海外取引は電子帳簿保存法の対象?国税・関税関係書類の電子保存も解説
- 記事公開日:
- 最終更新日:2025-01-28
- この記事の3つのポイント
- 海外取引での書類は、国税関係書類・関税関係書類のどちらに該当するかで保存要件などが異なる
- 国税関係書類は、電子帳簿保存法が定める3つの保存区分に従って処理する必要がある
- 関税関係書類・関税関係帳簿の保存では、輸出者・輸入者それぞれで保存期間や記載事項が変わる
海外取引では法令に基づいて、国税関係書類と関税関係書類に該当する書類を適切に保存しなければなりません。
本記事では国税関係書類・関税関係書類に該当する書類や、電子保存の要件について解説します。関税関係書類の記載事項や保存期間も説明しているので、ぜひ参考にしてください。
海外取引は電子帳簿保存法の対象?国税・関税関係書類の電子保存も解説
海外取引における書類の保存義務について
主に国内の経済活動で、所得税や法人税、消費税に関する書類(国税関係書類)については「電子帳簿保存法」に基づく電子保存が必要です。
一方で、輸出や輸入に関する税金の書類保存では「関税法」が適用されます。関税法の規定で保存が義務化されている帳簿を「関税関係帳簿」、書類を「関税関係書類」と呼びます。
国税関連書類と関税関係書類の違いは、以下のとおりです。
区分 | 国税関係書類 | 関税関係書類 |
対象となる税金 | 所得税、法人税、消費税など | 関税など |
記録内容 | ・決算関連書類(貸借対照表、損益計算書など) ・取引関係書類(見積書、領収書、請求書など) | ・輸出入申告書 ・関税率表 ・原産地証明書 など |
目的 | 国税庁への申告、納税 | 税関への手続き、関税納付 |
海外取引においては、国税関係書類の保存に加えて、関税関係書類の保存についても対応しなければなりません。企業の実務では、混同しないよう具体的な対応策やルールを明確にすることが重要です。
電子帳簿保存法についての詳細は以下の記事で解説しているため、参考にしてください。
海外取引における国税関係書類の電子保存
国税関係書類では、電子帳簿保存法が定める3つの保存区分に従った処理が必要です。
- 電子帳簿等保存:帳簿や決算関係書類などの会計データを電子的に作成し、保存する方法
- スキャナ保存:紙で受領した書類をスキャナで読み取り、電子データとして保存する方法
- 電子取引:見積書や注文書、請求書などの取引データを電子メールやWeb上でやりとりする方法
スキャナ保存では、解像度や読み取りの正確性などの条件を満たす必要があります。また電子取引では取引情報を電子的に保存し、検索機能などの条件を満たした保管が必要です。
たとえばメールに請求書がPDFファイルで添付されている場合は、PDFファイルを電子帳簿保存法の要件に従って保管します。
添付ファイルがなく、メール本文に取引情報が記載されていれば、日付・金額・取引先が明記されたメール本文をスクリーンショットなどで保存します。検索性が確保されるよう、指定の要件に基づいて整理することが重要です。
電子帳簿保存法における請求書の管理方法や保存要件については、以下の記事で詳しく解説しているため、ぜひご覧ください。
海外取引における関税関係書類の電子保存
海外取引をする輸入者や輸出者は、取引した貨物の品名、数量、価格などを記載した帳簿を備え付け、関連する帳簿および関係書類を適切な形で保存しなければなりません。
前述した「関税関係帳簿」には、輸出入した貨物に関する必要事項を記載します。また「関税関係書類」は輸出入取引の内容を明記するための書類で、契約書や仕入書、包装明細書などが該当します。
このような貿易書類や帳簿の保存では、輸出者と輸入者で義務づけられている点が異なるため、要点を把握しておきましょう。
輸入者
保存が必要な書類 | 記載事項 | 保存期間 |
帳簿 | ・輸入許可を受けた貨物の品名・数量・価格 ・仕出人氏名または名称 ・当該許可年月日および許可書の番号を記載したもの | 輸入許可日の翌日から起算して7年間 |
書類 | ・輸入許可を受けた貨物の契約書、仕入書、運賃明細書、保険料明細書、包装明細書、価格表、製造者または売渡人作成の仕出人との取引書類 ・その他税関長に対し輸入許可に関する申告内容を明らかにする書類 | 輸入許可日の翌日から起算して5年間 |
電子取引の取引情報 | 電子取引をした場合における当該電子取引の情報(契約書、仕入書、包装明細書、価格表、製造者または売渡人の作成した仕出人との取引についての書類等に記載される事項) | 輸入許可日の翌日から起算して5年間 |
輸出者
保存が必要な書類 | 記載事項 | 保存期間 |
帳簿 | ・輸出許可を受けた貨物の品名・数量・価格 ・仕向人の氏名または名称 ・当該許可の年月日および許可書番号を記載したもの | 輸出許可日の翌日から起算して5年間 |
書類 | ・輸出許可を受けた貨物の契約書、仕入書、包装明細書、価格表、製造者または売渡人の作成した仕出人との取引書類 ・その他税関長に対し輸出許可に関する申告内容を明らかにする書類 | 輸出許可日の翌日から起算して5年間 |
電子取引の取引情報 | 電子取引をした場合における当該電子取引の情報(契約書、仕入書、包装明細書、価格表、製造者または売渡人の作成した仕出人との取引についての書類等に記載される事項) | 輸出許可日の翌日から起算して5年間 |
参考:税関「帳簿書類の保存義務と 電子データによる保存の概要」
参考:税関「帳簿書類の保存義務と電子帳簿等保存制度」
税関に提出した書類は上記から除外されますが、その他の帳簿や書類についてはルールに沿って整理し、必要であれば許可書番号などで関連付けをした保存がおすすめです。
電子帳簿保存法への対応には電子取引システムの導入がおすすめ
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- 社内の書類管理が簡単になる
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また、法令改正への対応もスムーズです。クラウド型システムなら、法改正があったとしてもベンダー側がシステムを更新してくれるため、利用者は何もしなくても、新たな要件に対応したシステムを利用できます。
電子帳簿保存法に対応したシステムの選び方については、以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。
関連記事:電子帳簿保存法に対応するシステムの選び方!メリット&比較時の選定ポイントを解説
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海外取引における書類は、電子帳簿保存法や関税法に基づいて管理しなければなりません。国税関係書類・関税関係書類の電子保存には複数の要件があるうえ、インボイス制度も影響するため煩雑で、手作業ではミスが起こりやすくなることも考えられます。
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