・総務部の高齢化の影響で体制変更があり、経理担当者が4名から2名に半減
・小口現金の運用をしており、防犯上の問題に加えて、ATM手数料がかかっていた
・紙が多く、ファイリングや後から探し出す手間や時間がかかっていた
・経理の知見がない未経験者でも分かりやすく、導入しやすい
・高齢の社員でも扱うことができる、使い手のことが考えられた設計
・読み込んだレシートや領収書をドラッグ&ドロップでするだけで登録できる
・以前は4人いた総務業務は2人でも回せるように
・小口現金の金額が1/3ほどになり、立替経費精算に移行できた
・月末の経理処理業務が8時間から1時間に短縮できた
樹脂成型金型の設計・製造から、製品開発、デザインまで一気通貫した生産体制を整えている精密金型メーカーの株式会社ペッカー精工。近年は植物由来のバイオプラスチック向け事業が伸びています。1968年の創業以来、時代のニーズに合わせて新しい技術を取り入れてきた同社では、3年ほど前から総務部の体制変更を機に脱・属人化に向けて経理業務のデジタル化も推進しています。
今回はデジタル化の取り組み例として、小口現金を削減した過程やバクラク経費精算の導入背景にあった課題や導入までの流れ、そして成果について、株式会社ペッカー精工の総務部、南さんにお話を伺いました。
ー 総務部の体制と業務内容についてお聞かせください。
南さん:50名ほどの社員数に対して、弊社の総務部は私を含め2名だけです。私が財務を中心に担当しており、その他の人事や総務に関する業務は手分けして取り組んでいます。
実は私の経理実務の経験年数は3年ほどで、ほとんど経験がない素人の状態からスタートしました。私が総務部に異動してきた3年前の2019年は、60歳を越えているベテラン経理担当が2名いらっしゃったのですが、定年などの都合でご退職されることになりました。
私に経理業務が引き継がれ、同時に会計ソフトがオンプレミス型からクラウド型に移行されたタイミングで、これまで紙と手作業で処理されてきた経理業務を一気にデジタル化することにしました。未経験者の私がゼロから経理業務を身に付けるよりも、デジタルツールの力を借りたほうが効率的だと考えてのことでした。
ー 以前の経費精算業務と小口現金を減らされた過程についてお聞かせください。
南さん:もともとは現金と紙の申請による経費精算フローでした。小口現金を仮払金として、3名の営業部員に月初のタイミングで平均3万円ほど手渡しし、月末に残金を返却してもらっていました。
小口現金は事務所に現金を置くことになるので防犯上の心配があります。かといって、細かく現金を引き出すと、ATM手数料が余計にかかってしまいます……。
私が経理を担当するようになってからは、事前に必要だと分かるものは総務部で購入するようにし、その際にはなるべく請求書払いにできるよう、ECサイトで購入しています。同時にこれまでの費用を洗い出し、不必要な現金支払による購入費用を削減しました。現在は小口現金による支払いは、小切手が使いにくい社員向け団体保険や、緊急で必要な部材購入費、社長の慶弔費などの必要最低限の支払いのみです。
ー 経費精算業務には、どのような課題があったのでしょうか。
南さん:50名ほどの社員のうち、営業を担当しているおよそ3割の社員が経費精算が必要になっており、創業当時からずっと紙で処理してきました。出張の事前申請、営業経費、展示会などのイベント申請など、紙による提出が必要で、とにかく手間と時間がかかっていました。
デジタル化した現状の10倍ほどの時間はかかっており、月末は3時間も経費精算をしている社員もいました。申請書作成に時間がかかっていたのですが、PCを使って作成した申請書を紙に印刷し、経理は紙を受け取ってPCに再度入力していたのです。「なぜ一度、紙の申請書を挟むのか」「直接PC同士でやり取りすればよいのに」と疑問に感じていました。月末は経理業務以外にも仕事が山積みですので、少しでも手間を減らしたいと考えていたのです。
また、これら紙の申請書は社内に保管するのですが、後から探し出す際には途方に暮れてしまうほど、大量にファイルがありました。
ー 経費精算ツールの比較検討はどのように進めましたか。
南さん:様々な企業が経費精算ツールを出していますので、まずはインターネット上で検索しました。ただ、Webサイト上の情報だけでは、どの企業のツールも機能や効率化できることが似たり寄ったりだったため、操作画面を見て、実際に触ってみなければと思うようになりました。
そこでYouTubeなどの動画サイト内で検索し、実際の操作方法や管理画面の様子で比較検討した結果、ツールそれぞれの設計思想を感じ取ることができました。バクラク経費精算の場合、経理を何もしらない未経験者でも分かりやすく、使い手のことを考えているなという第一印象を持ちました。
他社ツールの場合は、おそらく総務部や経理部の経験者が使うものとして設計されているのか、分かりにくい経理用語を使っていると感じたのです。弊社の場合は、経理も営業もご⾼齢の社員がおりますので、みんなが使える経費精算ツールでないと意味がありません。最終的には3社のツールで比較検討していますが、そうした使いやすさの観点からバクラク経費精算の一択で決まりでした。
ー お試し利用の期間では、どのような評価がありましたか。
南さん:証憑を登録する画面で、撮影したレシートや領収書をまとめてドラッグ&ドロップでするだけで申請できることが高評価でした。これは他社ツールにはなかった操作感だと思います。
10万円までは自分の裁量権で決裁できますので、利用料金が高額でなかったことも、スムーズに導入を進めることができた理由です。既存のツールだと基本料金は安くても、初期費用やオプション料金が高額なこともありますよね。コストパフォーマンスを考えたら、バクラク経費精算は現状ではナンバーワンの経費精算ツールだと思います。
ー バクラク経費精算の導入フローをお聞かせください。
南さん:導入決定から社内浸透まではおよそ3週間でした。会計ソフトには、PCA会計DXを使用しており、問題なくCSVで連携できています。通常業務と並行しながら導入したので、初期設定に1日かかっていますが、実質的な作業時間は1時間ほどだと思います。
社内リリースにあたってはまず最初に、若い社員が多い本社営業部員に説明したところ、マニュアルは不要で、一度の口頭説明だけで使い方を理解してもらうことができました。
本社近くにある工場に対しては、現地に総務担当者がいないため、私が足を運んで工場長にマニュアルを使いながら説明しました。遠隔地にある工場の工場長に説明するときは、電話で説明しています。もう60歳近い方なのですが特に質問もなく、「これだけでいいの?」と聞かれて説明は終了しました。
ー 弊社からのサポートについてお聞かせください。
南さん:サポート担当の方には、科目の設定でだいぶお世話になりました。別の業務で導入している他社ツールのサポートの方と比べても、「そこまで丁寧にしていただいていいんですか」と感じるほどのサポートでした。どうしても弊社のPC環境では文字化けしてしまう箇所がありまして、電話だけではどうしても解決できなかったのでメールでファイルや状況説明を送ったところ、すぐに解決できる方法を教えてもらいました。
ー 社内展開の際に工夫したポイントがあればお聞かせください。
南さん:バクラク経費精算を導入する意義や目的を伝えるだけでなく、社員個人にとってのメリットも含めて説明しました。具体的には、今までの無駄な時間や紙の申請を減らすことに加えて、こうしたデジタルツールを使用した経験や知識は今後も役に立つと伝えています。製造部門で機械を使うように、経理業務でもこれからはツールを使うことが当たり前であると理解してもらえたことが、社内展開がスムーズに進んだ要因だと思います。
ー バクラク経費精算の導入で、どのような成果が得られましたか。
南さん:総務部の経理業務が非常に楽になり、業務時間が大きく削減できています。具体的には、紙の申請書を読み取って仕訳入力する作業や、紙の申請書や証憑の保管作業が一切なくなっています。その結果、毎月8時間かかっていた処理業務が、1時間ほどに削減できました。
浮いた時間は、どうしても手作業でやらざるを得ない清掃業務や雑務などをこなしています。結果として、以前は4人いた総務業務は2人でも回せるようになりましたね。
ー 小口現金による経費精算に変化はありましたか。
南さん:現在では、取り扱っている小口現金の金額が、以前の3分の1ほどになっています。バクラク経費精算の導入と同時に、これまでの仮払い運用を辞め、立替経費精算に変更したことが背景にあります。振り込みまでは個人の負担をお願いすることになるので、一人ひとり確認を取り、難しいときだけ事前に仮払いする形となっています。
立替経費精算に変更できた背景には、営業から上がってくる経費の申請を、バクラク経費精算によって漏れなくデジタルで処理できるようになったことがあります。
ー 社内からのご感想をお聞かせください。
南さん:営業からは、月末の業務時間が増えたという嬉しい報告が上がっています。具体的な評価ポイントとして、スマートフォンからでも簡単に操作できる点が、営業部員からは好評です。展示会などの出張時に、コンビニで購入した昼食費のレシートなどをスマートフォンで撮影し、いったん下書き保存しておけば、月末にまとめて処理できます。
また、コロナ禍でテレワークをしている社員は、今までは証憑の提出のためにわざわざ出社をしていましたが、今では出社も必要なくなっています。
ー 今後の展望をお聞かせください。
南さん:会社全体として、デジタル化やペーパーレス化を進めていきたいですね。バックオフィス部門の成功を、製造部門にも展開できたらと考えています。
総務部では、直近でインボイス制度への対応を進めていく必要があります。現状の業務に追加の作業が発生することになりますので、どのように対応するかを決めて早めに手を打ちたいです。バクラクのインボイス制度対応機能にも期待しています。
ー バクラク経費精算を検討している方へメッセージをお願いします。
南さん:私にとってバクラク経費精算は、「スケジュール帳」のような存在です。出社してPCを立ち上げ、その流れでバクラク経費精算を立ち上げています。もしなくなってしまうと、不安になってしまうと思います。
ただ、導入を検討している段階では、導入後の業務をイメージするのは難しいかもしれません。実際、もう1人の総務部員は「やらないとわからなかった」と言っていました。だからこそ、紙での作業に困っている企業は、まず触ってみてはいかがでしょうか。