請求書の「摘要」とは何を書く欄?備考との違いや名目・品目の例を紹介
- 記事公開日:
- 最終更新日:2024-08-09
請求書を作成する際に摘要欄を設けることがあります。摘要欄には請求内容の詳細を記載しますが、具体的な活用方法が分からない人も多いかもしれません。
本記事では、請求書の摘要欄の効果的な活用方法を解説します。適切な記載のポイントも紹介するので、より明確で正確な請求書作成にお役立てください。
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請求書の「摘要」とは何を書く欄?備考との違いや名目・品目の例を紹介
請求書の「摘要(名目・品目)」とは?
摘要は、概要や要約などの意味を持ち、英訳すると「summary」となります。請求書の摘要には、基本的に取引における重要なポイントが記載されます。
請求書には商品名や数量、単価などの記載がありますが、それだけでは請求内容が十分に伝わらないケースも少なくありません。顧客に請求内容を明確に伝えるには、摘要に取引におけるお金の用途に関する情報や、特記事項などを記載することが重要です。
請求書における「摘要」と「備考」の違い
摘要と備考は、請求書作成において混同されがちな用語です。しかし、それらの役割と意味合いは大きく異なります。摘要は請求内容の詳細を抜き出すことです。摘要欄を見れば、請求書の要点を速やかに把握可能です。
一方、備考は、「参考とする際の備え」として書き添える補足情報を意味します。備考欄に記載する例としては、支払条件の詳細や配送に関する事項などが挙げられます。つまり、備考欄を見ても、請求書の主要な内容や要点を直接的に読み取ることは困難です。
書類別摘要の役割
ビジネスにおいて欠かせない請求書・領収書・見積書の3つの書類について、摘要欄の役割を解説します。
請求書
請求書に記載する基本的な内容は、顧客の名前や金額、取引年月日、品目などです。請求書の場合、品目欄に記載された商品やサービス名から、ある程度取引内容を読み取れます。そのため、請求書には一般的に摘要欄は不要です。
多くの請求書のテンプレートには、摘要欄の代わりに備考欄が設けられています。補足事項がある場合は、備考欄に記載しましょう。
領収書
領収書における摘要は、一般的に但し書きと呼ばれます。領収書に記載する主な内容は、顧客の名前や金額、取引年月日などですが、請求書とは異なり、通常は詳細な品目欄がありません。
しかし、商品やサービス名が明記されていないと、何に対する領収書かを判別することが難しくなります。領収書を作成する際は、但し書きに取引内容を簡潔かつ明確に記載することが重要です。
見積書
見積書の場合、請求書と同様に摘要欄は一般的に不要です。見積書には顧客の名前、金額、取引年月日、品目を記載するため、取引内容が明確に分かるためです。補足説明や注意書き、連絡事項などを伝えたいときは、請求書と同じく備考欄に記載します。
摘要の記載ルールと注意点
売上や経費、消費税に関する摘要の記載ルールと注意点を解説します。顧客にとって分かりやすい請求書となるように、参考にしてください。
売上の記載ルールと注意点
売上を記載する際は、取引の全体像を把握できるように、摘要欄に以下の項目を記載する必要があります。
- 取引の年月日
- 売上先その他の取引相手
- 品名その他給付(サービス)の内容
- 数量
- 単価と金額
- 1日の売上の合計
納品書控などで取引内容を認できる場合は、取引相手ごとに1日の売上合計額を一括記載しても構いません。
なお、摘要の記載項目は帳簿によって異なります。売掛帳であれば取引相手別に記帳するため、摘要に取引相手の名前を書く必要はありません。一方、仕訳帳であれば、摘要に取引相手の名前を書く必要があります。
経費の記載ルールと注意点
経費の摘要記載には、いくつかの重要なルールと注意点があります。まず、取引内容に応じた科目区分を記載します。勘定科目には、福利厚生費、消耗品費、地代家賃、水道光熱費などがあります。
他にも、各取引の年月日、事由、支払先、金額も摘要欄への記載が必要です。ただし、少額費用については効率化のため、科目別に1日の合計額をまとめて記載することが認められています。
摘要欄の内容は、細かくなりすぎてはいけません。必要以上に詳細な記載は、かえって情報の整理や分析を困難にする可能性があります。また、複数人で帳簿付けを行う場合は、摘要欄の記載方法に関する明確なルールを設定しておくとよいでしょう。ルールがあれば記載の一貫性が保たれ、後の確認や分析作業が容易になります。
消費税の記載ルールと注意点
消費税に関する摘要欄に記載すべき基本的な項目として、顧客の氏名または名称、取引年月日、取引内容、取引金額が挙げられます。これらの情報は、取引の全体像を把握し、適正な税務処理を行うために不可欠です。顧客が税務調査を受ける際も、請求書の摘要欄が明確に記載されていると、スムーズな調査につながります。
さらに、2019年10月から導入された軽減税率制度に関連して、重要な注意点があります。軽減税率の対象となる品目が含まれる取引の場合、その旨を摘要欄に明確に記載しなければなりません。軽減税率に関する摘要欄の注意点については、詳しく後述します。
インボイス制度の導入後の摘要
顧客が消費税の課税事業者である場合は、インボイス(適格請求書)の発行が求められます。ただし、3万円未満の公共交通機関にかかる費用など、インボイスの発行が困難な特定の取引については、顧客側で特定の事項を記載した帳簿を保存すれば仕入税額控除が認められます。
この場合、帳簿に記載すべき特定の事項には以下が挙げられます。
- 自社(請求書を発行する側)の名称
- 取引年月日
- 取引内容
- 取引金額
- 自社の住所
- 特例の対象となる旨
これらの情報を適切に提供することで、顧客の税務処理をサポートし、円滑な取引関係を維持できます。同時に、自社の取引記録の正確性も確保できます。
摘要欄の記載ポイント
請求書を発行する側にとって、摘要欄の適切な記載は重要です。摘要欄の記載ポイントを解説します。
誰が見ても分かるように
取引に直接関与していない第三者が見ても内容をイメージできるよう、摘要欄は分かりやすく具体的に記載してください。適切な摘要により取引内容が明確になると、顧客は請求内容を正しく認識できるため、誤解によるトラブルを未然に防げます。
また、明確な摘要欄は、顧客側の会計処理を円滑にするでしょう。顧客のところに税務調査が入った場合にも、摘要欄により取引の正当性を示せると、指摘を受けるリスクを抑えられます。
摘要欄の記載には手間がかかりますが、その重要性を考慮し、くれぐれも空欄のままにしないようにしましょう。
軽減税率の対象品目が分かるようにする
2019年10月から導入された消費税の軽減税率制度により、2024年現在も、標準税率10%と軽減税率8%の2つの税率が混在しています。
顧客が消費税の仕入税額控除の適用を受けるためには、一定の事項が記載された証明書が必要です。そのため、請求書の摘要欄では、どの商品やサービスが軽減税率の対象なのかを、明確に記載しなくてはいけません。
例えば、「健康食品(軽減税率対象:8%)」のように、対象品目を明確に識別できるよう記載しましょう。軽減税率対象品目が適切に判別できない状態では、取引先が正確な消費税の仕入税額控除を受けられなくなる可能性があります。
ルールに従って記載する
摘要欄を記載する際、漢字、カタカナ、アルファベット、全角・半角の使用について明確なルールを設けておきましょう。ルールを設けると、ソフトなどでデータを管理する際、必要な情報を素早く正確に検索できるようになり、統計データの作成や分析も容易になります。
まとめ
請求書の摘要欄は取引の詳細を記載する重要な部分です。摘要欄の適切な記載は、取引の透明性を高め、顧客側の会計処理を円滑にします。
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