雑費とは?経費計上できる具体例や上限額、消耗品費などとの違い
- 記事公開日:
- 最終更新日:2025-02-14
- この記事の3つのポイント
- 雑費とは他の勘定科目に分けにくい費用や、一時的かつ少額な費用に用いられる勘定科目
- 雑費を科目として使用できる一般的な目安は、経費総額の5%~10%程度まで
- 消耗品費や雑損失などと区別が必要
経理作業で領収書を経費として計上する際、何が「雑費」に該当するのか明確に把握できていない人は少なくありません。経理担当者は「勘定科目が不明のため雑費にする」「とりあえず雑費にしておく」などと計上せず、内容や対象範囲をしっかりと把握することが大切です。
本記事では、雑費の概要や消耗品費との違い、仕訳方法などを解説します。雑費について詳しく知りたい経理担当者は、ぜひ参考にしてください。
勘定科目「雑費」とは?何の費用が含まれる?
雑費とは、事業の経費の中で他の勘定科目に分けにくい費用や、一時的かつ少額な費用に用いられる勘定科目です。適切な勘定科目が不明であったり決められなかったりする場合に、簡易的な処理をするために用いられます。
雑費の具体例を見てみましょう。
- 文房具(ボールペンやコピー用紙、修正液など)
- 日用品(電球やトイレットペーパー、掃除用品など)
- 振込手数料
- 証明書の発行手数料
- クレジットカードの年会費
- 書籍代
- 引越し費用
- 一時的なOA機器のレンタル代
- クリーニング代
- 粗大ごみの処分費
- 自治会費
- 臨時的な清掃費
雑費はいくらまで仕訳できる?金額の目安
雑費には「価格が10万円未満」や「使用寿命が1年未満」といった仕訳のルールがあるわけではありません。ただし、手当たり次第に雑費へ仕訳をすると「使途不明金」として税務調査の指摘対象になりやすいです。
そのため、一般的には経費総額の5%〜10%程度までが、雑費を科目として使用できる目安だと考えておきましょう。
消耗品費など他の勘定科目との違い・使い分け
本章では「雑費」と他の勘定科目との相違点や、使い分けについて解説します。
「雑費」と「消耗品費」の違い
雑費と最も混同されがちな勘定科目として「消耗品費」があります。そもそも雑費と消耗品費は税法上の厳密な定義が存在せず、明確な違いを付けにくいため、会計処理における判断基準が曖昧になりがちです。
一般的には消耗品費のほうが雑費よりも金額が大きな経費に使われることがあり、頻繁に使用され、業務においてより重要な役割を果たす傾向があります。
考え方として、消耗品費と雑費の分類は以下のとおりです。
勘定科目 | 内容 |
消耗品費 | 使用寿命が1年未満または価格が10万円未満の消耗品や物品の購入にかかる費用 |
雑費 | 他の具体的な勘定科目に分類しにくい、通常は小額で一時的な支出 |
消耗品費は「使用寿命が1年未満または価格が10万円未満の消耗品や物品の購入にかかる費用」を指す一方、雑費は「他の具体的な勘定科目に分類しにくい、通常は小額で一時的な支出」といえます。この点を押さえておけば、より明確な使い分けが可能です。
消耗品費に仕訳される経費の一例は、以下のとおりです。
- 事務用品
- 日用品
- OA機器の購入費用
- 工作機械のオイルや研磨剤、グリースなど(製造業などで使用)
- 使い捨てナプキン、カトラリーなど(飲食業などで使用)
消耗品費の具体例と、他の費用との違いについて知りたい方は、以下の記事をご参照ください。
関連記事:「消耗品費」とはどんな勘定科目?具体例の一覧と他の費用との違いを解説
「雑費」と「雑損失」の違い
消耗品費と同様、雑費と混同しやすいもう1つの勘定科目に「雑損失」があります。この2つの科目は「本業の売上拡大に関わる支出かどうか」が区別するポイントです。
雑費は本業の売上を増やす過程で発生する「経費」ですが、金額が比較的小さく特別な勘定科目を設定する必要がない場合に使用されます。
一方で雑損失は、本業の売上には関係のない「営業外費用」に区分される科目です。通常の業務活動外で突発的に発生した損失・支出に対して使用されます。
雑損失に仕訳される経費の一例は、以下のとおりです。
- 自然災害による設備破損の修繕費用
- 火災による商品の損害費用
- 会社備品の盗難による損害費用
雑損失の定義や金額の目安と仕訳例について知りたい方は、以下の記事をご確認ください。
関連記事:雑損失とは?勘定科目の定義や金額の目安と仕訳例を紹介
「雑費」と「予備費」の違い
雑費は「予備費」とも混同されるケースがあります。予備費とは、会社の予算編成時に何かあった時に備えて確保しておく財源に設定する科目です。突発的な支出が発生した際や、期中に思いがけない投資の機会が訪れた際などへの備えになります。
つまり、雑費と予備費は「備えとして使途を決めずに抑えていた費用であるか」や「財源と呼べるほど金額的に大きいか」などが違いを考えるポイントです。
「雑費」と「交際費」の違い
雑費との明確な線引きを付けておくべき勘定科目が「交際費」です。交際費とは、企業をはじめとする組織が効果的な経営を実現するために、主に取引先との関係を維持し、交渉を進めるための取り組みで発生する経費を指します。
たとえば、取引先との接待で生じた食事代は交際費として計上されます。一方で、雑費は勘定科目の中でも金額が少額で「その他」に該当するものとみてよいでしょう。取引先に物品贈与する場合にかかった物品代など、額面によっては雑費として計上される可能性があります。
交際費に仕訳される経費の一例は、以下のとおりです。
- 取引先との会食代金
- 取引先へ持っていくお土産の代金
- 取引先を自社イベントに招待する際の移動費用など
接待交際費の経費にできる範囲や仕訳例について知りたい方は、以下の記事をご参照ください。
雑費を仕訳する方法
雑費の仕訳を学ぶ上で参考になるのが、実際の仕訳例です。以下の3つの例を参考に、雑費を仕訳する方法を解説していきます。
ケース1. 取引先の洋服クリーニング代を支払った場合
先述のとおり、クリーニング代は目に見えない無形のサービスのため、雑費として計上されることが多い支出の1つです。
たとえば、従業員が取引先との接待中に先方の洋服を汚してしまい、クリーニング代として3,000円を支払う場合の仕訳はどうなるかを見てみましょう。この場合、借方は雑費として3,000円、貸方は現金として3,000円、摘要はクリーニング代として仕訳します。
借方 | 貸方 | 摘要 | ||
雑費 | 3,000円 | 現金 | 3,000円 | クリーニング代(雑費) |
ケース2. 業務で使用するノートを100冊購入した場合
文房具は消耗品として計上されることが多い項目ですが、企業によっては雑費として計上するルールが設けられている場合もあります。
たとえば、会社で必要なノートを一時的に100冊購入して10,000円分を支払った場合の仕訳がどうなるかを見てみましょう。ノートの購入時は、借方に雑費として10,000円を計上します。
借方 | 貸方 | 摘要 | ||
雑費 | 10,000円 | 現金 | 10,000円 | ノート代(雑費) |
一方で決算時に使い切らなかったノートが存在する場合、残ったノート分の金額は、以下のように借方に貯蔵品として計上します。
借方 | 貸方 | 摘要 | ||
貯蔵品 | 10,000円 | 雑費 | 10,000円 | ノート代(雑費) |
ケース3. 本社の移転で引っ越し費用をクレジットカードで支払った場合
会社の移転などにまつわる引っ越し費用は、雑費として計上することが多い支出項目です。引っ越し費用をクレジットカードで支払う場合、決済時とカード料金が引き落とされた時の2回に分けて仕訳を記載する必要があります。
たとえば、本社の移転に伴う引っ越し費用が40万円だった場合、クレジットカードでの決済時は「未払金」、引き落とされた場合は「普通預金」として仕訳します。どのような代金なのかわかるように、摘要欄には「〇〇引越センター 本社引越し費」などと記載するのがよいでしょう。
決済時の仕訳例は以下のとおりです。
借方 | 貸方 | 摘要 | ||
雑費 | 400,000円 | 未払金 | 400,000円 | カート引っ越しセンター 本社引っ越し費用(雑費) クレジットカード |
カード料金引き落とし時の仕訳例は以下のとおりです。
借方 | 貸方 | 摘要 | ||
未払金 | 400,000円 | 普通預金 | 400,000円 | カート引っ越しセンター 本社引っ越し費用(雑費) クレジットカード引き落とし |
雑費に関する6つの注意点
経理作業で雑費を計上する際、将来的なリスクやトラブルを未然に防ぐうえで抑えておきたい注意点があります。6つのポイントに分けて解説します。
1. 雑費が多すぎると税務調査で指摘される可能性がある
雑費は、明確な仕訳が判断しにくい場合や少額でさほど重要ではない支出を計上する場合に便利な勘定科目です。ただし、手当たり次第に雑費に計上してしまうと、雑費の総額が大きく膨らんでしまう恐れがあります。
あまりにも雑費の金額が多くなると、何を目的とした経費であるかが不明瞭になります。税務調査や会計監査において使途不明金とみなされ、内訳が詳細に調査される可能性が高まるので注意が必要です。
摘要欄に詳細を記載してわかりやすくする
仕訳をする際の摘要欄に、何のための支出であるかの詳細を記載して、帳簿を分かりやすい状態に維持するのも大切なポイントです。摘要欄は各種帳簿や伝票に設けられています。特に各種帳簿では摘要欄に取引に関する情報を詳しく記すことで、メモ欄のような役割を果たしています。
たとえば、ボールペンを購入した場合でも「文房具代として」だけではなく、購入した本数や購入先の店舗名、購入の目的などの詳細も合わせて記載しておくと、他の文房具代との区別がつきやすくなります。
3. 固定資産は雑費として計上できない
固定資産は雑費として計上できない点も、留意すべきポイントです。固定資産とは、ビジネスで長期的に使用される資産を表す用語です。具体的には取得価額10万円以上、あるいは使用可能期間が1年以上の資産が該当します。
そのため、一時的な手数料や会費などが含まれる雑費とは性質がまったく異なる勘定科目です。固定資産を誤って雑費として計上しないよう注意しましょう。
4. 雑費の消費税区分を一括りにしない
支出を雑費として計上する際、消費税区分を間違えずに仕訳することも重要です。取引は大きく分けて、消費税が課税される「課税取引」と、消費税が非課税あるいは免除となる「不課税取引」「非課税取引」「免税取引」のいずれかに区分されます。
取引が雑費として仕訳される場合、大半は課税取引として扱われます。一方、中には不課税や非課税として仕訳される取引もあるので、何でも課税取引として一括りにしないよう注意しましょう。
5. 雑費と雑損失を混同しない
雑費として仕訳する際は、雑損失と混同しないよう気を付けることも押さえておくべき注意点です。
本業に関わる費用は雑費、関わらない費用は雑損失と定義します。混同を回避するためにも、本業に関わる支出かどうかを基準に適切な仕訳を行いましょう。
6.事業用とプライベート用の両方にかかる場合は家事按分を行う
事業用とプライベート用の両方に関わる経費が発生した場合、適切な会計処理を行うために家事按分を実施する必要があります。
家事按分とは、経費を事業用と個人用に分けて計上する方法です。家事按分は自宅と事業所を兼ねているフリーランスや個人事業主の方にとって重要な処理です。
家事按分を行う際は、経費の使用目的や頻度に基づいて合理的な割合を決定しなくてはなりません。
たとえば、自宅の一部を事務所として使用している場合、家賃や光熱費を床面積や使用時間に応じて按分します。また、携帯電話やインターネット回線を事業とプライベートの両方で使用している場合は、使用時間や通話記録などを基に按分割合を決めます。
家事按分を行う際は、その根拠や計算方法を記録しておくことが重要です。税務調査の際に説明を求められる可能性があるため、合理的な按分方法を採用し、その根拠を明確に示せるようにしておきましょう。
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雑費は他の勘定科目に仕訳しにくい費用や、一時的に発生した少額の費用を計上する上で便利な勘定科目です。しかし何でも雑費に計上すると、内容が把握しにくい支出が膨らみ、税務調査などで引っかかる恐れがあるため、なるべく少ない範囲に収める必要があります。
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