タクシー業界におけるインボイス制度の影響とは?導入メリットや対応方法
- 記事公開日:
- 最終更新日:2024-08-11
2023年10月からインボイス制度が施行され、多くの業界に影響を与えています。そのようななか、タクシー業界においてもインボイス制度は大きな影響を与えています。この記事では、タクシー業界におけるインボイス制度の影響や導入するメリット・デメリットなどを解説します。ぜひ、参考にしてください。
タクシー業界におけるインボイス制度の影響とは?導入メリットや対応方法
インボイス制度がタクシー業界に与える影響
インボイス制度によってタクシー業界はどのような影響を受けるのでしょうか。ここでは、2つの影響を解説します。
利用者が減少する可能性ある
インボイス制度によって、利用者が減少する可能性があります。免税事業者であるタクシー会社や個人タクシーなどは、インボイスの発行ができません。免税事業者とは、課税売上が1年間で1,000万円以下の事業者のことで、消費税の納税義務が免除されます。
インボイスの発行ができないと、業務としてタクシーを利用する側が仕入税額控除を受けられなくなります。それにより、利用を避けられてしまって利用者が減少、売上が減ってしまう可能性があるでしょう。
3万円未満でもインボイスが必要になる
以前は代金が3万円未満の場合には、帳簿の保存のみで仕入税額控除が適用されるという特例がありました。しかし、インボイス制度の開始に伴って特例が廃止されており、3万円未満でもインボイスを保存しなければ仕入税額控除は適用されなくなっています。
そのため、インボイスの発行ができないタクシー会社や個人タクシーでは、利用者が大幅に減少する可能性があり、対応が求められる事態となりました。
タクシー業界では適格簡易請求書の発行が認められる
タクシー業は、不特定多数の買い手と取引をする事業です。事業の性質上インボイスの交付が難しいため、適格簡易請求書の交付が認められています。適格簡易請求書とは、売り手がインボイスの代わりに買い手に交付可能である簡易的な書類を指します。適格簡易請求書には、以下の事柄の記載が必要です。
- 簡易インボイス発行事業者の氏名または名称
- 登録番号
- 取引年月日
- 取引内容(軽減税率対象品目である場合にはその旨)
- 税抜取引価額または税込取引価額を税率区分ごとに合計した金額
- 5に対する消費税額等または適用税率
適格簡易請求書は、買い手の氏名または名称の記載が不要であるため、氏名または名称の記載を省略できます。不特定多数が利用する、タクシーやスーパーなどの特定の業種は、レシートなどに交付される側の氏名を書くことが現実的ではないため適格簡易請求書が認められています。
インボイス制度がタクシー利用者に与える影響
インボイス制度はタクシー会社だけでなく、タクシーの利用者にも影響を与えます。ここでは、インボイス制度がタクシー利用者に与える影響を解説します。
利用するタクシーがインボイス対応か判断する必要がある
利用するタクシー会社や個人タクシーが、インボイス制度に対応していない場合、仕入税額控除を受けられません。そのため、タクシーを利用する前にインボイス制度に対応しているかどうかを判断する必要があります。
タクシー業界では、インボイスに対応しているタクシーにステッカーを貼る、表示灯のカラーを変更するなどして対応可否を示す取り組みを行っているようです。
タクシーチケットを利用した場合の請求書はどうなる?
タクシーチケットとは、タクシー会社などが発行しているチケットです。チケットを乗車料金の代わりとして使用できます。タクシーチケットの請求書のインボイス対応については、タクシー各社のホームページを確認しましょう。
また、クレジットカード会社が発行するタクシーチケットを利用する場合、クレジットカード利用明細書と利用したタクシー事業者が適格請求書発行事業者であることを確認できるものがあれば、回収特例が適用されます。
インボイス制度における特例もある
出張中に従業員がタクシーを利用した場合は、「出張旅費等」として帳簿のみの保存で仕入税額控除が受けられます。旅費規程の金額の範囲内であれば、「出張旅費特例」として仕入税額控除を受けられるため覚えておきましょう。
出張以外の場合には、6年間の経過措置が適用され、3年目までは80%、その後の3年間は50%の控除を受けることが可能です。
タクシー事業者がインボイス制度を導入するメリット
タクシー事業者がインボイス制度を導入することで、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、2つのメリットを解説します。
インボイス発行により利用者の減少を防止できる
課税事業者になればインボイスを発行できるようになります。インボイスの発行が可能となることで、業務でタクシーを利用した場合に仕入税額控除が適用されるようになるため、ビジネスシーンで選ばれやすくなるでしょう。利用者の減少を抑えられるため、売上減少を抑制することにもつながります。
消費税の還付を受けられる場合がある
課税事業者になることで、支払った消費税額が受け取った消費税額を超えた場合に還付を受けられることがあります。ただし、還付を受けるには「原則課税方式」を選択していなければいけません。原則課税方式とは売上にかかる消費税から仕入れにかかる消費税を差し引き、消費税額を算出する方法です。
タクシー事業者がインボイス制度を導入するデメリット
インボイス制度を導入することで、デメリットも発生します。ここでは、2つのデメリットを解説します。
業務負担が増える
インボイスに対応することで、業務負担が重くなる可能性があります。インボイスに対応する際には、請求書のテンプレートの変更やインボイスの写しの保存が必要になるなど、経理業務において負担が増大してしまいます。少しでも経理担当の負担を軽くするために、システムやツールの導入などが必要です。
消費税の申告・納付が必要になる
インボイスに対応するということは、課税事業者になるということです。課税事業者になることで、消費税の申告や納付が必要となるため注意しましょう。免税事業者なら消費税の納付が免除されるため受け取った消費税は利益となっていました。しかし、課税事業者になると消費税を納付する必要があるため、納付も考慮して導入するか検討しましょう。
タクシー事業者がインボイス制度を導入する際に必要なこと
タクシー事業者がインボイス制度を導入するにはどうすればよいのでしょうか。ここでは、インボイスの導入方法を解説します。
適格請求書発行事業者の登録手続き
まずは、適格請求書発行事業者の登録手続きを行いましょう。インボイスを導入するには、適格請求書発行事業者の登録申請書を提出したうえで、審査を受けなければいけません。登録申請書の提出は、管轄地域の税務署に直接提出、管轄地域のインボイス登録センターへ郵送、e-Taxで申請という3つの方法があります。
インボイス対応の各種機器への入れ替え
インボイス対応の機器への入れ替えも必要です。登録番号などを記載する必要があるため、タクシーメーカーやプリンターといった機器に入れ替えなければいけません。メーターやプリンターなどの交換費用については補助金がないため、タクシー事業者が負担することになります。初期費用が重くなるため、注意しましょう。
インボイスに対応したシステムの導入
インボイス制度の要件に対応するためには、請求書発行システムや会計システムの導入、改修などが必要です。インボイスを導入することで、経理業務の煩雑化が予測されます。担当者の負担が重くなってしまうため、システムの導入や改修だけでなく、業務フローの見直しも同時に検討しなければいけません。
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請求書や支払通知書等の発行や保存ができるだけでなく、インボイス制度にも対応しているため適格請求書の要件を満たした請求書などを簡単に発行できます。
まとめ
インボイス制度の施行によって、タクシー事業者にも大きな影響があります。インボイス制度に対応できないと、利用者が減少する可能性もあるでしょう。インボイス制度の導入にはメリットとデメリットがあるため、両者を比較して導入するかどうか検討することが重要です。
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