計算する業務を指す、非常に広範な概念です。「経費処理」や「経費精算」も、経理処理の中に含まれます。 経理処理の業務内容は多岐にわたり、具体的には以下のものが挙げられます。
  • 売上の計上
  • 仕入れの管理
  • 請求書の発行・送付
  • 売掛金の回収
  • 売掛金の支払い
  • 給与計算
  • 社会保険料の手続き
  • 資金繰りの管理
  • 経費の処理・精算
経理処理は、会社のお金に関するあらゆる情報を整理し、経営判断や決算業務に必要な基礎データを提供する重要な業務です。

会計処理

会計処理とは企業の経済活動全体を指す言葉です。 お金や物の増減・変動を、簿記のルールに基づいて記録・測定し、財務諸表としてまとめ、株主、債権者、税務署などに報告するまでの一連のプロセス全体を指します。経理の記録を集計・整理することに重点をおいた業務といえるでしょう。 具体的には、以下の業務があります。
  • 総勘定元帳への転記
  • 試算表の作成
  • 決算整理仕訳
  • 財務諸表(貸借対照表・損益計算書など)の作成
経理処理の結果を基に、より広い視点で企業の財務状況を報告するための手続きが会計処理である、と理解するとよいでしょう。

経費処理の対象になるもの

支払ったお金が経費として認められるには、企業の売上と関係があると判断される必要があります。

たとえば、業務に必要な備品購入費、商談のための交通費や宿泊費、取引先との食事代、人材育成のための書籍代などは、経費として認められる場合がほとんどです。

ただし、取引先との食事代を含む接待交際費は、金額や利用店舗などによっては経費として認められない可能性もあるため、経費として認められる条件を個別によく確認しましょう。

関連記事:「経費の主な勘定科目20選|正しく仕訳をするための注意点や間違えないポイントも解説」

経費処理対象の具体例と考え方

経費として処理できるかどうかは、その支出が事業に関連しているか否かが重要な判断基準です。会社の利益計算や納税額に直接影響するため、正しく理解することが不可欠といえるでしょう。

ここからは、経費になる具体例とならない例を挙げながら、判断する際のポイントを解説します。

経費処理の対象になるもの

事業運営に直接必要であり、金額が常識の範囲内と認められる支出は、原則として経費処理の対象です。判断の重要なポイントは「事業との関連性」と「金額の妥当性」の2点です。

具体的にどのようなものが経費として認められるか、以下の表をご参照ください。

勘定科目

具体例

旅費交通費

業務での移動にかかる電車代、タクシー代、出張時の宿泊費

通信費

電話代、インターネット料金、切手代、サーバー代

接待交際費

取引先との会食費、贈答品代、慶弔費

広告宣伝費

Web広告掲載料、パンフレット作成費、展示会出展費

経費として認められる勘定科目について詳しく知りたい方は、以下の記事で解説しています。

関連記事:経費の主な勘定科目20選|正しく仕訳をするための注意点や間違えないポイントも解説

経費処理の対象にならないもの

事業運営とは直接的な関連性がないと判断される支出は、経費として処理できません。誤って経費計上すると、税務調査で否認されるリスクも生じるでしょう。

経費処理の対象とならないものの例として、以下が挙げられます。

  • 経営者や従業員の個人的な食事代や娯楽費
  • 事業に関係のない物品の購入費用
  • 個人的な旅行費用
  • 法人税・法人住民税・法人事業税
  • 延滞税や加算税といった追徴課税
  • 借入金の元本部分の返済額
  • 建物や機械などの固定資産の購入代金

経費処理の業務の流れ

企業における経費処理は、一般的に決まった手順に沿って進められます。標準的な経費処理業務の流れは、以下のとおりです。

  1. 事前申請
  2. 経費の立替払い
  3. 経費精算申請
  4. 上長承認
  5. 経理部門による確認・承認
  6. 会計処理
  7. 精算

まず、社内規定で事前承認が必要な場合、出張や高額な物品購入などの申請を行いましょう。従業員が費用を一時的に立て替えた後、領収書などを基に申請書を作成し、上長へ提出する流れです。

上長の承認を受けたら、次に経理担当者が申請内容を確認し承認します。承認内容に基づいて仕訳し、従業員へ支払いが行われるのが、経費処理の業務プロセスです。

経費精算処理は、企業ごとに細かいルールが定められている場合があるため、自社の規定をよく理解しておきましょう。

詳しい業務の流れや具体的な方法については、関連記事で詳しく解説していますので、ご参照ください。

関連記事:経費精算のやり方を徹底解説!経費の定義や種類、精算の流れなど

関連記事:経費精算における経理の仕事は?業務の流れやよくある課題を解説

経費処理をする際の注意点

経費処理は、企業の財務状況を正確に把握し、適正な税務申告をする上で不可欠な業務です。しかし、日々の業務の中ではミスが発生しやすい側面も、もち合わせています。

正確性を欠いた処理は、後々大きな問題に発展する可能性もあるでしょう。ここからは、経費処理で特に注意すべき点を2つ解説します。

金額や日付をミスなく記載する

経費処理において最も基本的な注意点は、金額と日付を正確に記載することです。特に、金額や日付に誤りがあると、従業員への支払いが正しく行われなかったり、社内の月次決算や年次決算の数値にズレが生じたりする原因となります。

たとえば、申請された金額を間違えて入力してしまうと、過払いや未払いが発生し、従業員との信頼関係を損なう恐れがあるでしょう。

故意の不正でなかったとしても、誤った金額や日付での処理が税務調査で発覚した場合、追徴課税などのペナルティが課される可能性も否定できません。

申請書類の作成時やシステム入力時には細心の注意を払い、ダブルチェックを行うなど、ミスを未然に防ぐ体制を整えましょう。

正しい勘定科目を選択する

支出の内容に応じて、適切な勘定科目を選択するのは経費処理における重要な注意点です。勘定科目は、その費用がどのような目的で使用されたのかを示す分類であり、会社の費用構造を分析したり、正確な財務諸表を作成したりするための基礎となります。

各企業で定められている勘定科目の定義や使用ルールをよく理解し、迷った際は経理担当者や上司に確認し、慎重な判断を下しましょう。

経費処理における課題点

経費処理は正確な記録が不可欠ですが、実際の業務では人的ミスや書類管理の煩雑さなど、課題が数多く存在します。ここでは、多くの企業が経費処理において直面しがちな問題点について解説します。

経費処理中の人為的ミス

経費処理は申請作業や承認作業、精算など工程が多いため、人為的ミスも発生しやすい業務です。

ミスが発生すれば、差戻し、訂正、再確認などが必要になり、時間や手間も多くかかって、従業員や経理担当者の業務を圧迫する可能性もあります。経費処理以外にも重要な業務は多く存在するため、経費処理はできるだけスムーズに完了するのが望ましいでしょう。

経費精算書や領収書の管理

経費処理に関わる書類は、税制上定められた期間保存しなくてはなりません。

企業では頻繁に経費処理が発生しているため、書類を保管するにはスペースが必要です。また、膨大な書類を適切に管理する手間もかかり、経理の担当者にとって負担になっているケースが多く見受けられます。

電子帳簿保存法により電子保存も可能になっているものの、データが膨大であるという点では変わりがなく、負担がまったくないとはいえません。

請求書の保存期間については、以下の記事をお読みください。

関連記事:請求書の保管期間は?法人・個人事業主ごとの年数やインボイスの影響を解説

経費処理にかかる時間

経費処理はそれぞれ内容が異なり、すべてを個別に確認しなければなりません。

たとえば、従業員全員が異なる行き先へ訪問した場合、申請されたそれぞれの交通費が正しいかどうかをチェックする必要があります。手作業での確認は時間を要するので、業務を圧迫する原因の一つです。

経費処理の課題を解決する4つの方法

経費処理の課題は、放置すると業務効率の低下やミスの原因となります。しかし、適切な対策を講じれば改善は可能です。課題を解決するための具体的な方法を4つ紹介します。

経費精算システムの導入

経費精算システムの導入は、経費処理の課題解決に有効な手段の一つといえるでしょう。手入力による申請やチェック作業を自動化すれば、入力ミスや計算間違いといった人為的ミスの大幅な削減が可能です。

また、多くのシステムには、法人カードや交通系ICカードとの連携機能も備わっています。申請内容との紐付けが容易になるため、申請作業がいっそう効率化され、経費処理業務全体のスピードアップと正確性の向上が期待できます。

経費精算システム導入のより詳しいメリットは、関連記事も参考にしてください。

関連記事:経費精算システムとは?導入するメリット・デメリットや機能、選び方を解説

業務フロー整備

経費処理業務の整備、定期的な見直しは課題解決のために必要です。経費処理には、以下のように多岐にわたる工程が含まれます。

  • 申請
  • 承認
  • 確認
  • 仕訳
  • 支払い
  • 保管

流れが複雑であったり、非効率な部分があったりすると、業務の遅延やミスの温床となりかねません。

まずは、各工程で「誰が」「何を」「いつまでに行うか」という担当と役割、作業手順を明確にしてください。責任の所在がはっきりし、特定の担当者に業務が偏る「属人化」を防ぐ効果も期待できるでしょう。

現状のフローを可視化することで、重複作業や不要なステップがないかを洗い出し、継続的に改善していく姿勢が大切です。

環境整備

経費処理を円滑に進めるには、環境の整備も重要です。

たとえば、社内にチャットツールを導入したり、デュアルディスプレイを設置して作業しやすくしたりする方法があります。経理業務では複数のシステムやファイルを使用するため、デュアルディスプレイがあると作業がはかどるでしょう。

また、チャットツールで連絡がスムーズになれば、経理業務を含むすべての業務を効率化することが可能です。

経理処理のアウトソーシング

経費処理をさらに効率化したい場合は、アウトソーシングするのも一つの手です。経費処理をアウトソーシングすれば、経理の人的リソースを経費処理以外に割けるようになります。

また、第三者の介入により、不正も防止しやすくなるでしょう。ただし、細かい質問にすぐ答えられない可能性や社内に経費処理のノウハウが蓄積されないといった、注意が必要な点もあります。

経費精算をアウトソーシングするメリットとデメリットについては、以下の記事をご確認ください。

関連記事:経費精算をアウトソーシングするメリット・デメリットは?サービス選定時のポイントも解説

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経費処理は、事業運営と納税のために不可欠な会計業務です。経費と認められるかは事業との関連性がポイントになります。経費処理ではミスや処理にかかる時間が課題となりがちですが、システム導入などによって業務効率化も不可能ではありません。

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