・顧問先の企業から「経理人材が不足している」という悩みを聞くことが増えていた
・クライアントの記帳、振込み、納税まで支援するため、実務担当者の負担が増えていた
・人が手作業で処理するため、入力や操作ミスの可能性が残っていた
・サービス名の思い切った変更や大型の資金調達にLayerXの「本気度」を感じた
・担当者から丁寧に対応してもらえた
・請求書の取り込みから振込実行までのフローがスムーズだった
・『バクラク請求書』を導入していなければ、現状の倍以上の手間と時間がかかっていた
・請求書情報の入力やチェックの手間が3分の1になった
・お客さまからは「これ、すごく便利だね」という声が寄せられている
札幌駅前に事務所を置き、株式会社はもちろん、医療法人や公益法人といった非営利法人のお客さまの課題にも向き合う税理士法人札幌中央会計。同法人の関連会社である株式会社AZUREでは、バックオフィスにおける人材不足という課題を解決するため、アウトソーシングによるBPO支援業務を提供しています。
同社では、経理人材の不足に悩むお客さまに対して、記帳や振込み、納税といった業務を請け負う経理代行サービスと『バクラク請求書』の導入を支援するサービスを展開しています。
今回は『バクラク請求書』の選定理由、取り組みの流れ、そして成果について、税理士法人札幌中央会計 代表社員の水野 克也(公認会計士・税理士)さん、株式会社AZURE 代表取締役CEOの鶴田 麻悟さん、同社代表取締役COOの熊谷 孝宏さんにお話を伺いました。
ー 株式会社AZUREの事業概要と、立ち上げの背景をお聞かせください。
水野さん:税理士法人札幌中央会計(以下、札幌中央会計)の有志によって株式会社AZURE(以下、AZURE)は設立されました。
札幌中央会計は創業者である公認会計士・税理士 川崎毅一郎事務所の理念に従い、会計を企業にとっての基本インフラと捉え、会計・税務・監査といった公認会計士・税理士の中核業務を実直に行ってきた事務所です。
AZURE設立の理由は、お客さまからクラウド会計、電子帳簿保存法、インボイス制度についての問い合わせをいただく機会が増え、導入支援の必要が生じたことがあります。
また、コロナ禍において経理人材の雇用維持が困難になったり、経理人材の供給が不足したりし、請求書の集計から振込手続き、納税、記帳に至る経理代行の要望も増えていました。
さらに、こちらが最も大きい理由になるのですが、有志の2人が北海道こそDXを進めるべきであり、当事務所クライアントの枠を超えて地域に貢献したいと要望したことです。
北海道は面積が広く、冬季の積雪から物理的な移動に時間がかかるので、DXを進める意義が大きいと考えたのです。
水野さん:現在のAZUREの活動は、①数多くあるクラウドソフト、SaaS系ソフトを徹底的に研究・試行錯誤した上で、お客さまに提案すべき組合せを選定する、②当該ソフトを駆使し、請求・債権管理・支払・納税の管理と記帳を有機的に結合して実行する、というものです。とにかくクライアントの負担を最小限に抑えることに注力しています。
口で言うのは簡単ですが、基本インフラをミスなく運用するのは膨大なノウハウとチェック体制が必要であり、日々成長途上です。
本来のDXの定義=「販売・購買・その他業務の発注段階から最終報告段階までの業務フローを抜本的に見直し、業務変革すること」も理解はしていますが、業務変革を伴うコンサルティングは莫大な時間を要し、対応できる人材も限られています。
そもそもDXへの投資は中小企業にとって敷居が高く、北海道で莫大な投資を行える主体は地方公共団体や大企業に限られています。
そのため、現実的にはDXの中でも請求書管理・支払業務の効率化、記帳代行の効率化、会計ソフト入力データを活用した経営計画の自動作成といった手堅い活動から始めています。次の段階では、業務の標準化、マニュアル化を進めるとともに、お客さまの業務フローを理解した上で、内部統制を意識しつつ業務の効率化を提案したり、「川下」の作業を意識しつつ「川上」の作業を整えるといった業務変革に貢献できる会社にしたいです。
ー 会計業界全般に対して、どのような問題意識をお持ちでしょうか。
鶴田さん:税理士を含め、業界全般の高年齢化をよく耳にします。若い人に比べて、高齢の税理士はどうしてもSaaSやデジタルに弱いです。また、北海道は東京よりも数年動きが遅く、DXの意識が低いという課題もあります。
税理士自身のDXに対する意識が低いままだと、お客さまの業務もDXが進みません。特に中小企業では、弁護士や社労士とは契約を結ばず、税理士が唯一のコンサルティングパートナーであるケースが珍しくありません。数字を含め、経営のさまざまな悩みを相談できる存在が、税理士なのです。
弊社の場合、代表の水野がSaaSやデジタルの必要性を理解していたため、他の事務所よりも先行して業務のデジタル化、DXに着手することができました。他の税理士の方も重い腰を上げ、まずは自社でデジタルを活用することから始めて、お客さまのDXを支援すべきだと思います。
ー 顧問先の企業から、経理業務に関してどのようなご相談が寄せられていたのでしょうか。
熊谷さん:「経理人材が不足している」というお悩みを聞くことが増えてきました。経理担当者の方が退職してもすぐに新しい人材を採用できた一昔前とは違い、現在は採用難から経理業務の引継ぎに難航している例が散見されます。
こうしたお客さまの課題に対して、私たちはクラウド会計ソフトを活用し、「記帳」、「振込み」、「納税」という三本柱の付加価値を強みとした経理代行を展開しています。
ー 経理代行業務において、貴社にはどのような課題があったのでしょうか。
熊谷さん:弊社の経理代行は記帳だけでなく、振込みや納税まで行っているため、一般的な経理代行よりも作業が増えてしまうことが課題でした。クラウド会計ソフトを導入して効率化しているとはいえ、弊社担当者の稼働コストがかかります。
また、人が作業することに変わりはないため、入力・操作ミスの可能性が残ります。特に振込みでは絶対にミスは許されないため、担当者同士によるダブルチェックが必要です。こうした属人的な業務を、SaaSによってシステマティックな業務にすることで、属人化を排除したいと考えていたのです。
ー 他社ツールと比較検討し、『バクラク請求書』を導入することになった決め手をお聞かせください。
熊谷さん:一通り他社サービスを触って比較検討しましたが、最終的な決め手は、会社としての攻める姿勢、つまり「本気度」です。『LayerXインボイス』から『バクラク請求書』への思い切ったサービス名の変更や、大型の資金調達などから「本気度」を感じました。
営業担当の方には、提案時からとても丁寧に対応いただいたことが印象的です。何のストレスもなく、ビジネスチャット上でコミュニケーションを取ることができました。また、レスポンスの速さだけでなく、新しい機能や企画、電子帳簿保存法への対応など、私たちが求めていることを的確にご提案いただけています。
水野さん:以下の3点に集約されます。
①バクラクを触っているとLayerXの経営者へのリスペクトを感じる点
②お客さまが購買取引に関する業務フローを変更した際に感じるであろう違和感・アレルギーが最小限に抑えられると考えられる点
③『バクラク請求書』を中心とした業務フローが、現在の「紙」中心の購買フローと親和性が高い点
ー 特に③について詳しく教えてください。
水野さん:現時点ではお客さまの購買フローは「電子データ」ではなく「紙」が中心です。
「紙」中心のフローを前提とすると『バクラク請求書』は「請求書のスキャン→読み取り→振込データ作成→上司による承認→承認記録の可視化→記帳」の流れに乗せやすいのです。
西欧先進国でもさほど普及率は高くないようですが、仮に将来Peppol対応が日常化した場合には、「請求書のスキャン」工程そのものが不要になるため、新しい思考が必要になるとは思います。
ー ツールの操作感や使い勝手については、どのように評価いただきましたか。
熊谷さん:請求書を確認して『バクラク請求書』に取り込み、振込実行までのフローがスムーズであった点が高評価です。ストレスがほとんどない操作感で使い勝手も良いですね。
例えば、画面上でミスがないか確認がしやすい工夫が施されています。完了済みのチェックマークをつけられたり、編集ができないようにロックをかけたりと、承認、確認作業による品質管理が容易です。また、画面のデザインも見やすく、これなら現場での活用も問題ないと判断して導入を決定しました。
ー 経理代行業務における『バクラク請求書』の導入状況を教えてください。
熊谷さん:現在、医療法人を中心に、およそ10社のお客さまの経理代行業務に『バクラク請求書』を活用しています。2名が実務を担当しており、一社あたり平均して毎月50枚ほどの請求書を処理しています。
担当者は2名共、もともとITが得意ではなかったのですが、処理する請求書の枚数が増えれば増えるほど、効率的に処理できるようになりました。
ー お客さまへの『バクラク請求書』のご紹介状況を教えてください。
熊谷さん:最近、毎月の請求書枚数がおよそ250枚の、比較的大きな病院のお客さまに『バクラク請求書』を導入いただきました。病院の経理では、請求書の8割が紙、残り2割がメール等での受領と、紙の実務が中心です。
ー 紙の実務中心からシステムを導入すると定着までに時間がかかりそうです。どのように伴走されていますか?
『バクラク請求書』を導入する際の初期設定はとてもシンプルですので、導入初月の振込から活用いただくことも珍しくありません。
弊社としても、なるべくお客さまのストレスとならないよう丁寧にマスタ設定等の事前準備をした上で、『バクラク請求書』の導入を支援しています。標準的には、1ヶ月目の振込みまでに設定を完了し、2〜3ヶ月でアフターフォローを実施しています。
アフターフォローでは、月に1,2時間のお打ち合わせを設け、ご活用状況に沿ったプラスアルファのご提案をしています。例えば、家賃は請求書がなく、契約書だけがある定期的な支払いです。この処理を毎月自動で起票できる、定期支払設定機能をご紹介したことがありました。
ー 『バクラク請求書』で評価いただいている機能を教えてください。
熊谷さん:改正電子帳簿保存法に対応しており、かつ取り込んだPDFをスキャナ保存か、電子帳簿保存か自動で判定してくれる機能が嬉しいですね。これにより、請求書を取り込む人と請求書を処理する人が違う場合でも、迷いがなくなります。例えば各支店からそれぞれ経理本部へ請求書を集めるケースなどです。
スキャナ保存の場合は電子帳簿保存と違い、期限や解像度などの適用要件があります。そのため、両方が一つに混ざってしまうと業務フローが複雑になるのです。この自動判定のおかげで、請求書処理の流れを一本化できるため、重宝しています。
ー 『バクラク請求書』の導入によって、どのような成果が得られましたか。
熊谷さん:弊社の経理代行サービスは『バクラク請求書』の活用を前提に始めています。そのため、単純な前後比較はできませんが、導入していなければ確実に倍以上の手間と時間がかかるでしょう。『バクラク請求書』がなければ、担当者の数を増やして属人的な処理をするしかありませんから、今の倍は担当者を採用し、その分の人件費がかかるはずです。
ー『バクラク請求書』をご紹介いただいたお客さまには、どのような成果がありましたか。
鶴田さん:請求書情報の入力やチェックの手間が、3分の1になりました。紙で届いた請求書を管理用のExcelに入力する手間や振込までにチェックする手間が1回のチェックで済むようになりました。
ー お客さまや現場の担当者の方からは、どのような感想を聞いていますか。
熊谷さん:「すごく便利だね」という声しか聞こえてきません。弊社の担当者も、ITはあまり得意な方ではありませんでしたが、問題なく活用できています。
クラウド上で作業ができるので、作業者と確認者が別の場所にいても問題なく作業できるのも嬉しいですね。
ー 今後の展望をお聞かせください。
熊谷さん:『バクラク請求書』のような便利なツールがある中で私たち“会計人”は、どのような役割を果たすべきなのか考えました。導入だけであれば、『バクラク請求書』はどんな人でもできると思います。
しかし、クラウド会計ソフトと連動させることを前提に、しっかり仕訳を設計できなければツールを充分に活用することはできません。今後はインボイスか否かの判定業務が増えます。消費税納税額にも直接影響しますので、これまで以上に仕訳まで直結させる仕組みづくりが必要です。
だからこそ、“会計人”である私たちが、お客さまをしっかり理解し、状況に合わせた業務フローを構築し、仕訳を設計することが重要であり、株式会社AZUREとして力をいれていくべきポイントだと考えています。
ー 今までの取り組みを振り返って、『バクラク請求書』はどのようなサービスだと考えていますか。
熊谷さん:社内では経理DXの「はじめの一歩」に最適なサービスという結論に至りました。
クラウド会計を導入したい、というお客さまもお話を伺っていると、本質的には業務効率化がしたいのです。
会計ソフトの入れ替えは非常に負担が大きいのですが、請求書の処理は専門知識が不要でデジタル化がしやすい業務です。
一方、請求書の処理は、「受け取って、支払う」というシンプルな業務ではありますが、ミスや支払い期限を遅れることは許されないため、経理にとって心理的負担が大きいのです。
心理的負担が大きい反面、シンプルな業務=ツールによって自動化しやすく、導入による成果を実感しやすい業務です。
だからこそ、初めてバックオフィス業務のDXに着手しようと考えている企業の第一歩として『バクラク請求書』は最適です。
例えば、給与や経費精算と比べると関係する人数は比較にならないほど少なく、巻き込む人数も最小限であるため、スイッチングコスト、導入コストは軽いですね。
ー DXへの抵抗感がある方、ツールの導入に迷っている方に向けて一言お願いします。
水野さん:私自身への戒めですが、現代を生きる我々は時代の変化に対する感受性を常に研ぎ澄ませておく必要性を感じます。
DXについて重く捉えるのではなく、「まずはバクラクをDXの入門として導入し、効率化を体感する。将来、時代に合わなくなったら別途検討しよう!」という軽い感覚でも良いので、とりあえず触ることが重要だと思います。
AZUREでは様々なクラウドソフト、SaaS系ソフトを利用し、成果が上がったケースも成果が上がらなかったケースも経験してきました。
スタッフにはお客さまに対し価値観を押し付けることなく、ソフトの実務的なメリット・デメリットをしっかりお伝えした上で、お客さまご自身に選んでいただくよう指示しています。まずはお気軽にご相談ください。