簿記の三分法とは?分記法や総記法との違い、仕訳方法をわかりやすく解説
- 記事公開日:
- 最終更新日:2024-12-27
- この記事の3つのポイント
- 簿記の記帳方法には「三分法」「分記法」「総記法」があり、それぞれ異なる特徴と用途がある
- 三分法は記帳が簡単で、分記法はリアルタイムで利益を把握でき、総記法は勘定科目が少ない
- 取引量や商品に応じて三分法や分記法を選ぶことが重要
簿記における商品売買の記帳方法には「三分法」「分記法」「総記法」の3つがあります。三分法は最もよく使われる仕訳の方法で、分記法や総記法はそれぞれ異なる特徴・用途があります。
3種類の中でも、三分法は一般的に利用されており記帳が簡単な仕訳方法です。また、仕訳方法についてのQ&Aをインターネットで検索しやすいため、簿記初心者でも安心して活用できます。
本記事では、「三分法」「分記法」「総記法」の違いや仕訳例をわかりやすく解説します。自社に適した仕分け方法を選ぶための参考にしてください。
簿記の三分法とは?分記法や総記法との違い、仕訳方法をわかりやすく解説
簿記の三分法とは?分記法や総記法との違い
商品売買の記帳方法である三分法や分記法、総記法は、それぞれ使用する勘定科目や記帳の仕組みが異なります。以下の表に各方法の特徴をまとめました。
三分法 | 分記法 | 総記法 | |
勘定科目 |
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メリット |
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デメリット |
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三分法は「仕入」「売上」「繰越商品」の3つの勘定科目を使う一般的な方法です。広く利用されている方法で記帳は簡単ですが、期中の利益を把握しにくいという特徴があります。
分記法は「商品」と「商品売買益」を使うため、取引ごとに利益を把握できますが、記帳の手間が増えるデメリットがあります。
総記法は、取引を「商品」勘定だけで処理するため、使用できる勘定科目が少ないのが特徴です。記帳の手間は軽減されますが、決算時には売上原価や利益を計算する必要があります。また、処理が複雑になりやすいという点に注意が必要です。
各記帳方法の仕訳例
ここからは同じ取引条件でそれぞれの記帳方法を紹介します。
今回は以下の条件で、記帳する方法を解説しますので、参考にしてください。
- 仕入:商品を現金で10,000円仕入れた
- 販売:その商品を現金で15,000円で販売した
- 決算時:期首商品棚卸高は20,000円、期末商品棚卸高は10,000円
三分法
三分法による仕訳方法を、仕入れ・販売・決算時に分けて紹介します。
仕入時の仕訳
借方 | 貸方 | ||
仕入 | 10,000円 | 現金 | 10,000円 |
販売時の仕訳
借方 | 貸方 | ||
現金 | 15,000円 | 売上 | 15,000円 |
決算(期首商品棚卸高の繰入れ)
借方 | 貸方 | ||
仕入 | 20,000円 | 繰越商品 | 20,000円 |
決算(期末商品棚卸高の繰越し)
借方 | 貸方 | ||
繰越商品 | 10,000円 | 繰越商品 | 10,000円 |
三分法では、仕入や売上の処理は独立して行いますが、期末の在庫調整が必要です。
決算整理仕訳で期末在庫を計上することで、実際の売上原価が反映され正確な利益を計算できます。ただし仕入や売上に対する在庫の動きが把握できないため、利益が見えにくくなる点に注意が必要です。
三分法は仕訳の数が少なく処理が簡単なため、小規模な事業や仕訳の項目が少ない業種に向いています。
分記法
分記法の仕訳方法は、以下のとおりです。
仕入時の仕訳
借方 | 貸方 | ||
商品 | 10,000円 | 現金 | 10,000円 |
販売時の仕訳
借方 | 貸方 | ||
商品 | 15,000円 | 商品 | 10,000円 |
商品売買益 | 5,000円 |
分記法は、仕入時と販売時に商品原価と売上利益を同時に計上するため、取引ごとの利益がリアルタイムで把握できます。在庫の動きや利益を常に確認できるので、お金の管理がしやすい点がメリットです。
決算整理仕訳が不要で、利益が逐一計算されるため、決算期に負担がかからない点もメリットとして挙げられます。
しかし、各取引ごとに商品原価と利益を記帳する必要があることで、仕訳の手間が多くなるデメリットもあります。
特に、取引が多いメーカーや商社等の業種では、詳細な仕訳を記載するのに手間がかかり、工数負担が大きくなる点には注意してください。
総記法
総記法の仕訳方法は以下のとおりです。
仕入時の仕訳
借方 | 貸方 | ||
商品 | 10,000円 | 現金 | 10,000円 |
販売時の仕訳
借方 | 貸方 | ||
現金 | 15,000円 | 商品 | 15,000円 |
決算整理仕訳
借方 | 貸方 | ||
商品 | 5,000円 | 商品販売益 | 5,000円 |
総記法では、すべての商品売買に関して「商品」勘定のみで処理を行うため、仕訳の数が減り、記帳がシンプルになります。
一方で、決算時に利益や売上原価を計算する必要があり、期末の処理に負担がかかる可能性があります。特に、売上原価や利益を詳細に把握するには、追加の計算が必要です。
また仕訳の段階で取引の詳細が見えにくく、仕訳帳から取引の実態を把握しにくいというデメリットもあります。
仕訳項目が少ない個人事業主や小規模事業者に向いている仕訳方法ですが、取引項目の多い業者には向いていません。
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三分法や分記法、総記法は、それぞれ仕訳方法が異なるためメリットやデメリットも異なります。
各記帳方法の特徴を理解し、自社の業種や取引形態に合った方法を選ぶことが重要です。たとえば、取引量が多く商品種類も多い場合は三分法、少量高額の商品を扱う場合は分記法が適しています。
総記法に関しては実務で使われることが少ないため、三分法か分記法を利用するのが一般的です。一方でどの仕訳方法であっても、商品売買の記帳や取引量が多いと手間がかかり、ミスも発生しやすくなります。
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