経費精算書とは?種類や書き方、作成時の注意点を解説

経費精算書の作成業務・処理業務は、従業員・経理担当者の双方にとって時間と手間のかかる作業です。書類作成にミスや不備が発生すると、申請の差し戻しが頻繁になり、業務の効率が低下してしまいます。

そのため、経費精算書を書く際には、記入ミスの防止や領収書管理の徹底、提出期日を守ることなどに注意することが重要です。

この記事では、経費精算書の基本的な書き方や申請の流れを詳しく解説します。また、作成時に気をつけるべきポイントや経理担当者向けの注意点も紹介するため、ぜひ参考にしてください。

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経費精算書とは?種類や書き方、作成時の注意点を解説

経費精算書とは

経費精算書は、従業員が業務のために個人で立て替えた費用を、あとから会社に請求して精算するためのものです。

会社は経費精算書を通じて、従業員が立て替えた業務に必要な物品の購入費用や交通費などを適切に管理します。これにより、経費の透明性が確保され、不正な支払いを防ぐことが可能です。

具体的には、営業活動で発生した旅費交通費や顧客との会食などにかかる接待交際費、事務用品や業務用備品の購入にかかる消耗品費など、さまざまな経費が経費精算書を通じて処理されます。

▼経費の定義については、以下の記事で詳しく解説しています。

「経費精算のやり方を徹底解説!経費の定義や種類、精算の流れなど」

経費精算書の種類

経費精算書には、状況によっていくつか種類があります。ここでは、以下の経費精算書の概要と、それぞれを使用する具体例について解説します。

  • 立替経費精算書
  • 仮払経費申請書
  • 仮払経費精算書
  • 出張旅費精算書
  • 交通費精算書
  • 旅費精算書

立替経費精算書

立替経費精算書とは、日々の業務で発生した経費を一時的に従業員が立て替え、後日会社から精算を受けるために提出するものです。

通常、事業運営に必要な費用は会社が負担しますが、外出先や出張中では急な支払いが必要になるケースもあります。そのような場合、従業員が個人で立て替えた費用を精算する際に立替経費精算書が使用されます。

立て替える金額は、数百円から数千円程度の少額なケースが多いですが、状況によっては数万円から数十万円といった高額になることもあります。特に、取引先との接待で発生する飲食費や出張時の宿泊費などは、高額になりやすい費用項目です。

立替経費精算書を用いる具体例

立替経費精算書が使用される具体例としては、次のような支払いが挙げられます。

  • 営業先への訪問時に利用した駐車場の料金
  • 仕事に必要な事務用品や参考図書の代金
  • 顧客との商談や接待で利用したレストランやカフェでの支払い

仮払経費申請書

仮払経費申請書は、出張や業務に必要な経費を概算で会社から仮払いしてもらうための書類です。

通常の経費精算書が実際の支出後に提出されるのに対し、仮払経費申請書は業務や出張の前に予測される経費を事前に申請するためのものです。

たとえば、従業員の出張にともなう交通費や宿泊費など、個人で立て替えると金銭的な負担が大きい経費は、仮払経費申請書で事前申請を行うことで会社からの仮払いを受けることができます。従業員は必要な経費を一時的に自分負担する必要がなくなり、会社から支払われた資金で精算できるため、金銭的な負担が軽減されます。

また、仮払経費申請書によって経理担当者は事前に経費の妥当性を確認できます。従業員が経費として認められない支払いに仮払金を使用することがないよう、経費の対象を明確にすることが大切です。仮払経費精算書には費用や予定をできるだけ詳細に記載させるなど、経費精算規を設定して社内に周知しましょう。

仮払経費申請書を用いる具体例

仮払経費申請書が活用される具体例としては、以下のような費用が挙げられます。

  • 出張時の移動に必要な往復の新幹線代
  • 出張中に泊まるホテルの宿泊費
  • 取引先とのディナーで利用するレストランの会食費用

仮払経費精算書

仮払経費精算書は、事前に仮払いを受けた金額の精算を行い差額を申請するための書類です。仮払経費申請書によって受け取った金額が、どのような経費に使われたかを報告する役割も担っています。仮払金が余った場合は余剰金を返却し、不足している場合は不足分を受け取るために必要です。

仮払金の精算のためには、原則として領収書やレシートなどの証拠書類を添付しなければなりません。仮払経費精算書を正確に作成するには、経費として認められる項目の把握が必要です。経費と認められる内容を知らなければ正確な精算ができないため、従業員が損をしたり、企業のお金を誤って使ったりする可能性があります。

仮払経費精算書を用いる具体例

仮払経費精算書を使用する具体例としては、以下のような支払いが挙げられます。

  • 会議に使用する会場費やお茶代、書籍代
  • 出張先までの移動に使用したタクシー代
  • 行事開催の際の差入弁当代

▼仮払いや仮払経費申請書・仮払経費精算書については、以下の記事で詳しく解説しています。

「仮払いの精算方法を解説!勘定科目「仮払金」の仕訳例と会計処理を効率化する方法」

出張旅費精算書

出張旅費精算書とは、社命による出張の際に発生した経費を精算するための書類です。主に、移動に要する交通費や宿泊費、日当などが経費精算の対象となります。

出張旅費には宿泊費や交通費だけでなく、日当も含まれるため注意が必要です。日当は出張手当とも呼ばれ、出張中の食費や通信費に充てるために支給される手当です。宿泊費と交通費は実費で精算されますが、出張手当については1日当たり一定の金額が支給されるのが一般的です。

また、企業によっては出張にともなう費用の上限が設定されている場合もあるため、ルールにしたがって正確に申請を行う必要があります。

出張旅費精算書を用いる具体例

出張旅費精算書では、具体的には以下のような費用を対象としています。

  • 業務で遠方へ出張した際にかかる航空券や新幹線などの費用
  • 出張中に宿泊したホテルや旅館の宿泊代

▼出張旅費精算については、以下の記事で詳しく解説しています。

「出張旅費精算とは?混同しやすい経費や精算の流れ・ポイントを解説」

交通費精算書

交通費精算書は、従業員が業務中の移動で発生した交通費を立て替えた場合に、その費用を会社から精算してもらうためのものです。従業員は会社の規定にしたがった交通手段や区間を使用したことを証明し、経費として請求します。

なお、通勤にかかる交通費については、通勤手当としてあらかじめ支給されるため、交通費精算書の対象外です。交通費精算書が必要となるのは、営業で各所を訪問したり、取引先との打ち合わせに行ったりする際の移動費用などです。

交通費精算書を用いる具体例

交通費精算書が使用される具体例としては、次のような支払いが挙げられます。

  • 業務中に利用した電車やバスの運賃
  • 社用車を使用した際のガソリン代

▼交通費精算書については、以下の記事で詳しく解説しています。

「交通費精算書の書き方は?記載事項や作成する際の注意点なども解説!」

旅費精算書

旅費精算書は、社員旅行や出張で支払いをした経費を精算するためのものです。企業によっては出張旅費精算書と兼用していることもあります。

また、外資系の会社や海外出張が多い会社では、出張前に航空券代や宿泊代を支払い、出張後にそのほかの費用を旅費精算書として提出することもあります。そのため、どの書類を提出すべきか、事前に会社に確認しておくことが重要です。

旅費精算書を用いる具体例

旅費精算書が活用される具体例としては、以下のような費用が挙げられます。

  • 出張先で業務のために利用したレンタカー代
  • 社員旅行で宿泊したホテルの宿泊費

経費精算書の書き方

経費精算書は、従業員が精算期日に間に合うように領収書をまとめて金額を集計し、必要事項を記入して作成します。記載事項は社内の経費精算規定にしたがい、正確に記入することが重要です。また、社内で経費精算書の指定のテンプレートがある場合には、そちらを利用しましょう。

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以下に、経費精算書の具体的な書き方を紹介します。

1.科目別に金額を計算する

経費精算書では、消耗品費、接待飲食費、旅費交通費、通信費など、勘定科目別に金額を集計します。科目ごとに金額をまとめることで、それぞれの経費項目に費やされた金額が明確になり、経費削減や予算編成などの経費管理がしやすくなります。

従業員が勘定科目に詳しくない場合でも、社内規定にわかりやすく定義を設けたり、経理とのワークフローを整備したりするなど、簡単に科目別の計算ができる仕組みがあると便利です。

2.経費精算書に必要な項目を記入する

経費精算書に記入する項目は、企業や経費精算書の種類によって異なりますが、一般的には以下の項目を記入します。

  • 氏名/所属部署名
  • 申請日
  • 支払い日
  • 支払い先
  • 用途(目的)
  • 金額

上記に加えて、企業によっては備考欄に交通費の詳細や申し送り事項を記入する仕様になっている場合もあります。また、経費の勘定科目を記載する欄が設けられていることもあります。

必要項目を正確に記入することで経費精算がスムーズに進み、あとの確認作業や会計処理を効率的に行えるでしょう。

経費精算書を書くときの下準備と申請の流れ

経費精算書を書く際は事前に下準備を行い、正確に作成して申請することが大切です。

ここでは、経費精算書を書くときの下準備と申請の流れを解説します。

経費精算書を書くときの下準備

経費精算書を作成する前に、会社で定められた精算期日に合わせて、月ごとにレシートや領収書をまとめる必要があります。これは、企業の会計業務における「発生主義の原則」に基づき、経費が発生した時点で速やかに精算し、すべての費用や収益をその期間内に処理するためです。

月ごとにレシートや領収書をまとめておくことで、経費精算をスムーズに行え、税務調査の備えにもなります。

経費精算の申請の流れ

経費精算を申請する流れは以下のとおりです。

1.経費精算書の作成と確認を行う

下準備ができたら経費精算書を作成し、記入漏れや誤りがないか確認します。必要書類がそろっていること、金額や支払い先などの情報が正確であることも再確認しましょう。

2.経理担当者に提出する

経費精算書の作成が完了したら、領収書やレシートなどの添付書類と一緒に経理担当者に提出します。その後、経理担当者は内容を確認し、問題がなければ承認します。記入漏れやミスがある場合は、従業員に差し戻されることがあります。

3. 精算金額を受け取る

従業員は、後日、会社が定めた方法で精算金額を受け取ります。返金方法には、数日後の現金返金、翌月の給与と合算しての銀行振込、または精算分のみの銀行振込などがあります。会社の規にしたがって受け取りましょう。

【従業員向け】経費精算書を作成し、経費精算を申請するときの注意点

従業員が経費精算書を作成する際は、使用した経費の正しい金額を申請することが重要です。そのためには、領収書や記録を確認し、誤りがないよう注意しましょう。

交通費の記録をつけておく

交通費は、飛行機や新幹線などを利用しない限り、金額がわかる書類がないケースが多い経費です。金額はインターネットで調べられますが、日頃から記録をつけておくようにしましょう。

情報を正確に経費精算書に記入するために、訪問先や利用した駅・バス停、かかった交通費について、日報や手帳などに記録をつけておくことが重要です。

添付書類も忘れずに用意する

経費精算書には、必ず領収書やレシートなどの証拠書類を添付して提出しましょう。これにより、支払いの事実や経費としての適切性を証明することが可能です。

添付書類についてルールを設けている会社もあります。たとえば、領収書の宛名を必須とする場合や、一定の金額以上の支払いについては領収書のみを受け付け、レシートは不可とする場合などが挙げられます。事前に、経費精算に関する会社の規定を確認しておくことが大切です。

▼経費精算に領収書が必要な理由については、以下の記事で詳しく解説しています。

「領収書なしでも経費精算は可能?紛失や発行されない場合の対処法」

金額に誤りがないか確認する

経費精算書で重要なのは、金額が正確であることです。1項目ごとの経費確認だけでなく合計金額も確認し、セルフチェックを徹底しましょう。

金額に誤りがあれば、差し戻しが発生して経費精算書を修正する手間が発生してしまいます。

提出期日を厳守する

企業では一般的に、経費精算書の提出期日が設けられています。そのため、期日を守ることが非常に重要です。

提出期日を過ぎると、経費精算の申請が受理されなかったり返金処理が遅れたりする可能性があるため、注意が必要です。期日を守り、経費精算がスムーズに進むようにしましょう。

【経理担当者向け】経費精算書の処理を円滑にするための注意点

経費精算書の処理をスムーズにするためには、会社側や経理担当者側で環境を整えることも重要です。そのためには、以下の施策が有効です。

マニュアルの整備や見直しを行う

経理担当者は、従業員がわかりやすい経費精算書の作成マニュアルを整備することが重要です。マニュアルには経費精算のルールや手順、具体的な記載例を含めることで、従業員が記入方法をイメージしやすくなり、経費精算書の作成における手間や不備を減らすことができます。

また、マニュアルは社内の規則や制度の変更に合わせて、定期的に見直して最新の情報を反映させましょう。

テンプレートを自社向けに整える

経費精算書のテンプレートを自社向けに調整・編集することで、従業員がより記入しやすくなります。従業員が記入しやすいように項目を工夫することで、申請作業の時間短縮や必要な項目の漏れを防ぎ、計算ミスも減らせるでしょう。

また経理担当者にとっても、申請ミスによる差し戻しの手間が減るうえ、フォーマットが統一されることでチェックや修正がしやすくなります。

経費精算システムを活用する

手書きでの経費精算書作りには、時間や手間がかかり、ミスが発生しやすいというデメリットがあります。

経費精算業務をスムーズに行うためには、経費精算システムの導入を検討することが有効です。

経費精算システムを利用すれば、駅名や交通手段を入力するだけで自動的に経費を計算できるため、計算ミスをなくし、経理担当者の確認作業や計算作業を大幅に削減することができます。また、時間のかかる仕分け作業も自動化できるため、業務全体の効率化が可能です。

経費精算業務の効率化により、ほかの業務を進める時間を確保でき、生産性の向上にもつながります。

 

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