経費精算のやり方を徹底解説!経費の定義や種類、精算の流れなど

企業は事業活動のなかで、利益を得るためにさまざまな費用である「経費」を使用します。そのため、経理担当者や営業担当者にとって、従業員が一時的に負担した経費を払い戻して精算する経費精算は、日々の欠かせない業務の一つです。

しかし、経費の対象は幅広いため、「この費用は経費として申請・計上して良いのだろうか」と悩んだ経験もあるのではないでしょうか。

この記事では、経費精算の申請を行う従業員に向けて、経費の概要や経費の対象となる費用について解説します。申請に用いる経費精算書の種類や経費精算の流れ、経費精算で注意すべきポイントなども紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

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経費精算のやり方を徹底解説!経費の定義や種類、精算の流れなど

経費とは

そもそも経費とは、どのようなものでしょうか。ここでは、経費の意味や費用との違いなどについて解説します。

経費の概要

経費とは「経常費用」を略した言葉です。事業活動において利益を得るために支払った費用のことで、所得税法では必要経費と呼びます。

国税庁では、事業所得・不動産所得・雑所得において必要経費に算入できる費用として、次の2つの費用を挙げています。

(1)総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額

(2)その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額

引用:「No.2210 やさしい必要経費の知識|国税庁」

「経費」と「費用」の違い

費用とは、会社が支出したすべてのコストを表しており、経費は費用の一部と考えることができます。

経費は事業活動で発生する費用のうち、業務に必要で売上につながる費用を指しますが、会社が支出するコストは、売上につながる費用だけではありません。たとえば、法人税や法人住民税、各種罰金・延滞税などは、売上とは無関係な費用です。そのため、これらは経費に該当しません。

また、まとめ買いしたまま未使用の備品や、まだ売れていない在庫の商品なども、経費にはできません。計上額をコントロールしやすく利益調整に利用される可能性があり、会計上好ましくないためです。

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経費精算の目的は?

経費は本来会社が負担すべきものであるため、経費を従業員が支払った場合、「経費精算」が必要です。

経費精算では、従業員の申請に基づいて、かかった経費を会社が払い戻します。経費精算の対象となる費用の例には、従業員が費用を立て替えて購入した消耗品の代金や、営業先へ出張するために必要となった宿泊代、交通費など、さまざまなものが挙げられます。

なお、経費精算には従業員が先に経費を立て替えたのち精算する「立替精算」と、先に費用を仮払いしてあとから差額を精算する「仮払精算」の2つの方法があります。それぞれ、詳細は後述します。

経費精算の目的は、従業員により立て替え済みである、企業が支出すべき費用を払い戻すことだけではありません。経費精算がなぜ必要であり重要であるのか、事業上の目的について解説します。

企業の経営状態を正しく把握するため

経費精算は、企業会計を正確に行うために必要な処理です。事業に使用した費用を計上することで、企業の経営状況を正しく把握できるようになります。これにより、予算配分や支出管理の適正化などに役立てられるでしょう。また、財務の健全性や透明性を維持するためにも重要です。

法人税を正しく計算するため

企業は益金(収益)から損金(支出)を差し引いて算出した課税所得に対して、法人税などが課されます。費用のうち、損金として規定されているものは、収益から控除することが可能です。

つまり、経費の計上は、法人税を正しく計算するために必要な処理といえるでしょう。使用した経費を漏れなく計上することにより、課税所得を圧縮し、税金の払い過ぎを防止できます。

不正な経費使用を防ぐため

経費精算は、不正な経費使用を防ぐためにも有効です。

事業に要したことを証明する領収書や請求書を提出させるなど、社内規定に沿って経費精算を行えば、事業に無関係な私的出費を経費で落とすことができなくなります。精算時に上長や経理担当者の確認を経ることにより、経費の無駄使いを防止する効果も期待できるでしょう。

また、明確なルールに従って精算処理をすれば、内部統制の強化がもたらされることもメリットです。

経費の対象になる費用は?

経費の対象になる費用は、事業で使用した費用のうち収益を得るために使用した費用であり、さまざまな種類があります。たとえば、営業活動に必要となる以下のような費用は、すべて経費の対象です。

  • 通信費:電話料金・インターネット利用料金・切手代など
  • 接待交際費:取引先関係者の飲食代・慶弔費・贈答品など
  • 旅費交通費:顧客先を訪問する際の電車・バスの運賃や出張時の交通費・宿泊費・出張手当など
  • 消耗品費:コピー紙・文房具・名刺など

経費を計上する際には、資金や取引の内容、資金の流れを正確に記録しなければなりません。そのため、使用した経費がどのような費用なのかを示す、上記のような勘定科目ごとに仕訳して、会計帳簿に記入する必要があります。経費の対象になるものを把握し、さらにそれがどの勘定科目に該当するのかを正しく理解しておきましょう。勘定科目が適切でない場合や一貫性がない場合には、税務調査で指摘されることもあります。

なお、経費として認められるかどうかは、企業の売上にかかわるかどうかで判断されます。上記に当てはまる費用でも、金額の大小を問わずプライベートで使用したものは経費の対象にはなりません。また、仕事で使用するものであっても、スーツや眼鏡の購入費は業務のみで使用するわけではないため、経費の対象外です。借入金の返済費用も、利息を除き経費には該当しません。

経費として認められない費用を経費計上すると、過少申告とみなされてペナルティの対象となるケースもあるため注意しましょう。

▼経費の主な勘定科目については、以下の記事で詳しく解説しています。

「経費の主な勘定科目20選|正しく仕訳をするための注意点や間違えないポイントも解説」

経費精算に必要な書類の種類

経費精算を行う際は、経費精算書を作成して、領収書などの支払いの事実を確認できる書類とともに提出することが必要です。それぞれの書類の内容について解説します。

経費精算書

経費精算書には、主に以下のような種類があり、精算する経費の種類や精算方法に応じて適切な書類を選択します。社内でフォーマット化されていることも多いので、あらかじめ確認しましょう。

  • 立替経費精算書
  • 仮払経費申請書
  • 仮払経費精算書
  • 出張旅費精算書
  • 交通費精算書
  • 旅費精算書

▼経費精算書については、以下の記事で詳しく解説しています。

「経費精算書とは?種類や書き方、作成時の注意点を解説」

領収書など支払いの事実を確認できる書類

経費精算書を提出する際には、不正な経費使用を防いで健全な企業経営を行うために、原則として支払いの事実を確認できる書類を添付する必要があります。

通常は領収書やレシートを用いますが、公共交通機関や自販機など領収書が発行されない取引であったり、受け取っていても紛失したりして、領収書がないこともあるでしょう。その場合には、請求書などの取引を証明できるほかの書類や、出金伝票などで代用します。

領収書が発行されない取引については、支払った際に金額や内容などをメモしておくと、あとから路線や運賃を調べる必要がなく、スムーズに経費申請を行えるでしょう。

▼領収書がない場合の経費精算については、以下の記事で詳しく解説しています。

「領収書なしでも経費精算は可能?紛失や発行されない場合の対処法」

経費精算において発生する業務

経費精算においては、申請・承認・仕訳・精算の4つの業務が発生します。それぞれ、誰が行うべきなのか、どのようなフローなのかを確認しておきましょう。

申請

経費を支払った従業員が、会社に対して費用の払い戻しを求めるための手続きです。社内ルールに基づいて経費申請書や経費精算書を作成し、領収書などの経費の支払いを証明する書類とあわせて所属部署の上長に提出します。会社規定の申請期限があるため、速やかに行いましょう。

承認

経費精算を申請した従業員が所属する部署の上長が、承認を行います。申請書や精算書が回ってきたら、書類に不備がないか、金額に間違いがないか、実際に経費が使用されているかなどを確認します。そして、問題がなければ承認し、経理担当者に回すというフローが一般的です。

近年、働き方の多様化によりリモートワークが進んでいます。書類で経費精算を行っている場合は承認に出社が必要なため、時間を要することもある点に注意しましょう。企業規模によっては、上長の承認なしに直接経理担当に回すケースもあります。

仕訳

経理担当者は、申請書や精算書を受け取ったら、その記載内容や上長の承認が適切に行われているかを確認します。問題がなければ、それぞれの経費について勘定科目ごとに分類し、会計帳簿に記帳します。その後は、立替金の支払いといった会計処理を行います。

精算

会計処理後に、従業員に負担分を返金します。小口現金による払い出し、もしくは給与と一緒に振込を行う業務です。小口現金は手作業によるミスが発生しやすいため、確実に精算を行うなら、振込による精算がおすすめです。振込であれば、従業員の受領印をもらう手間がかかりません。

▼経費精算を給与振込とまとめるメリットについては、以下の記事で解説しています。

「経費精算は給与振込とまとめるべき理由とは?メリットや注意点を解説!」

 

経費精算の流れ

経費精算の流れは、「立替精算」と「仮払精算」で異なります。ここでは、精算方法別に一般的な経費精算の流れを解説します。

立替精算のケース

立替精算とは、従業員が一時的に費用を立て替えたうえで、あとから会社へ申請して精算する方法です。立替精算の流れをまとめると、以下のとおりです。

  1. 従業員が経費を立て替え、領収書を受け取る
  2. 従業員が経費精算書を作成し、領収書とともに申請する
  3. 上長が申請内容を確認・承認する
  4. 経理担当者が経費精算書と領収書を確認し、会計処理を行う
  5. 経理担当者が従業員へ精算金額を払い戻す

立替精算は従業員が一時的に経費を負担する必要がありますが、一度の申請のみで精算できます。

▼立替精算の流れについては、以下の記事で詳しく解説しています。

「立替経費とは何?精算手順や注意点、負担軽減方法を解説」

仮払精算のケース

仮払精算とは、先に経費を概算して従業員に仮払いし、実際に経費が発生したあとに差額を精算する方法です。仮払精算は、以下のような流れで行います。

  1. 従業員が経費を概算して仮払経費申請書を作成し、申請する
  2. 上司などが仮払経費申請書を確認・承認する
  3. 経理担当者が仮払経費申請書に基づいて従業員へ仮払金を支給する
  4. 従業員が仮払金で支払いをし、領収書を受け取る
  5. 従業員が仮払経費精算書を作成し、領収書とともに申請する
  6. 上司などが仮払経費精算書と領収書を確認する
  7. 経理担当者が仮払経費精算書と領収書に基づいて会計処理を行う
  8. 仮払金と実際にかかった経費の差額を精算する

仮払金が実際にかかった経費よりも多かった場合は、従業員が返金しますが、実際にかかった経費が仮払金よりも多かった場合は、経費担当者が従業員へ差額分を支給します。

▼仮払精算の流れについては、以下の記事で詳しく解説しています。

「仮払いの精算方法を解説!勘定科目「仮払金」の仕訳例と会計処理を効率化する方法」

経費精算での注意点

経費精算を行う際、従業員、経理担当者それぞれが特に注意すべきポイントをまとめました。スムーズかつ正確な経費精算を行うために、しっかりと確認しましょう。

従業員(申請者)が注意すべき点

営業部のように外出や出張が頻繁にある部署では、経費精算の頻度が多く、手続きを面倒に感じる方もいるでしょう。しかし申請に不備があると、経理担当者への負担が増えることはもちろん、差し戻しが発生して再申請の手間や時間がかかり、余計に経費精算に対してストレスを感じてしまいます。そうならないためにも、従業員は少なくとも以下を確認してから経費精算申請を行いましょう。

  • 経費精算書への記入(入力)漏れがないか
  • 金額や日付などの数値や内容に間違いはないか
  • 必要な領収書(または代わりになる書類)は添付されているか
  • 期日に余裕があるか

経理担当者が注意すべき点

経費精算においては、経理担当者が気をつけるべき点も多くあります。特に以下の3つは注意して確認しましょう。

  • 金額や記入(入力)内容に誤りはないか
  • 経費の対象か
  • 勘定科目が適切か

経理精算業務は、金額の取扱いや仕訳を正確に行う必要があります。経理担当者は1円単位まで金額を管理する必要があるため、上司などの承認が通った申請であっても、経費精算書の内容と領収書が一致しているかをしっかり確認しましょう。手作業でデータ入力を行っている場合、入力ミスにも注意が必要です。

また、経費として処理することが適切かどうかの判断も重要です。企業が定めているルールに合致しているかはもちろん、法律や税務などに照らし合わせて問題がないか確認すべき場合もあります。経費を正しく処理できるよう、慎重に判断しなければなりません。不明点がある場合には、税理士や税務署への確認をおすすめします。

▼経費精算の課題や効率化するためのポイントは、以下の記事で詳しく解説しています。

「経費精算の課題とは?よくある5つの課題と解決方法」

「経費精算業務の自動化や効率化をする方法とは?やるべき理由と注意点も解説」

経費精算をスムーズに行うには「バクラク経費精算」の導入がおすすめ

経費精算を行うには、営業担当者が業務の合間を縫って申請書の作成や領収書の添付などを行わなければならず、処理に手間がかかります。また、経理側での細かなチェック作業や書類の管理なども必要です。経理担当者はその他の業務もあるため、業務にかかる負担は少なくありません。

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AI-OCR機能による自動入力や二重申請自動検知など、経理のミスやチェックの手間を減らす機能も搭載されており、効率的な経費精算を実現できます。また、インボイスや改正電子帳簿保存法にも対応しています。経費精算を効率化するために、ぜひ導入をご検討ください。

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