勘定科目 「未払費用」は未払金と違う?仕訳や決算の注意点をわかりやすく解説

未払費用とは、決算時点でサービスや役務を受けたものの、その支払いが翌期に繰り越される費用を指す勘定科目です。企業が日常的に行う取引や業務の中で、決算期をまたぐ支払いはよく見られるものであり、未払費用はそのようなケースに用いられます。

本記事では、未払費用の概要や、同じように扱われることがある未払金との違いについても詳しく解説していきます。

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勘定科目 「未払費用」は未払金と違う?仕訳や決算の注意点をわかりやすく解説

勘定科目「未払費用」とは

勘定科目「未払費用」とは、決算時点でサービスや役務を受けたものの、その支払いが翌期に繰り越される費用を指します。たとえば、家賃や利息など、継続的にサービスを受けている場合、その支払いが決算時点でまだ行われていない場合に未払費用として計上されます。

これにより、当期に発生した費用を適切に損益計算書に反映させるための調整が行われ、企業の財務状況を正確に把握することができます。

未払金と未払費用の違いは?経費精算システムで正しい科目の選択を

「未払費用」と「未払金」の違い

未払費用は、継続的なサービスや役務の提供に関する未払い費用を指します。たとえば、家賃や利息など、定期的に発生する費用が該当します。一方、未払金とは、商品・サービスを購入した際にサービスなどの提供を受けたものの、代金の支払いが済んでいない場合に使用される勘定科目を指します。貸借対照表の5つの区分では「流動負債」に該当し、継続的な取引ではなく、単発の取引で使われる科目である点に注意しましょう。

また、未払金に該当するのは、営業活動以外の費用です。そのため、単発かつ後払いの取引であっても、売上にかかわる商品や材料の購入に関するものは「未払金」に該当しません。

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「未払費用」と「買掛金」の違い

未払費用は、企業が継続的なサービスや役務に対して支払いを行っていない場合に使用されます。例えば、保険料や家賃、利息などの未払いがこれに該当します。

一方で、買掛金は、物品の購入に関連する負債です。主に仕入れた商品や製品、原材料などの購入代金が、支払いが完了していない状態で計上されます。多くの場合、取引先との間で「掛け取引」が行われている場合に発生し、一定の支払期日に合わせて後日支払う形です。例えば、材料を購入し、代金は翌月に支払うという条件で取引を行った場合、その支払い義務は買掛金として計上されます。

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未払費用の種類

未払費用とは、決算日までにサービスや役務の提供を受けたものの、支払いが翌期に繰り越される費用を負債として計上するための勘定科目です。

以下は、代表的な未払費用の種類です。

  • 家賃や地代:賃貸契約に基づいて発生する家賃や地代の支払いが翌期に繰り越される場合、それらは未払費用として計上されます。特に継続的な賃貸借契約がある場合、決算日をまたいで支払期限が来ていない分は未払費用となります。
  • 利息:会社が借入金を持っている場合、その借入金に対する利息が決算時点でまだ支払われていない場合も、未払費用として扱われます。借入金に対する利息は継続的に発生するため、未払い分は負債として計上されます。
  • 保険料や給与:年間を通じて支払われる保険料の一部や、年度をまたいで支払われる従業員の給与も未払費用の典型的な例です。これらは決算日以降に支払いが行われることが多いため、支払義務がある分を未払費用として計上します。

未払費用の仕訳例

未払費用とは、企業が決算日までにサービスや役務の提供を受けたものの、その支払いが翌期に繰り越される費用を表す勘定科目です。

以下で、具体的な仕訳例を見ていきましょう。

1. 家賃の未払い

企業が賃貸契約に基づいてサービスを受け、家賃を支払っていない場合、その金額は未払費用として計上します。

例えば、25万円の家賃が翌月支払い予定であれば、以下のような仕訳が行われます。

  • 借方(費用):地代家賃 250,000円
  • 貸方(負債):未払費用 250,000円

翌期に家賃が支払われた時点で、未払費用として計上されていた金額を振り戻し、実際の支出として処理します。

  • 借方:未払費用 250,000円
  • 貸方:地代家賃 250,000円

2. 利息の未払い

企業が借入金に対して発生した利息を支払っていない場合、その金額も未払費用として処理します。例えば、40,000円の利息が未払いの場合、次のように仕訳します。

借方(費用):支払利息 40,000円

貸方(負債):未払費用 40,000円

翌期に利息が実際に支払われた際、振り戻し処理を行います。

借方:未払費用 40,000円

貸方:支払利息 40,000円

3. 給与の未払い

給与の支払いが決算日を過ぎて行われる場合、その金額も未払費用として計上されます。たとえば、50万円の給与が未払いの場合、以下の仕訳を行います。

借方(費用):給与手当 500,000円

貸方(負債):未払費用 500,000円

翌期に給与が支払われた時点で振り戻し処理を行い、未払費用を減少させます。

借方:未払費用 500,000円

貸方:給与手当 500,000円

4. 水道光熱費の未払い

水道光熱費が決算日までに支払われていない場合、その金額は未払費用として処理されます。30,000円の光熱費が未払いの場合、以下の仕訳が行われます。

借方(費用):水道光熱費 30,000円

貸方(負債):未払費用 30,000円

翌期に水道光熱費が支払われた際に、未払費用を減少させます。

借方:未払費用 30,000円

貸方:水道光熱費 30,000円

5. 保険料の未払い

企業が年間契約の保険料を支払っている場合、その支払いが翌期にまたがることがあります。12万円の保険料のうち、7か月分(70,000円)が未払いの場合、次のように仕訳します。

借方(費用):保険料 70,000円

貸方(負債):未払費用 70,000円

翌期に保険料が支払われた際に、未払費用を振り戻します。

借方:未払費用 70,000円

貸方:保険料 70,000円

未払費用を仕分けする際の注意点

未払費用を正確に仕訳するには、いくつかの注意点を守る必要があります。以下のポイントを押さえることで、決算の正確性を保ち、財務報告における誤りを避けることができます。

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決算日をまたぐ支払いか確認する

未払費用は、決算日をまたいで発生した費用であり、その時点でまだ支払いが完了していないものに対して適用されます。サービスや役務を受けたにもかかわらず、支払いが翌期に繰り越される場合に限り、未払費用として処理します。

この確認をせずに未払金として処理してしまうと、決算の正確性に影響を与える可能性があるため、注意が必要です。

ほかの勘定科目との混同を避ける

未払費用は、未払金や買掛金と混同しやすい勘定科目です。未払金は一度きりの取引で発生した未払い費用に対して使われますが、未払費用は継続的なサービスや役務に基づく未払い費用を意味します。

また、買掛金は商品仕入に関連する未払い債務を表します。取引の性質に応じて、正確な勘定科目を選択することが重要です。

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振り戻し処理を忘れず行う

決算時に未払費用として計上した負債は、翌期の初めに振り戻し処理を行う必要があります。この振り戻し処理を忘れると、同じ費用が二重に計上される可能性があり、企業の財務状態を正しく反映できなくなる恐れがあります。

特に期初に前期の未払費用を振り戻す仕訳を行い、その後の支払いに備えることが求められます。

まとめ

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