設立1年未満でも法人カードは作れる?審査に通りやすいカードの選び方と注意点

設立1年未満の会社でも法人カードは作れる?審査やカード選びの注意点

法人カード(ビジネスカード・コーポレートカード)は、業務効率化に役立つうえ、ポイント還元や付帯サービスが利用できるなどの特典があります。ただし、発行には審査があるため、設立直後や1年未満の会社でも作れるのかどうか、気になる方もいるでしょう。

設立1年未満の会社であっても法人カードは作れますが、経営実績の提示が難しいことが懸念です。そのため、申し込みの際には創業期でも発行可能という対応を明言しているクレジットカード会社を選ぶ必要があります。

今回は、設立から間もない会社が法人カードを作るメリットに触れながら、審査に通りやすい法人カードの見つけ方や手続きの準備、注意点について解説します。

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設立1年未満でも法人カードは作れる?審査に通りやすいカードの選び方と注意点

設立1年未満の会社でも法人カードは作れる

設立直後・1年未満の会社でも、クレジットカード会社の審査に通れば、法人カードを作成することは可能です。

法人カードの審査は、カード会社独自の審査基準に則って行われています。詳しい基準は公開されていませんが、法人カードによっては会社の経営実績が審査対象です。そのため、会社を設立したばかりで判断できる実績がないと、審査に通りにくくなると考えられます。これが「設立から間もない会社は法人カードを作るのが難しい」と言われている理由です。

しかし、カード会社が審査で確認したいポイントは、その会社に返済能力があるかどうかです。貸し倒れのリスクが小さいと判断されれば、会社を設立したばかりであっても審査に通る可能性は十分にあります。

なお、法人カードは、これまで設立3年以上・2期以上の黒字が発行の目安とされてきました。しかし、最近は審査に法人代表者個人の信用情報を利用することで、設立直後の法人でも作れる法人カードが増えています。

法人化初年度にクレジットカードを作る4つのメリット

法人カードには、ビジネスに役立つさまざまなメリットがありますが、特に設立間もない法人がクレジットカードを作るメリットを4つ紹介します。

1. 経費削減につながる

設立直後の法人は、事業に必要な設備や備品の購入など、何かと経費がかさみます。クレジットカードは利用額に応じてポイント還元やキャッシュバックを受けられるので、実質的な経費削減ができます。インターネット上で購入する場合は、支払いにクレジットカードを使用することで、振込手数料も削減可能です。

また、法人カードは、利用明細をWebサイトで一元管理できるのが一般的です。利用状況を一覧で確認できるため、無駄な支出を精査して経費削減につなげやすいこともメリットといえます。

▼法人カードのポイント還元については、以下の記事でも詳しく解説しています。

「法人カードのポイント還元率はどれくらい?ポイントを貯めるコツと活用方法」

2. 経理作業を効率化できる

設立直後の法人は、十分な人員を確保できているとは限りません。経営者が経理業務を行わざるを得ない例もあるでしょう。そのような状況下で経営者としてのコア業務に集中するには、経理作業の効率化が必要です。

法人カードを導入すれば、経理作業の手間を大きく削減できます。社員に法人カードを持たせれば、費用を仮払いする必要がなくなるため、経費精算も不要です。また、各社員が使用した法人カードの利用データを法人の支出としてまとめて計上できます。カードの利用データを経費精算システムに自動で取り込み、仕訳の作成を自動化することができるようになるため、現場担当者による経費申請や経理担当者による経費入力といった経費精算の負担を大きく軽減できます。

▼法人カードを使った経費精算について、以下の記事でも詳しく解説しています。

「法人カードで経費精算するとメリット・デメリットとは?流れや注意点も解説」

3. キャッシュフローに余裕が出る

法人化直後の会社は、使える資金が潤沢とは限りません。しかし、費用を法人カードで支払えば、実際の支払いまでの時間を後ろ倒しできます。現金取引は当日の支払いが必要ですが、クレジットカードの支払いは利用日の1~2ヵ月先のため、カード引き落とし日まで法人口座にお金を残せます。資金が限られる法人化直後の会社にとって、この支払い猶予はキャッシュフローの管理に役立ちます。

4. 付帯サービスを利用できる

法人カードには、ビジネスで便利なサービスや特典がカードランクごとに付帯しています。

出張時の宿泊先や取引先との会食設定などの手配をサポートするコンシェルジュサービスは、会社設立直後の経営者を助ける付帯サービスといえるでしょう。出張が多い業種の場合は、カード付帯保険や空港ラウンジを活用できます。

▼法人カードの付帯サービスについて、以下の記事でも詳しく解説しています。

「法人カードで利用できる付帯サービスとは?主な種類と注意点を解説」

ここまでは、設立直後の法人における法人カードの導入メリットを軸に紹介をしてきましたが、法人カードはその後のビジネスにおいても多くのメリットがあります。以下の記事で詳しく解説しているので、参考にしてください。

「法人カードのメリットとデメリット」

設立1年未満の会社でも審査に通りやすいカードの選び方

設立直後でも審査に通りやすい法人カードを選ぶには、注目すべきポイントが3つあります。

公式サイトに設立直後でも入会可能であることが書かれている

クレジットカード会社の公式サイトに「スタートアップ企業向け」や「設立直後でも入会可能」といった記載があるか確認しましょう。公式サイト内のQ&Aなどに書かれている場合もあります。

スタートアップ企業向けにアピールしている法人クレジットカードは、そうではない法人カードと比較して、創業歴や事業歴の審査基準が柔軟に設けられている可能性が高いです。

申し込みに決算書や登記簿謄本が不要

法人カードの申し込みにおいて、代表者の本人確認書類のみで審査可能かどうかは、重要なポイントです。一般的な法人カードの場合、会社の実在性や経営状況を確認するため、審査には決算書や登記簿謄本が必要です。ただ、なかには代表者の本人確認書類のみで申し込みが可能なカードもあります。この場合、会社の経営状況ではなく法人代表者個人の信用情報が審査で重要視されるため、スタートアップ企業でも審査に通る可能性が高いと考えられます。

デポジット型の法人カードを利用する

デポジット型法人カードは、クレジットカード会社に一定の保証金(デポジット)を預け、その額が利用限度額となるカードです。この仕組みにより、カード会社にとっては貸し倒れのリスクが低くなります。そのため設立1年未満の会社でも審査に通りやすい傾向があります。なお、未払いがなかった場合は、解約後に保証金が返金される仕組みです。

設立1年未満の会社が法人カードを発行する際に必要なもの

設立1年未満の会社が法人カードを発行するのに必要なものは、通常の法人がクレジットカードを発行する場合と大きくは変わりません。しかし、なかには設立から間もないからこそ準備が必要となるものもあるます。必ず申し込み前に確認しておきましょう。

代表者の本人確認書類

本人確認書類は、公的な証明である運転免許証、パスポート、個人番号(マイナンバー)カード、住民基本台帳カード、在留カード、住民票の写し、各種健康保険証などのいずれか1~2点が必要です(コピー可)。

法人確認書類

発行から6ヵ月以内の登記簿謄本(履歴事項全部証明書または現在事項全証明書)の原本またはコピーが必要です。印鑑証明書でも代用できますが、定款や事業報告書などの資料が必要となるため、登記簿謄本の提出がよりスムーズです。登記簿謄本の請求手続きは、法務局窓口もしくはオンラインなどで行えます。

また、カード会社によっては決算書が必要になる場合もあります。設立直後は決算書がないため、代わりの書類が求められる可能性が考えられます。事前にカード会社に提出書類を確認しておきましょう。

例外として、代表者の本人確認書類のみで審査が可能な場合、これらの法人確認書類は不要です。

法人名義の銀行口座

個人事業主以外は、法人カードを申し込む際に決済用口座として法人名義の銀行口座が必要です。法人口座を持っていない場合は、カード申し込み前に口座を開設しておきましょう。法人口座の開設は個人口座に比べて時間がかかります。銀行によっては、開設審査に1ヵ月程度かかることもあるので、早めの準備がおすすめです。

▼法人カードの申し込み手順については、以下の記事で詳しく説明しています。

「法人カードの作り方|申し込みの流れと必要書類を解説」

設立1年未満で法人カードを作る際の注意点

設立1年未満の会社が法人カードを作る際には、申し込み前後の両方で注意しておきたいことがあります。事前に把握しておきましょう。

発行までに時間がかかる場合がある

法人カードは申請から受け取りまで通常2週間~1ヵ月程度の期間がかかります。加えて、設立直後に法人カードを申し込む場合は、会社設立登記や口座開設の手続きに最大6週間程度の時間がかかることも考慮する必要があります。これらの手続き期間を踏まえ、準備を進めておくことが重要です。

手続きにかかる期間の例

  • 会社設立登記は2~3週間程度
  • 法人口座開設2~3週間程度
  • 法人カード申請~受け取りまで2週間~1ヵ月程度

特に、設立直後は用意できる書類が限られます。通常の提出書類の代替となるものの確認や準備のため、さらに時間がかかる点に注意してください。

カードの利用ルールを制定する必要がある

法人カードは支払いを後ろ倒しにできるため、キャッシュフローにゆとりを持たせ、調整することが可能です。しかし、1ヵ月当たりの支出が大きくなり過ぎると、資金繰りに影響する可能性があります。また、従業員が個人で決済可能なため、不適切な利用が行われるおそれも考えられます。適切な管理のため、導入時に以下のような運用ルールを制定しましょう。

法人カード導入時に検討すべきルールの例

  • 追加カードはどういう分け方で発行するか
  • 利用限度額をいくらに設定するか
  • 領収書の取り扱いルールをどうするか
  • 不正利用の対策やガイドラインの設置をするか

設立直後は、ほかにもさまざまな社内ルールの制定が必要です。法人カードに関するルール作りにより、業務負担が大きくなる可能性があるため注意してください。

利用限度額が低い可能性がある

設立1年未満の会社では、事業期間が短いため、健全な経営ができているかどうか判断することは困難です。そのため、カード会社が貸し倒れを避けるために、利用限度額を低く設定する可能性があります。

事業に必要な物品を法人カードで購入しようと考えていても、金額が大きな場合は利用限度額内で賄いきれないおそれがあるでしょう。資金運用の際は、法人カードに頼り過ぎないようにすることが大切です。

法人カードの審査に落ちた場合の対処方法

万が一、法人カードの審査に落ちてしまった場合は、半年程度の期間を空けてから次の申し込みをしましょう。

クレジットカードは申し込み履歴、利用状況が「個人信用情報機関」に登録されます。各カード会社も信用情報を参照することができるので、他社への申し込みも把握できます。法人カードを短期間に複数枚申し込むと、資金繰りの問題や貸し倒れのリスクが高いとみなされてしまいます。焦ってすぐに別のカードを申し込まないように注意しましょう。

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