
立替精算とは?立替経費の精算手順や仕訳、注意点、負担軽減方法を解説
- 記事公開日:
- 最終更新日:2025-04-07
- この記事の3つのポイント
- 立替精算とは従業員が経費を一時的に立て替えて支払い、後日会社がその費用を精算すること
- 立替経費は、使いすぎや立替期間、電子帳簿保存法への対応に注意する
- 法人カードや経費精算システムの導入で、立替精算の負担が軽減できる
業務上で従業員が立て替えた経費の精算は、処理が複雑なため注意して行わなければなりません。
この記事では、立替精算の概要や手順、仕訳方法、必要書類について解説しますので、ぜひ参考にしてください。
立替精算とは?
「立替精算」とは本来会社が負担すべき経費を従業員が一時的に立て替えて支払い、後日会社がその費用を精算する仕組みです。立て替えた経費は「立替経費」、もしくは「立替購買」と呼びます。
立替精算の一般的な流れは、以下のとおりです。
- 従業員が経費を立て替え、領収書を受け取る
- 従業員が経費精算書を作成し、領収書を添付し申請する
- 上長が申請内容を確認・承認する
- 経理担当者が経費精算書と領収書を確認し、会計処理を行う
- 経理担当者が従業員へ精算金額を払い戻す
立替精算の対象となる主な経費には、出張時の交通費、業務用品の購入費、接待費などがあります。
「立替金」や「仮払金」との違い
「立替精算」と「立替金」や「仮払金」は、間違えやすい勘定科目のため注意しましょう。それぞれの違いについて解説します。
立替金との違い
立替金とは、従業員や取引先などが支払うべき費用を会社が立て替えた場合の呼称です。立替金は会社の経費ではないため、経理上の扱いは資産の勘定科目として処理されます。
立替金について詳しく知りたい方は、関連記事をご参照ください。
関連記事:勘定科目「立替金」とは?仕訳例と出納帳などの帳簿の経理処理を解説
仮払金との違い
仮払金とは、必要な費用を事前に従業員へ概算額で支払った場合の呼称です。同じ経費について、立替経費は従業員が先に費用を負担するのに対し、仮払金は会社が先に経費を支払う点で違いがあります。
仮払金について以下の記事でさらに解説していますので、ご確認ください。
立替経費が発生する主な場面
たとえば、従業員が自費負担で、に使用する文房具を購入したり、書類のコピー代を支払ったりした場合が立替経費に該当します。他にも、取引先へ訪問する際の移動費や接待交際費、出張時の交通費などを、社員が自腹で支払った場合なども立替経費です。
交通費の経費精算や出張旅費精算について詳しく知りたい方は、以下の記事をあわせてご活用ください。
立替経費の精算手順
立替経費の一般的な精算手順は以下のとおりです。ただし、会社によって独自のルールを設けている場合もあるため、実際に精算を行う場合は社内のルールを確認しましょう。
従業員が経費を立て替え、領収書を受け取る
従業員は、業務に必要な移動や購入のために、自分でお金を払って経費を立て替えます。その際、経費の証明になる領収書やレシートを必ず受け取ってください。
海外での小さな商店やチップなど、領収書やレシートが発行されない支払いの場合は、事前に社内の規定や経理部などで対応方法を確認しましょう。
領収書を紛失した場合の対処法や経費精算規定については、以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
関連記事:領収書なしでも経費精算は可能?紛失や発行されない場合の対処法
関連記事:経費精算規定(ルール)が必要な理由とは?作成のポイントや注意点を解説
従業員が経費精算書を作成し、領収書をともに申請する
従業員は、経費精算書などの申請書に必要な情報を記入し、領収書を添付して決められた期日までに立替精算の申請を提出します。
経費精算書について詳しく知りたい方は、関連記事をご参照ください。
関連記事:経費精算書とは?種類や書き方、作成時の注意点を解説
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上長が申請内容を確認・承認する
従業員から提出された経費精算書や領収書を上長が確認し、承認後、経理担当者にまわします。この時点で入力ミスや不備など、内容に問題があった場合は、上長から従業員へ差し戻しされます。
経理担当者が経費精算書と領収書を確認し、会計処理を行う
経理担当者は、申請内容や上長の承認を得ているかなどを確認し、領収書との照合などを行いましょう。金額の入力ミスや計算ミスがないか、経費として問題ないかなど細かくチェックし、該当する勘定科目に仕訳を行います。
申請に不備があった場合は、上長や担当者に差し戻しや問い合わせが必要です。可能な限り、迅速に行いましょう。
経理担当者が従業員へ精算金額を払い戻す
立替経費の承認や会計処理が完了したら、経理担当者は、従業員に対して精算金額を支払います。支払い方法や精算のタイミングは、規模や規定などで企業によって異なります。
経費精算をまとめる理由や経理担当者の悩み解決策について詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。
立替経費の仕訳方法
立替経費の仕訳を行うタイミングは、立替経費の申請が行われたときと、立て替え分を精算したときの2回です。
立替経費の申請では、借方には交通費、消耗品費、接待交際費などの勘定科目を記入します。貸方の勘定科目には未払金を計上し、立て替え分の精算時に未払金を振り替えてください。
ただし、小口現金などで申請と精算を同日に行った場合は、仕訳は1回です。具体例を以下で説明します。
経費精算の仕訳日付について詳しく知りたい方は、関連記事をご参照ください。
関連記事:経費精算の仕訳日付はいつにすればよい?仕訳例も紹介
従業員と取引先の会食費が立て替えされ、後日に銀行振込で精算した場合
<従業員から経費精算が提出されたとき>
日付 | 借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 | 摘要 |
4月1日 | 接待交際費 | 70,000円 | 未払金 | 70,000円 | 4月1日 会食費 立て替え |
〈 従業員に精算金の支払いをしたとき 〉
日付 | 借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 | 摘要 |
5月15日 | 未払金 | 70,000円 | 普通預金 | 70,000円 | 4月1日 会食費 立て替え |
立替経費の注意点
企業の運営をスムーズに進めるために必要不可欠といえる立替精算ですが、精算する際にはいくつか気をつけるべきことがあります。
立替経費の使いすぎ
従業員が立替経費をむやみに使用すると会社の経営を悪化させる恐れがあります。
立替経費の使いすぎを防ぐには、自社で利用できる立替経費の種類やルールを明確にすることが大切です。従業員が無駄な立替経費を発生させないよう、提出された立替経費請求書の内容もよく確認しましょう。
高額な立替経費
立替経費が少額であれば負担も小さいですが、高額になると従業員は立て替え払いをするために資金を無理に捻出しなければなりません。
従業員にとっての負担が大きいと、経費の立替が離職の原因になる恐れもあります。そうでなくても、従業員の仕事に対するモチベーションが著しく低下するリスクがあります。従業員が負担する立替経費はなるべく少額で済むように配慮しましょう。
経費立替の負担要因と解消法について詳しく知りたい方は、以下の記事をご確認ください。
関連記事:従業員が経費立替を「きつい」と感じる要因と解消する方法
処理する際のミス
立替経費の仕組みは便利であるものの、経理上の処理は複雑です。複雑ゆえにミスが起こりやすく、記入漏れや間違い、領収書の添付忘れなどに注意しなければなりません。
また消費税の表記に内税と外税が混在していたり、交通費の場合は適切なルートであるかの確認が必要だったりと、細かい部分までチェックが必要です。
複雑な点や確認すべき点が多いと、経理担当者をはじめ、従業員にとっても立替経費の存在は大きな負担です。
月・年度またぎなどの立替期間
不必要な月またぎや年度またぎの立替精算は、処理の手間や負担を増やし、ミスを増やすリスクがあります。
経費精算の期限は法律により年度内と定められているものの、月次締めや経費発生から30日以内など、会社規定によって期限が異なるので注意が必要です。
月またぎの適切な会計処理などについて詳しく知りたい方は、関連記事をご参照ください。
関連記事:月またぎや年度またぎの経費精算は可能?適切な会計処理と計上漏れの防止策
関連記事:経費精算してくれない!経理担当者・申請者の視点での悩みと解決策
電子帳簿保存法への対応
立替払いや立替精算の際に受領・保存する領収書については、電子帳簿保存法への対応が必要です。2022年の法改正により、電子取引で受け取った領収書等のデータは、原則として電子データのまま保存することが義務付けられました。
紙の領収書を受け取った場合は、従来通り原本を保存するか、電子帳簿保存法の要件を満たしたスキャナ保存を行うかを選べます。一方、オンラインショッピングなどで電子的に受け取った領収書は、電子データのまま保存する必要があるので注意しましょう。
電子帳簿保存法について詳しく知りたい方は、以下の記事をあわせてご活用ください。
立替経費の負担軽減におすすめの方法
立替精算に関して、従業員や経理部などの負担となる場面は、さまざまあります。立替精算に関わる負担を改善するために役立つ方法を紹介しますので、ぜひ検討してみてください。
法人カードを導入する
法人用のクレジットカードを導入すれば、従業員が立て替え払いをしたり、経理部から従業員へ現金を受け渡したりする必要がありません。
「バクラクビジネスカード」は、カードを従業員が利用したらすぐに明細が届き、利用期間や限度額の制御も簡単に行え、立替経費についての業務負担を軽減できます。
法人カードでの経費精算について詳しく知りたい方は、以下をご参照ください。
関連記事:法人カードで経費精算するメリット・デメリットとは?流れや注意点も解説
経費精算システムを導入する
経費精算システムを導入すると、申請書の作成や承認作業などをオンラインで行えます。さまざまな機能が搭載されており、書類の紛失防止につながるだけでなく、入力ミスの軽減など、立替精算の業務を効率化できるでしょう。
経費精算システム導入については、以下でさらに解説していますので、ご確認ください。
関連記事:経費精算システムとは?導入するメリット・デメリットや機能、選び方を解説
アウトソーシング化する
立替経費精算の業務を外注すれば、担当者はほかの業務に時間を使えます。しかし、社内と外部のやりとりには業務のマニュアルが必要となり、ルールを従業員へ周知徹底しなければなりません。
立替経費の精算業務をアウトソーシング化するには、コストも手間もかかるため、十分に検討しましょう。
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立替精算とは会社が負担すべき経費を従業員が一時的に立て替えて支払い、後日会社がその費用を精算することです。立替経費における従業員や経理担当者の負担を解消し、業務をスムーズに行えるようにするには、経費精算システムの導入がおすすめです。
バクラク経費精算なら立替払いの領収書が多い場合でも、自動読み取りで申請がスムーズに行えます。領収書の使いまわし自動判定など、申請者・承認者・経理担当者を助けるミス防止機能も搭載されています。
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