・決済手段の制約によりツール導入が進まず、DXの推進が滞っていた
・出張旅費精算で資金前渡や現金管理の手間が大きかった
・請求書払い非対応の店舗やECサイトでの調達が難しかった
・カードごとに利用先や上限額を設定でき、セキュリティ面で安心できた
・年会費・初期費用がなく、キャッシュバックなどの財政メリットが見込める
・バーチャルカードとリアルカードを用途に応じて柔軟に発行できる
・資金前渡の処理を削減し、精算業務の時間を年間約120時間短縮見込み
・カード決済への切り替えで年間約13万円の振込手数料を削減見込み
・最大1.5%キャッシュバックにより歳入を増加させることができる見込み
・調達までのリードタイムが短縮されたうえ、調達先の選択肢も拡大した
総務省からの通達により、物品の購入や役務の提供を受けるためのクレジットカード利用が自治体でも可能になり、全国で導入の機運が高まっています。
千葉県の中央部に位置する白子町は、その先駆けとしてバクラクビジネスカードを導入。精算処理の工数やコスト削減を実現しただけでなく、法人カード導入をきっかけに新たなツール活用も進み、DXを加速させています。
今回は、全庁的な自治体DXと業務改革を一体的に推進している千葉県白子町 企画財政課 主任主事の渡辺 亮さんに、自治体における法人カード導入のメリットやDXの進め方について伺いました。
——法人カードをご検討いただいたきっかけは何でしたか。
渡辺さん:クレジットカード決済を導入しようと思ったきっかけは、大きく3つあります。
1つは行政のDXを推進するうえで必要となる、クラウドサービスや生成AIツールの多くが、 クレジットカード決済にしか対応しておらず、従来の方法ではそれらを導入できないという点です。
例えば、導入前はChatGPTの有料プランを業務で試したいと思っても、役所で利用可能なクレジットカードがないため、決済代行会社を介さなければ利用できず、余計な手数料や手間が発生する状況でした。
このように決済手段の壁に阻まれる場面が多く、解決の必要性を強く感じていました。
2つ目は、出張旅費の精算に伴う現金管理の負担です。従来は「資金前渡」で対応しており、事前の現金支給や精算処理に手間がかかっていました。そうした現金の取扱いを減らすことで、業務負担やリスクを軽減したいという思いがありました。
そして、3つ目の理由は、消耗品や備品購入において、幅広い店舗で利用ができるという点です。クレジットカードを使えば、請求書払いに対応していない店舗やECサイトでも購買でき、より柔軟で効率的な調達が可能になると考えていました。
——バクラクビジネスカードを導入いただいた決め手は何でしたか。
渡辺さん:導入にあたって複数のカードを比較検討しましたが、最終的にバクラクビジネスカードを選んだ最大の理由は、自治体のニーズに合った高いセキュリティと柔軟な管理機能が備わっていたからです。
カードごとに利用先や上限額、通貨などを細かく設定できるため、未承認の支出を未然に防ぎ、ガバナンス面でも安心して運用できます。まさに、「自治体のための法人カード」のようなものだと感じました。
また、財政面のメリットも導入の後押しとなりました。バクラクビジネスカードは年会費・初期費用が不要で、特別な予算措置なしで導入できる点に加え、利用額に応じたキャッシュバックにより、新たな歳入を得られる点も魅力でした。
さらに、支払いをカードに集約することで、これまで支払先ごとにかかっていた振込手数料を削減でき、限られた予算をより効率的に活用できることも大きな導入理由です。
——現在、バクラクビジネスカードをどのように活用されていますか。
渡辺さん:現在は、リアルカードとバーチャルカードを併用し、用途に応じて使い分けています。まず、バーチャルカードは、必要に応じて管理画面から即時に何枚でも発行できる点が大きな利点です。
自治体では事業ごとに予算枠が決まっているため、それらに紐づけてバーチャルカードを個別発行し、あらかじめ利用上限額や承認フローを設定しています。これにより、スピーディーなオンライン決済とガバナンスの両立が実現できています。
一方、リアルカードは主に出張や消耗品の購入を担当する職員に配布しています。従来は出張のたびに資金前渡の手続きが必要でしたが、その場でカード決済できるようになり、精算処理や現金管理の煩雑さが大幅に軽減されました。
また、日常的な消耗品購入においても、100円ショップなどの店舗でも購入が可能となり、調達の自由度が高まったと職員からも高い評価を得ています。
——バクラクビジネスカード導入後どのような効果がありましたか。
渡辺さん:事務処理の効率化を実現できました。従来は、支払先ごとに伝票を起票し、現金の取扱いにも手間がかかっていました。
それがカード決済に切り替わったことで、立替払いや資金前渡がほぼ不要になり、経理業務の負担が大幅に軽減され、その結果、全庁で年間約120時間程度を削減できる見込みです。
さらに、必要なタイミングで即座に決済が可能となったことで、物品調達のスピードも向上し、リードタイムの短縮にもつながっています。
加えて、年間約13万円程度の振込手数料の削減も実現できる見込みですし、利用額に応じたキャッシュバックによる歳入増といった、金銭面での効果も導入前の想定どおり得られており、総合的なメリットを実感しています。
——導入にあたり、どのように準備を進められたのでしょうか。
渡辺さん:事前準備として、庁内のルール整備に一番労力を割きました。
公費でクレジットカードを利用するにあたり、新たな規程を設ける必要があったため、すでにバクラクを導入されている三重県桑名市さんの事例などを参考にしながら検討を進めました。
そのうえで、財務部門や会計部門と連携し、白子町として全庁的にカード決済が可能となるよう、利用規程や運用フローを整備していきました。
また、導入後の混乱を防ぐために、職員向けの利用研修も複数回実施しました。こうした準備には時間を要しましたが、運用開始後は大きなトラブルもなく、スムーズに活用できています。
——これからのバクラクビジネスカードの活用を含む展望について教えてください。
渡辺さん:バクラクビジネスカードは、ETCカード機能も備わっているため、移動にかかる交通費精算の効率化にも、これから取り組んでいきたいと思います。
庁内でも、まだこれまでの運用が残ってしまっている部署や、カードへの支払い切り替えの余地ある請求などもあるため、内部ルールや研修内容も柔軟に見直しながら、全庁的な普及活動も進めていきたいです。
——法人カードに限らず、自治体DXを進めるために意識されていることはありますか。
渡辺さん:私が自治体のDXを進めるうえで、特に大事にしていることは、「DXの目的を見失わないこと」「組織全体で取り組むこと」「新しい技術へのチャレンジ精神と適切なガバナンスの両立」の3点です。
まず、DXの目的は「技術を導入すること」自体ではなく、住民にどんな価値を提供できるか、職員が本質的な業務に集中できる環境をどう作るかという視点が重要です。
また、DXは1つの部署だけで完結するものではありません。全体最適を意識して、組織横断で取り組むことが欠かせないと考えています。
今回のカード導入においても、関係部署と連携し、制度設計・運用フローを構築しましたが、こうした組織横断的なプロセスそのものがDX推進の土台になると感じています。
さらに私は、新しい技術へのチャレンジ精神も重要だと考えています。生成AIのような技術も、まずは小さく試して有用性を検証し、活用できると判断すれば積極的に取り入れています。
ただ一方で、私たちは公的な機関になりますので、セキュリティやガバナンスという点は十分配慮することも肝要です。その視点は常に持ちつつ、失敗を恐れずにチャレンジする意識をもってDX推進に取り組んでいます。
——これから法人カードの導入や自治体DXを検討される皆さまにメッセージをお願いいたします。
渡辺さん:自治体でのクレジットカード決済が明確に可能になったいま、「小さく始めるDX」として、バクラクビジネスカードはおすすめです。初期費用・年会費無料で始められるため、予算措置不要で高い効果を生む施策として実施できます。
仕組みの変化が苦手になりがちな自治体では、「なにから始めたら良いかわからない」「進め方がわからない」といった不安を持っている方も多いと思います。そんな方こそ、導入前後の営業担当者による支援が充実しており、なおかつ自治体にフィットする機能を揃えているバクラクを検討してみてください。自治体の導入実績も豊富なため、安心して相談できますよ。
私は、DXによって職員が本来注力すべき業務に集中できれば、その先に住民サービスの向上や地域活性化があると信じています。今後も、そうした未来につながる取り組みを積極的に進めていく自治体が増えることを願っています。
白子町イメージムービー(提供:白子町様)
証憑管理が手間、明細連携が遅いなど、これまでの法人カードの課題を解消する「バクラクビジネスカード」の詳細が分かる資料です。
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