・事業独立後、自前の経理体制を0から構築する必要に迫られた
・500枚の請求書を手入力で処理することになった
・紙の請求書を複数の担当者で処理していたため、どれが処理済みかわからなくなっていた
・承認経路分岐などの設定に自由度が高く、i-PRO社の運用に最適だったこと
・稟議から請求書の支払いまでを一気通貫で効率化できること
・カズミル社のBPOとバクラクを組み合わせ、1か月の請求書処理にかかる時間は1〜2時間になった
・少人数で効率的な経理業務フローが整った
・業務が格段に楽になったことでトラブルがなくなり、経理の現場に笑顔が戻った
国内大手電機メーカー、パナソニック株式会社から事業分離する形で設立されたi-PRO株式会社。独立企業体として経理体制の内製化が必要となり、地元福岡の公認会計事務所である合同会社カズミルに業務フロー構築支援を依頼することになりました。
“紙”対応で請求書を処理していた状況を改善するために合同会社カズミルが行った提案は「バクラク請求書」「バクラク申請」の導入とBPOサービスを組み合わせたソリューションでした。
今回は、当時i-PRO株式会社が抱えていた課題と悩み、それに対して合同会社カズミルが提供したサービスとそこで得られた成果について、i-PRO株式会社の土井さん、高木さん、合同会社カズミルの村上さん、白石さんにお話を伺いました。
ー 経理業界のDXに対して、どのような問題意識をお持ちですか?
カズミル・村上さん:特に中小企業では税務署や金融機関に提出する試算表の作成といった限定的な役割でしか経理データが活用されないケースが多く、経理業務に対して充分な投資がなされていません。しかし、中小企業が成長していくためには、経理データを有効活用し、そこから意思決定していく必要があります。
請求書を受け取って処理するだけでなく、請求を分類し、処理するタイミングを考え、事業全体のストーリーの中で経理業務に向き合い、経理データを活用していくことが肝だと弊社では考えています。
i-PRO様とは「経営に還元していくために経理業務をデジタル化していくべき」という共通認識のもと、「バクラク請求書」「バクラク申請」の導入を進めていくことができました。
ー バクラクを導入する以前の経理業務についてお聞かせください。
i-PRO・土井さん:弊社はパナソニック株式会社のセキュリティシステム事業部を母体として設立されました。事業部時代は自前の経理体制は有しておらず、パナソニック社のシェアードサービス会社に経理業務全般をサポートいただいていました。専門知識や経理経験が豊富なスタッフが多く、稟議や請求書の処理など最適化されたシステムが使用されている、まさに理想的なバックオフィスの環境でした。
しかし、この業務支援は事業独立後の一定期間までと期限が設けられていました。そのため、自前の会計システムの構築や、それを前提とした業務フローの構築・整備、経理担当者の採用・育成などが必要でした。
ー 自社での経理業務内製化はどのように進められましたか?
i-PRO・土井さん:まずは手続きや処理に関する基本方針を取りまとめた経理規程やその方針に沿った業務フローを構築するため、カズミル様にお力添えいただきました。
2022年4月から自前の会計システムが導入されたのですが、当初はシステムエラーも多く、さらに多くのシステムが一度に刷新されたため業務フローの整備が間に合っておらず、請求書の処理に想定以上の遅延が生じるという事態が発生しました。言うまでもありませんが、取引先に対するお支払いが遅れることは会社としての信用問題に直結します。
経営陣からは新しい会計システムの導入による経営管理の高質化が期待されていたのですが、なんとか支払いだけは遅れないように試行錯誤した結果、どの部門にどの勘定科目で計上するか、を丁寧に考えるのを止め、とにかく支払処理に回すことを最優先としました。また、システムに頼らず、一時的に“紙”対応で請求書の処理をすることになりました。パナソニック社のシェアードサービスと比べれば、まるで原始時代に戻った感覚でしたね……。
派遣会社や運送会社、開発・製造の委託費など、国内外の企業から月におよそ500枚もの請求書が送られてきており、中には外貨による支払いもありました。データで送られてきた請求書もいったん印刷し、紙の請求書に統一して月ごとの箱にまとめ、一枚一枚処理していたのです。
ー 当時抱えていた課題を教えてください。
i-PRO・高木さん:請求書を会計システムに入力するだけで膨大な時間がかかっていました。部門コードや勘定科目コード、税区分など、今までとはまったく違う入力ルールになったことで、入力と確認に手間がかかり、1件の請求書の入力に15分、外貨が絡む請求書は1時間も費やすことになったのです。
1ヶ月分の請求書の入力に2ヶ月かかる計算です。手入力による処理方法はもはや破綻していました。急遽、派遣社員を増員しましたが焼け石に水で、経理は残業が続いていました。
事業部の担当者から経理が請求書を受け取るフローにも課題がありました。簡易的なワークフローは出来上がっていたのですが、複数の経理担当者が一斉に紙の請求書を処理していたため、どの請求書が処理済みかわからなくなっていたのです。
こうした状況に陥りカズミル様にご相談した結果、ワークフローと請求書の処理に役立つツールを導入すべきとの判断に至りました。
ー i-PRO様にバクラクを提案された背景をお聞かせください。
カズミル・村上さん:i-PRO様からご相談いただく以前より、最適な経理システムの検討を重ねてきました。その一環で出会ったのが、バクラクシリーズです。「バクラク請求書」「バクラク申請」は設計の自由度が高いため、お客様が抱える課題や理想の経理フローに合わせて柔軟にシステムを構築することができます。
決裁の金額や申請内容によって承認者を変更できたり、承認はしないが閲覧権限は付与したりといった柔軟な承認経路分岐機能がバクラクにはあります。
i-PRO様はもともと大手企業の一部門だったので少し複雑なワークフローでした。そのため、自由に設定を変更できるバクラクは最適でした。
設計の自由度の高さ、そして「バクラク請求書」と「バクラク申請」の連携によって、稟議から請求書の支払いまでを一気通貫で効率化できる点を評価し、i-PRO様にバクラクと弊社のサポート、BPOを組み合わせたプランをご提案しました。
ー カズミル様のご提案を受け、i-PRO様ではどのような意思決定をしたのでしょうか?
i-PRO・土井さん:私自身もさまざまな経理SaaSを調査しましたが、稟議申請と請求書処理が別々になってしまうツールが多かったように思います。その点、「バクラク請求書」と「バクラク申請」の連携は、新しく請求書受取フローを構築する上でベストでした。わずか1ヶ月のトライアル期間でしたが、皆さんがすぐに操作に慣れていくのを見て、バクラクの正式導入を決定しています。
ー バクラクの導入は、どのように進行しましたか?
カズミル・村上さん:トライアル後の正式な契約から運用が軌道に乗るまで、およそ3ヶ月かかりました。経理の皆さんはある程度の操作方法を理解されていたので、導入時には事業部の方々に対して、新しいツールと新しいワークフローを浸透させることを意識しました。
その際「バクラク請求書」で請求書の回収方法を選べることがありがたいと感じました。取引先ごとに回収用の請求書URLを発行して請求書をアップロードしてもらう方法や、請求書回収用のメールアドレスに送付してもらう機能が用意されています。
請求書の回収方法は、お客様事情をよく知る事業部の担当者の方々にお任せしました。回収した請求書は事業部ごとに整理整頓されるため「この請求書は何だっけ」「どこの事業部に聞けばいいんだ」と悩むことがなくなっています。
紙で郵送される請求書は、各担当者がPDFにスキャンし、支払い申請する流れになっています。
ー バクラクの導入で、工夫したことはありましたか?
i-PRO・高木さん:請求書のペーパーレス化を推進するために「紙の請求書が届くのは煩わしい」と事業部に感じてもらう必要があると考えました。
紙の請求書を受け取り、PDF化して経理に送ってきた事業部の担当者には、「メール自動回収機能やURL回収機能を使えば、わざわざスキャンする手間は不要ですよ」と地道にアナウンスしたのです。その結果、現在では紙で郵送されてくる請求書は、全体の1割ほどに減りました。さらに、経理宛に届く請求書はほぼすべてデータの請求書となっています。
ー バクラクの導入とカズミル様のBPOサービスによって、どのような成果が得られていますか?
カズミル・白石さん:弊社のBPOサービスでお受けしているのは、「バクラク申請」で申請された支払依頼の処理や、その後の請求書の処理といった業務です。申請された担当者の方にバクラク上で質問できたり、経理担当の方に確認依頼ができたりと、バクラクを使用することで弊社とi-PRO様の連携がスムーズになっていると感じます。
i-PRO・高木さん:バクラクの導入とカズミル様のBPOサービスによって、弊社の経理担当の経理業務は、確認作業とダブルチェック、カズミル様との日々のやり取りのみとなりました。
紙とハンコだけで500枚もの請求書を手入力で処理していた頃と比べると、作業量は雲泥の差ですね。1ヶ月分の請求書の入力に2ヶ月かかる状況から、月に1〜2時間「バクラク請求書」を触るだけで請求書の処理が完了するようになりました。
カズミル様との取り組みによって、常に正しい経理データが反映されるようになり、経理担当者はより事業成長に貢献する業務に専念できるようになりました。
ー 稟議から支払いまでの業務フローにおける課題は解決しましたか?
i-PRO・土井さん:稟議申請・決裁、請求書受領から支払処理までの業務フローに関する課題は解決しました。弊社の企業規模にあった、少人数で効率的な体制が整っていると自負しています。
また、経営管理の観点からも次第に効果が表れてきています。担当者による処理のブレがほとんどなく、正しい部門に、正しい勘定科目で、正しく計上された経理データがスピーディに経営に連携されるようになりました。原始時代から現代に戻ることができ、より正しい経営判断に貢献できていると実感しています。
i-PRO・高木さん:バクラクを導入してから経理部門に笑顔が戻り、明るくなりました。入力処理が遅い、システムにエラーが起きたといったトラブルが続くと部署の雰囲気が悪くなります。コロナ禍で在宅勤務が続いていたことも雰囲気の悪化に影響していたと思います。
今はトラブルがなくなり、経理部門の雰囲気が良くなりました。昔にはもう戻りたくないですね(笑)。
ー 最後に、バクラクはどのような企業におすすめできるでしょうか。
i-PRO・土井さん:機能開発のスピードがとても速いサービスだと思います。バクラクは、「ちょっと使いにくいな」と感じた部分も、気がついたら改善されていたということがよく起きています。SaaSに慣れていない方にとっても、おすすめできるツールです。