領収書の代わりに請求書で経費精算できる?注意点や経費精算書の書き方も解説
- 記事公開日:
- 最終更新日:2024-10-16
従業員が立て替えた経費を精算する際には、原則支払ったことを証明する領収書が必要ですが、領収書がない場合には、請求書でも代用可能なのでしょうか。また、請求書で精算する際はどのような注意点があるのでしょうか。
この記事では、経費精算を請求書で代用するケース、請求書を代用する場合に必要になる記載項目や注意点を紹介します。あわせて、請求書を使った経費精算書の書き方も解説しているので、ぜひ参考にしてください。
経費精算で請求書を使うことはできる?
結論から言えば、領収書がなくても、請求書と内訳が記載された明細書などがあれば、経費精算はできます。
経費精算で領収書が必要な理由は、経費として申請された支払い内容を確認し、正確に精算業務を行うためです。領収書提出を経費精算の条件とすることで、虚偽や不適切な経費の申請や、経費申請者への二重支払いを防ぐ役割もあります。
つまり、経費精算においては、経費の支払いの正当性が確認できれば問題ありません。公共交通機関の運賃や慶弔費などの領収書が出ない経費もあるほか、領収書の紛失も起こり得ます。そのため、実務では請求書や出金伝票など、領収書以外の書類を使った経費精算も行われています。
請求書で経費精算を行う際の注意点
経費精算において、領収書の代わりに請求書を用いる際には、注意点もあります。不備による差し戻しを防ぎ、スムーズな精算が行えるよう、以下の点に気をつけましょう。
原則は領収書が必要
領収書がない経費も、事業で利益を上げるために必要な費用であれば、会計上は経費として計上することに問題はありません。しかし、領収書とは、収入を得るためにかかった費用を把握するための証憑書類であり、サービスに対して金銭授受を行った裏付けとなります。そのため、経費を支払った事実を証明できるのは領収書のため、領収書での精算が原則です。
もし、領収書を根拠としていない経費計上の頻度や金額が多くなると、本当にその経費が使用されているのかどうかが疑わしくなり、税務調査の際に問題となることがあります。架空の経費を計上して納税額を低くしようとする不正があるからです。
また、安易に領収書以外での精算を認めてしまうと、経費の架空請求や重複請求など、不正を生むリスクがあります。企業会計にも影響がおよぶだけでなく、企業の信頼性を揺るがす事態に発展しかねません。
経費精算で請求書を用いるのは、あくまでも領収書が入手できない場合の代替手段になります。まずは、経費となる費用を支払うときは領収書をきちんと受け取り、必要に応じて発行依頼をすることが大切です。
なお、請求書の存在のみでは支払ったことを証明できません。取引の存在を示すため、請求書に加えて納品書も用いるなど、相互関連性のある複数の書類を用意する必要があります。
請求内容の明細を作成する必要がある
領収書がなく、請求書に内訳の詳細が記載されていない場合には、申請者に明細の作成を求めるのが一般的です。明細は、何に支払った費用であるかを明確にすることで適正な経費使用であるかを判断し、適切な勘定科目で経費を計上するために必要になります。
また、納品書と請求書など、複数の書類を組み合わせるのも有効です。インボイス(適格請求書)制度では、必要事項を満たしていれば、請求書や納品書などもの書類も適格請求書として扱うことができます。
領収書ではなく請求書を代用するケース
経費精算において、領収書の代わりに請求書を使用することが想定される、おもなケースを紹介します。
経費を銀行振込で支払った場合
経費となる費用の支払いに銀行振込を使用した場合、その場で金銭授受が発生しないため、領収書は発行されません。振込後、先方に領収書の発行を依頼すれば発行可能です。しかし、契約時に振込明細書を領収書に代えると取り決めているケースでは発行してもらえません。その場合は、請求書や振込受領書、通帳の記録などを代用書類として利用します。
経費をクレジットカードで支払った場合
店舗などで経費をクレジットカードで支払う場合、店舗は取引時点で代金を受け取っているわけではありません。そのため、クレジットカード払いであることが記載されたレシートや領収書が発行される場合もあれば、クレジット利用明細のみで領収書が発行されないケースもあります。領収書が発行されない場合には、利用明細や請求書で領収書の代用が可能です。
領収書を紛失した場合
領収書は、金銭を支払った側が求める場合には、受け取り側に発行義務があります。しかし、再発行については、その義務はありません。そのため、領収書を紛失した場合に再発行を依頼しても、対応してもらえないケースが多くなっています。再発行した領収書が、不正に利用されるリスクがあるからです。
領収書を紛失した場合には、経費を支払った事実確認ができる書類を添えて経費申請を行うのが一般的です。請求書は、支払いが発生した根拠となる書類になります。
なお、請求書以外にも出金伝票を起票する方法もあります。領収書紛失の場合の経費精算については、会社によっても取り扱いが異なるため、経費精算規定を確認しましょう。
▼領収書がない場合の経費精算については、以下の記事で詳しく解説しています。
領収書なしでも経費精算は可能?紛失や発行されない場合の対処法
請求書兼領収書も経費精算に利用可能
請求書兼領収書とは、請求書と領収書のどちらの役割もある書類です。基本的に請求書は支払い前、領収書は支払い後に発行されるものですが、請求書兼領収書の場合は請求と同時に支払いが行われる取引に用いられます。そのため、支払い時に発行されることが一般的です。
請求書兼領収書は、個人でのやりとりに用いられることがある書類です。企業間取引ではあまり見られませんが、受け取った場合は経費精算に利用できます。「了」「代済」「相済」などが記載された請求書兼領収書は、支払い済みであるため、そのまま領収書としての効力があります。また、表題が請求書であっても、支払い済みであることが記載されていれば、領収書としての扱いが可能です。受け取る際は記載を確認しましょう。
請求書・領収書の基礎知識
そもそも請求書と領収書とは何が違うのでしょうか。請求書と領収書の違いを解説します。
請求書
請求書とは、代金に対する支払いを求めるものです。商品やサービスの提供にあたって発生した金額が明記されています。請求書発行のタイミングは、支払いの前です。支払いを行う側は請求書を見て金額や内容を確認し、支払いを行います。
ただし、請求書には請求明細を添付しなくてはならないという明確なルールがありません。そのため、明細書が別で発行されるケースや、明細書がないケースなどもあります。
なお、請求書は領収書と異なり、単体では支払った事実の証明はできません。そのため、領収書として代用するには、領収済みであることの記載や、別途支払いの事実を裏付ける補完書類が必要になります。
領収書
領収書とは、代金の授受が完了したことを証明するものです。支払われる側が支払う側から代金の受け取りを完了したこと、またその金額が明記されています。領収書発行のタイミングは、支払った後です。
店舗ですぐに発行されるレシートと違い、会社同士の取引などで発生する領収書には、基本的に明細が付いていません。領収書分の明細は、請求時の支払い明細を参照します。
▼請求書と領収書の違いについては、以下の記事で詳しく解説しています。
請求書を使った経費精算書の書き方
従業員が立て替えていた経費の精算を申請する場合、領収書とともに経費精算書を提出し、上長や経理の確認後、支払われるのが一般的な流れです。
経費精算を請求書で行う場合は、通常領収書に記載される以下の項目を請求書から読み替えて経費精算書に記載します。記載内容は、基本的に領収書と変わりません。以下は、一般的な経費精算書で記載が必要な項目です。自社のフォーマットに沿って、間違いがないように転記しましょう。
社名:社内であっても事業者名を記載する
氏名/所属部署名:申請者のものを記入する
申請日:申請日を記入する
支払日:実際に経費を使用した日付を記入する
支払先:支払った相手(請求書の発行者)を記載する
内容(目的・用途):支払った経費の内容を記載する。請求書に詳細がない場合には、別途明細書を作成する
金額:経費の項目別に請求金額を記載する
課税区分:10%、軽減8%、非課税、不課税の区分を転記する
適格請求書発行事業者登録番号(任意):請求書発行事業者が適格請求書発行事業者であり、経費精算者に登録番号が必要な場合は登録番号を転記する
▼経費精算書の書き方は、以下の記事で詳しく解説しています。
まとめ
経費精算の際に領収書がない場合、請求書での代用が可能です。ただし、請求書単独では支払った証明にはならないため、支払いの根拠となる納品書などのほかの書類や、内訳がわかる明細書の作成が必要になります。
請求書を添付しての経費精算書の書き方も、領収書と大きく変わりません。差し戻しを防ぎスムーズな経費精算のために、必要な資料を用意し、漏れやミスがないように作成しましょう。
また、インボイス制度の開始により、経費精算の際にはインボイス要件を満たすのかの確認が必要になり、経理担当者の負担が増えています。経費精算を効率化するなら、経費精算システムを導入するのがおすすめです。
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