消費税の確定申告とは?対象者や期限、計算方法・申告のやり方を解説
- 記事公開日:
- 最終更新日:2026-10-07
- この記事の3つのポイント
- 消費税の確定申告とは、消費者から一時的に預かった消費税を申告・納付する手続きのこと
- 対象者は期日までに申告・納付する必要があり、違反した場合はペナルティが科される可能性がある
- 消費税の納付税額を計算する方法は2つあり、適切な方式を用いて正しく計算・申告することが大切
消費税の確定申告とは?対象者や期限、計算方法・申告のやり方を解説
一定の要件を満たす課税事業者は、毎年決められた期限内に消費税の確定申告を行う必要があります。消費税の確定申告は「消費者から預かった消費税を申告・納付する手続き」のことで、期限内に正しく行わない場合は、ペナルティが科されることがあるため注意が必要です。
本記事では、消費税の確定申告の目的や対象者、計算方法などを解説します。申告のやり方もわかりやすく紹介するので、ぜひ参考にしてください。
消費税の確定申告とは?
消費税の確定申告とは、納めるべき消費税額を税務署に申告・納付する手続きのことです。
消費税(8%または10%)は、消費者が直接国や地方自治体に納めるわけではありません。事業者が消費者から消費税を預かり、確定申告を通じて「事業者から国・地方自治体」に納付します。
納めるべき消費税額は、原則として「課税売上高にかかる消費税額」と「課税仕入れにかかる消費税額」をもとに算出します。
消費税法や法人における消費税について詳しく知りたい方は、ぜひこちらの記事を参照ください。
関連記事:消費税法とは?改正内容や課税対象要件、税額の計算方法などを解説
関連記事:法人における消費税とは?課税対象の取引や仕組み、計算方法を解説
消費税の申告が必要な事業者
消費税の確定申告が必要なのは、以下の要件に該当する課税事業者です。
- 基準期間の課税売上高が1,000万円を超える場合
- 特定期間の課税売上高が1,000万円を超え、かつ特定期間における給与などが1,000万円を超える場合
- 適格請求書発行事業者を選択している場合
基準期間は、原則として前々年の期間です。一方、特定期間は課税事業者に該当するか否かを判定するための「前年の前半6カ月間」を指します。両者の具体的な時期は、以下のとおり法人・個人事業主で異なります。
期間 | 基準期間 | 特定期間 |
|---|---|---|
法人 | 前々事業年度 | 前年の事業年度開始の日以後6カ月間 |
個人事業主 | 前々年の1月1日~12月31日 | 前年の1月1日~6月30日 |
なお、基準期間の課税売上高が1,000万円以下であっても「消費税課税事業者選択届出書」を提出している場合は課税事業者に該当し、消費税の確定申告が必要です。消費税課税事業者選択届出書は、課税事業者を選択するために税務署へ提出する届出書を指します。
課税事業者であるにもかかわらず確定申告を行わない場合は、ペナルティが科される場合があるため、正しく理解しておくことが大切です。
参考:国税庁「No.6501 納税義務の免除」
消費税の免税事業者や適格請求書発行事業者(課税事業者)についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
関連記事:消費税の免税事業者とは?課税事業者との違い・インボイス制度による影響を解説
関連記事:「適格請求書発行事業者」とは?税務署への登録手続きと消費税納付の義務を解説
消費税の申告期限はいつまで?
消費税の申告期限は、法人か個人事業主かで異なります。まずは以下をご覧ください。
区分 | 申告期限 |
|---|---|
法人 | 課税期間(事業年度)終了の日の翌日から2カ月以内 |
個人事業主 | 課税期間(1月1日〜12月31日)の翌年3月31日 |
消費税の申告期限は、一般的にイメージされる所得税の確定申告とは若干異なります。たとえば法人の場合、2025年12月31日に事業年度が終了すれば、2026年2月末日までに確定申告を行う必要があります。
また、消費税の確定申告では、上記の期限内に申告と納付までを完了する必要がある点にも注意が必要です。
参考:国税庁「No.6601 申告と納税」
消費税の納付税額を計算する方法
ここでは、消費税の納付税額を計算する方法を解説します。
一般課税(原則課税)
一般課税(原則課税)とは、課税売上高に含まれる消費税から仕入れや経費で支払った消費税額を差し引き、納税額を計算する方式です。この差し引きを「仕入税額控除」と呼びます。
一般課税は、後述する簡易課税制度の適用を受けている事業者を除く、すべての課税事業者が選択できます。一般課税を用いた計算方法は、以下のとおりです。
消費税額 = 課税売上高にかかる消費税額 - 仕入れなどにかかる消費税額 |
|---|
なお、消費税の納付税額を算出する際には、売上にかかる消費税と、仕入れ等で支払った消費税を税率ごと(10%と8%)に区分して計算する必要があります。
こちらの記事では、消費税の軽減税率(8%)について解説しています。対象品目や具体例も紹介しているので、ぜひあわせてご覧ください。
関連記事:消費税の軽減税率の対象品目は?8%課税がされる商品の具体例と対応方法
簡易課税
簡易課税とは、実際の仕入れや経費にかかった消費税を細かく計算するのではなく、業種ごとにあらかじめ定められた「みなし仕入率」を使って消費税額を計算する方法です。
みなし仕入率は、簡易課税において「売上のうち、仕入れや経費はこのくらいの割合だろう」と国が業種ごとにあらかじめ定めた概算割合を指します。割合は40%〜90%まで、6つの事業区分に分類されています。
簡易課税で用いる計算式は以下のとおりです。
消費税額 = 課税売上高にかかる消費税額 -(課税売上高にかかる消費税額 × みなし仕入率) |
|---|
簡易課税では実際の仕入税額を管理する手間を省けるため、事務負担の大幅な軽減が可能です。ただし、簡易課税を選択できるのは、基準期間(個人事業主は前々年、法人は前々事業年度)の課税売上高が5,000万円以下の課税事業者に限られます。
また、簡易課税を用いるためには、適用を受けようとする課税期間の初日の前日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を税務署へ提出しておく必要があります。
2割特例
2割特例とは、インボイス制度の開始に伴い、免税事業者から課税事業者(適格請求書発行事業者)になった場合のみ選択できる計算方法です。課税売上高にかかる消費税額の80%を仕入れ等にかかる消費税額とみなし、消費税の納付税額を算出します。
2割特例を用いる場合の計算方法は以下のとおりです。
消費税額 = 課税売上高にかかる消費税額 -(課税売上高にかかる消費税額 × 80%) |
|---|
2割特例を受ける際に事前申請は必要ありません。確定申告書に特例を適用する旨を記載するだけで利用できます。
なお、2割特例を利用できる期間には以下のとおり制限があります。
- 個人事業主の場合:2023年10月1日から2026年12月31日まで
- 法人の場合:2023年10月1日から2026年9月30日を含む課税期間(事業年度)まで
特例の期限が過ぎたあとは「一般課税」か「簡易課税」のどちらかを選択して計算する必要があるため、事前に次の申告方法をシミュレーションし、準備を進めておきましょう。
インボイス制度による影響と2割特例について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
関連記事:インボイス制度による簡易課税事業者への影響と2割特例について
税抜経理方式と税込経理方式の違い
消費税の確定申告を行う際には、会計の処理方法として「税抜経理方式」と「税込経理方式」という2種類があります。
どちらを選択しても最終的な納付税額は同じですが、課税売上高の判定や確定申告の準備などが異なるため、両者の違いを正しく理解しておく必要があります。
ここでは、それぞれの特徴と違いをみていきましょう。
税抜経理方式
税抜経理方式とは、売上高と消費税額を区分して処理する方法です。課税売上高にかかる消費税を「仮受消費税等」、仕入れや経費で支払った消費税を「仮払消費税等」と処理します。
たとえば、税込22,000円で仕入れた商品を、税込33,000円で販売した場合は、以下の手順で仕訳を行います。
- 日々の取引:売上や経費から消費税を区分し、本体価格と消費税額を分けて記録する
- 決算時:1年間の「預かった消費税(仮受消費税等)」から「支払った消費税(仮払消費税等)」を相殺し、差額を「未払消費税等」として翌年に支払う負債に計上する
- 納付時:確定した消費税を国に納める
上記の例では、仕入にかかる消費税(仮払消費税等)が2,000円、売上にかかる消費税(仮受消費税等)が3,000円です。決算時にその差額である1,000円を「未払消費税等」に振り替え、納税額として確定させます。
税抜経理方式は、実際の売上と消費税を分けて管理できるため、期中でも納税額の見通しが立てやすくなります。ただし、取引ごとに消費税を区分して仕訳する必要があるため、後述する税込経理方式に比べて処理が煩雑になりやすい点を理解しておきましょう。
税込経理方式
税込経理方式とは、売上高や仕入額に消費税を含めて処理する方法です。取引ごとに消費税額を区分する必要がないため、税抜経理方式と比べて手間がかからず、日々の経理負担を軽減できます。
税込経理方式を用いる場合は、決算時に1年間の「消費者から預かっていた消費税」から「仕入れや経費で支払った消費税」を差し引いて納めるべき消費税額を計算します。消費税額は「租税公課(そぜいこうか)」の勘定科目を使い、まとめて経費として計上するという流れです。
経理の手間を軽減できる税込経理方式ですが、決算を迎えるまで実際の納税額や手元に残る正しい利益が見えにくい点を理解しておく必要があります。
こちらの記事では消費税の仕訳方法を解説しているので、気になる方はぜひご覧ください。
関連記事:消費税の仕訳方法とは?勘定科目や会計処理の違いについて解説
消費税の確定申告のやり方と流れ
ここからは、消費税の確定申告のやり方と流れを紹介していきます。
1.消費税申告書を作成する
消費税の確定申告を行う際は、はじめに申告書を作成します。消費税申告書は「一般課税方式」と「簡易課税方式」があるため、いずれか適切なものを用意しましょう。
申告書は、国税庁のサイトからダウンロードできます。また、税務署の窓口でも取得可能です。申告書の主な記載項目は以下のとおりです。
- 課税標準額
- 消費税額
- 控除対象仕入税額
- 差引税額
- 納付税額
ただし、一般課税方式と簡易課税方式とで様式が異なるため注意してください。
2割特例を利用する場合は、申告書の第一表にある「税額控除に係る経過措置の適用(2割特例)」の欄に丸印を付けて申告しましょう。
詳しい書き方については、国税庁「申告書(第一表及び第二表)の記入」をご確認ください。
参考:国税庁「消費税及び地方消費税の申告書・添付書類等」
参考:国税庁「申告書(第一表及び第二表)の記入」
2.申告に必要な添付書類を用意する
消費税の確定申告を行う際には、申告書のほかに課税方式に沿った添付書類を提出する必要があります。一般課税方式で確定申告を行う場合に必要な書類は以下のとおりです。
- 付表1-3 税率別消費税額計算表兼地方消費税の課税標準となる消費税額計算表
- 付表2-3 課税売上割合・控除対象仕入税額等の計算表
- 消費税の還付申告に関する明細書(還付を受ける場合)
一方、簡易課税で確定申告を行う場合には、以下の書類を添付します。
- 付表4-3 税率別消費税額計算表兼地方消費税の課税標準となる消費税額計算表
- 付表5-3 控除対象仕入税額等の計算表
なお、2割特例を利用する際は「付表6 税率別消費税額計算表」の提出が必要です。
課税方式によって必要な添付書類が異なるため、手続きをスムーズに進められるよう、事前に確認しておきましょう。
3.期限内に申告して納付する
消費税の申告に必要な書類を揃えたら、期限内に申告・納付を行います。消費税申告の期日は、法人の場合は「課税期間終了日の翌日から2カ月以内」、個人事業主は「課税期間の翌年3月31日」です。
税務署窓口のほか、e-Tax(電子申告)や郵送でも提出できます。申告後の主な納付方法は以下のとおりです。
- ダイレクト納付(e-Taxによる口座振替)
- クレジットカード納付
- コンビニ納付
- 振替納税(個人事業主のみ)
それぞれの詳しい納付方法は、国税庁のサイトからご確認ください。
参考:国税庁「【税金の納付】」
消費税の申告に関する注意点
ここでは、消費税の申告に関する注意点を解説します。
消費税の中間申告が必要になるケースがある
消費税申告で算出された消費税額によっては、通常の確定申告に加えて、年度の途中で税金の一部を申告・納税する「中間申告」が必要となる場合があります。対象となるのは、直前の課税期間の確定消費税額(地方消費税を含まない国税分)が48万円を超える事業者です。
加えて、中間申告の回数は直前課税期間の確定消費税額(国税分)に応じて異なります。それぞれの回数区分は以下のとおりです。
- 48万円超400万円以下:年1回(課税期間開始後6カ月の末日の翌日から2カ月以内)
- 400万円超4,800万円以下:年3回(3カ月ごと、各末日の翌日から2カ月以内)
- 4,800万円超:年11回(毎月、原則各末日の翌日から2カ月以内)
また、中間申告の納付金額を計算する方法には「予定申告方式」と「仮決算方式」の2種類があります。
予定申告方式は、直前の課税期間の確定消費税額をベースに、回数区分が年1回の場合は1/2、年3回なら1/4ずつ、年11回であれば1/12ずつを納付する方法です。
一方、仮決算方式では当課税期間の中間申告対象期間(年1回の場合は最初の6カ月間)を一つの決算期間とみなして仮決算を行い、その内容に基づいて算出した金額を納付します。
消費税の申告を忘れたらペナルティを科せられる場合もある
正当な理由なく期限内に申告をしなかった場合は、延滞税や無申告加算税、重加算税などのペナルティを科される場合があるため注意が必要です。
たとえば、延滞税は納付期限の翌日から納付するまでの日数に応じて、本来の納付額に一定の延滞税率が加算されます(延滞税率は毎年見直し)。
また、無申告加算税が課されると、納税すべきであった税額に対して、50万円以下は15%、50万円を超え300万円までは20%、これを超える場合は30%の税率が適用されます。
なお、申告期限が過ぎてしまった場合でも、税務署の調査前であれば無申告加算税が軽減されるなどの仕組みもあるため、発覚した際には速やかな対応が必要です。
消費税の申告に備えて日頃から正確な経理処理を行おう
課税事業者に該当する場合は、原則として消費税の確定申告が必要です。消費税の申告期限は一般的な所得税の確定申告と日程が異なるため、注意しなければいけません。
申告期限までに申告・納付を行わない場合は、延滞税や無申告加算税といったペナルティが科される場合があります。
消費税額を正しく計算し、適切に納付するためには日頃の正確な経理処理が不可欠です。一方、消費税額の計算方法は複数あるため、複雑に感じる方もいるでしょう。請求書処理を効率化し、消費税の申告に備えたい方は請求書受取システムを活用するのがおすすめです。
「バクラク請求書受取」は、AI-OCRによる請求書のデータ化に加え、適格請求書発行事業者の登録番号の確認や税区分の入力補完など、インボイス制度にも対応できるシステムです。
さらに、会計ソフトとのデータ連携にも対応しているため、請求書の受領から仕訳までの業務効率化にもつながります。日々の適切な経理処理と業務効率化を実現したい方は、ぜひ「バクラク請求書受取」の導入をご検討ください。