勘定科目「仮払金」とは?立替金や前払金との違い、仕訳例などを解説
- 記事公開日:
- 最終更新日:2025-02-14
- この記事の3つのポイント
- 「仮払い」は、社員が業務上必要な経費を支払うために前もって会社から金銭を受け取ること
- 金銭支給時の勘定科目は「仮払金」を使い、金額と用途が確定したら相殺処理をする
- 仮払いは高額な経費を従業員が払わなくて済むメリットがあるが、経理担当の手間と負担が大きい
経費の精算方法として「仮払い」があります。経費が高額になる際に利用される場合が多く、従業員が大きな金額を立て替えずに済むのがポイントです。
しかし、仮払いは処理の手間がかかりやすく、的確に処理しなければ、経理担当者の大きな負担になってしまいます。
この記事では、仮払精算についての概要や申請・精算手順、会計処理を効率化する方法などを解説します。
仮払金とは?
仮払金とは、企業が従業員に対して一時的に支給する金銭であり、用途や金額が未確定な場合に用いる勘定科目です。仮払金の例としては、従業員が業務上必要な費用(交通費、宿泊費、交際費など)を、会社が事前に従業員に渡しておくケースなどがあります。
仮払いは、主に出張などの高額の立て替えが必要となる場合に利用されます。概算が甘い場合、費用が足りずに従業員の持ち出しが発生するケースもあるので注意が必要です。
また、正確に精算するために、使用用途がわかる領収書やレシートの保管・提出が必要です。
経費の精算には「立替精算」と「仮払精算」の2種類があります。立替精算では従業員がかかった経費を一度立て替える必要があるのに対し「仮払い」とも呼ばれる仮払精算ではあらかじめ概算された金額が支給され、従業員が立て替える必要はありません。
会計において、仮払いを経費計上する際の勘定科目は「仮払金」となり、貸借対照表において「資産」に分類されます。これは、仮払精算で従業員に金銭を渡した段階では支出が確定しておらず、使われずに戻ってくる可能性もあるためです。
仮に金銭が使われていても、使途不明の状態では経費へ計上できるかわかりません。そのため、後に用途や金額が確定した段階で、相殺処理して精算する流れが一般的です。
また仮払精算における相殺処理は、決算までに済ませておく必要があります。正しく処理しておかなければ、決算トラブルや会計担当の負担が大きくなる可能性があるため、仮払精算の相殺処理は早めに済ませておきましょう。
立替経費の詳細や仕訳の手順について知りたい方は、関連記事をご参照ください。
立替金・前払金・預り金との違い
仮払金と似ている勘定科目がいくつかあります。勘定科目を間違えてしまうと、その後の会計処理に支障をきたす恐れがあるため、それぞれの勘定科目を確認しておきましょう。
立替金
仮払金に似た勘定科目に「立替金」があります。必要となる経費をあらかじめ概算して支給する仮払金に対し、立替金は、本来従業員や取引先が払うべき使用目的の明確な金額について、一時的に会社側が立て替えたものです。
立替金は金銭債権の1つで、最終的に回収し、戻ってくることが前提です。立替金の例として、従業員の給与の前貸しや取引先の配送料の立て替えなどがあります。
立替金の仕訳例や帳簿の経理処理について知りたい方は、関連記事をご参照ください。
関連記事:勘定科目「立替金」とは?仕訳例と出納帳などの帳簿の経理処理を解説
前払金
商品やサービスを取引する際に、手付金や内金など、先に支払う場合に使用する勘定科目が「前払金」です。費用を先払いする点が仮払金と似ているものの、使用用途が明確であるかどうかが異なります。
支給する段階では、まだ金額も用途も確定していない仮払金に対して、支払う段階ですでに使用用途と金額が確定しているのが前払金です。前払金として取り扱うものには、マンションの年間契約金や航空券の事前購入費、予約商品の手付金や内金などがあります。
預り金
最終的に本人への返還や第三者へ支払うために、従業員や取引先から一時的に預かるお金は「預り金」として処理します。預り金も仮払金と似ていますが、預り金は本人が支払うお金です。仮払金は会社側が負担するお金なので、間違わないように注意しましょう。
預り金の例には、源泉所得税や住民税、各種保険料、財形貯蓄、社員旅行積立金、入札保証金などがあります。
仮払金の精算手順と仕訳例
本章では、仮払金の仕訳例を紹介します。仮払金を支給する際と相殺処理する際の記入方法が異なりますので、ぜひ参考にしてください。
仮払金を従業員に支給する際の仕訳例(仮払金10万円の場合)
借方 | 貸方 | ||
仮払金 | 100,000円 | 現金 | 100,000円 |
仮払金を相殺処理する際の仕訳例(仮払金10万円の場合)
仮払金の相殺処理では、承認された仮払金精算書の内容を基に、帳簿上の仮払金を実際に使われた勘定科目で相殺します。仮払金の仕訳は、以下を参考にしてください。
借方 | 貸方 | ||
旅費交通費 | 60,000円 | 仮払金 | 100,000円 |
交際費 | 20,000円 | ||
現金 | 20,000円 |
仮払金の金額や詳細が判明した時点で、上記のように相殺処理しておくと処理漏れが防げます。
仮払金で不足が発生した際の仕訳例(仮払金10万円・不足金2万円の場合)
借方 | 貸方 | ||
旅費交通費 | 100,000円 | 仮払金 | 100,000円 |
交際費 | 20,000円 | 現金 | 20,000円 |
仮払いのメリット・デメリット
仮払いは、高額になる経費を従業員に負担させなくて済むのがメリットです。ビジネスシーンでは、出張や会食など大きな金額が必要となるケースが多くあります。その際に、数万円から数十万円となる高額な経費を従業員が立て替えるのは困難です。
金銭的な負担がないように配慮するためにも、仮払金の活用は有効といえます。ただし使用用途の決まっていない状態であるとはいえ、仮払金の精算には、金額や用途が明確にわかる領収書やレシートが必要です。もちろん、私用目的で使うことはできません。
一方、仮払いのデメリットは、現金の受け渡しに手間がかかる点です。仮払いが必要な場合、小口現金から現金を支払う必要があります。その際に、従業員は経理に出向く必要があり、一般的に経営担当者に出納業務が発生します。
また、小口現金の残高チェックや、相殺処理時の領収書の提出・確認といった作業も生じるため、従業員と経理担当者ともに手間がかかります。従業員による不正が発生するリスクもあるので、実費精算に比べると処理や手続きが煩雑です。
仮払金を扱うときの注意点
仮払金は概算で支払うため、不正が発生しやすいです。そのため、適切に管理が求められます。本章では、仮払金を扱うときの注意点を紹介します。
仮払金が発生したらできるだけ早めに処理する
仮払金は一時的な性質をもつため、発生後はできるだけ早く処理することが重要です。
長期間未処理のままにすると、会計の透明性が損なわれる恐れがあります。速やかに実際の使途を確定し、適切な勘定科目に振り替えることで、財務状況を正確に把握できます。
消費税の計上に注意する
仮払金の段階では、消費税を計上しないようにしましょう。仮払金の内容が確定し、正式な勘定科目が決定した時点で、消費税を計上してください。これにより、後日の金額との不一致が防げます。
なお、確定時には「仮払消費税」という勘定科目を使用します。また、余剰金の返金分は消費税の対象外となる点に注意が必要です。
管理台帳を作成する
仮払金を適切に管理するために、専用の管理台帳を作成しましょう。管理台帳は、仮払金の透明性を高め、効率的な経理処理を可能にします。
管理台帳に、支払先、金額、支払日、予定される確定日などを記録することで、精算漏れや金額の誤りが防止でき、仮払金の状況を一目で把握できます。
一人ではなく複数人で管理する
不正を防ぐためにも、仮払金の管理は、一人ではなく複数人で行うことが望ましいです。複数人で管理することでチェック機能が働き、不正だけでなくヒューマンエラーのリスクも低減できます。
たとえば、申請者、承認者、経理担当者がそれぞれの役割をもち、相互にチェックする体制を構築すれば、より厳密な管理が可能になるでしょう。
仮払金の申請手順
ここからは、仮払金が必要となる場合の一般的な申請手順について解説します。
仮払経費申請書の作成・提出
多くの企業では、仮払いが必要な場合、従業員が仮払経費申請書を作成して会社に提出します。仮払経費申請書では、該当する従業員自ら概算費用を計算して記入が必要です。
出張の場合は、旅程から移動にかかる費用や宿泊代、食事代などを算出します。会食の場合、利用するお店や参加人数から費用を算出し、妥当な金額を申請書に記入してもらいましょう。仮払経費申請書の作成は、費用の抜けや漏れの防止が目的です。
仮払経費申請書の承認
仮払経費申請書は、該当の従業員が承認者となる上司などに提出し、内容を確認してもらいます。
上司は、仮払金額や目的が妥当であるかを判断し、承認または差し戻しの手続きに入るのが通常の流れです。仮払経費申請書が承認された場合は、経理担当者へ払い出しを依頼します。
仮払金の払い出し
承認者から承認を得た仮払経費申請書は、経理担当者が内容を再度確認します。精査のうえ内容が承認されれば、仮払金の受け取りが可能です。
仮払金の受け渡しは、現金手渡しまたは口座振込となります。支給後、従業員から受け取りのサインまたは受領印をもらい、支給した金銭は「仮払金」として仕訳帳に計上します。
仮払いの精算を効率化するには?
仮払いは、どうしても精算処理が煩雑になりやすいため、注意が必要です。できるだけ効率的に経費精算したい場合は、以下の2つの方法を試しましょう。
仮払いではなく実費精算にする
仮払金の精算は、支給から相殺処理まで手順が多く手間がかかります。実費精算にすれば事前に現金のやりとりが必要なく、精算の効率化が可能です。
ただし、高額な経費の場合は立て替える従業員の負担が大きくなり、仮払いで処理をするしかないケースもあります。
会計ソフトと連動できる経費精算システムを導入する
会計ソフトと連動可能な経費精算システムを導入すれば、人為的なミスを防止し、仮払精算の負担も軽減できます。
仮払精算は、仮払金の支払いや過不足分も精算など、精算の度に会計処理が必要です。処理の回数も多く、計算ミスや会計処理の漏れも起こりやすくなりますが、経費精算システムと会計ソフトの連携により、ミスや負担を防止できます。
仮払金などの経費申請を効率化できる「バクラク経費精算」
仮払いは、従業員に負担をかけないための経費精算の仕組みですが、申請・精算の処理に手間がかかりやすいデメリットもあります。
出張や会食などがある企業では、高額の経費が発生するケースは避けられないため、できるだけ効率的に処理できるように、経費精算システムの導入がおすすめです。
バクラク経費精算は、仮払いを含め経費申請全体を効率化できます。電子帳簿保存法にも対応しており、申請者や経理担当者のミスを防止し、正確に経費を管理できます。以下から2週間無料体験の利用またはサービス資料をダウンロードできるので、ぜひお試しください。
仮払精算が面倒だという方向けに経費精算の効率化の秘訣をまとめました
上記で記載したように、仮払金の精算にはいくつかのメリットやデメリットがあり、また、その方法に寄っては面倒な処理が必要となります。
そこで、仮払精算が面倒だと言う方向けに経費精算の効率化の秘訣をまとめた資料を作成いたしました。この資料を読むことで、手間やリスクの大きい現金のやり取りをなくし、経費申請や領収書回収のプロセスの効率化を目指しましょう。