領収書はスマホの撮影データでも経費精算が可能|撮影・保存の要件や注意点を解説

経費精算においては、スマートフォンで撮影した領収書のデータも利用できます。これは、電子帳簿保存法で認められています。ただし、細かく定められた要件を満たさなければなりません。この記事では、企業の経理担当者へ向けて、電子帳簿保存法の内容やスマートフォンで領収書を撮影する際の要件などを解説します。

領収書はスマホの撮影データでも経費精算が可能|撮影・保存の要件や注意点を解説

領収書はスマホの撮影データで保存できる

領収書はスマートフォンの撮影データで保存でき、経費申請にも利用可能です。2016年の電子帳簿保存法の改正により、スマートフォンの撮影データの使用が認められました。ただし、経費精算などに撮影データを使用するには、電子帳簿保存法で定められている要件を満たす必要があります。

電子帳簿保存法とは

電子帳簿保存法とは、どのような法律なのでしょうか。以下で概要と帳簿の保存方法について解説します。

電子帳簿保存法の概要

電子帳簿保存法とは、国税に関係する帳簿や書類の保存方法の電子化について定めた法律です。デジタル化やそれに伴うペーパーレス化の推進を、主な目的としています。電子帳簿保存法は1998年に制定されて以来、時代の変化に応じて改正が重ねられてきました。

保存方法の種類

電子帳簿保存法で認められている書類の保存方法は、3つの区分で分けられています。具体的には、電子帳簿保存、スキャナ保存、電子取引の3つです。スマートフォンによる撮影データは、スキャナ保存の一種とみなされます。以下では、電子帳簿保存法におけるスキャナ保存の詳しい要件について解説します。

電子帳簿保存法のスキャナ保存の要件

電子帳簿保存法のスキャナ保存には、細かい要件が定められています。以下で詳しく解説します。

電子帳簿保存法におけるスキャナ保存とは

電子帳簿保存法におけるスキャナ保存とは、紙の書類をスキャナやスマートフォンで電子データ化して保存することです。対象となる重要書類は、領収書、契約書、納品書、請求書、小切手、借用証書などです。また、一般書類にあたる見積書、注文書、検収書などもスキャナ保存が認められています。

スキャナ保存の要件

スキャナ保存の要件は、重要書類と一般書類でそれぞれ異なります。領収書は重要書類に該当するため、重要書類のスキャナ保存の要件について確認しましょう。以下で具体的な要件を解説します。
参考:国税庁|電子帳簿等保存制度特設サイト

入力期間の制限

一般書類には特に制限がないものの、重要書類には入力期間の制限があります。入力期間の制限の方式は、早期入力方式または業務処理サイクル方式です。早期入力方式では、書類を受け取ってからおおむね7営業日以内に電子データ化して保存する必要があります。

一方、業務処理サイクル方式では、書類の処理にかかる通常の期間からおおむね7営業日以内の電子データ化が求められています。

一定の解像度およびカラー画像による読み取り

重要書類と一般書類のいずれについても、電子データの解像度は200dpi相当以上である必要があります。重要書類は、256階調以上(24ビットカラー)でなければなりません。一般書類については、グレースケールでも構いません。

タイムスタンプの付与

認定を受けたタイムスタンプを、入力期間内に付与する必要があります。ただし、削除訂正履歴の時刻証明ができるシステムを導入している場合、タイムスタンプは不要です。タイムスタンプの詳細については後述するため、あわせて参考にしてください。

バージョン管理

スキャナ保存においては、書類の訂正や削除の状況を確認できるシステムか、そもそも訂正や削除ができないシステムを使用する必要があります。

帳簿との相互関連性の確保

スキャンしたデータと帳簿の記録の関連性を確認できるようにすることも求められています。2024年1月1日以降、この要件は重要書類のみに適用されます。

見読可能装置等の備え付け

14インチ以上のカラーディスプレイとカラープリンタを設置する必要があります。それぞれに操作説明書を備えることも要件です。また、以下の条件を満たす電子データをすぐに出力できる状態にする必要があります。

・形式が整然としている
・書類と同じレベルで明瞭である
・拡大・縮小して出力できる
・4ポイントの大きさの文字を認識できる

ただし、一般書類をグレースケールで保存する場合、機材がカラーに対応している必要ありません。

システム概要書等の備え付け

スキャナ保存にあたっては、システムの概要書、システム仕様書、操作説明書を備え付ける必要があります。また、スキャナ保存の手順や担当部署などを明示した書類も用意して設置しなければなりません。

検索機能の確保

スキャナ保存を検索して探すための機能も必要です。具体的には、取引年月日、取引金額、取引先で検索できる必要があります。また、日付や金額の範囲を指定した検索にも、対応が必須です。さらに、2項目以上の組み合わせによる検索にも対応しなければなりません。

領収書をスマホで撮影して保存する際の注意点

ここでは、スキャナ保存要件のうち、スマートフォンでの領収書の撮影に関する注意点を解説します。

解像度

領収書をスマートフォンで撮影して保存する際は、保存要件として定められている200dpi以上にする必要があります。200dpi以上をスマートフォンの画素数に換算すると、387万画素以上です。領収書を撮影したデータは、メールに添付したりクラウドで共有したりすると、圧縮されて解像度が下がる可能性があるため注意しましょう。

タイムスタンプ

タイムスタンプは、刻印する前から電子文書が存在していたと証明するために必要です。タイムスタンプの付与により、電子データが改ざんされていない事実を示せます。タイムスタンプは、総務大臣から認定された時刻認証業務の事業者が発行しています。

スマートフォンで撮影した領収書による経費精算の手順

スマートフォンで撮影した領収書の電子データを使用して経費精算する場合の手順は、以下のとおりです。

1.申請者が領収書を撮影して電子データにする
2.申請者が経費精算の申請をする
3.上長が承認する
4.経理担当者が申請内容を確認する
5.会計ソフトにより自動仕訳を行う
6.電子帳簿保存法に対応したシステムで保存する

各手順において、すでに説明した要件を満たし、電子データによる経費精算を適切に進めましょう。

領収書をスマホで撮影するメリット

スマートフォンで領収書を撮影すれば、さまざまなメリットがあります。以下で詳しく解説します。

コストを減らせる

スマートフォンで撮影した領収書の電子データを活用すれば、コストの削減につながります。法人税法により、領収書には7年間の保存義務があります。紙で保存する場合、保管場所、キャビネット、ファイルなどを用意しなければなりません。また、書類を管理する担当者の人件費もかかります。

長期にわたって保存ができる

電子データなら、長期にわたって一定の質を保ちながら保存できます。紙の領収書の場合、時間の経過とともに劣化やインクの滲みなどが発生します。汚れがつく恐れもあるでしょう。そのため、保存義務が定められている7年が経過する前に、内容を確認できなくなるリスクもあります。電子データで保存すれば、そのような心配はありません。

検索がしやすくなる

電子データは、キーワードや条件の指定による検索ですぐに見つけられます。紙の領収書をそのまま保管している場合、膨大な書類の中から必要なものを見つけ出すためには多くの労力と時間が必要です。電子データ化により、そのような無駄を省きましょう。

まとめ

スマートフォンで撮影した電子データの領収書を経費精算に利用すれば、さまざまなメリットがあります。スマートフォンによる撮影はスキャナ保存に該当するため、今回解説した要件を満たせるよう準備を整えましょう。

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