
納品書を電子化するには?電子帳簿保存法への対応方法や注意点も解説
- 記事公開日:
- 最終更新日:2026-08-10
- この記事の3つのポイント
- 納品書の電子化は、スキャンのほかWordやExcelを使う方法・専用システムの利用などがある
- 納品書の電子化は定められた保存要件を満たす必要があり、保存方法により要件が異なる
- 納品書の電子化は、社内ルールの整備や取引先への同意取得・セキュリティ対策が必要である
納品書を電子化するには?電子帳簿保存法への対応方法や注意点も解説
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納品書の電子化は業務効率化やコスト削減にもつながる取り組みですが、保存要件や運用ルールを正しく理解していなければ、法令違反となる可能性もあります。
本記事では納品書を電子化する方法や保存要件、メリット・デメリット、注意点を解説します。
納品書は電子化できる?
納品書とは、顧客に商品やサービスを納品した事実を証明する書類です。法的な発行義務はありませんが、発行・受領した場合は、法人税法等に基づき7年間(欠損金が生じた事業年度などは10年間)保存する必要があります。
紙の納品書は、2005年の電子帳簿保存法改正により、一定の要件を満たせばスキャン文書の保存が認められています。2022年1月の同法改正により、タイムスタンプや検索要件の緩和、事前承認制度の廃止など、スキャナ保存の要件が緩和されました。
一方で2024年1月からは、メールやシステムなどで受け取った納品書を紙に印刷して保存する方法は認められず、電子データのまま保存する必要があります。猶予措置の適用を受ける場合でも、電子データ自体の保存は必要です。
今後は法令対応と業務効率化の観点から、納品書の電子化を進める企業がさらに増えていくでしょう。
納品書の必須項目や請求書の違いなどは、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
関連記事:納品書とは?必須項目や書き方、請求書との違いなどわかりやすく解説
納品書を電子化する方法
納品書の電子化には、現在の業務フローや予算、運用体制に応じて複数の方法があります。それぞれにメリット・デメリットがあるため、自社に合った方法を選ぶことが重要です。
本章では代表的な3つの方法と、それぞれの特徴を解説します。
紙の納品書をスキャンして保存する
紙で受け取った納品書は、スキャナや複合機で読み取り、電子データとして保存できます。電子帳簿保存法の改正によりスキャナ保存の要件も緩和され、以前より導入しやすくなりました。
OCRを利用すれば、スキャンした納品書をテキストデータへ変換でき、取引先名や金額などで検索しやすくなります。入力作業や転記ミスの削減につながるだけでなく、書類管理の効率化や検索性の向上にも役立つでしょう。
光学文字認識のAI-OCRの仕組みや活用ポイントは以下の記事で詳しく解説しているので、本記事と併せてご覧ください。
関連記事:請求書のデータ化を効率的に!AI-OCRの仕組みや活用ポイントを解説
WordやExcelで納品書を作成する
WordやExcelで納品書を作成し、PDF化してメールなどで送付する方法もあります。Microsoft Officeがあれば追加費用を抑えて始められるため、小規模事業者でも導入しやすい点がメリットです。
一方で書類の管理や保存を手作業で行う場面が多く、件数が増えると検索や管理が煩雑になりやすいほか、セキュリティ対策も自社で講じる必要があります。運用ルールを整備しなければ、保存漏れや管理ミスが発生する可能性もあるため注意しましょう。
専用システムで電子納品書を発行する
納品書の作成から送付、受領、保管までを一元管理したい場合は、専用システムの導入がおすすめです。電子帳簿保存法に対応したシステムであれば、タイムスタンプの付与や適切な保存要件を満たしやすく、法令対応を効率化できます。
また帳票管理の自動化や高いセキュリティにより、業務負担や情報漏えいリスクを軽減できます。一方で導入・運用コストやシステムの設定期間が必要になる点には注意が必要です。
請求書発行システムについては、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
関連記事:請求書発行システムとは?機能・種類・メリット・選び方まで徹底解説
電子帳簿保存法に基づいた保存要件
納品書を電子化する場合は、電子帳簿保存法で定められた保存要件を満たす必要があります。保存方法によって必要な要件が異なるため、スキャナ保存と電子取引データ保存の違いを理解しておきましょう。
スキャナ保存の要件
紙で受け取った納品書を電子化して保存する場合は、電子帳簿保存法に定められた「スキャナ保存」の要件を満たす必要があります。要件を満たして保存した場合は、原則として紙の原本を廃棄することも可能です。
主な要件は以下のとおりです。
項目 | 主な要件 |
|---|---|
入力期間 | 書類受領後定められた期間内にスキャンする |
読み取り品質 | 解像度200dpi以上で読み取る |
真実性の確保 | タイムスタンプの付与、または訂正・削除履歴が残るシステムを利用する |
可視性の確保 | データを閲覧できる機器やシステム関連書類を備え付ける |
検索機能 | 取引年月日・金額・取引先などで検索できる状態にする |
検索機能や真実性を確保するための措置は原則として必要です。なお、税務調査等の際にデータのダウンロードの求めに応じられるようにしている場合は、範囲指定や項目を組み合わせた検索機能の確保は不要となります。
なお2024年1月以降は一部要件が緩和され、カラー情報や読み取り情報の保存などが不要となった項目もあります。
電子帳簿保存法については以下の記事で詳しく解説しているので、併せてご覧ください。
関連記事:電子帳簿保存法とは?対象書類・保存要件・改正内容・対応策を一挙に紹介
電子取引データ保存の要件
メールやクラウドサービスなどで受け取った納品書は、電子データのまま保存する必要があります。その際は、電子帳簿保存法で定められた「真実性の要件」と「可視性の要件」の2つを満たさなければなりません。
真実性の要件とは、保存した電子データが改ざんされていないことを証明できる状態を指します。具体的には、タイムスタンプを付与する、訂正・削除履歴が残るシステムを利用する、不当な訂正・削除を防止する事務処理規程を整備するなどの方法で対応します。
一方で可視性の要件とは、必要なときに電子データをすぐ確認できる状態を維持することです。
保存したデータを閲覧できるパソコンやディスプレイを備え付けるほか、システムの概要書を保管し、取引年月日・金額・取引先などの条件で検索できる環境を整えることが必要です。これらの要件を満たせば、税務調査にも適切に対応できるようになります。
なお電子取引データ保存では、基準期間の売上高5,000万円以下の事業者等がデータのダウンロードの求めに応じられる場合、検索機能の確保は不要です。自社が対象となるか確認しておくとよいでしょう。
電子帳簿保存法のタイムスタンプについて、仕組みや不要なケースなどは以下の記事で詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
関連記事:電子帳簿保存法のタイムスタンプとは|仕組みや改正の変更点、不要なケースなど解説
納品書を電子化するメリット・デメリット
納品書の電子化には、業務効率化やコスト削減などの多くのメリットがある一方で、導入時の費用や運用面での課題もあります。導入後のミスマッチを防ぐためにも、メリット・デメリットの両方を理解しておきましょう。
メリット
納品書を電子化する主なメリットは以下のとおりです。
- 保管コストを削減できる
- 業務効率が向上する
- テレワークにも対応しやすい
- 紛失・劣化リスクを軽減できる
納品書を電子化すると、印刷代や郵送費、ファイリングに必要な保管スペースなどのコストを削減できます。また書類の作成・送付・検索・保管をシステム上で行えるため、データ入力や書類を探す手間が減り、業務効率の向上にもつながります。
さらに電子データはインターネット環境があれば場所を問わず確認できるため、テレワークでも納品書の発行や確認が可能です。紙の書類のように紛失や経年劣化、汚損の心配も少なく、アクセス権限を設定することで情報漏えい対策にも役立ちます。
加えて納品書を取引システムや会計システムと連携できれば、転記作業や入力ミスの削減にもつながります。業務全体のペーパーレス化を進めやすくなり、担当者の負担軽減や生産性向上も期待できるでしょう。
デメリット
納品書を電子化する主なデメリットは、以下のとおりです。
- 初期費用や運用コストがかかる
- 取引先が電子化に対応していないとメリットが半減する
専用システムを導入する場合は、初期費用や月額利用料などのコストが発生します。また既存の業務フローを見直す必要があり、導入当初は運用に時間や手間がかかることもあるでしょう。
加えて、取引先が電子化に対応していない場合、紙の納品書を求められるケースがあります。その場合は電子と紙の両方を運用する必要があり、業務負担が増える可能性があります。そのため導入前には、取引先の運用状況も確認しておくことが重要です。
納品書を電子化する場合の注意点
納品書の電子化をスムーズに進めるには、システムを導入するだけでは十分ではありません。社内体制の整備や取引先との調整、情報セキュリティ対策など、事前に押さえておきたいポイントを見ていきましょう。
社内ルールを整備する
納品書を電子化する際は、運用ルールを社内で統一し、マニュアル化しておくことが重要です。担当者ごとに保存方法やファイル名が異なると、検索性が低下したり、法令要件を満たせなくなったりする可能性があります。
書類サイズや解像度、ファイル名・フォルダ名のルール、保存形式などをあらかじめ決めておきましょう。誰が対応しても同じ品質で運用できる体制を整えられれば、業務の属人化や運用ミスを防止できます。
取引先企業に同意を得る
納品書の送付方法を電子化へ変更する場合は、自社の都合だけで一方的に進めると、取引先との関係に支障が出る可能性も否定できません。受け取り側である取引先も、保存方法や社内ルールの変更が必要になるため、事前に理解と同意を得ることが大切です。
導入前には取引先へ変更時期や受け取り方法を案内し、電子化によるメリットも併せて説明するとスムーズです。また、紙での受領を希望する取引先への対応方針も決めておくことで、混乱を防ぎながら移行を進められます。
セキュリティ対策を行う
電子化した納品書には、取引先情報や取引金額などの重要な情報が含まれるため、適切なセキュリティ対策が欠かせません。情報漏えいが発生すると、企業の信用低下や損害賠償につながるおそれがあります。
部署や役職ごとにアクセス権限を設定し、アクセスログを記録できるシステムを導入することが重要です。データの暗号化や定期的なバックアップ、セキュリティソフトの導入なども併せて実施すれば、不正アクセスやウイルス感染によるリスクを低減できます。
セキュリティ機能が充実した専用システムを活用することも、有効な方法です。
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納品書の電子化は、電子帳簿保存法への対応だけでなく、業務効率化やコスト削減、テレワークへの対応など多くのメリットがあります。一方で、法令に沿った保存要件を満たしながら運用するには、適切なシステムを導入することが重要です。
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