

・従業員数の急拡大に伴い、申請の差し戻しの工数が膨大だった
・経費精算の承認、特に交通費明細チェックの負担が大きかった
・経理人員を増やさずに、事業拡大に耐えうる体制をつくる必要があった
・数が多い経費精算の確認工数の削減が見込める
・バクラクの「開発スピードの速さ」への期待
・承認者に代わって申請内容の不備を指摘してくれる
・申請者への確認工数が激減し、経費精算の月次締め業務を1営業日前倒しできた
・交通費申請の4,000行の明細の目視チェックの負担が大幅に削減された
・申請を出す前にAIが指摘してくれることで、申請者・承認者双方のコミュニケーションコストが軽減された
「はたらく」を通じて人生の可能性を広げるインフラをつくる、というミッションのもと、スキマバイトアプリ「タイミー」を提供する株式会社タイミー。同社は事業の急速な成長に伴い、従業員数も3年で500名から1,500名規模へと急拡大しています。
営業職の移動や出張が多く、経理部では急増する経費精算業務の対応が大きな課題となっていました。特に、申請内容の不備の指摘や、月4,000行にもおよぶ交通費明細のチェックは、人海戦術での対応に限界を迎えつつありました。
同社は、上場準備(N-2)のタイミングでシステムが分断されていた従来の体制から「バクラク」へとリプレイス。ガバナンス強化と業務効率化を進めていましたが、前述の課題への対応として申請の不備を自動で指摘する「AI申請レビュー」機能を導入しています。
今回は、AI申請レビューの活用により、「申請書の目視確認の負担」を大幅削減し、経費精算締め業務の1営業日前倒しを実現した経緯とその効果について、経理部の松浦さん、中川さんにお話を伺いました。
※タイミー様では、バクラク請求書受取、バクラク経費精算、バクラク申請、バクラク請求書発行、バクラクビジネスカード、バクラク電子帳簿保存をご利用いただいています。
——2022年のバクラク導入当時、どのような課題を抱えていましたか。
松浦さん: 当時、稟議システムも経費精算システムも導入はしていましたが、それぞれが独立したサービスでリンクしていませんでした。
例えば、予算取りをした稟議が別のシステムにあるため、経費申請と紐づかず、予算消化がどのくらい進んでいるか分からない。あるいは、申請に稟議のURLが貼ってあっても、そのURLが間違っている。そういった紐付けや管理が大きな課題だと感じていました。
——課題があるとはいえ、システムの変更には手間もかかります。そのタイミングで切り替えを決断された理由はありましたか。
松浦さん: 上場を見据えていたことが大きいです。当時(2022年)は上場(2024年)のN-2ぐらいのタイミングで、社内体制を整備していかなければなりませんでした。
また、その当時から従業員が急激に増えていくことが見えていました。当時はまだ500名規模でしたが、現在は1,500名ほどになっています。1,000名規模になってからシステムを変えるのは、社内周知も構築も大変です。人が何倍にもなれば、小さなミスも何倍にもなってしまうので。だからこそ、早いうちにシステムを変えておかなければならない、という意思決定でした。


——数あるシステムの中で、バクラクをお選びいただいた決め手は何でしたか。
松浦さん: まず、先ほど課題としてあげた「稟議と支払申請の紐付け」をしっかり解決できる点です。「バクラク申請」から債務システムに情報を連携できるので、予算取りから消化率まで一つのシステム上で確認でき、チェックが非常にしやすくなりました。
もう一つは、構築がすごくシンプルで簡単だと感じたことです。当時使っていた別のシステムと設計や作り方が大きく違わず、導入・構築に抵抗がなかったのも大きかったですね。

——導入から約3年経ちますが、改めてバクラクをご評価いただいている点はありますか。
松浦さん: システムの改修がすごく早いこと、LayerXの担当者の方の回答が早く、しっかりと要望を聞いてくださることは、嬉しいポイントです。
また、システム間の連携がスムーズです。最近、「バクラク請求書発行」も導入したのですが、各システムが連携しているので、本当に使いやすいです。
中川さん: 私は前職であらゆるSaaSの導入を担当していたのですが、その立場から見ても、バクラクはUIが分かりやすく、直感的だと一目で分かりました。
また、松浦が言う通り、バクラクの中で業務が完結することも素晴らしいです。他のサービスだと、同じ会社の製品でも全然違うアプリを使わなければいけないこともありますが、バクラクは発注申請から支払申請まで「バクラク申請」の中で対応できます。
そして、これからお話しする「AI申請レビュー」機能もそうですが、開発が大変そうな機能にもまず一歩踏み出して着手する、その開発力がとてもある会社だと感じています。


——ここからはバクラク経費精算の新機能である「AI申請レビュー」について伺います。開発段階でテスト導入いただきましたが、どのような期待をお持ちいただいていましたか。
松浦さん: 「経理の承認が楽になればいいな」という想いが一番でした。やはり一件一件経費の明細を見るのは負担も大きいですし、チェック項目も多かったので、それが一つでも減ればいいなと。
中川さん: 特に立替の経費申請が非常に多く、社員が増えるにつれて指数関数的に増えていくのを実感していました。その処理に工数がかかっていたので、AIが対応してくれるという点には非常に期待感がありました。

——営業の方が多いゆえに申請数も多いのでしょうか。具体的な申請数や、チェック体制についても伺えますか。
松浦さん: 社員の半数程度が営業職で、移動や出張が多いですね。経費精算は日当などあわせて月間で約1,400件。特に多い近距離交通費の明細だけで、月4,000行ほどは見ています。
この量を、経理側のバクラク承認担当4名がダブルチェックし、その後、債権債務の担当が2名チェックし、最後に私が会計に起こす前の最終チェックをしています。
中川さん: 弊社はクライアント様に物流業界や飲食業界の企業様が多く、現場に行って対応することも多いため、その分、移動費が多く発生しています。
——テスト導入を経て、正式リリース前に導入を決めていただきました。何が決め手となりましたか。
松浦さん: テスト段階でも、一部の課題が解決されていて、解決していたものを手放すのは惜しかったですね。ですが一番の理由は、バクラクの開発スピードが非常に早いことを知っていたからです。「絶対によくしてくれるだろう」という今後の開発への期待も込めて、上申しました。
従業員が増えていく中で、経理のメンバーを比例して増やせるかというと、そうでもない。会社としてシステムで解決できるところはしていこう、という思想があるため、反対意見は特になかったです。
——「AI申請レビュー」について、具体的にどのような点を評価いただきましたか。
中川さん: 申請内容の曖昧さや不備を指摘してもらえる点です。例えば、訪問先を記入する経費精算の明細メモ欄に「出張のため」とだけ書かれることがありました。しかし、それだと「何のための出張なのか」「どこへの出張なのか」など本人にしか分からず、経費としての客観性に欠けてしまいます。こうした記載をAIが指摘してくれるのは、非常に良かったですね。
他にも、在来線の交通費の申請フォームで、運用上「支払先」欄には訪問先を書いてもらうルールなのですが、そこに「JR」など乗った鉄道会社名を書いてしまうミスが多発していました。これもAIがきちんと指摘してくれたので助かりました。
松浦さん:また、今のところ、AIの判定結果と我々が「当たり」をつけたチェック内容にズレがないため、AIを信頼した上で運用ができています。
——AI申請レビューの本番導入後、運用をしてみてどのような変化を感じられていますか。
中川さん: 目に見えて効果が出たのは、証憑の添付漏れです。在来線の交通費の申請における特急利用などの証憑添付漏れが、ほぼゼロになりました。
松浦さん: 経理全体の成果としては、経費精算の締め業務が早くなりました。これまで最大4営業日かかっていた作業が、ほぼ3営業日以内に終わるようになりました。実質1営業日程度、前倒しできています。


——1営業日程度前倒しできた最大の要因は何でしょうか。
中川さん: 申請内容の詳細を申請者に確認し、その回答を待つ時間を減らせたことが大きいです。申請の表記に曖昧なものがあればAIが指摘してくれるので、経理から申請者に問い合わせる手間が減りました。
もう一つ大きかったのは、一件一件の交通経路チェックにかかる時間が格段に減ったことです。以前は月4,000行の明細を一つ一つカーソルを合わせて利用経路に新幹線や特急が入ってるな、と目視で確認していました。その作業が必要なくなったのは、本当に大きいですね。
松浦さん:差し戻しのやり取りは、申請する側・チェックする側、双方にとって手間になるので、コミュニケーションに対する対応コストが減ったのも、非常に大きな効果だと感じています。
——導入後もルールの追加・改善に積極的に取り組まれています。AI申請レビューを活用していく意義をどのように考えていますか。
松浦さん: 営業は営業に集中してほしいですし、エンジニアも開発に集中してほしい。そのために、自分の本業以外の業務に時間を使う時間を減らしてほしいと考えています。
「申請を出す時に正しく出してもらう」仕組みをシステムで作れれば、お互いの時間を奪いません。そうして生まれた時間で、我々経理はもっと帳簿をちゃんと見るとか、別の改善業務に時間を使えるようになります。
中川さん: AIが統一基準で確認してくれることで、人間はAIにできないこと、例えば「この申請は本当に実務上必要なのか」といった判断に集中できる状態が理想だと考えています。
——実際にAI申請レビューが動いている中で、社内からの反応はいかがですか。
松浦さん: 申請者からは「出す前に指摘してくれるのは助かる」とポジティブな声をもらっています。日当の承認をしている労務担当からも「助かった」と聞いています。
もちろん「正しく入れてるのに弾かれる」といったネガティブな声もあります。例えば「自宅」とだけ入れると弾くように設定しているのですが、そうすると問い合わせがきます。
ただ、それはルール設計が厳しすぎるか、従業員側の書き方に改善余地があるかのどちらかです。従業員側も一度経験すれば「この書き方ではいけないんだ」と学んで洗練されていくので、大きな不満にはなっていません。
——最後にAI申請レビューは、どのような企業におすすめだと思われますか。
松浦さん: 我々がそうでしたが、経費申請の件数が多く、それを人海戦術で確認している会社は助かると思います。
金額が大きくはなく、件数が多い交通費申請は、AIによる効率化の一歩目としておすすめです。また、経費の承認作業だけで時間が埋まってしまい、他の改善業務などに時間を使いたいと思っている人にも、ぜひ使ってみてほしいです。


タイミー社の事業を支える経理グループの皆さまにご登壇いただき、「コーポレートから作る事業成長」をテーマにお話を伺いました。組織の急成長に耐えうるシステム選定のコツや業務フロー構築のポイントを語っていただきました。


本資料はバクラクを活用した経理業務の改善事例集です。請求書の発行や支払処理、経費精算、法人カードの処理、また法令対応の負担軽減をどのように実現したのかお客様にインタビューした事例を5社分掲載しています。

