売上の仕訳方法は?基本の考え方とケース別の仕訳例を解説

仕訳処理において「売上」は、まず押さえておきたい基本の勘定科目です。

ただし、計上のタイミングや記帳方法については複数の考え方があり、判断に迷う方もいるかもしれません。

本記事では、会計における「売上」の基本的な定義や計上基準について解説します。具体的な仕訳例も、よくあるケース別に紹介していますので、円滑な経理処理のためにご活用ください。

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売上の仕訳方法は?基本の考え方とケース別の仕訳例を解説

会計における「売上」とは?

会計には資産・負債・純資産・費用・収益という5つの要素があります。そして、会計上の「売上」とは、企業の「収益」を示す勘定科目です。収益とは、商品販売やサービス提供といった本業活動によって得られた対価を指します。

会計における仕訳処理では「売上」の勘定科目をそのまま用います。一方、会社の一定期間の経営成績を表す損益計算書(P/L)では「売上高」と表記されるのが一般的です。

売上の計上基準

売上を帳簿に記録するタイミングは、企業の損益を正確に把握するために重要です。具体的には、会計上のルールである「計上基準」に従って判断します。

そして、企業会計原則において収益を認識するタイミングには複数の考え方があり、売上計上については従来より「実現主義」がよく採用されてきました。2021年に「新収益認識基準」が定められてからは、「履行義務が充足されたとき」を基準にする方法が上場企業などを中心に採用されている状態です。

上記の他にも代表的な基準として発生主義・現金主義があり、それぞれの概要をまとめると以下のとおりです。

収益認識基準

内容

現金主義

(企業会計に不向き)

現金の受け渡しがあった時点で認識

(一定の個人事業主・小規模事業者のみに適用される)

発生主義

(費用計上で利用される)

取引発生時など、経済的な価値の増減が発生した時点で認識

実現主義

(売上計上に向いている)

商品やサービスの提供完了時や一定期間における役務提供の充足時など、対価を受け取る権利が確定した時点で認識

新収益認識

(上場企業などで採用される)

契約における各種履行義務が充足されたとき

上記のうち「実現主義」を適用する具体的なタイミングとしては、以下の基準があります。

  • 出荷基準:商品を出荷した時点
  • 納品基準:顧客に引き渡した時点
  • 検収基準:顧客が検品し合格した時点
  • 役務完了基準:サービス提供が完了した時点

企業は自社の業種や取引の実態に合った合理的な基準を定め、継続して適用することが必要です。

各計上基準の詳細は、以下の記事を参考にしてください。

関連記事:会計の発生主義とは?現金主義・実現主義との違いや経理処理をわかりやすく解説

企業会計の全体像を把握したい方は、以下の記事で詳しく解説していますので、ご確認ください。

関連記事:企業会計原則とは?7つの一般原則や企業会計基準との違いを解説

売上の記帳方法

商品売買を行う企業では、取引を帳簿に記録する方法として「三分法(さんぶんぽう)」が広く採用されています。三分法とは「仕入」「売上」「繰越商品」という3つの勘定科目を用いて、商品を管理する記帳方法です。

具体的には、商品を仕入れた際にかかった原価を「仕入」勘定へ入れ、商品を販売した際に得られた売価を「売上」勘定へ記録します。さらに、期末に棚卸を行い、売れ残った商品の原価は「繰越商品」勘定で処理するのが基本の方法です。

三分法では、期中の仕入と売上の状況を別々に把握できるほか、決算時に期末の在庫状況を算出するため、損益計算処理自体が複雑にならないメリットがあります。

なお、三分法以外の記帳方法としては、以下のものが挙げられます。

  • 分記法:取引ごとに利益を計算する
  • 総記法:仕入れも売上も「商品」勘定で一括管理する
  • 五分法:三分法に「仕入値引・戻し」「売上値引・戻り」を加えて計算する

売上管理のしやすさから、実務では三分法が広く使われている状況です。企業の会計方針によって採用する方法はもちろん変わるものの、売上の仕訳を学ぶ際には、三分法の基本的な流れをまず理解しておくのがおすすめです。

三分法を用いた仕訳について詳しくは、以下の記事で解説しています。

関連記事:簿記の三分法とは?分記法や総記法との違い、仕訳方法をわかりやすく解説

売上の仕訳例

実際の仕訳の場面では、取引や事業活動内容に応じて、売上と他の勘定科目とも組み合わせながら適切に仕訳処理を進めていく必要があります。

ここでは、売上を用いた仕訳例を見てみましょう。代表的なケースをピックアップしていますので、実務の参考にしてください。

現金で売上が発生した場合

商品やサービスを提供し、その場ですぐに現金を受け取った場合の仕訳です。たとえば、20,000円の商品を販売し、代金を現金で受け取った場合であれば、以下のように仕訳します。

借方

貸方

現金

20,000円

売上

20,000円

振込で売上が発生した場合

商品を販売し、代金が銀行口座へ振り込まれた場合の仕訳を見てみましょう。

例として、50,000円の商品を販売し、代金が即時に普通預金口座へ振り込まれた場合を紹介します。入金口座を示す勘定科目としては「普通預金」や「当座預金」などが一般的です。

借方

貸方

普通預金

50,000円

売上

50,000円

複数の口座を保有し、名称を分けたい場合には、補助科目や摘要欄を使って管理してもよいでしょう。

掛売の場合

商品を先に渡し、代金は後日支払ってもらう契約で販売した場合は「掛売」の処理が必要です。

たとえば、10万円の商品を掛売で販売した場合、売上が発生した時点で未回収の代金を「売掛金」として計上します。そして後日、代金10万円が普通預金口座に振り込まれた際に、売掛金を消し込むのが一般的な流れです。

タイミング

借方

貸方

商品販売時

売掛金

100,000円

売上

100,000円

代金回収時

普通預金

100,000円

売掛金

100,000円

売掛金について、より詳しい仕訳方法が知りたい方は以下の記事をご参照ください。

関連記事:売掛金とはどのような勘定科目?間違えやすい仕訳方法と具体例を解説

納品前に入金があった場合

商品の納品やサービスの提供前に、手付金や内金として代金の一部または全額を先に受け取るケースもあるでしょう。

その際には契約上の履行義務を満たしておらず、まだ売上として確定していないため「前受金」の勘定科目を使って仕訳を行います。そして、商品を納品し売上が確定したら、前受金を「売上」として振り替えます。

例として、商品を納品する前に30,000円の現金を代金として受け取った場合の仕訳を見てみましょう。

タイミング

借方

貸方

納品前入金時

現金

30,000円

前受金

30,000円

売上確定時

前受金

30,000円

売上

30,000円

前受金の捉え方や計上のタイミングについては、以下の記事でご確認ください。

関連記事:前受金とは?売上計上のタイミングや仕訳例、注意点を解説

商品が返品された場合

販売した商品が、品質不良などを理由に顧客から返品された場合の仕訳です。一般的には売上計上と反対の仕訳を行います。

ここでは、掛売で販売した5,000円の商品が返品された場合の例を見てみましょう。

タイミング

借方

貸方

商品販売時

売掛金

5,000円

売上

5,000円

返品時

売上

5,000円

売掛金

5,000円

なお、現金で販売した商品が返品され、そのまま現金を返金した場合は売掛金の勘定科目ではなく、貸方に「現金」を用いてください。

また、返品付き販売など、返品の見込みがある取引については、単に反対の仕訳とならず別の処理が必要となるケースもあります。

手数料や運搬費などの付随費用がある場合

商品を販売する際は、振込手数料や商品の発送にかかる運搬費など、売上に関連する付随費用が発生する場合も少なくありません。付随費用を売主と買主のどちらが負担するかは、取引の契約条件によって異なります。

まずは、売主が付随費用を負担する場合を見てみましょう。掛代金40,000円が普通預金口座に振り込まれ、その際に振込手数料500円が差し引かれて入金されたケースです。手数料の勘定科目は「振込手数料」や「支払手数料」など、取引に応じたものを使用しましょう。

タイミング

借方

貸方

商品販売時

売掛金

40,000円

売上

40,000円

入金時

(手数料自社負担)

普通預金

39,500円

売掛金

40,000円

 

振込手数料

500円

  

次に、買主が付随費用を負担する場合です。商品の送料1,000円を買主が負担する契約で、商品代金30,000円に含めて請求する場合は、売上高に運搬費相当額を含めて計上することも可能です。

ここでは送料を入れて税込31,000円と想定した仕訳を紹介しますが、送料・商品代金それぞれに消費税が発生するため、商品の種類によっては送料・商品の税率が異なる点に留意しましょう。

状況によっては、送料別で請求する方法や、このあと紹介する「立替金」を使う方法もあります。

タイミング

借方

貸方

商品販売時

売掛金

31,000円

売上

31,000円

自社がいったん送料1,000円を現金で立替え払いし、後日売掛金と合わせて回収する場合には「立替金」を使って仕訳する方法もあります。摘要欄にどの取引における立替金かを明記しておくと混乱しません。

そして売掛金30,000円と立替金1,000円を回収できたら、売掛金の回収時と同じ仕訳で立替金も一緒に処理します。

タイミング

借方

貸方

商品販売時

売掛金

30,000円

売上

30,000円

送料立替え時

立替金

1,000円

現金

1,000円

入金時

(立替金も含む)

普通預金

31,000円

売掛金

30,000円

   

立替金

1,000円

付随費用の処理は、負担者がどちらになるかによって仕訳対応も変わります。また、請求書の記載内容や項目も変わるため、注意が必要です。トラブルを避けるためにも、取引前に契約条件をしっかりと確認しておきましょう。

立替金を用いた仕訳例については、以下の記事でも紹介していますので併せてご確認ください。

関連記事:勘定科目「立替金」とは?仕訳例と出納帳などの帳簿の経理処理を解説

請求書発行業務を効率化したいなら「バクラク請求書発行」

会計における「売上」とは、主に企業の本業活動による収益を指します。多くの企業は三分法による記帳方法を使用しています。ただし、取引のパターンによって仕訳例は大きく異なるため、本記事を参考にして適切に仕訳しましょう。

売上を正しく計上することは、企業の健全な経営のために欠かせません。そして、売上処理と密接に関連するのが請求書発行業務です。

たとえば、請求書発行日と入金日が一致しないことは珍しくなく、結果として誤認やミスにつながりやすいため、請求書発行業務と売上計上業務を連携させておくことが有効です。

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