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請求書からどのくらい源泉徴収額を引くべき?メリットなど徹底解説!

源泉徴収とは、支払者が所得税を徴収して納付する制度のことです。支払いを受ける人が源泉徴収の対象となる場合には、請求書に源泉徴収の金額を書くケースがあります。

本記事では、請求書における源泉徴収の扱いについて解説します。源泉徴収税額の算出方法や請求書に源泉徴収額を書くメリットなどを解説するため、参考にしてください。

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請求書からどのくらい源泉徴収額を引くべき?メリットなど徹底解説!

請求書からどのくらい源泉徴収額を引くべき?

請求書から源泉徴収額を引く場合、どの程度引くべきなのか分からないという場合もあるでしょう。源泉徴収とは、所得を支払う際に支払う側が所得税を回収して収めるものです。たとえば、給与や利子、配当、報酬などの所得の支払者が所得税額を計算して、所得税額を徴収し国に納めます。

源泉徴収額は一律ではなく、請求額によって決まります。源泉徴収額は請求金額に税率をかけて求めるため、請求金額が多くなればなるほど源泉徴収額も増加するという仕組みです。

関連記事:源泉徴収制度について|対象となる事業者や計算方法、税金の納付方法などを解説

請求書に源泉徴収額を書くのは「義務」ではない

所得税法上、源泉徴収額を請求書に書くことは義務ではなく任意です。所得税法6条によると、源泉徴収は特定の所得について支払う側が所得税を徴収して納付する義務を負うとされています。つまり、「支払者が代わりに納税している」と考えるとわかりやすいでしょう。

源泉徴収が義務付けられている報酬がある場合、源泉徴収額を引いた金額が実際の報酬になります。しかし、請求書に源泉徴収額を記載するかは任意となっているため、記載しなくても問題はありません。

業務により源泉徴収しないケースもある

場合によっては、源泉徴収しなくてよいケースもあります。具体例をあげると、以下のとおりです。

  • 1~2人の家事使用人に支払う給与
  • 従業員のいない個人事業主が支払う税理士の報酬
  • 従業員が雇用主以外から直接受け取った報酬
  • 源泉徴収の対象外の職種であり、源泉徴収義務者でない個人が支払う報酬

このように、業務によっては源泉徴収しないケースもあるため把握しておきましょう。

源泉徴収税額の算出方法

原稿料や弁護士の料金などについては、すでに触れたとおり、一定の税率をかけて計算します。100万円以下の場合と100万円を超える場合では税率が一部異なるため、注意が必要です。

たとえば、30万円の報酬に対する源泉徴収税額は「30万円 × 10.21% = 3万630円」です。一方、120万円の報酬に対する源泉徴収税額は、100万円以下の部分については「100万円 × 10.21% = 10万2,100円」です。100万円を超える部分については「20万円 × 20.42% = 4万840円」であり、合計すると14万2,940円となります。

請求書に源泉徴収額を書くメリット

請求書に源泉徴収を記載することは義務ではないため、記載しなくても問題はありません。請求書に源泉徴収額を書くメリットは何なのでしょうか。ここでは、3つのメリットを解説するためぜひ参考にしてください。

支払い処理のスムーズ化

請求書に源泉徴収額を記載することで、報酬を受け取る側が支払金額を確認しやすくなります。源泉徴収が義務付けられている場合には、源泉徴収額を引いた金額が実際の報酬になりますが、源泉徴収額が記載されていない場合わかりにくくなります。しかし、源泉徴収額が書かれていれば事前に源泉徴収額を確認できるため、すぐに計算できるという点がメリットです。

請求書を発行する側にとっても、正確な源泉徴収がしやすくなるため、入金ミスなどのヒューマンエラーの防止につながります。

入金額の確認が容易

請求額が実際の入金額(源泉徴収後の金額)が一致しているかを簡単に確認できることも大きなメリットです。源泉徴収額が書かれていない場合でも、源泉徴収が義務付けられている場合には源泉徴収が差し引かれて入金されます。

請求書に記載された金額と入金額が異なる場合には、入金の確認に手間がかかってしまうでしょう。しかし、請求書に源泉徴収額の記載がある場合には、実際の報酬がすぐに分かるため入金額の確認が容易です。

源泉徴収額の把握

請求書に源泉徴収額を記載することによって、確定申告が必要かどうかの判断がしやすくなるというメリットもあります。個人事業主の場合、自分で確定申告をする必要があります。源泉徴収が過剰に徴収されていた場合には、還付金として払いすぎて税金が戻ってくるという仕組みです。

源泉徴収額が請求書に書かれていることにより源泉徴収額の把握が容易になるため、還付金の申請が必要かどうかもすぐにわかるでしょう。

請求書に源泉徴収額を記載するときのポイント

請求書に源泉徴収額を書く際には、以下のポイントを押さえましょう。

  • 消費税が内税か外税か確認する
  • 源泉徴収額を請求書に記載するか、事前に決めておく
  • 請求書の控えを手元に残す。

ここでは、各ポイントについて詳しく解説します。

消費税が内税か外税か事前に確認する

まずは、消費税が内税か外税かを確認しておきましょう。内税とは消費税が報酬額などに含まれていることで、外税とは報酬額などに消費税が含まれていないパターンです。内税か外税かによって、源泉徴収額や手取りの報酬額が異なってくるため、必ず確認しておきましょう。

消費税を抜いた額から計算する方法では源泉徴収額が減って手取りが増えるというメリットがあります。そのため、外税方式のほうが望ましいですが、取引先によって異なるため事前に確認しておくことが重要です。

源泉徴収額を請求書に記載するか事前に取り決めておく

源泉徴収額を請求書に記載するかどうかは、取引先との間で事前に取り決めておくとよいでしょう。取引先によっては源泉徴収額を自身で計算したい場合もあります。そのため、請求書に記載すべきかどうか、取引先に確認しておくとよいでしょう。

契約する際に源泉徴収に関する取り決めを記載しておくことがおすすめです。契約時に取り決めて記載しておくことで、取引がスムーズに進みます。再提出の手間や納税トラブルの防止などにもつながります。

請求書の控えを証拠として手元に残すこと

請求書の控えは手元に残しておきましょう。支払調書は必ずしも取引先から送られてくるわけではありません。支払調書とは、年間の報酬と源泉徴収額が記載された書類で、税務申告の際に使用します。しかし、支払調書が送られてこないケースもあるため、請求書に源泉徴収額を記載して把握しておくことが重要です。

請求書で源泉徴収額を正確に計算して証拠として手元に残しておくことで、支払調書がなくても税務申告が行えるようになり、トラブルを未然に防ぐことにもつながります。

まとめ

請求書に源泉徴収を記載することは義務ではありません。しかし、支払い処理がスムーズになる、入金額の確認が簡単にできるなどのメリットもあります。取引先によっては源泉徴収額を記載は不要というケースもあるため、契約時に取り決めておくとよいでしょう。

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