法人カードの審査基準と審査に落ちないための対策
- 記事公開日:
- 最終更新日:2024-09-26
法人カード(ビジネスカード・コーポレートカード)を作るためには、審査が必要です。審査基準はカード会社によって異なり、詳細は公開されていませんが、法人および代表者本人の信用情報や経営実績、財務情報などから、信頼性や支払い能力を総合的に判断します。審査に通過しやすくするためには、法人代表者のクレジットヒストリーを良好に保つとともに、法人口座の開設や開業届の提出などの準備をしておきましょう。
本記事では、法人カードの審査基準や審査対象、審査に落ちないための対策を詳しく解説します。
法人カードの審査対象
法人カードの審査対象は、法人の場合、法人および法人代表者です。カード会社やカードの種類によっては、法人代表者の信用情報のみを審査するビジネスカードも存在します。また、個人決済型のコーポレートカードでは、カードを使用する個人も審査対象となります。個人事業主の場合は、個人事業主本人が審査対象です。
法人カードの審査基準
法人カードの審査は、カード会社独自の審査基準に則って行われており、詳しい基準は公開されていません。したがって、審査基準はカード会社によって異なります。
ただし、法人カードの審査は、カードを作成する法人や個人事業主に支払い能力があるかを調べるために行われるものです。そのため法人の経営実績や財務情報に加え、代表者本人の信用情報などが審査されると考えられます。特に個人事業主の場合は、事業主個人の信用情報が審査に大きく影響するようです。
また、カードのランクによっても審査を通過する難易度は変わります。法人カードは、一般的に「一般カード」「ゴールドカード」「プラチナカード」「ブラックカード」の順にランクが上がっていきます。ランクが上がれば上がるほど、利用限度額が高くなるため、審査も厳しくなる傾向にあります。
経営実績・財務情報
経営実績として、事業年数が長いと経営が安定していて社会的信用度が高いと判断できるため、法人カードの審査にプラスになると考えられます。また、財務状況については、黒字であるほうが望ましいですが、赤字だからといって必ずしも審査に落ちるわけではありません。これは、それぞれあくまで一つのポイントであって、審査自体は経営実績や財務情報、信用情報などから総合的に行われるためです。
ただし、事業年数3年以上や黒字決算を申し込み条件とする法人カードも存在するため、申請前に経営実績や財務情報などの条件を確認しておきましょう。特に、利用限度額が高いゴールドカードやプラチナカードなどの高ランク法人カードでは、数期連続の黒字決算を求められることが一般的です。
法人代表者や個人事業主の信用情報
法人の場合は法人代表者本人、個人事業主の場合は事業主本人の信用情報が重視されると考えられます。信用情報とは、クレジットカードの利用状況やローン返済状況などのことで、客観的に顧客が信用できるかどうかを示すための情報です。クレジットカードの利用やローン返済履歴は、クレジットヒストリーとも呼ばれます。信用情報は、個人信用情報機関に一定期間登録され、カード会社は審査時に顧客の信用性を判断するための参考資料として活用します。そのため、法人代表者や個人事業主本人のクレジットヒストリーに金融事故情報が記録されている(いわゆるブラックリストに載っている)場合、審査に影響が出る可能性があります。
過去に返済の遅延があったかどうか知りたい場合は、以下の信用情報機関に確認することができます。
法人カードの審査に落ちる可能性があるケース
法人カードの審査では、法人の経営状態や、会社経営者の信用情報が芳しくないと、法人カードの審査に落ちる可能性が高まります。一方で個人事業主は審査に通りにくいと思われがちですが、安定した収入があり、事業者自身の信用情報が良好であれば審査に通ることは十分にあります。事業の規模よりも、やはり重要なのは経営状態や信用情報ということです。
法人や個人事業主が法人カードの審査に落ちるケースとしては、以下のようなものが挙げられます。
法人代表者または個人事業主本人に2カ月を超える長期延滞がある
法人代表者や個人事業主本人に2カ月を超える長期延滞があると、信用情報に事故情報として登録され、法人カードの発行が難しくなる可能性があります。なお個人決済型法人カードの場合は、カードを使用する本人も該当します。
過去に債務整理をしている
債務整理とは、債権者に対して借金の減額や返済方法の決め直しを交渉することです。債務整理には、債権者に直接交渉する「任意整理」や、裁判所に申し立てをして借金を大幅に減額してもらう「個人再生」、裁判所に申し立てをして借金を免責にしてもらう「自己破産」などがあります。
これらの債務整理は、支払い能力の有無を判断する基準の一つとされ、信用情報に登録されます。そのため、法人または法人代表者が過去に債務整理をしていると、法人カードの審査に通りにくくなる可能性があります。
会社を設立したばかりで実績がない
法人カードによっては、会社の経営実績も審査の対象になることが考えられます。そのため、会社を設立したばかりで判断できる実績がないと、審査に通りにくくなる場合があります。
この場合、審査に通りやすくするために、法人関連書類の提出が不要なカードを選ぶといった対策が考えられます。
設立直後の会社が法人カードを作るためのポイントを以下の記事で詳しく解説しています。
法人カードの審査に落ちないための対策
法人カードの審査では法人や法人代表者、個人事業主の信用性が重要です。そのため、外部から見てもわかる形で安定的な事業運営の事実を用意しておくだけでなく、法人代表者や個人事業主本人のクレジットヒストリーを良好に保っておく必要があります。
法人名義の銀行口座を開設する
法人カードの引き落とし口座は、個人事業主を除いて基本的に法人名義の口座となります。カード会社によっては法人代表者の個人名義の口座でも申し込みできるケースもありますが、法人と個人の資産の違いが不明瞭で、審査が通りにくくなる可能性があります。法人格を持った企業であれば、法人名義の銀行口座を作っておいたほうが無難です。
自宅ではない場所に事務所を構える
事務所が自宅にある場合は、法人として事業を行っていることが外から見てわかりにくく、審査に時間がかかったり、通らなかったりする可能性があります。自宅ではない場所に事務所を構えたほうが法人としての信頼を得やすくなり、法人カードの審査がスムーズに進むこともあります。
開業届を提出する
個人事業主の場合は、開業届を提出しておきましょう。開業届とは、個人が事業を立ち上げたことを示すために提出する書類で、正式名称は「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」と呼ばれます。事業の開始1カ月以内に税務署に提出することが義務付けられています。提出しなかった場合に罰則はありませんが、信用を担保するためにも開業届を提出することは大切です。
個人のカードやローンの支払い遅延に注意する
信用情報を良好に保つために、法人代表者や個人事業主は、日ごろから個人カードや税金、ローン、スマートフォンの分割払いなどの支払い遅延を起こさないように注意しましょう。
万が一、支払いが遅延してしまった場合には、速やかに支払いを行ってください。また情報の種類にもよりますが、信用情報機関に記録が残るのは通常5~10年程度です。クレジットヒストリーに問題がある場合は、この期間を経てから申し込みを行ったほうがよいでしょう。