・月間約100枚の請求書のExcelへの転記や、振込データの手入力に時間がかかっていた
・請求書発行をExcelで行い、郵送する作業に手間がかかっていた
・バックオフィス業務が属人化し、人的リソース不足の中で業務が煩雑だった
・直感的に使える分かりやすい操作画面と、処理スピードの速さ
・支出状況を可視化でき、キャッシュフロー改善に貢献できること
・経理以外の役職者にも見やすいレポートがあり、必要な情報をスムーズに共有できること
・月次決算を平均8営業日から5営業日へと約3営業日短縮できた
・支出情報の可視化により修繕費等を見直し、コスト削減を実現
・自動化で生まれた時間をデータ分析や戦略立案などの付加価値業務に充てられるようになった
人手不足、物価高騰、宿泊者ニーズの多様化——。ホテル業界が直面する経営課題は多岐にわたります。そうしたなか、あえて「バックオフィスDX」から経営改革に着手したのが、成田ゲートウェイホテルを運営する株式会社ストライダーズです。
同社は月次決算3営業日短縮や支出の可視化によるコストカットなど、バックオフィスから全社的な経営改革を実現しています。
なぜバックオフィスDXからスタートし、どのような変革を起こしたのか。その背景やバクラク導入の効果まで、株式会社 ストライダーズ代表取締役社長 早川 良太郎さん、総務経理チーム部長の前原 宏信さん、同チームマネージャー 千葉 あおいさん、同チームリーダー 佐藤 尋美さんにお話を伺いました。
ーー貴社では複数の事業があるなかで、成田ゲートウェイホテル様での改善から着手しはじめた理由はありましたか。
早川さん:当時、弊社のホテル事業は赤字という厳しい状況にあり、経営改善が喫緊の課題でした。コロナ禍を経て一般のお客様の受け入れを再開するにあたり、オペレーションの見直しやプライシング戦略の再構築など含め、テコ入れが必要と考えていました。
加えて、ホテル業界全体が慢性的に抱える人手不足の問題も深刻でした。そこで、「人を増やさずに、DXを活用して人がいなくても業務が成り立つ体制を構築する」という経営判断に至り、ホテル事業のDXに着手しました。
ーー経営改革というミッションのなかでなぜバックオフィスのDXから取り掛かることにしたのか、お考えを教えてください。
早川さん: AI活用やDXを通して、業務を削ぎ落として付加価値を作っていくことが重要だと考えています。バックオフィスが強くなれば、その分、お客様の満足度向上などに取り組んでいくことができますし、新しい挑戦もできます。
変化には抵抗も少なからずありますが、「使ったことがないから」「新しい技術はよく分からない」といった固定観念を乗り越え、マインドセットを変えることが、新たな価値創出につながると考え、プロジェクトを推進しました。
前原さん:加えて、バックオフィス業務は、変化に対する心理的な抵抗が比較的少なく、短期間で定量的な成果を出しやすいと思います。
バックオフィス業務、特に月次決算の早期化などは、経営判断の迅速化に不可欠でありながら、改善効果が数値として明確に現れやすい領域です。
社内で完結するため、失敗を許容しやすいという特徴もあります。まずはここでDXの成功体験を積み、その効果を他の部署にも発信することが、会社に変化を許容する文化をつくっていくにあたって重要だと考えていました。
ーーバクラクを導入前、経理業務では、具体的にどのような課題を抱えていらっしゃったのでしょうか。
佐藤さん: 私は受領請求書の処理を担当しています。月間100枚程度の請求書をExcelに1件1件手作業で転記し、それを最終的に会計ソフトに取り込む作業に時間がかかっていました。振込作業も手入力していました。
千葉さん:私はもともとExcelで請求書を発行していました。月間10件ないほどで数は多くはないのですが、1件ずつExcelで作成し、お客様にあわせて郵送や電子で送付対応をしていました。
ーー 効率化の手段として「バクラク」を導入いただきましたが、導入の決め手は何でしたか。
前原さん: バクラクを選定した最大のポイントは、直感的に使える画面の分かりやすさと、処理スピードの速さです。
経理以外の役職者でも扱いやすいため、経営判断に必要な情報をスムーズに共有できます。「どこにどのくらいの支出が発生しているのか」を可視化することは、キャッシュフローの改善に役立っています。
また、一つひとつの処理スピードや、かゆいところに手が届くような機能の開発スピードが速いと感じます。
ーー バクラクをご導入いただいて3ヶ月目ですが、当初の課題は解決できていますか。
佐藤さん:請求書の自動入力から仕訳データ、振込データの自動作成まで効率化でき、時間を短縮できています。結果的に、導入初月より月次決算にかかる日数が平均で8営業日から5営業日へと約3営業日短縮できました。
千葉さん:発行する請求書についても、バクラクで一元管理できるようになり、送付方法を一部電子化することによって時間短縮にもつながっています。入力方法なども分かりやすいです。
ーー 月次決算の早期化という直接的な効果以外に、バックオフィスのDXによって変化はありましたか。
前原さん: 請求書の支出情報が可視化されたことで、各部門のコストに対する意識が高まりました。具体的には、修繕費用を見直し、内製化することで、月に20万円から30万円程度、削減できました。
我々は経営再建を進める過程で、当然コストカットが求められます。そのような状況下であえてシステム導入にコストをかける意味を社内に示すには、経理部門が率先して変化を体現し、全社的なリーダーシップを発揮することが重要でした。
経理部門の熱意や変化が全社に伝播し、「経理があれだけ変わったのだから、我々も変わらなければ」という意識が広がっています。レストラン部門では新メニューの開発が進み、予約部門では新たな集客アプローチが始まるなど、現場主導の改善活動が活発化しています。
ーー 請求書処理などの業務が効率化されたなかで生まれた時間は、どのように活用されているのでしょうか。
前原さん: より付加価値の高い分析業務や戦略的な業務に取り組めるようになりました。具体的な例を挙げると、キャッシュフロー計算書の作成と、それに基づく分析です。
以前は本社主導で行っていた部分もありましたが、ホテル単体で資金繰りの状況をより正確に、かつタイムリーに把握できるようになり、予算作成の精度向上にも貢献できるものと考えています。
加えて、マクロ環境の動向調査といったデータ分析業務も、経理部門が担うようになりました。
たとえば、訪日外国人観光客の推移や周辺のホテル事業者の分析などを行っています。それらのデータと自社の稼働率やADR(平均客室単価)といった数字を照らし合わせることで、自社の状況を客観的に把握し、より経営に資する提案につなげています。
ーー そうしたお取り組みは経理のご担当者様のキャリアにもつながっていきそうですね。
前原さん:そうですね。AIやシステムの活用によって、今後、経理業務の仕事の一部はなくなっていくと思いますが、だからといってキャリアが途絶えることがないように、人間が価値を出せることを話し合っています。
経理担当者は日頃から数字を扱っているため、データ分析に関するポテンシャルがあると考えています。そのポテンシャルを、こうした戦略的な業務にも活かしていくことが経理に携わる従業員のキャリアにもつながっていくはずです。
また、経営層とのコミュニケーションも以前より増え、組織全体の風通しの良さや、モチベーションアップにつながっています。
ーー 改めてバックオフィスDXはどのような価値や意義を持つと思われますか。
前原さん: ホテル業界を始め、多くの業界において慢性的な人手不足という大きな課題を抱えています。そうしたなかで、自分たちが抱える膨大な事務作業を一気に圧縮できるという点で、バックオフィスDXには価値があると考えています。
また、変化を許容していく文化を醸成するにあたっての最初の一歩としても良かったと思います。今回の成果を踏まえて、バックオフィスDXは、コストカットや業務効率化という文脈だけでなく、将来的に売上を伸ばしていくための付加価値を高めるものだと捉えています。
多くの企業が“高精度”を謳う中、バクラクはAI-OCRの精度をはじめとするAI活用機能に強みを持っています。では、どのようにしてその強みを実現しているのか、他社サービスと比較してどのような違いがあるのか、解説します。
セミナー形式で、ホテル業界全体におけるDXの必要性と今後の可能性、経営層や支配人にも響く「納得感のあるDXの語り方」についてお話いただいています。