月またぎの経費精算は可能?会計処理や防ぐ方法を解説

経費精算は、経理担当者と一般の従業員の両者にとって毎月の負担です。また、経費精算は月またぎで発生する場合もあります。この記事では、そもそも月またぎの経費精算は可能なのかについて触れたうえで、経費精算が月をまたぐ理由や会計処理の方法などを解説します。月またぎの経費精算に正しく対応するために、ぜひ参考にしてください。

月またぎの経費精算は可能?会計処理や防ぐ方法を解説

月またぎの経費精算は可能?

そもそも月またぎの経費精算は可能なのでしょうか。以下で基本から詳しく解説します。

そもそも経費精算のタイミングは?

経費精算は、基本的に締切日までに処理する必要があります。締切日は、就業規則や社内規程などによって定めている企業が多いでしょう。締切日が定められている理由は、自社の経費がいつどれくらい発生しているか正確に把握するためです。

ただし、実際には経費精算の手続きが締切日を守れていないケースも少なくありません。たとえば、長期の出張があったり、月末に急遽の経費が発生したりすると、締切日に間に合わない場合もあります。

月またぎの経費精算とは

「月またぎ」とは、月をまたいで翌月にかかることを表しています。つまり、月またぎの経費精算とは、先月より前に発生した経費を精算することです。たとえば、1月に発生した経費の申請書や領収書を、2月になってから経理担当者へ提出するケースが当てはまります。このように過去に発生した経費を処理するには、通常とは異なる対応が必要です。

月またぎでも経費精算は可能

月をまたいでいても、経費精算はできます。民法は、従業員の権利として、経費が発生してから5年間は企業への支払いの請求を認めているからです。ただし、経費精算の提出期限については、就業規則や社内規定などで企業が独自にルールを決めている場合が多くなっています。

法律上問題がなくても、可能な限り社内の取り決めを守る必要があります。月またぎの経費精算が発生すると通常の会計処理と異なる対応が求められ、頻繁に起きると企業にとって悪影響となる可能性があるからです。経理担当者の負担も増加します。

経費精算が月をまたぐ理由

月またぎの経費精算が発生する理由は、非常にさまざまです。以下で詳しく解説します。

月をまたぐ経費の発生

月をまたいで経費が発生した結果、経費精算も月をまたぐケースがあります。たとえば、泊まりがけの月をまたぐ出張が該当します。交通手段として新幹線を利用し、5月30日に出発して6月1日に戻ってきたとしましょう。この場合、往路については前月分、復路については当月分として処理する必要があります。

月末の経費精算が間に合わない

月末に発生した経費は、精算の申請が期限に間に合わないケースもあります。月をまたぐ出張の経費精算は戻ってきてから行うため、前月に発生した経費の申請は当月に行うことになります。出張が多い従業員は、月またぎの経費精算が発生する可能性が高いでしょう。

方法が複雑で面倒

紙の経費精算書による申請方法が複雑で、申請に時間がかかった結果、月またぎの経費精算が発生するケースもあります。経費精算は規定が多く、経費精算書にさまざまな項目を記載しなければなりません。また、申請や決裁の際は押印が必要であり、手続きが完了するまでの手順が長くて面倒です。

出張が多かったり、交通費が頻繁に発生したりする場合、手間のかかる経費精算は後回しにされがちです。繁忙期なら負担はさらに大きくなるため、月またぎの経費精算がさらに発生しやすくなります。そのような事態を防ぐには、紙の経費精算書による申請の手間を省く対策が必要です。

申請・提出の遅れ

経費精算の準備や提出の遅れにより、月をまたぐケースもあります。たとえば、月の最終日に経費が発生した場合、急いで経費精算を行っても夕方以降になる可能性があるでしょう。提出時に経理担当者がすでに退社していれば、当日中には処理されません。その結果、月またぎの経費精算が発生します。

また、経費が発生しても、経費精算書の提出を忘れて月をまたぐパターンも少なくありません。従業員が多忙だと経費精算が後回しになり、数か月後に申請される場合もあります。

月や年度をまたぐ際の会計処理

経費精算が月や年度をまたぐ場合は、どのように会計処理をすればよいのでしょうか。以下で解説します。

料金を先払いした際の会計処理

料金を先払いしたときは「前払金」という勘定科目を使用します。新幹線の往復チケットによる出張があり、往路は7月、復路は8月だとしましょう。往復料金は30,000円で、7月に現金で支払っています。

この場合、7月分として、借方に旅費交通費15,000円と前払金15,000円、貸方に現金30,000円を計上します。また、8月分として、借方に旅費交通費15,000円、貸方に前払金15,000円と計上しましょう。

料金を後払いした際の会計処理

料金を先払いしたときは「未払金」という勘定科目を使用します。この場合も新幹線の往復チケットによる出張で、往路は7月、復路は8月です。往復料金は30,000円で、8月に現金で支払います。

この場合、7月分として、借方に旅費交通費15,000円、貸方に未払金15,000円を計上します。また、8月分として、借方に旅費交通費15,000円と未払金15,000円、貸方に現金30,000円と計上しましょう。

月またぎで経費精算する際の3つの問題点

月またぎの経費精算には問題もあります。3つの問題点について解説します。

1.社外からの信用低下

月またぎの経費精算は経理担当者の負担が増えるだけでなく、社外からの信用を低下させる原因にもなります。特に年度をまたいで経費精算が発生すれば、決算の修正が必要です。決算を正確に申告できない企業だと判断され、投資家や取引先などからのイメージダウンにつながります。ルールを守れない企業だとみなされた結果、取引を見直される恐れもあります。

また、経費の額は税額の計算に使用する所得にも影響するため、税務調査での印象も悪化する可能性が高いでしょう。

2.企業と従業員の信頼関係への悪影響

社内のルールを守らない従業員が増えた場合、社内全体の雰囲気もルーズになります。ルールを守らなくても問題にならないという認識が広まれば、従業員の不正行為が発生しやすくなります。また、ルールを守って適切に対応している従業員の不満もたまりやすくなるでしょう。企業と従業員や従業員同士の信頼関係にも悪影響が生じます。

信頼関係を維持するには、経費精算の明確な締切日を設定し、厳格に管理する必要があります。

3.コストと業務の発生

月またぎや年度またぎの経費精算が発生すれば、経理担当者は余計な業務に対応する必要があります。月や年度をまたいで経費精算する従業員が多ければ、その分だけ経理担当者の負担も増えます。

民法上は5年以内なら従業員の経費精算が認められるため、仮に1年以上前の経費精算が行われても対応が必要です。その場合、通常の業務とは別に対応しなければならず、余計な人的リソースが割かれて企業の生産性が低下します。

月またぎの経費精算を防ぐ2つの方法

月またぎの経費精算を防ぐには、どうすればよいのでしょうか。具体的な対策について解説します。

1.ルールや締切日を定め周知する

就業規則や社内規定で経費精算の締切日を定め、従業員へ周知しましょう。「毎月〇日まで」「領収書の受領後〇日以内」のように、締切日は具体的に定める必要があります。ルールや締切日があれば、従業員の意識にも変化を与えられるでしょう。月末より少し前に締切日を設定すると、月またぎの経費精算の発生を防げます。ルールの遵守が当たり前だという共通認識をもたせることが大切です。

ただし、出張や急な経費発生により、やむを得ず月またぎの経費精算が発生するパターンもあります。経費の発生から5年間は支払いの請求が可能なため、状況を考慮した柔軟な対応も必要です。

2.経費精算システムを導入する

従業員が経費精算を手間に感じていて手続きが遅れがちなケースも多いため、スムーズに対応できる環境の整備も重要です。紙の経費申請書に内訳を書いたり、上司の承認を得たうえで経理担当者へ提出したりする作業には、多くの手間や時間がかかります。特に、泊まりがけの出張では記載すべき項目も多く、負担はさらに大きくなります。

経費精算の負担を減らすには、経費精算システムの導入がおすすめです。安価で導入できるサービスもあり、経費精算のペーパーレス化を実現できます。また、インターネット上で利用できるクラウド型なら、外出先からもスマートフォンやタブレットで申請が可能です。経費が発生したタイミングで素早く経費精算がしやすくなります。

まとめ

月またぎの経費精算が発生する理由は、さまざまです。やむを得ないケースもありますが、経費精算に手間がかかるせいで後回しにされている場合も少なくありません。スムーズな経費精算を実現するには、明確なルールを定めたり、簡単に手続きできる環境を整えたりすることが大切です。

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