インボイス導入後の支払明細書の書き方・発行タイミング・保管方法を解説
- 記事公開日:
- 最終更新日:2024-12-12
2023年10月1日からインボイス制度が導入されて以降、適格請求書がなければ仕入税額控除を受けられなくなりました。これまで法的効力がなかった支払明細書の扱いも変化しています。本記事では、インボイス制度における支払明細書の取り扱いについて、適格請求書として扱う場合の必須項目や保管方法などのポイントを含めて解説します。ぜひ参考にしてください。
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インボイス導入後の支払明細書の書き方・発行タイミング・保管方法を解説
インボイス制度導入後、支払明細書はどう変わった?
2023年10月1日からインボイス制度が導入され、売り手である適格請求書発行事業者が発行した適格請求書でなければ、買い手側は仕入税額控除を受けられなくなりました。
なお、適格請求書発行事業者とは、所轄の税務署に支払請求発行事業者となるための登録申請を行った課税事業者を指します。売り手が免税事業者の場合、適格請求書の発行ができません。
インボイス制度では多くの場合、請求書や領収書、レシートなどが適格請求書として使用されます。支払明細書についても、それ自体に法的効力はないものの、記載内容が適格請求書の要件を満たしていれば、適格請求書としての取り扱いが可能です。
支払明細書とは
支払明細書とは、取引先に対して、支払金額の内訳を明確に示す書類を指します。通常は、購入した商品やサービスの詳細、数量、単価、合計金額、消費税額などが記載されています。正式な請求書の発行前に、取引内容と支払金額を相互に確認し合うことが、支払明細書を発行する主な目的です。
先述のとおり支払明細書の発行に法的義務はないため、支払明細書なしで取引を進めるケースも少なくありません。
領収書や請求書との違い
支払明細書は取引内容、つまり購入した商品やサービスの内容と、その支払金額の内訳を示す書類です。代金を支払う側である買い手が発行します。
領収書は、代金を受領したことを証明する書類で、受領した側である売り手が発行する書類です。
請求書は、支払いを請求するための書類で、商品やサービスを提供した売り手側が発行します。
支払明細書と支払通知書の違い
支払明細書は先述のとおり支払金額の詳細を示す書類で、取引された項目ごとに金額や数量が記載されています。
一方で、支払通知書は、支払期日や振込先情報など、売り手から買い手に対し、支払いに関する通知を行う書類です。
支払明細書が具体的な取引内容の内訳を示す文書であるのに対し、支払通知書は主に支払い手続きに関する情報を通知する目的で発行されます。
支払明細書はいつ発行する?
支払明細書は、商品やサービスを購入した買い手側に、支払義務が発生したタイミングで発行されます。
たとえば、一定期間内に複数の取引が行われた場合、最初の取引での決済金額が確定した時点で支払明細書が発行され、その後の取引で必要に応じて更新されます。
取引先が月締めなどで取引をまとめている場合は、支払明細書に記載された日付を確認すれば、いつの取引なのかが把握できます。
支払明細書は誰が発行する?
支払明細書を発行するのは、支払い義務が発生した側、つまり買い手です。
売り手は、支払明細書の内容をもとに請求書を発行して買い手に送り、買い手側は請求書に記載された額面を支払います。
取引が完了して決済金額が確定した段階で、買い手が支払明細書を発行します。複数の取引がある場合は、決済金額が確定したタイミングごとに支払明細書の内容が更新されます。
適格請求書として扱う場合の支払明細書の項目
支払明細書は、必要な要件さえ満たせば適格請求書としての取り扱いも可能です。記載が必要な各項目を見ていきましょう。
作成者の氏名または名称
適格請求書として使用する支払明細書には、それを作成した事業者、つまり買い手側の氏名または名称を記載します。個人事業主である場合は氏名の記載を、法人である場合はその名称を記載します。発行元を明確に示すために必要な項目です。
受取側の氏名および登録番号
支払明細書を受け取る側、つまり売り手の氏名または名称、さらに売り手側のインボイス制度における適格請求書発行事業者としての登録番号を記載します。登録番号は、法人番号を持つ事業者の場合は「T+法人番号」、法人番号がない場合は「T+13桁の固有番号」という形式で交付されています。
取引年月日
支払明細書には、インボイス制度が導入される前と同じように、取引が行われた年月日を正確に記載します。取引の時期を明確にするために必要な項目です。
取引内容
どのような商品あるいはサービスが購入されたのか、具体的な取引内容を詳細に記載します。
飲食料品などを購入した場合は、軽減税率対象品目であることが簡単に識別できるように「※」「☆」などの記号を付け、欄外には記号の意味について説明を記します。
各税率の対価の額と適用税率
取引の金額を税抜金額または税込金額のいずれかで記載し、税抜または税込どちらで記載されているのかを明確にする必要があります。
また、適用される消費税率が10%・8%のどちらであるのかを明確に分け、それぞれの税額の合計金額を記載します。
例えば、軽減税率8%で1万円の商品、標準税率10%で2万円の商品を購入した場合、税込価格はそれぞれ10,800円、22,000円として記載します。
税率ごとの消費税額
8%と10%、それぞれの税率ごとに消費税額を記載します。
例えば、軽減税率8%で金額が1万円の商品は、消費税額が800円、標準税率10%で2万円の商品は、消費税額が2,000円です。これらの税額もしっかり記載します。
支払明細書の保管方法
請求書や領収書などの文書に関しては、適格請求書として使用される支払明細書は、受け取った側である売り手だけでなく、発行した側である買い手の方でも保管する義務が発生します。
取引した商品・サービスや金額など、取引内容を正確に把握するとともに、必要であればいつでも検索して確認できるよう、適切な方法で保管することが重要です。
保管期間は?
支払明細書そのものに法定の保管期限はないものの、請求書や領収書と同様に重要な書類であるため、しっかりと保管することが推奨されます。
ただし、支払明細書を適格請求書として使用する場合は、受理してから7年間の保管期間が法律で定められているので、ご注意ください。
支払明細書を電子化するメリット
他の書類と同様、支払明細書も電子化することで受けられるいくつかのメリットがあります。主な3つのポイントを見ていきましょう。
請求関連業務を効率的に進められる
クラウド型の会計システムを導入して、支払明細書をはじめとする書類を電子化することにより、支払明細書や請求書などの発行から送付、受領、確認まで、支払・請求関連業務プロセスが自動化され、手作業の負担が大幅に減少します。
インボイス制度の導入により、経理業務は以前よりも複雑化し、担当者の負担は増える一方です。従来のExcelで処理していたような手作業が、文書の電子化を通じて減少すれば、おのずとヒューマンエラーのリスクも減り、処理速度の向上も期待できます。
ペーパーレス化によるコスト削減に繋がる
支払明細書を電子化することで、紙の使用量が減ってペーパーレス化が進み、紙代やインク代などの印刷費用、配送費用などのコストを削減できます。
先述のとおり、支払明細書を適格請求書として利用する場合は、受理から7年間の保管期間が法律で定められています。そのため、紙ベースの書類を保管するスペースが必要です。
電子版の支払明細書であれば、データのみの保存で物理的な保管スペースが不要になり、限られたオフィススペースの有効活用にもつながります。
リモートワークの促進に繋がる
支払明細書を含めた書類の電子化は、リモートワークの促進につながります。
以前は、経理業務は基本的にオフィス内でした対応できませんでした。しかし現在は、リモートワークを含めた多様な働き方を推進するために、さまざまな業務システムのクラウド化が進んでいます。
クラウドシステムで電子化された支払明細書なら、インターネットを通じてどこからでもアクセス可能です。在宅勤務やリモートワークの環境でも、経理担当者は迅速かつ効率的に業務を遂行できます。
まとめ
インボイス制度では、支払明細書を適格請求書として扱うことが可能です。適格請求書として扱われる支払明細書は、作成者の氏名または名称、受取側の氏名または名称および登録番号、取引年月日などの記載要件を満たす必要があります。7年間の保管期間も定めているので、電子化によりコストや保管スペースの削減を図ることがおすすめです。
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