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検収書と請求書の違いとは?納品から検収処理までの流れと伝票作成のポイント

多くの書類を扱う取引において、検収書と請求書は重要な役割を果たします。しかし、これらの違いを正確に理解できていない人も少なくありません。この記事では、検収書の基本的な役割や特徴を解説するとともに、請求書などほかの書類との違いも明確にします。書類への理解を深めるため、参考にしてください。

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検収書と請求書の違いとは?納品から検収処理までの流れと伝票作成のポイント

「検収」とは納品物の適合性を確認する作業プロセス

検収とは、納品された商品やサービスの状態が、発注内容と一致しているかを確認するプロセスのことです。検収では、種類・品質・仕様・数量などの点で、当初の注文どおりであるかを詳細に検査し、取引の正確性と品質を保証します。

検収書は正常な取引がなされたと証明する書類

検収書は、発注側が納品された商品やサービスに問題がないことを確認し、報告するための書類です。取引の完了を証明する重要な書類ですが、法的には検収書を作成する必要性は規定されていません。ただし、スムーズな取引のために、多くの取引では検収書が発行されます。

検収書に記載する6つの項目

検収書に記載する6つの項目は以下のとおりです。

  • タイトル(検収書)
  • 管理番号
  • 受注側の会社名や個人名・住所・連絡先などの情報
  • 発注側の会社名や個人名
  • 商品またはサービスの内容に関する検収内容
  • 検収担当者の氏名や、会社印や検収担当者の個人印

上記情報を記載すると、検収結果が明確になり、双方の確認と記録に役立ちます。

検収書と請求書の違い

検収書と請求書は、どちらも商品やサービスの納品後に発行される点で共通しています。しかし、その目的と発行者は大きく異なります。

検収書は発注側が問題なく納品された旨を確認する書類であるのに対し、請求書は受注側が売上代金を請求するために発行する書類です。請求書の内容は基本的に見積書や納品書と同じで、取引の詳細や金額が記載されています。

検収書との違いを把握しておきたい請求書以外の書類

取引には複数の書類が関与し、各段階で双方の合意や行為を記録します。取引に関係する書類について、書類の発行者や目的、検収書との違いを解説します。以下に、各書類と発行者との関係を示しました。

書類書類の発行者
見積書受注側が発行
注文書発注側が発行
納品書受注側が発行
受領書発注側が発行

【受注側が発行】見積書

見積書は、自社が提供する商品やサービスの価格や納期、数量などを記載した書類です。検収書と見積書の違いは、発行者や発行する目的です。見積書を発行する目的は、発注側に取引の内容や金額を検討してもらうためです。なお、見積書を発行しても注文してもらえるとは限りません。

【発注側が発行】注文書

注文書は、発注書とも呼ばれる書類です。検収書と注文書は、発行の目的に違いがあります。注文書は商品の購入を伝える旨を知らせる書類で、記載内容は取引に関する詳細です。

【受注側が発行】納品書

納品書は、商品やサービスを取引先に納品する際に使用される書類です。検収書と納品書の違いは、発行者と発行時期です。納品書は納品時に発行され、納品物の詳細が記載されています。なお、納品書で記される取引に関する詳細は、基本的に注文書と一致します。

【発注側が発行】受領書

受領書とは、商品あるいはサービスの受け取りを証明するものです。検収書と受領書は発行する目的に違いがあります。受領書は納品された事実を証明するもので、一般的には、受注側が納品時に渡した書類に、発注側が押印する形で発行されます。

検収書と同じく、受領書も発注側が納品後に発行します。ただし、納品物の詳細をチェックせずに発行する点が、検収書とは異なります。

検収書を発行する目的

前述のように、法的には検収書を作成する必要性は規定されていません。しかし、発注側・受注側の双方にとって、検収書は発行した方がよい書類といえます。検収書を発行する目的を解説します。

発注側からのクレームを防ぐため

検収書の発行は取引の正当性を証明する重要なプロセスです。検収書により、発注側は納品物を確認し受け入れた旨を示します。通常、検収書発行後、発注側からのクレームは望ましくありません。検収書を取得すると、受注側は後のクレーム発生リスクを軽減できます。取引の安全性が高まると、受注側の安心につながるでしょう。

受注側が検収完了時に売上を計上するため

企業の会計方針により、売上計上のタイミングはさまざまです。なかには、検収書の受領をもって売上として計上する企業もあります。このような企業にとって、検収書の発行は単なる形式的な手続きではなく、収益計上の重要な基準点となります。

受注側が請求書発行を省略するため

検収書と同様に、請求書の発行にも法的義務はありません。取引をする双方で合意があれば、検収書の発行に変えて請求書発行を省略可能です。柔軟な対応は、事務作業の簡素化につながり、業務効率の向上やコスト削減に寄与します。

納品から検収書を発行するまでの流れ

受注側が商品やサービスを納品してから、発注側が検収書を発行するまでの流れを解説します。

発注側が商品を検収する

発注側は、注文書の内容と実際の納品物を慎重に照合し、詳細を確認します。不一致や問題が見つかった場合、検収書の発行は保留されます。代わりに、発注側は受注側と直接コミュニケーションを取り、問題の内容や程度を説明し、解決策や今後の対応について協議します。

発注側が検収書を作成する

検収作業で問題が見つからない場合、検収書が作成されます。検収書に法的に定められた書式はありませんが、自社専用のテンプレートを準備しておくと作成過程を効率化できます。

通常は発注側が検収書を作成しますが、業界や取引慣行によっては、受注側が検収書を用意し、発注側がそれに検収印を押して完了とする場合もあります。

受注側に検収書を送付する

検収書の送付方法は、郵送、電子メール、専用システムなどさまざまです。下請法の適用対象となる取引では、下請け先への入金が受領日から60日以内に行われるように定められています。そのため、下請法に該当する場合、この期限に間に合うよう、速やかに検収書を送付する配慮が必要です。

検収する際のチェックポイント

納品時の検収は慎重に行うべき重要なプロセスです。型番や数量の微細な相違も見逃さないよう、細心の注意を払って確認しなければいけません。特に、完成品の品質や仕様に関しては、業種や商品によって予想外の相違が生じる場合があります。そのため、取引の初期段階で受注側と発注側が十分に協議し、検収合格の具体的な基準を明確に定めておきましょう。

検収書を作成する際の注意点

検収書作成時の重要な注意点を紹介します。検収期間の設定や印紙の要否など、実務上の要点を解説するので参考にしてください。

検収期間の決め方

検収期間とは、納品から検収完了までに要する時間のことです。検収期間は商品やサービスの性質、取引の規模などを考慮して設定されます。円滑な取引を実現するためには、検収期間について事前に受注側と発注側で十分に協議しておくことが重要です。また、予期せぬ事態で検収が遅れる可能性もあるため、トラブル時の対応策についても決めておくとよいでしょう。

印紙を貼る必要性

検収書は金銭の受け取りを直接証明するものではなく、納品物の確認を示す文書です。法律上の課税文書には該当しないため、検収書には印紙を貼付する必要はありません。

押印のルール

検収書へ押印する際は、会社印や検収担当者の個人印を用いることが一般的です。検収担当者の印鑑を押すルールを設けると、誰が検収を担当したかが明確に記録されます。結果として、責任の所在が明確になり、後々の確認や問題解決時に役立つでしょう。

電子化の判断

検収書の電子化は可能であり、業務効率化などのメリットが期待できます。しかし、導入コストや取引先との調整など、考慮すべき点も存在します。検収書の電子化を検討する際は、メリットとデメリットを十分に理解し、自社の状況に応じて判断しましょう。

保存期間の確認

検収書を含む、取引に関する証憑書類の保存は法律で定められています。法人税法施行規則によると、法人の場合、帳簿書類は原則として7年間の保存が義務付けられています。長期にわたり検収書を保存するにあたり、効率的な文書管理システムの導入や、最新の法令に対応した電子化による保管などを検討するとよいでしょう。

検収書を電子化するメリットと注意点

検収書を電子化するメリットと注意点について解説します。納得のうえ、検収書の電子化を検討しましょう。

電子化のメリット

検収書を電子化する主なメリットは、以下のとおりです。

  • 自動入力などの機能により、素早く発行できる
  • 手入力の減少により、人為的ミスのリスクを減らせる
  • 紙や印刷、郵送費用などのコストを削減できる
  • データ化することで保存が容易になる
  • 業務効率が向上する
  • ペーパーレス化により環境負荷を軽減できる

電子化の注意点

検収書を電子化する主な注意点は以下のとおりです。

  • システム導入の際にコストがかかる
  • 先方の事情により電子データを受領できない場合がある
  • データの暗号化や適切なアクセス管理など、セキュリティ対策が不可欠となる
  • 社内の運用ルールやマニュアルの整備が求められる
  • システム障害時の対応策を準備する必要がある

まとめ

検収書は、発注側が納品された商品やサービスに問題がないことを確認し、報告するための書類です。検収書の発行義務はありませんが、発注側・受注側双方にとって、スムーズな取引のためには検収書の作成が欠かせません。

バクラク請求書発行は、書類の作成・送付・保存に関する業務を総合的に管理します。書類作成から取引先での書類受け取りまでの時間を短縮し、部署や拠点が多い職場でも一元管理が可能です。インボイス制度や電子帳簿保存方などの法制度にも対応できます。

経理業務の効率化でお悩みの人は、ぜひバクラク請求書発行の導入をご検討ください。

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