車を購入したときの勘定科目とは?車両の仕訳例や注意点を解説

車は頻繁に購入するわけではないため、仕訳もあまり発生しません。そのため、勘定科目について悩む経理担当者も多いです。この記事では請求書を発行する担当者に向けて、車を購入した際に使用する勘定科目について解説します。仕訳や注意点などについても解説するため、ぜひ参考にしてください。

経理の担当経験が浅い方向けの「虎の巻」

経理担当に役立つエクセルの関数・ショートカット集と、多用される勘定科目の一覧を収録しています。ChatGPTで活用できるプロンプト集も付録。

車を購入したときの勘定科目とは?車両の仕訳例や注意点を解説

車の購入費用は経費にできる?

車を購入するためにかかった費用は、経費として計上できます。ただし、経費として認められる費用は、あくまでも事業に関わる費用のみです。事業で使用するかどうかが基準になるため、計上する際は注意しましょう。

なお、車の購入費用は高額なケースが多いため、一括で計上せず減価償却する必要があります。

車の購入費用に使える勘定科目

車に関わる費用を計上するための勘定科目は、車両費です。ガソリン代、保険料、自動車税なども車両費として計上できます。支出に応じて細かく仕訳したいときは、保険料、支払手数料、租税公課などを使用する方法もあります。ただし、車本体の購入費用を計上する際は車両費を使用できないため、注意が必要です。

以下では、勘定科目ごとの仕訳例を解説します。

参考:ガソリン代を経費にする際の科目は?仕訳の注意点や金額の計算方法

参考:自動車税の勘定科目は何を使う?仕訳例や会計処理時の注意点

車両運搬具

車両本体の購入費用を計上するには、車両運搬具の勘定科目を使用します。購入の翌月に一括で支払う場合、タイミングを分けて以下のとおり仕訳をする必要があります。

借方貸方備考
車両運搬具1,500,000円未払金1,500,000円

車両代120万円、

諸経費30万円

未払金1,500,000円現金1,500,000円車両代、諸経費

支払手数料

支払手数料の勘定科目は、商品に対して付随する手数料や専門家に支払う報酬などを仕訳するために使用します。具体的には、車庫証明法定費用、検査登録法定費用、手続き代行費用などです。たとえば、車庫証明法定費用を現金で支払った場合、以下のように仕訳します。

借方貸方備考
支払手数料30,000円現金30,000円車庫証明法定費用

租税公課

租税公課の勘定科目は、国や地方に納める税金を仕訳する際に使用します。また、公共団体に収める会費や罰金などにも租税公課の勘定科目を使用できます。たとえば、現金で自動車税を支払った場合の仕訳は、以下のとおりです。

借方貸方備考
租税課税40,000円現金40,000円自動車税

保険料

車を購入すれば自動車保険に加入する必要があります。自賠責保険や任意保険などは、保険料の勘定科目で計上します。自動車保険の保険料を現金で支払った場合の仕訳は、以下のとおりです。

借方貸方備考
保険料120,000円現金120,000円自動車保険料

参考:保険料の勘定科目は?生命保険・損害保険など種類別の仕訳や受取金の経費処理

損害保険料の勘定科目・仕訳例

未払金

すでにサービスや商品を受け取っているものの、支払いはまだ完了していないときは、未払金の勘定科目を使用します。よって、車をローンで購入した場合は、未払金として計上する必要があります。

支払利息

利子割引料は、支払利息とも呼ばれます。資金調達の際の利息、備品や車両をローンで購入したときの利息などは、利子割引料の一部です。社用車をプライベートでも使ったり、自宅の一部を事務所にしたりするときは、家事按分により事業分のみを利子割引料として経費計上しなければなりません。

預託金

預託金は、一定の金額を無利子で預託先へ預けた場合に使用する勘定科目です。車を購入すれば、廃車する際にかかるコストをリサイクル料金として支払う必要があります。ただし、実際に費用がかかるタイミングは廃車時であるため、廃車するまでは預託金として処理します。

車の購入にまつわる費用

ここでは、車を現金一括、ローン、リースで購入した際の仕訳例について、それぞれ解説します。車を購入した際の条件は以下のとおりとします。

  • 車両本体:2,000,000円
  • 自動車税:25,000円
  • 自動車重量税:30,000円
  • 自賠責保険:27,180円
  • 検査登録代行:30,000円
  • リサイクル料:10,000円

現金一括の場合

車を現金一括で支払った場合、以下のとおり仕訳を行います。

借方貸方
車両運搬費2,000,000円現金2,122,180円
租税公課55,000円
保険料27,180円
支払手数料30,000円
預託金10,000円

租税公課は、自動車税と自動車重量税を合計して計上しています。

ローンの場合

車をローンで支払った場合、頭金を支払っていなければ未払金として仕訳する必要があります。具体的には、以下のとおりです。

借方貸方
車両運搬費2,000,000円未払金2,122,180円
租税公課55,000円
保険料27,180円
支払手数料30,000円
預託金10,000円

また、ローンを返済する際は、元本と利息を分けて計上する必要があります。仕訳例は以下のとおりです。

借方貸方
未払金50,000円普通預金55,000円
支払利息5,000円

リースの場合

オペレーティング・リースを利用した場合、実際の支払いはリース料を支払うタイミングで発生します。具体的には、以下のとおり仕訳を行います。

借方貸方
リース料30,000円現金30,000円

参考:自動車税の勘定科目は何を使う?仕訳例や会計処理時の注意点

中古車を購入した場合の仕訳方法

中古車の購入について仕訳する場合も、基本的には新車の仕訳と同様です。具体的には、以下のとおり仕訳を行います。

借方貸方
車両運搬費2,000,000円現金2,112,180円
損害保険料27,180円
支払手数料30,000円
租税公課55,000円

中古車の購入に関する勘定科目の基礎については、以下で解説します。

減価償却のために仕訳する

車の固定資産としての価値は年を追うごとに減少していくため、経費として計上できません。中古車を事業で使用する場合、減価償却で処理しましょう。減価償却は、資産の経年劣化を考慮し、税法で定められている年数で計上する仕組みです。仕訳を行う際は、税法上の償却年数を確認する必要があります。

参考:No.2100 減価償却のあらまし|国税庁

参考:減価償却費とは何かわかりやすく解説!資産となる・ならない例と計算方法

中古車の耐用年数を計算する

耐用年数とは、車の有形固定資産の減価償却年数のことです。資産の経年劣化を考慮して計上する期間を表しています。法定耐用年数は税法で決められており、新車の場合、普通自動車は6年、軽自動車は4年が基本です。中古車の場合、法定耐用年数は以下のとおり計算します。

  • 法定耐用年数を超えていない場合:法定耐用年数 – 経過年数 + 経過年数 × 0.2
  • 法定耐用年数を超えている場合:法定耐用年数 × 0.2

車の購入で経費計上する際の注意点

車の購入について経費を計上する場合、気をつけたいこともあります。具体的な注意点を解説します。

30万円未満は一括で経費計上ができる

車の購入にかかる費用は高額であるため、基本的に減価償却が必要です。ただし、例外もあります。具体的には、中古車の購入にかかる費用が30万円未満である場合です。少額減価償却資産の特例を受けられるため、購入費用を一括で計上できます。

事業で使用する年の取得価額の合計が300万円までなら特例を適用可能です。青色決算書を作成する際は、減価償却費の計算の摘要欄に「措置28の2」と記載してください。

仕事とプライベートで使用する場合は家事按分する

車を事業とプライベートの両方で使用する場合、全額を経費として計上できません。経費として計上できる金額は、あくまでも事業に直接関係する部分のみです。プライベートで使用する部分については、家事按分する必要があります。家事按分とは、事業とプライベートで利用する割合に応じて経費を計上する方法です。

家事按分の割合は一律で決まっているわけではないため、具体的な使用状況や証拠に応じて設定する必要があります。

名義は原則本人とする

個人事業主が車の購入費を計上するには、原則として本人の名義で購入する必要があります。ただし、生計をともにする親族が購入した車なら、例外的に経費としての計上が認められています。

まとめ

車の購入にかかる費用を計上する際は、さまざまなポイントがあります。支払い方法によっても細かい違いがあるため、状況に応じて適切に計上する必要があります。

バクラク請求書発行は、支払いに関わる業務を自動化できるツールです。稟議、仕訳、支払、管理などの一連の流れに素早く対応できます。インボイス制度や電子帳簿保存法にも対応しているため、法律に則った適切な対応が可能です。業務の負担を減らして効率的に進めるために、ぜひ導入をご検討ください。

請求書・見積書・納品書を簡単作成「バクラク請求書発行」

請求書・見積書・納品書等あらゆる帳票の作成、稟議、送付、保存の一連の業務をデジタル化。基幹システムから出力するCSVファイルを瞬時に変換し、様々な帳票のレイアウトを柔軟に作成・編集可能です。もちろんインボイス制度と電子帳簿保存法にも完全対応しているため、負担の大きなバックオフィスの業務を一律で効率化する機能を提供します。