
請求書(紙・電子データ)の保存方法と電子帳簿保存法に則った対応を解説
- 記事公開日:
- 最終更新日:2026-06-04
- この記事の3つのポイント
- 紙で受領した請求書は紙または電子データで保存できるが、後者は電子帳簿保存法に従う必要がある
- 紙・電子データともに、法人は原則7年間(繰越欠損金や災害損失金が発生した年度は10年)保管する
- スキャナ保存を行う際は、社内ルール・フローを整備し、専用システムの導入も検討することが重要
企業のペーパーレス化が進む昨今、受領した請求書を紙または電子データのどちらで保存すべきか悩む方もいるでしょう。紙で受け取った請求書は、データで保存しても問題ありませんが、電子帳簿保存法に則った対応が必要です。
本記事では、紙・電子データそれぞれの請求書について、適切な保存方法を解説します。電子帳簿保存法に定められる保存要件や保存時の注意点、保管期間なども紹介しますので参考にしてください。
請求書(紙・電子データ)の保存方法と電子帳簿保存法に則った対応を解説
紙で受け取った請求書の保存方法
紙で受領した請求書は、原本を紙のまま保存するほか、電子帳簿保存法に基づくスキャナ保存をしても問題ありません。
紙で受け取った請求書の保存方法について、詳しく見ていきましょう。
紙の原本を保存する
紙で受け取った請求書は、原本をそのまま保存しても問題ありません。請求書を日付や取引先ごとに整理・ファイリングして保管場所に収めるのみで済むため、電子機器の操作に不慣れでも管理しやすいといえます。
電子データでの保存に切り替えなければ、現状の業務フローを維持できる可能性が高いため、現場への影響を最小限に抑えられる点もメリットといえるでしょう。
請求書の管理方法については、以下の記事でさらに詳しく解説していますので参考にしてください。
関連記事:請求書の管理方法とは?保管年数やデータ化、管理システムの選び方について解説
電子帳簿保存法に基づいてスキャナ保存も可能
紙で受領した請求書は、電子帳簿保存法に定められるスキャナ保存の要件を満たしていれば、電子データによる保存も可能です。
スキャナ保存とは、スマートフォン・スキャナなどの電子機器や専用システムを用いて書類を電子データ化し、保存する方法です。具体的には、以下の手順で行います。
- 受領した請求書の原本を電子データとして取り込む
- タイムスタンプの付与など、真実性を確保するための措置を講じる
- 法定の保管期間を遵守し、適切に管理する
真実性を確保するための措置など、スキャナ保存の具体的な要件については後述します。また、以下の記事でも解説していますので参考にしてください。
電子データで受け取った請求書の保存方法
電子取引によって受領した請求書は、電子データのまま保存することが電子帳簿保存法で定められています。メールへの添付やダウンロードで受け取ったPDFファイルのほか、メール本文に取引情報が記載されている場合も保存の対象です。
電子取引データをPDFファイルやメール本文を紙に出力して保存する方法は、電子帳簿保存法で認められていないため注意しましょう。
メールで受け取った請求情報・請求書を保存する方法について、さらに詳しく知りたい方は
以下の記事をご参照ください。
電子帳簿保存法に則った請求書の保存要件
請求書を電子帳簿保存法に則って保存する際は、いくつかの要件を満たさなければいけません。本章では、電子取引の保存要件(真実性の要件・可視性の要件)とスキャナ保存の要件について、それぞれ詳しく解説します。
真実性と可視性を確保すること
電子取引で受領した請求書を電子データで保存する際は、電子帳簿保存法に定められる「真実性の要件」「可視性の要件」を満たさなければいけません。
真実性の要件を満たすには、以下のいずれかの措置をとり、保存したデータが削除・改ざんされていない旨を示す必要があります。
- タイムスタンプが付与された取引情報を受領する
- 速やかにタイムスタンプを付与し、付与者などの情報を確認できる状態にする
- 訂正・削除を確認可能、または訂正・削除ができないシステムで受領・保存を行う
- 訂正・削除の防止について定めた事務処理規定に基づいて運用する
可視性の要件は以下3点をすべて満たし、保存したデータを検索・表示できる状態にする必要があります。
- 関連書類の備え付け:システムの概要を記載した関連書類を備え付ける
- 見読性の確保:速やかに出力できるように、ディスプレイ・プリンタなどと操作説明書を備えつける
- 検索機能の確保:特定の項目・条件で検索できるようにする
タイムスタンプの仕組みや付与が不要なケースについては、以下の記事で紹介していますのでご覧ください。
関連記事:電子帳簿保存法のタイムスタンプとは|仕組みや改正の変更点、不要なケースなど解説
スキャナ保存の要件を満たすこと
紙で受領した請求書をスキャナ保存する場合、以下のような要件を満たす必要があります。
要件 | 内容 |
|---|---|
解像度 | 200dpi以上 |
カラー階調 | 原則としてRGBがそれぞれ256階調以上 |
入力期間 | 最長2カ月+おおむね7営業日以内 (業務処理サイクル方式を採用した場合) |
タイムスタンプ | 付与(入力期間中にスキャナ保存した旨が確認できれば省略可能) |
システム | 訂正・削除の履歴を保持できるシステムでの保存 |
上記のほかにも、帳簿との関連性を確保するために、スキャナデータと帳簿に同じ番号を振ることなどが求められます。
また、取引日・金額・取引先などの条件で検索できる状態にするほか、データを速やかに確認・出力できる閲覧環境の整備も必要です。
なお、請求書は、スキャナ保存の要件を満たしていれば、スマートフォンやデジタルカメラで撮影したものを電子データ化・保存しても問題ありません。以下の記事では、写真の電子データ化による保存が認められる書類の一覧を紹介していますので参考にしてください。
スキャナ保存した場合、紙の原本は破棄できる
スキャナ保存の要件を満たす方法で請求書の電子データを保存していれば、原本は基本的に破棄が可能です。ただし、スキャナ保存の要件を満たしていない場合、原本を破棄すると法令違反に該当するケースもあるため注意しましょう。
たとえば、解像度やカラー階調が適切でも、閲覧用の機器やシステムに関する書類が備え付けられていない場合、法令遵守の観点で問題視される可能性を否定できません。
スキャナ保存の要件は厳格かつ詳細なため、データ化した直後に原本を破棄することは避けましょう。要件を満たしているか入念に確認し、内部統制上の判断として一定期間は紙の原本も保管する場合もあります。
請求書の保管期間
請求書の保管期間は、紙と電子データのどちらも共通です。
法人は、原則7年間の保管が必要ですが、繰越欠損金や災害損失金が発生した年度は、10年間の保存が義務付けられています。保管期間の起算日は、法人税の申告期限(確定申告書の提出期限)の翌日です。
個人事業主は、確定申告期限の翌日を起算日として、白色申告の場合原則5年間、青色申告においては7年間の保管をする必要があります。
適格請求書(インボイス)の場合、一般課税による仕入控除を受けるには、法人・個人を問わず原則7年間の保管が必要です。この場合、消費税の申告期限の翌日を起算日とします。
なお、請求書の保存期間は、法人税・所得税上の保存義務と、消費税(インボイス制度)上の保存義務で整理が異なる場合があります。実務上は管理しやすいよう保存ルールを統一する方法もありますが、まずは各法令上必要な保存期間を満たしているかを確認することが重要です。
請求書の保管期間について、さらに理解を深めたい方は以下の記事を参考にしてください。
電子帳簿保存法に則って請求書を保存する際のポイント
紙の請求書を電子帳簿保存法に則って正しく管理するには、いくつかのポイントを理解しておく必要があります。3つのポイントを紹介しますので、今後の実務にお役立てください。
社内ルールやフローを構築する
電子帳簿保存法に則って紙の請求書を保存する際は、社内ルール・フローを構築することが重要です。請求書を受領した後の流れを明確にしておくことで、電子帳簿保存法を遵守できる体制を整えやすくなります。
スキャナ保存を選択する場合は、必要な解像度やカラー階調、タイムスタンプの付与といった法的要件を、担当者全員が正確に把握しておきましょう。また事務処理規程を設け、責任者も決めておく必要があります。
複数の部署・担当者が請求書のやり取りに関与する場合は、保存方法や手順を統一し、法令違反のリスクを未然に防ぐことも大切です。
取引先に社内の請求書保存方法を伝える
請求書を電子データで保存する際は、取引先に自社の方針をあらかじめ伝えておくことも重要です。取引先も紙の請求書を発行・郵送する手間が省けるほか、紙の書類が減り、管理業務の効率化を図れるメリットがあります。
自社と取引先双方の業務負担を軽減できる点も考慮し、極力早めに伝えておきましょう。
電子帳簿保存法やインボイス制度などに対応したシステムを導入する
紙の請求書をスキャナ保存する際、手作業で行うと複雑になりがちです。データの解像度やタイムスタンプの付与といったさまざまな要件を満たす必要があり、担当者に大きな負担がかかるでしょう。
請求書の保存業務を効率化するには、電子帳簿保存法やインボイス制度などの法令に対応したシステムを導入するのが効果的です。専用システムを導入すれば、スキャナ保存の要件を満たした方式で請求書を保存・管理できます。
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紙で受け取った請求書は紙の原本をそのまま保存するほか、電子帳簿保存法の法的要件を満たせば、電子データでの保存も認められています。ただし、電子データで保存する際は、電子帳簿保存法に定められるスキャナ保存の要件を満たす必要があります。
スキャナ保存の要件は、解像度やタイムスタンプの付与、システムの機能性など多岐にわたるため、効率的かつ正確に管理するには専用システムの導入がおすすめです。
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