2020年6月、デザイン会社として初めて上場を果たした株式会社グッドパッチ。多くの企業の事業戦略やプロダクトのUI/UX改善などを手掛けており、4期連続で最高益を更新しています。
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同社の経理財務グループでは、手入力での請求書の仕訳計上業務に課題感を感じ、「バクラク請求書」の導入を決定しました。使いやすさ、デザイン視点による比較検討、そして導入の成果について、同社経理財務グループのマネージャー西久保さんと、実際の請求書業務に携わる渡邉さんにお話を伺いました。
ー グッドパッチ社の経理体制についてお聞かせください。
西久保:経理財務グループは全員で6名、財務担当が1名で他の全員が経理担当になります。弊社は複数の事業がありますが、役割分担については、事業別に担当を分けているわけではありません。各メンバーが複数の業務を分担する体制をとっています。
上場後は、会社の成長や新たなコーポレートアクション等に伴い経理業務の負担も大きくなったため、各業務の効率化がより重要となっています。
渡邉:私は売上の担当と、費用の未払計上を行なっています。また、弊社は上場企業ですので、四半期報告書や決算短信、有価証券報告書の作成といった開示業務にも従事しています。改善業務については特に担当を決めていませんが、各担当業務の中で改善の余地を感じた場合に、ツールを入れるのか社内フローを変更するのかなどの検討をチームで進めています。
ー 取引先企業から請求書を受け取ってから、支払い処理までのフローをお聞かせください。
渡邉:バクラク請求書の導入以前は以下のような流れでした。なお、弊社で使用している会計システムはfreeeです
① 各部門の担当者が、稟議システムで支払依頼を作成。請求書を添付して申請
② 経理の担当者が支払依頼の内容をチェック
③ freeeの取引メニューから取引先名で検索し、過去の仕訳を参考に仕訳を手入力
④ 別の経理担当者が仕訳内容を確認し、ダブルチェックを行なう
特に③の工程では取引メニューを開いて取引先を検索し、過去の仕訳から適切なものを探していたため、1つの仕訳を計上するまでの手数が多く、煩雑だと感じていました。また、請求書と支払依頼、そしてfreeeと、3つの画面を同時に見ながら作業していたため、神経を使う作業でもあったのです。
ー 「バクラク請求書」導入以前の課題を教えてください。
渡邉:弊社では仕訳を手入力していたのですが、特に請求書処理が集中する月初の時期はヒューマンエラーの発生や煩雑な手作業による心理的な負担も課題になっていました。ヒューマンエラーの例では、まず計上日と金額のミスが挙げられます。freeeで過去の仕訳からコピーしてくると、うっかり過去の日付と金額がそのままになってしまうことがあります。もちろんダブルチェックの段階でミスに気がつくのですが、手戻りも発生してしまい非効率的と感じていました。
ー 煩雑な経理業務による心理的負担によって、どのような弊害がありますか。
渡邉:自分の業務で精一杯になることで、他のメンバーの業務に目がいかなくなってしまいます。チーム全体を見ることができなくなってしまうと、他の人のタスクが埋もれていることにも気が付くことができませんし、そうすると円滑な連携に支障をきたします。基本的に請求書は月末を迎えないと先方から送られてこないため、その処理業務はどうしても月初に集中してしまいます。弊社では、月初第5営業日を月次決算の締め日に設定していますが、確認作業やバッファを考慮して第4営業日までには仕訳計上まで終えるようにしています。この月初4日間の心理的負担を少しでも軽くできないかと考えていました。
ー 請求書の仕訳を自動化するにあたり、他社ツールとの比較検討は行われましたか。
渡邉:ツールの比較検討にあたっては、まず第一にfreeeとの連携に注力していることを条件に絞り、その結果、バクラク請求書ともう1社のツールが残りました。
ー 比較検討でどのようなポイントを重視しましたか。
渡邉:チェックポイントは複数箇所あったのですが、その中でも使いやすいデザイン、OCRの精度、そして処理速度を重視しました。その他には、セキュリティ面や料金体系、freeeとの連携方法、エラーに対する反応などを比較しました。どちらの方が弊社のフローにフィットするか、トライアル期間で検討を重ね、最終的にはバクラク請求書の導入を決定しました。
ー デザインに対してはどのような感想を持たれたのでしょうか。
渡邉:頭の中でイメージする請求書処理のフロー(導線)と、バクラク請求書の操作フローが合致しており、まさに理想の業務フロー通りに操作できるシンプルなデザインでした。
例えば、目に付きやすい場所にタブが設置されていたり、左から右に情報が流れていたり、最低限のクリック数で操作できたりと、初めて使う人でもどのメニューからどのように操作すれば良いかが直感的にわかる設計になっていたのがとても印象的でした。
新しいツールを利用する際に、「このボタンをクリックするとどのような挙動をするのか、どこに遷移するのか」など、手探りで何度か操作して慣れていくことが多いですが、バクラク請求書の場合はその煩わしさがありませんでした。
ー 「バクラク請求書」導入の決め手をお聞かせください。
渡邉:タグの色を始め、freeeの操作画面に寄せたレイアウトに設定されていることです。これがもし、レイアウトや操作感がfreeeと違ってしまうと、それだけで業務効率はガクッと落ちてしまいます。そのため、自社でツールを導入する際にはUI/UXはもちろん、普段使い慣れているfreeeと近しいデザインを重要視していました。弊社がクライアントの課題に対して、プロダクトのUI/UX改善やブランド構築といったデザインの力で支援してきた企業ということもあり、バックオフィスの私たちもこだわりを持っていたこともあります。
ー 自動仕訳の処理速度に関する比較検討の結果を教えてください。
渡邉:7~8枚の請求書を一度に読み取り、自動で仕訳が作成されるまでどのくらい時間が掛かるか計測しました。バクラク請求書では10秒かからず、1件あたり1秒前後で処理することができ、他社ツールと比較して半分くらいの時間で処理することができました。
ー AI-OCR機能についてのご感想をお聞かせください。
渡邉:当初は読み取り精度に対して懐疑的だったのですが、実際に使ってみて想像以上の結果がでました。高い確率で正しい取引先名や口座情報、金額も読み取られて驚きましたね。導入から半年が経ちますが、大きく間違えた読み取り結果は見たことがありません。
ー 「バクラク請求書」の導入後、業務フローはどのように変化しましたか。
渡邉:導入は1ヶ月で完了し、以下のような業務フローに変化しました。
① 各部門の担当者が、稟議システムで支払依頼を作成。請求書を添付して申請
② 経理の担当者が支払依頼の内容をチェック
③ バクラク請求書に請求書をアップロード(自動で仕訳は完了)
④ API連携ボタンをクリックし、freeeへ連携
⑤ 別の経理担当者がfreee上で仕訳内容を確認し、ダブルチェックを行なう
特に③の工程が大きく簡略化され、クリック数は体感で3分の1にまで減りました。バクラク請求書上では仕訳内容と口座情報、請求書を全て一画面で見ることができるので、稟議システムとfreeeの画面の行き来が無くなったことによって作業効率の向上を実感しています。
ー 「バクラク請求書」の導入後の成果をお聞かせください。
渡邉:バクラク請求書の導入後に掲げていた月15時間の削減は達成できました。仕訳の自動入力、画面遷移やクリック数の減少、源泉所得税の自動計算機能によって1件あたり3分ほど短縮された実感があります。
1ヶ月で100件以上の請求書を処理していますので、単純計算にはなりますが概算300分は削減できました。
また、振込業務の効率化も作業時間の削減に大きく貢献しています。
これまでは稟議システムに添付されている請求書を開き、freeeの取引先マスタに登録されている口座情報を突合していました。
稟議システムの支払依頼番号とfreeeの管理番号に同じ番号を入力しているので、振込担当者が両ツールでその番号を検索して請求書と口座情報を100件以上突合するというやり方でした。
バクラク請求書であれば、請求書と口座情報が一画面で表示されていて、かつワンクリックで次の取引に移ることができ、サクサク突合作業ができるようになりました。
結果、1営業日分の作業時間が削減されています。弊社はもともと稟議システムやクラウド会計システムをすでに活用していて一定の効率化は図れているため、更なる削減効果は得られにくいと思っていたのですが、期待通りの改善につながりました。
ー 導入以前の課題はどの程度解決されましたか。
渡邉:ヒューマンエラーは確実に減りました。過去の仕訳をコピーする必要がなくなったため、支払日や金額を間違えることもなくなりました。
以前はダブルチェックの段階で気付く数件のミスが毎月あったのですが、今はほとんどミスがありません。また、仕訳を入力する作業がほとんどなくなったので、経理チームの心理的な負担も大きく減っています。
経理メンバーのリソースに余裕が生まれたことで経理チーム全体の業務進捗に目が配れるようになり、別のメンバーのヘルプに入ることもできるようになりました。
ー 今後の展望をお聞かせください。
西久保:人の手を必要とせず効率化できる業務はシステムや機械に任せ、人がやるべき業務にフォーカスしていくことが、経理業務の今後を考える上での大前提になります。ありがたいことに弊社は上場後も会社、事業ともに拡大させていただいており、それに伴い経理に求められる役割も増加し、かつ複雑化しています。
それらに対応しながら、より会社の成長につながる業務に時間を割ける経理体制を構築していきたいですね。その過程で、バクラク請求書のような効率化に繋がるツールを導入していくことは必須になるものと思います。
管理部門は会社の「バックオフィス」と呼ばれますが、会社を「後ろ」からではなく、事業部と並走して支えられるような管理部門の姿を目指していきたいです。