世界標準の最新特殊工具を業界に先駆けて導入し、「ニッチなプロ集団」として工場、プラント設備のメンテナンス・定修工事を手掛ける協和機工株式会社。
山口県に本社を置く同社では、社長の代替わりに伴い、社内業務のデジタルシフトを推進。そのなかでも紙や印鑑文化が根強い経理業務の効率化のため、「バクラク請求書」を導入いただきました。導入に至るまでの背景と現場からの感想、そして今後の展望について、代表取締役の三家本輝男さんにお話を伺いました。
ー お取り組み以前のデジタル活用の状況を教えてください。
三家本さん:2021年に創業47年を迎える弊社では、2016年にいわゆる2代目社長として私に代替わりしました。私自身は前職で東京の外資系金融に勤めておりましたので、業務のデジタル活用はごく当たり前のことだと思っていたのですが、実際に代替わりしてみると、弊社のバックオフィス業務のほとんどはアナログだったことに衝撃を受けたのです。
まず、何でも紙と印鑑で処理しようとする慣習が根付いていました。Excelで作成した資料は、一度わざわざ印刷してから数字が正しいかを確認。しかもその数字の計算も、以前の事務員さんは手元のそろばんを弾いて計算していたのです。電話をかけるにも電話帳を開いたり、銀行振り込みはネットバンキングではなく、銀行へFAXを送って振り込み依頼をしていたりと、驚きの連続でした。
このままアナログな慣習を残していても、いずれ時代の変化に置いていかれると危機感を持ち、私の代から積極的なデジタルシフトを進めていくことになりました。
ー バクラク請求書導入以前の課題を教えてください。
三家本さん:アナログな経理フローで最も困っていたことが、リアルタイムで経営数字を把握できないことです。現金主義的な経理フローですと、会社の口座で入出金があったタイミングで初めて取引があったと見なされます。そのため、事前に予実管理をしようとしても、会計を締めてから1月遅れでしか数字を把握することができませんでした。
この現金主義の経理フローを、金銭のやり取りがあったかどうかに関係なく、取引が発生した時点で費用と収益を計上する発生主義に変えたいと考えるようになりました。
また、「紙」で経理情報を管理する仕組みだったため、過去の履歴をすぐには参照できませんでした。そのため、経理担当の記憶に頼らざるを得ず、負担をかけてしまっていた実情があったのです。
これらの課題から、クラウド会計ソフトのfreee(フリー)の導入を皮切りに、将来の投資として経理のデジタルシフトを進めていくこととなりました。
ー freee導入後、業務はどのように変化しましたか。また、そこでの課題をお聞かせください。
三家本さん:大まかに以下の流れで処理していました。
・月初に紙の請求書が郵送で届く
・経理が整理し、請求書の内容をすべてExcelに手入力する
・Excelの一覧表を印刷し、代表承認を得る
・ネットバンキングで支払い内容を手入力し、再度承認をとる
・支払い後、freeeで仕訳する
この流れですと、翌月末にならないと前月のデータが出てこないという状況は変わりませんでした。また、freeeの導入に精一杯で業務自体はあまり早くなっていなかったのです。
そこで、デジタルシフトとペーパーレスによって経理業務と経営判断のスピードを上げていくためには、受け取り請求書の処理と仕訳業務まで自動化する必要があると考えたのです。振り込みしてから仕訳するのではなく、先に仕訳してから承認してもらうほうが早いはずだと思い、実現できるツールを探すことになりました。
ー バクラク請求書をお知りになったきっかけをお聞かせください。
三家本さん:freee社が主催した、受取請求書電子化サービスを提供する5社の合同ウェビナーがきっかけでした。一社目のご紹介がバクラク請求書で、「これはいいものが出てきたぞ」と思い、すぐに資料請求させていただきました。
ー ツールの比較検討では、どのような要素を重視していましたか。
三家本さん:まずはfreeeとの相互連携ができることを重視しました。バクラク請求書の場合、freeeにデータを送るだけでなく、freeeからデータを取得することもできるため、その双方向性が便利だと思っています。freeeと一方通行のデータ連携しかされていないツールの場合、freeeとそのツール上のデータが合っているのか突合する必要があり、結局大きな負担が残ってしまい、効率化できません。
もう1つの要素が費用感です。弊社は中小企業なので、そこまで請求書が多くはありません。建設工事の外注さんへの支払いや、一般的な消耗品など、すべてをあわせても月100枚ほどですので、この規模でも費用対効果があることは重要でした。
freeeとの連携と費用対効果、そして請求書処理の手入力がゼロになることから、バクラク請求書の導入を決定しました。
ーバクラク請求書の導入サポートについてお聞かせください。
三家本さん:最初にLayerX社のご担当者さんとお話しした際、導入に必要なデータや操作方法を教えていただきました。「このファイルを用意し、ここに入れて終わりです」と、とても簡単で分かりやすく、衝撃的でした。
1時間ちょっとのお打ち合わせでしたが、知りたいことはほぼすべて聞くことができ、ありがたかったです。
また、実際の本導入もスムーズに進行しました。弊社がまだfreeeを使い始めたばかりで、設定やデータがごちゃごちゃしていない、まっさらな状態だったこともスムーズに導入できた理由だと思います。サービス利用の開始したあとでも、小さな疑問点があったときにはすぐに解決策をご連絡いただいた点もありがたかったです。
ー バクラク請求書で特に役に立っている機能を教えてください。
三家本さん:現場の経理担当からは、仕訳学習機能に対する評価が特に高いです。
また、請求書を読み込むことで、ほぼ正しい数字がデータ化されるAI-OCR機能にも驚いていました。紙の請求書が多い業種がら、特に重宝しています。従来のOCRの読み取り精度は信頼できなかったのですが、AIを活用しているAI-OCRであれば、学習するたびに精度が上がっていくので安心しています。
こうした一つひとつの機能だけでなく、ツール全体のデザインも経理担当にとってユーザーフレンドリーだと感じているようです。
ー バクラク請求書の導入に対するご感想をお聞かせください。
三家本さん:現場の経理担当からは、「バクラク請求書で簡単に仕訳ができてしまうだけでなく、自動で学習してくれるのですごく楽だ」との声を聞いています。ただ、導入からまだ間もないため、すべての社員がクラウドサービスに慣れて業務がうまく効率化され、目に見えた効果がでてくるまでは、もう少しだけ時間が掛かりそうだと思っています。
現在までのお取り組みを点数にするならば、100点満点中90点だと思います。いくつか実装をお願いしたい機能がありますので、今後の開発に期待しての点数です。ただ、LayerX社はとても開発スピードが速いので、すぐ100点になるのではと思っております。
ー 導入を検討している方に向けて一言あればお願いします。
三家本さん:絶対に使うべきでしょう。弊社のような地方の中小企業であっても、紙や印鑑文化が根強い企業であっても、経理業務のデジタルシフトを少しでも検討していたらバクラク請求書を使うべきです。
また、人材の採用面からもバクラク請求書は導入すべきだと思います。人材不足が深刻化する地方では、会社の雰囲気にフィットする人材を探すのは本当に大変で、育成も同じくらい大変です。
中小の建設会社の事務部門は、多くても2, 3人規模ですので、1人あたりの業務負担も大きくなってしまいます。この負担をAIや自動化という技術で補い、業務を平準化していくことは重要なことだと思います。
また、経理業務を効率化できれば、より生産的な業務に限られたリソースを投下することが可能になります。社員の勤務時間を拘束するだけで満足している経営者は、デジタルシフトをきっかけに自社リソース配分を見直してみるべきでしょう。
日本の企業すべてが、自社リソースをより生産的な業務に割り振っていけば、日本の産業全体がスマートになっていくと思います。
ー 三家本さん、本日は貴重なお話をありがとうございました!