不正経費を防ぐための「内部統制」とは?基本知識や導入時の3つのポイント
- 記事公開日:
- 最終更新日:2024-09-06
近年、企業による粉飾決算や不正会計が相次いでおり、経理部門の内部統制による信頼性と透明性の確保は重要性を増しています。
しかし、経理業務においてどのように内部統制を導入すれば良いかわからず、悩んでいる経営者の方も多いのではないでしょうか。
この記事では、経理業務における内部統制の意味や導入の目的、内部統制を強化するメリット、経費精算におけるポイントについて解説します。
不正経費を防ぐための「内部統制」とは?基本知識や導入時の3つのポイント
不正経費を防ぐための「内部統制」とは?
そもそも内部統制とは、経営者が事業活動を健全かつ効率的に実施するためのプロセスや仕組みのことです。経理業務においては、企業の粉飾決算や不正会計といった不祥事を防ぐうえで、重要な役割を果たします。
金融商品取引法では、財務報告の信頼性確保のために「内部統制報告書」を提出しなければならないと規定されています。
適用対象は上場企業ですが、中小企業やスタートアップ企業も無関係ではありません。将来的に上場を視野に入れている場合は、上記の規定をふまえた事業運営をするとよいでしょう。
内部統制を導入する目的
内部統制は、コンプライアンスの強化だけでなく、企業の信頼性確保と持続的な成長においても不可欠な要素です。金融庁の資料では、内部統制の目的として次の4つが挙げられています。
- 業務の有効性及び効率性:事業活動の目的達成に向けて、より業務を無駄なく正確におこなうこと
- 報告の信頼性:財務情報や関連情報の信頼性を確保すること
- 事業活動に関わる法令等の順守:法令遵守の徹底を促すこと
- 資産の保全:有形・無形を問わず資産を適切に管理すること
参照:
金融庁|財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準(抄) 新旧対照表
上記4つの目的のうち、経理業務の内部統制において重視されるのは「報告の信頼性」と「資産の保全」です。この2つを意識して内部統制に取り組むことは、企業の粉飾決算や不正会計などを防ぐうえで重要だといえます。
内部統制を強化するメリット
内部統制の強化により、「社内ルールの整備」と「不正防止」の2つの側面で大きなメリットを得られます。
内部統制を強化する際には、社内ルールや業務プロセスを見直すなどして整備を実施します。例えば、経費精算フローや承認プロセスを見直して無駄を削減すれば、業務の効率化につながります。結果として、従業員のモチベーションアップも期待できるでしょう。
また、内部統制は不正防止にも貢献します。例えば、経費管理において分業やダブルチェック体制が徹底されていれば、不正が発見されやすく抑止効果も高まります。不正行為は事業活動の継続に深刻な影響を与えるリスクがあるため、兆候を早期に見つけて対応する必要があるでしょう。
このように、内部統制は対内的にも対外的にも大きなメリットがあります。
内部統制を踏まえた経費精算の3つのポイント
内部統制は企業の健全な運営を支える基盤であり、特に経理部門とのかかわりが深いといえます。
経費精算業務における内部統制は、企業の信頼性向上や経営の透明性確保に欠かせません。ここでは、内部統制を踏まえた経費精算の3つのポイントについて、詳しく解説します。
具体的な経費精算の流れについては、以下の記事で詳しく解説しています。
経費精算の基礎知識を解説|主な勘定科目・書類の種類・業務の流れ・よくある課題など
日常的なモニタリング
経費精算や現金管理は、資産の保全の観点から重要な業務です。企業の信頼性に直結するため、慎重な取り扱いが求められます。通常の業務にモニタリング機能を組み込み、内部統制が機能しているかを確認しましょう。
特に現金管理では着服が起こる可能性があるため、適切な管理者を設置するなどして定期的にチェックをおこないます。日常的なモニタリングにより、経理部門における内部統制の問題点や弱点などを早期に発見できます。
分業と承認体制の整備
内部統制により不正な経費精算を防ぐには、誰にも気付かれずに不正ができるような環境を作らないことが大切です。そのためにも、分業と承認体制の整備が欠かせません。
具体的には、経費の申請と承認、支払いの各プロセスを異なる担当者に分けておこないます。従業員が作成した経費申請はまず上司が承認し、そのうえで経理部門が確認・支払いをおこなうなど、不正チェック機能が働くような承認フローを設定しましょう。
効率的なITシステムの利用
経費精算の内部統制を強化し、業務を効率化するには、ITシステムの導入が効果的です。手作業による経費精算では、領収書の分類やデータの入力に時間がかかり、ヒューマンエラーのリスクも高まります。
そこで、ITシステムを導入して経費精算を自動化すれば、業務にかかる時間を短縮できるほか、データの正確性や財務報告の信頼性の担保にもつながります。
ただし、システムトラブルが発生すると、内部統制に支障をきたすおそれがあるため、定期的に点検しましょう。
内部統制を整えるために重要な「システム構築」の方法
内部統制システムを機能させるためには、業務に即した対策が必要です。実務における内部統制システムを構築するうえでは、次の3つが基本になります。
- 業務の分担
- ダブルチェックの実施
- 適切な承認プロセスの設定
この基本を押さえることで、業務の信頼性と透明性が向上し、不正やミスの防止につながります。すでに内部統制システムの構築を進めている場合にも、仕組みが形骸化していないかよく確認しましょう。
業務の分担
内部統制システムの基本として、まず挙げられるのが業務の分担です。
ひとつの業務を最初から最後まで一人の担当者に任せることには、リスクがともないます。例えば、経理部門で現金の管理と記帳を兼務していると、残高の操作や不正な取引の隠蔽が容易におこなえてしまいます。
業務を複数人で分担し、お互いに業務をチェックしあえれば、内部不正の抑止力となり得るでしょう。不正やミスが発生するリスクを低減するためにも、業務を複数人で分担して、それぞれの役割を明確にすることが重要です。
ダブルチェックの実施
内部統制を強化するには、ダブルチェックを実施することが大切です。業務の遂行時には、正しく行われているかどうかを基本的に複数人でチェックするようにしましょう。
人間は完璧ではないため、業務上ヒューマンエラーは避けられないものです。特に、取引先や顧客などの機密情報を扱うような業務では、1つのミスが事業の根幹を揺るがす問題へと発展しかねません。
ダブルチェックを徹底しておけば、問題発生前にミスに気付き、適切に修正できるでしょう。
適切な承認プロセスの設定
内部統制システムを整備するには、適切な承認プロセスの設定が必要です。例えば、業務を遂行した担当者が上司に報告をおこない、報告を受けた上司が内容の確認と承認をする流れだと、担当者がミスをした場合に上司が気付けます。
こうした承認プロセスの確立により、業務の質を向上させられるでしょう。特に経験の浅い担当者の場合、上司の確認・承認を通してミスを防止し、適切な指導を受けられます。
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まとめ:経費の内部統制にはITシステム活用を
経費精算業務では、たった1つのミスが事業存続に関わるリスクがあるため、内部統制を意識した業務フローの確立が必要です。
内部統制の強化はミスや不正を未然に防ぎ、業務の効率化や従業員のモチベーションアップにつながります。
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