領収書なしでも経費精算は可能?領収書が発行されない場合の対処法や注意点を解説

経費の精算には領収書が必要です。取引があったことを証明する書類である証憑がないと、トラブル・不正が発生しかねないからです。この記事では、領収書を紛失したときの対処法や、領収書が発行されない支払いへの対応などについて解説します。また、出金伝票の書き方や経費精算システムを利用するメリットについても解説するため、企業の経理担当者の方は参考にしてください。

領収書なしでも経費精算は可能?領収書が発行されない場合の対処法や注意点を解説

経費に領収書が必要な理由

経費として計上するには領収書が必要です。具体的な理由とそれぞれの詳細について解説します。

領収書は信憑性の高い出金記録のため

企業には、事業活動をするうえで必要となったコストが、経費として適切であることを証明する義務があります。企業が納める法人税などの税金は、売上から経費を差し引いた額である事業所得から算出されるためです。

経費として適切であることを証明する際は、取引の証拠となる証憑書類が必要です。領収書は、企業に関わる出金を記録しているため、証憑書類として税申告の際にも用いられます。

税務調査に対応するため

税務調査に対応するためにも、領収書は必要です。領収書は経費を使った理由の説明や取引の事実を証明する際に、高い証拠力を発揮します。しかし、領収書がないと経費を払ったことを証明できず、不正な経費の計上であるとして脱税扱いされる可能性もあります。なお、帳簿書類保存の義務により領収書は7年間保管しなければなりません。

消費税額控除の適用条件に含まれるため

消費税法では、仕入税額控除の適用を受けるために領収書の保存が義務付けられています。仕入税額控除とは、消費税の課税売上を基準として仕入に課された消費税を差し引き、最終的な消費税の納税額を算出することです。

原則として、仕入の費用として扱われるには領収書が必要です。そのため、領収書がないと仕入の費用として認められず、仕入額控除が受けられないため損をしてしまいます。

領収書がないときに考えられるパターン

領収書がないという状況は、主に2種類のパターンが考えられます。領収書自体を紛失してしまった場合と、そもそも領収書が発行されない出金であった場合です。2種類それぞれのパターンに対する対処法は、後に解説します。領収書が発行されない出金として挙げられるシチュエーションは次の通りです。

・公共交通機関を利用したとき
・取引先へ祝儀と香典を用意したとき
・自動販売機で商品を購入したとき
・飲食代などを取引先と割り勘で払ったとき

領収書を紛失したときの対処法

領収書を紛失したときの対処法について解説します。用いられやすい対処法は以下の3つです。

領収書の再発行を依頼する

領収書は再発行してもらえる場合もあるため、取引先や店舗に確認しましょう。ただし、発行元が領収書の再発行に応じる義務はありません。不正利用を防ぐという意味で、再発行に応じてくれない場合もあるため注意しましょう。領収書の再発行はできないが、代わりに購入証明書や支払証明書を発行するという対応が取られることもあります。

レシートで代用する

領収書がない場合は、レシートで代用することも対処法の1つです。レシートに購入した商品や金額、消費税や日付などが記載されていれば、領収書の代わりとして機能します。レシートは、基本的に支払いに関する客観的な証拠となるデータが揃っていますが、宛名はなく完全な証明はできません。しかし、事業との関連性が高い内容であれば問題ないと判断される可能性があります。

出金伝票を作成する

領収書を紛失した際の対処法として挙げられることが、出金伝票の作成です。出金伝票は、現金を支払った際に書き起こすメモを指します。書式に規定はありませんが、税務署によるチェックでも問題ないと判断されるような内容なら、証憑能力が発生します。出金伝票の書き方や必要事項については後述するので、そちらを参考にしてみてください。

領収書が発行されないパターンと対処法

領収書が発行されないパターンと、それぞれのパターンへの対処法を解説します。

ICカードで支払った交通費

ICカード乗車券を利用すると、領収書が発行されません。しかし、公共交通機関におけるICカードや電子マネーの利用履歴を活用すれば対処可能です。具体的には、ICカードや電子マネーの利用履歴を印刷したり、電子ファイルとして保存したりすれば、領収書の代替資料として機能します。

自動販売機を利用した場合

自動販売機で現金を使って商品を購入した場合も、領収書が発行されないパターンとして挙げられます。対処法は、領収書の代わりとなる出金伝票を作成することです。書式や記載事項に決まりはありませんが、第三者が見ても内容が分かるようにする必要があります。

祝儀や香典

祝儀や香典も、領収書が発行されない出費の1つです。企業側で慶弔費精算書が用意されていれば、必要事項を記入して提出しましょう。慶弔費精算書などの定められたフォーマットがない場合は、出金伝票を作成して領収書の代わりとします。また、ご祝儀袋の表書きのコピーや、香典返しのお礼状・あいさつ状なども支払いの証明になります。

クレジットカード決済で支払った場合

インターネット通販など、オンライン上でクレジットカード決済をした場合は、領収書が発行されない可能性もあるため注意が必要です。対処法として挙げられることは、カード会社が発行するクレジットカードの利用明細です。利用明細に、領収書の代わりとして適当であると判断できる情報があれば、領収書として代用できます。

ETCの利用料金

ETCは料金所で停止することがないため、領収書が発行されません。そのため、ETC利用照会サービスや、クレジットカードの利用明細を領収書の代わりとして使用しましょう。

なお、料金所で一時停止して、料金精算にETCカードを利用すれば領収書を発行してもらえる可能性もあります。しかし、スムーズな高速道路の利用がメリットであるETCの強みが無駄になる点が難点です。

出金伝票の書き方や必要事項

出金伝票の書き方や必要事項を解説します。それぞれの詳細を解説しているので、参考にしてください。

出金伝票の書き方

出金伝票は市販されているものもありますが、媒体や書式に決まりはありません。そのため、紙面に起こすだけではなく、エクセルなどのソフトでデータとして作成することも可能です。また、書式も自由なので、仮払精算・立替精算などの項目を追加して利便性を上げることもできます。

出金伝票の必要事項

出金伝票の信憑性を確保するためには、次の4つの事項を記載する必要があります。

・支払いが発生した日付
・支払いをした相手の名称
・支払われた金額
・品物・サービスの内容や支払いの目的

また、内容が適切であり税務署のチェックでも問題ないと判断されれば、証憑能力を持ちます。

出金伝票を発行する際の注意点

出金伝票を発行する際の注意点として挙げられることが、保管の期間や方法です。出金伝票の保管期間は基本的に7年間となっています。

さらに、伝票式会計上で仕訳帳の代わりに発行して保管する場合は10年間になります。会計処理が終わった後でも、その他の税務書類と同じく資料として保存しましょう。

領収書なしで経費を精算する場合の注意点

領収書なしで経費を精算する場合は、いくつか注意するべき点があります。具体的な注意点は次の通りです。

宛名がない領収書は経費精算ができない

消費税法において、証憑書類には宛名が必要とされています。そのため、宛名のない領収書やレシートでは、原則として経費精算ができません。また、2023年10月以降に適用されるインボイス制度によって、それまで取引金額30,000円以下の場合には免除されていた領収書の宛名が必須となります。

領収書がないと税務署の心証が悪くなる場合がある

領収書がない経費が多いと、不正利用や水増しによる脱税行為が疑われてしまい、税務調査で印象が悪くなる場合があります。経費の額が大きいにも関わらず領収書を紛失している場合は、信用性がないとして経費計上が認められない可能性もあるため注意しましょう。

経費精算システムを利用するメリット

経費精算システムを利用すると、さまざまなメリットを得られます。代表的なメリットとして挙げられるのは次の3つです。

領収書の電子化により紛失リスクが下げられる

経費精算システムの導入によって領収書を電子データ化できるようになれば、領収書を紛失するリスクを下げられます。電子データ化する手段には、システム上でデータを記入したり、紙の領収書を撮影して情報を読み取ったりする方法があります。また、電子帳簿保存法に対応しているため、領収書を自身で管理する必要がないことも利点です。

外出先や移動中に申請できる

スマートフォンでの利用にも対応している経費精算システムなら、外出先や移動中でも経費の申請や手続きができます。申請や手続きに必要なフローが簡略化されて効率的になったり、経費の発生から精算までのタイムラグを解消できたりすることもメリットです。

電子マネーやICカードと連携できる

電子マネーやICカード、クレジットカードなどと連携できれば、さまざまなメリットを得られます。例えば、明細や利用履歴を自動で取り込んで、別途領収書や代用の利用明細書を発行する必要がなくなります。ほかにも、システム上で管理されるため不正な申請を防ぎやすく、担当者の負担を減らせることも利点です。

まとめ

経費関連の業務は対応が複雑であり、注意するべき部分も多いため担当者の負担が大きくなりがちです。そのため、経費精算などに関するシステムの利用がおすすめです。

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