・支払い業務は会計ソフトにすべて手打ちで入力されており、手間と時間がかかっていた
・月次決算ができる体制ではなく、ひと月遅れで会計を締めていた
・インボイス制度へ対応するための準備が整っていなかった
・バクラク請求書の読み取り精度やスピード、使い勝手を評価
・会計ソフトへの入力業務はほぼ自動化することができた
・税区分の入力作業の負担が半減した
・社内から紙の請求書を回付する業務がなくなった
静岡県浜松市に製材屋として創業し地元の天竜地区で生産される「天竜材」にこだわり、建築資材の販売から住宅や不動産を取り扱う三立木材株式会社。地元の静岡県浜松市を中心とした地域の中小企業を対象とした「挑む中小企業プロジェクト」(2023年1月〜6月に実施)への参加をきっかけに、バクラク請求書とバクラクビジネスカードを導入いただき、経理のデジタル化に取り組まれました。
今回は、三立木材株式会社のデジタル化を支援した株式会社Wewillを交え、取り組みの背景やインボイス制度への対応、そして取り組みで得られた成果について、三立木材株式会社代表の河島さん、経理の塩崎さん、品川さん、そして株式会社Wewillの西さんにお話を伺いました。
ー 三立木材さまの経理部門について教えてください。
三立木材・品川さん:事務方として3名が在籍しており、経理業務以外にも人事労務や総務などを分担しています。3名全員が支払業務の経験があり、木材といった材料費の支払い、工賃の支払い、それ以外の経費と、支払い業務や入力処理を分けています。
これまでずっと同じように経理業務を回してきたため、「もう少し効率的なやり方があるかもしれない」「この体制が最善ではないかもしれない」とはどこかで感じていたものの、業務上の大きなミスもなく、当たり前の仕事になっていました。そのため、特定の課題や悩みはプロジェクトの開始当時はありませんでした。
ー 今回のお取り組みには、どのような経緯があったのでしょうか?
三立木材・河島さん:2019年に事業承継し、私が代表に就任した頃、世の中が目まぐるしく変化していく中で、どのように会社を経営していくべきかと漠然とした悩みがありました。新しいことに挑みたい気持ちはありますが、どのように挑めばよいのか分からずにいた頃に出会ったのが、株式会社Weillさんが実施していた「挑む中小企業プロジェクト」でした。
このプロジェクトは、静岡県浜松市を中心とした東海地方の中小企業35社を集め、以下の3つのプログラムを受けるというものです。
①事務DX実現のためのバックオフィス変革
②DXに向けたマインドセット
③新規事業創出の手法を学ぶ教育プログラム
実施者である株式会社Wewillさんのほか、専門的な知見を持った企業も共同実施者として参画しており、デジタル化の遅れや業務の属人化といった課題の解決に取り組むことになりました。
当社の事務方3名は本当に優秀で表立った課題はなかったものの、今回のプロジェクトは一度自分たちの仕事を見直すチャンスだと感じ、経理業務のデジタル化に取り組むことになったのです。
ー 経理業務における「挑む中小企業プロジェクト」はどのように進行したのでしょうか?
Wewill・西さん:三立木材さまの経理業務を把握するため、まずは1ヶ月の業務の流れをヒアリングさせていただきました。私たちのヒアリングは、現地に伺って実際に作業している横で拝見し、小さな不便を一つひとつ現場の方に確認します。
ー 三立木材さまにヒアリングするなかで、どのような改善点があると感じられましたか?
Wewill・西さん:河島さまが仰るとおり、大きな問題こそ起きていませんでしたが、改善したいポイントはいくつかありました。
まず1つは、支払い業務は会計ソフトにすべて手打ちで入力されていた点です。手間と時間がかかっているように感じました。2つ目に、月次決算ができる体制ではなく、ひと月遅れで会計を締めていた点です。会計を早く締め、月次決算ができる体制となれば、リアルタイムで業績を管理し、より迅速な経営判断を下せるようになります。
3つ目のポイントがインボイス制度へ対応するための準備が整っていないことでした。適格請求書発行事業者の登録番号(以下、登録番号)を、取引先の企業に確認する準備などはされていましたが、その後どのように処理するか、どこに注意すべきなのかまでは把握しきれていませんでした。
ー ヒアリング当時は、どの程度までインボイス制度への準備ができていましたか?また、当時はどのような課題を抱えていましたか?
三立木材・品川さん:お取引先にインボイスの登録番号を伺うための文章を作成し、お伝えいただいた番号を一覧表にまとめていました。2~3ヶ月ほどはかかったと記憶しています。お取引先によっては、すぐにはお返事をいただけないことや、お返事をいただいてもはっきりとしたご返答ではなかったこともあり、状況把握に時間がかかりました。
三立木材・塩崎さん:制度開始後はじめての決算となる10月末に受け取った請求書のおよそ8割はインボイス制度の要件を満たしておらず、再発行をご依頼することがほとんどでした。登録番号は記載されていたものの、たとえば税率の記入がなかったり、施工日の記入が漏れていたり、総額の消費税の計算式は間違えていたりと、さまざまなミスが見受けられました。
こうした請求書のチェック作業だけでなく、再発行のご依頼も大きな負担でした。およそ半数のお取引先はすぐにご対応いただけましたが、残りの半数は間違っていることに驚かれたり、本社確認の関係から1週間ほど時間がかかってしまったりと、けっこう手こずりました。
ー Wewillさまから三立木材さまに、バクラク請求書の導入を提案された理由を教えてください。
Wewill・西さん:改善することで一番大きな成果が見込めた課題が、手入力で行っていた支払い業務でした。一通りの請求書受取サービスを比較検討した際、コスト面、読み取りの精度やスピード、使い勝手で評価しました。当初は別のツールで検討を進めていましたが、使い勝手の良さを評価し、バクラク請求書の導入を決定しました。
ー バクラク請求書の導入はどのように進行しましたか。
Wewill・西さん:お取引先と実際のやり取りをしている社員の皆さんに使っていただけるかが心配でした。しかし経理の品川さんも塩崎さんも、現場の社員さんからとても信用されていたので、お願いした通りにご対応いただけました。
ー バクラク請求書の導入で、支払い業務にはどのような変化がありましたか。
Wewill・西さん:支払い業務のなかでも、会計ソフトへの入力は自動化できたと言っても良いくらいまでに効率化できており、かなり楽になったと思います。インボイス制度対応についても、もしバクラク請求書を導入していなければ、税区分の入力といった作業が今の倍の負担になっていてもおかしくなかったと思います。
三立木材・品川さん:以前の支払い業務は、請求書が取引先から届いたら、経理で一旦チェックし、紙の請求書を担当者に回して確認してもらっていました。担当者の確認が終わって支払いをしても問題ないと判断されれば、振り込みのために一覧表を作成して一件一件振込をしており、とにかく時間がかかっていました。
しかしバクラク請求書を導入してからは、社内の全員がPC上で請求書の内容を確認できるようになったため、わざわざ紙の請求書も回す必要がなくなり、確認の時間を短縮できました。また、支払い業務についても、一件一件入力する必要がなくなったので、すぐに振込ができます。さらに仕訳も会計システムに連携できているため、かなり楽になっています。
三立木材・河島さん:請求書のやり取りは、社内だけでなくお取引先のご担当者の方にも動いていただく必要があるため、バクラク請求書が浸透して成果につながるまでは、もう少し時間がかかりそうですが、経理の業務はだいぶ効率化されてきました。
ー バクラク請求書に加えて、バクラクビジネスカードも導入いただきました。導入いただいた背景と、導入しての感想をお聞かせください。
三立木材・品川さん:以前使っていた法人カードは、利用明細が手元に届くのが1ヶ月遅れであり、確認作業も必然的に1ヶ月後でした。そのため「領収書がないこの支払いは、何に使われたのだろう」と毎回悩み、担当者を特定し、確認する作業に手間がかかっていたのです。
そこでバクラクビジネスカードを新しい決済手段として導入したところ、決済してすぐに利用状況をPC上で管理できるようになりました。また、バクラクビジネスカードは社員全員が使える状態ですので、従業員一人ひとりが会社のお金を使用するという当事者意識を持てるようになったと思います。
さらに、証憑の回収や登録番号の確認もバクラクビジネスカードを使えば自動で読み取ってくれているので、インボイス制度への対応も安心です。確認作業が本当に楽になりました。
ー バクラク請求書とバクラクビジネスカードの導入を振り返っての評価をお聞かせください。
三立木材・河島さん:「挑む中小企業プロジェクト」の一環として、今回経理のデジタル化に取り組みました。既存の経理業務にあまり課題を感じていなくとも、デジタル化によって業務を改善できたこと、Wewillさん経由で他社のバックオフィス部門の状況を知れたことは、経理担当にとっても経営者にとってもすごく良い機会だったと実感しています。
WewillさんとLayerXさんという専門家の方との取り組み自体も、貴重な経験になりました。私自身、「広く浅く」というタイプで、どこかに深掘りした専門知識や経験は持ち合わせていません。だからこそ、領域ごとの専門家と協力して仕事を進めていくことの重要性を学ばせていただきました。
ー 記事を読んでいる経理担当の方へメッセージをお願いします。
Wewill・西さん:すべてを自分だけで処理しようとせず、バクラク請求書のようなツールに頼れる部分は、積極的に頼ったらよいと思っています。しかし、特にバックオフィス部門の方々は、他社がどのように業務を回しているか知る機会が少なく、「頼りたくても頼り方が分からない」とお考えのことと思います。
そうしたお悩みに対して、弊社のようなデジタル化を支援する企業が、他社の事例をご紹介して最適なソリューションをご提案できる役割を果たしていくべきだと考えています。ツールの使い方だけに留まらず、会社全体の業務構築でお困りがあれば、ぜひ一度ご相談ください。