経費精算で領収書の原本はどう保管する?メリットの多い電子保存の方法や注意点を解説
- 記事公開日:
- 最終更新日:2024-08-13
経費精算には、支払った金額や内容がわかる領収書が必要です。かつては紙の状態で領収書の原本を保管することが義務付けられていましたが、電子帳簿保存法の改正を受け、領収書の電子化と原本の破棄が可能となっています。本記事では、領収書の原本の取り扱い方法や、領収書を電子化する方法、電子化のメリットや注意点などを解説します。
経費計算で使用する領収書の原本の取り扱い方法
2022年1月から、領収書の原本の電子化が認められています。経費精算で使用する領収書について、原本の取り扱い方を解説します。
領収書は原則7年間の保存が必要
領収書は、法律によって定められた期間保存しておく決まりがあります。保存する期間は、確定申告の提出期限の翌日を基準として、法人税法で7年間と定められています。個人事業主の場合は、青色申告では7年間、白色申告では5年間です。また、年度内に欠損金が発生した場合は、領収書を10年間保存しなくてはいけません。
正しく電子化されていれば原本を破棄可能
上記保存期間において、かつては紙の原本で保管する必要がありましたが、電子帳簿保存法の改正に伴い、2022年1月1日から、正しく電子化されていれば領収書の原本を破棄できるようになりました。電子化された領収書は、原本と同等であると認められます。
この際、注意すべきなのが、電子データと原本を残すことによる二重請求のリスクです。二重請求を避けるには、電子データを確保したのちに原本を速やかに破棄しましょう。
電子取引での領収書は電子データ保存が義務
メールやシステム、Webなどを介してオンラインで発行された領収書は、原則電子保存が義務化されています。つまり、最初から電子データとして受け取った領収書は、電子データが原本になります。電子データを印刷して保存することは認められていないため、電子データで領収書を受け取る際は注意してください。
経費精算での領収書は原本が基本なのはなぜ?
経費計算で使用する領収書は原本が基本です。コピーした領収書での処理を許すと、二重請求や不正が発生しやすくなります。また、税務調査の際も、コピーを保管していると追求される場合があるでしょう。
コピーには二重請求のリスクがある
上述したとおり、コピーでも経費精算できる職場では、二重請求が発生しやすいのが難点です。不正への対応や、無駄な確認業務が増えてしまうと、経理部門に負担がかかってしまいます。二重請求を防ぐために、領収書は原則、原本または電子データのいずれかで保存しましょう。
コピーは不正の余地がある
原本に比べて、コピーした領収書には改ざんなどの不正を見逃すリスクがあります。数字の改ざん、文字の改ざんがなされても、コピーでは一見わからない可能性も考えられるでしょう。不正を阻止するため、多くの企業ではコピーでの経費精算を認めていません。
税務調査で不利になる
二重請求や不正の可能性があると、税務調査が入った場合に不利になりやすい傾向があります。領収書をコピーで保存していると、保存の理由を追及されます。納得してもらえる理由がない限り調査対象になってしまうため、特別な意図がなければコピーの保存はやめましょう。
経費精算の領収書を電子化する方法
経費精算の際、紙の領収書を電子化する場合は、スキャナで読み取るか、スマホやデジタルカメラで撮影します。
スマホでの撮影方法について、詳しくは以下の記事で解説しています。
▶領収書はスマホの撮影データでも経費精算が可能|撮影・保存の要件や注意点を解説
経費精算の領収書を正しく電子化するポイント
経費精算に必要な領収書の原本を正しく電子化するポイントは、電子帳簿保存法のスキャナ保存における保存要件を満たすことです。領収書のスキャナ保存要件を、以下にまとめました。これらの要件は、電子データが原本であることを「真実性」と「可視性」によって証明するために必要です。
- 入力期間の制限(最長2か月+7営業日以内)を満たしている
- 解像度が200dpi相当以上である
- 赤・緑・青の階調が各256階調以上である
- 入力期間内に認定のタイムスタンプが押されている(スキャナ保存システムでタイムスタンプを省略できる場合は不要)
- システムでバージョン管理ができる
- システムに検索機能が搭載されている
- システムで入力者の情報を確認できる
- データと帳簿を紐付けられる
- データを即座に明瞭に閲覧・印刷できる
- データを検索できる
- システムのマニュアルが用意されている
なお、ここでのシステムとは、電子帳簿保存システムや経費精算システムなどを指します。
またタイムスタンプの詳細については、以下の記事で解説していますので合わせてご覧ください。
経費精算に使用する領収書原本を電子保存するメリット
経費精算に使用する領収書原本を電子化すると、紛失・劣化リスクの防止を含めさまざまなメリットがあります。
紛失・劣化リスクを防げる
領収書を電子化すると、紛失・劣化のリスクを防げます。領収書を紙の原本で保存した場合、紛失や劣化のリスクが高まります。火事などの災害や人為的ミスによる紛失、経年劣化による文字の消失など、紙の原本に影響を及ぼす要因はさまざまです。紛失・劣化していると、税務調査の際に指摘される恐れもあります。電子化により、領収書の保存状態を安定させましょう。電子データを保存する際、定期的なバックアップやクラウドサービスを利用すれば、領収書の紛失リスクをさらに下げることができます。
特定の領収書を検索しやすくなる
検索しやすくなることも、領収書を電子化するメリットの1つです。紙の状態で領収書を保存すると、量が多くなり、特定の領収書を見つけにくくなります。一方、電子データであれば、日付や内容から目的のものを簡単に検索可能です。税務調査の際には、関連資料をそろえる必要があります。特定の資料を検索しやすい点は、電子化の大きなメリットといえるでしょう。
保管コストを抑えられる
領収書を電子化すると、保管コストを抑えられます。紙で領収書を保管すると、書類の量が増えるにつれ保管スペースも増えていきます。また、円滑に書類を管理するには、管理者も選定しなくてはなりません。保管スペースの確保にも管理者の雇用にもコストがかかるため、電子化してコンパクトに保管した方がコスト削減につながります。
リモートワークにも対応しやすくなる
経費精算に領収書の原本が必要であれば、リモートワークでも経費精算だけのために出社しなくてはなりません。
領収書の電子化に対応できるようになると、領収書を従業員のスマートフォンなどで撮影してもらい、システム上で管理できるようになります。紙の領収書の提出や受け取りが不要となり、従業員・経理担当者ともに出社の手間が省けるため、リモートワークを取り入れている企業では、領収書の電子化に対応した方がより業務効率化を図ることができます。
経費精算の領収書原本を電子保存する際の注意点
領収書原本を電子化するにあたって、業務フローを周知する必要性や、システムの導入コストについて理解しておきましょう。
電子保存の方法や業務フローの周知が必要
正しく電子保存しなければ、電子データを領収書として認めてもらえません。業務フローや保存方法を従業員に周知し、徹底させる必要があります。電子化に伴い新たなシステムを導入する場合は、操作しやすいように理解しやすいマニュアルを作成しましょう。操作方法が難しく、理解しにくいマニュアルは従業員から反発される恐れがあります。
スキャナ保存を開始した日より前の領収書を保存する場合は税務署への届出が必要
2022年1月以降、領収書の原本をスキャナやスマートフォンで電子化する際、税務署への届出は不要です。ただし、スキャナ保存を始めた日より前の領収書をさかのぼって電子化する際には、届出が必要である点に注意しましょう。最初にも述べたとおり、領収書には定められた保管期間があるため、届出を行って過去の領収書も電子化するか、届出は行わずに当面は過去の紙の原本も保管し続けるかを、検討しておく必要があります。
システム導入にはコストがかかる
電子化に伴い新たなシステムを導入すると、初期費用やランニングコストが発生します。経費精算を効率化するシステムは、搭載する機能によってコストが異なります。自社に必要な機能を抽出して、無駄なコストが発生しないように導入するシステムを選びましょう。
電子保存で領収書を管理するなら経費精算システムがおすすめ
経費精算で使用する領収書を電子化するなら、電子帳簿保存法に対応している経費精算システムを導入して、経費精算全体をシステム化するのがおすすめです。領収書の保管と経費精算をまとめて電子化することができるので、保管コストに加えて経費精算の効率化による高いコスト削減効果が期待できます。経費精算で使用する領収書の電子保存や請求申請の確認など、経理業務は担当者の負担が大きくなりがちです。経費精算システムを導入して、経理業務を効率よく回しましょう。
手作業が必要だった経理業務も、システムで電子化を進めれば大幅な効率化が可能です。電子帳簿保存法に対応したシステムであれば、複数ある電子保存の要件をチェックできます。これから電子保存に切り替える企業は、ぜひご検討ください。
まとめ
領収書の原本を正しく電子化すると、電子データを原本と同等に取り扱えます。領収書を電子データ化すると、紛失・劣化のリスクがなく、目的のデータを検索しやすくなるといったメリットを得られます。なお、電子化して領収書を管理するなら、経費精算システムの導入がおすすめです。
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