【事例別】経費精算の返金処理に必要な仕訳・勘定科目

経費精算において、返金処理が必要な事例や処理方法を知りたい方もいるのではないでしょうか。

返金処理は返金を「した」のか「受けた」のか、商品の返品有無などで仕訳方法が異なり、個別の事例で対応が必要です。

本記事では、経費精算の概要と手続きの流れ、返金処理が発生する状況、返金処理が発生した場合の仕訳・勘定科目を事例別に解説します。併せて、経費精算の効率化のポイントとバクラク経費精算サービスを紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

経理に必須のAIスキルは?

AIにより経理業務にどのような変化が訪れ、これからどんなスキルが要求されるかを解説しています。

【事例別】経費精算の返金処理に必要な仕訳・勘定科目

返金が発生するのはどんなとき?

事業活動をおこなうなかでは、さまざまな場面で返金処理が発生します。具体的には、次のような状況が考えられます。

商品の返品にともない発生する返金

商品の購入がキャンセルされて返品を受けた場合や、商品を仕入れたもののキャンセルして返品した場合などに発生する返金です。

過払いや過入金により発生する返金

取引先から本来の金額より多く入金された場合や、取引先に対して多く入金した場合などに発生する返金です。

その他

上記以外には、次のような場合に返金処理が必要になります。

  • 保険契約を解約し解約返戻金を受け取る
  • 年末調整での所得税の還付
  • 借入金の返済
  • オフィスの移転にともなう敷金の返金 など

返金理由などにより勘定科目が異なるため、仕訳をおこなう際には注意が必要です。

【事例別】返金が発生した場合に必要な仕訳・勘定科目

返金処理は返金を「した」のか「受けた」のか、代金の支払いがどの程度済んでいるかなどの状況により、仕訳・勘定科目が異なります。 ここからは、事例別に具体的な仕訳・勘定科目を紹介します。

売上代金を返金した場合

販売した商品のキャンセルにより返金したケースと、過入金により返金したケースに分けて解説します。

販売した商品のキャンセルにより返金した場合

商品の購入がキャンセルされて返金した場合は、商品販売時の売り上げを取り消すか、「売上戻り」の勘定科目を用いて返金処理をおこないます。 以下は、商品販売時の売り上げを取り消す場合の例です。 ≪例≫1万円で販売した商品の購入がキャンセルされ、全額返金した場合 商品を1万円で販売して現金を受け取った際には、次のように仕訳をします。
借方 貸方
現金預金 10,000円 売上 10,000円
そして、1万円を返金した際には、次のように仕訳をします。
借方 貸方
売上 10,000円 現金預金 10,000円

取引先から過入金があり返金した場合

取引先から過入金があった場合は、過入金分を「仮受金」の勘定科目で仕訳をします。仮受金は、内容が不明な入金を処理する際に、一時的に用いる勘定科目です。 ≪例≫本来の売上代金5万円に対して6万円が振り込まれ、1万円を返金する場合 本来の売上代金5万円に対して6万円が振り込まれた場合は、次のように仕訳をします。
借方 貸方
現金預金 60,000円 売上 50,000円
仮受金 10,000円
取引先に1万円を返金したら、仮受金を振り替えます。
借方 貸方
仮受金 10,000円 現金預金 10,000円

仕入れ代金を返金された場合

仕入れた商品のキャンセルや過払いなどで発生します。

商品を仕入れたがキャンセルのより返金された場合

商品を仕入れたものの、キャンセルをして返金された場合には、仕入れを取り消す形で仕訳をします。 ≪例≫5万円で仕入れた商品の注文をキャンセルして、返金を受けた場合 商品を5万円で仕入れた際には、次のように仕訳をします。
借方 貸方
仕入 50,000円 現金預金 50,000円
そして、仕入れの注文をキャンセルして返金を受けた場合には、次のように仕訳をします。
借方 貸方
現金預金 50,000円 仕入 50,000円

取引先へ過払いがあり返金してもらった場合

取引先への過払い金については、「仮払金」の勘定科目を用いて仕訳をします。仮払金は、内容が未確定な支払い金を処理する際に、一時的に使う勘定科目です。 ≪例≫本来の仕入代金5万円に対して6万円を振り込んでしまい、1万円の返金を受けた場合 本来の仕入れ代金5万円に対して6万円を振り込んだ場合は、次のように仕訳をします。
借方 貸方
仕入 50,000円 現金預金 60,000円
仮払金 10,000円
取引先から1万円の返金があったら、仮払金を振り替えます。
借方 貸方
現金預金 10,000円 仮払金 10,000円

保険を解約し解約返戻金を受け取った場合

保険商品の解約にともない解約返戻金を受け取った場合は、通常「雑収入」の勘定科目で仕訳をします。 ≪例≫保険料を経費計上している保険商品を解約して、100万円の解約返戻金を受け取った場合
借方 貸方
現金預金 1,000,000円 雑収入 1,000,000円

借入金を返済した場合

借入金は、返済期間によって勘定科目が異なります。返済期間が1年以内の借入金は「短期借入金」、1年を超える借入金は「長期借入金」の勘定科目で仕訳をします。 ≪例≫短期借入金200万円と利息2万円の合計202万円を口座から返済した場合
借方 貸方
短期借入金 2,000,000円 普通預金 2020,000円
支払利息 20,000円

年末調整で所得税の返金をした場合

年末調整で従業員の所得税還付をする際には、「預り金」の勘定科目で仕訳をするのが一般的です。預り金は、取引先や従業員が支払うお金を、一時的に預かった場合に用いる勘定科目です。 年末調整の仕訳は、次の流れでおこないます。
  1. 源泉所得税を毎月の給与仕訳で預かる
  2. 預かった源泉所得税を翌月10日までに税務署に納める
  3. 年末調整で過不足のある源泉所得税を調整する
≪例≫額面上の給与30万円を毎月従業員に支払い、年末調整で1万円の源泉所得税を還付する場合 ※毎月、給与から源泉所得税6,000円、住民税1万3,000円、社会保険料(厚生年金保険料、健康保険料、雇用保険料)4万4,000円を差し引き、差額の23万7,000円を従業員口座に振り込むと仮定 前述の流れに沿って、次のように仕訳をおこないます。

給与を支払うときの仕訳

借方 貸方
給与 300,000円 現金預金 237,000円
預り金(源泉所得税) 6,000円
預り金(住民税) 13,000円
預り金(社会保険料) 44,000円

従業員から預かった源泉所得税を税務署へ納付する際の仕訳

借方 貸方
預り金(源泉所得税) 6,000円 現金預金 6,000円

年末調整で1万円を従業員に還付するときの仕訳

借方 貸方
預り金(源泉所得税) 10,000円 現金預金 10,000円

敷金に関する返金の場合

敷金は、賃借人が入居する際に、賃貸人に対して預けるお金のことです。預り金のため返金義務があり、「敷金」あるいは「差入保証金」の勘定科目を用いて仕訳をします。 上記のうち、どちらの勘定科目を用いても問題ありませんが、一度決めた勘定科目は原則変更できません。 また、敷金の仕訳方法は、返金されない償却額が事前に確定されている場合と、確定されていない場合で異なります。ここでは、償却額が確定されていない場合の仕訳を紹介します。

敷金が返金された場合

預けた敷金が返金された場合は、次のように仕訳をします。 ≪例≫敷金として現金30万円を預け、返金された場合 現金30万円を敷金として預けた際には、次のように仕訳をします。
借方 貸方
敷金 300,000円 現金 300,000円
そして、30万円の敷金が全額返金された際には、次のように仕訳をします。
借方 貸方
現金 300,000円 敷金 300,000円
また、原状回復で敷金のうち10万円が使われ、残りの20万円が返金された場合には、原状回復に充てた費用を「修繕費」の勘定科目を用いて仕訳をします。
借方 貸方
現金 200,000円 敷金 300,000円
修繕費 100,000円

敷金を返金した場合

続いて、賃貸人として敷金を受け取り、返金した場合の仕訳について解説します。敷金を受け取ったときは「預り敷金」の勘定科目を使用します。 ≪例≫敷金として現金30万円を受け取り、返金した場合 現金30万円を敷金として受け取った際には、次のように仕訳をします。
借方 貸方
現金 300,000円 預り敷金 300,000円
そして、30万円の敷金を全額返金した場合は、次のように仕訳をします。
借方 貸方
預り敷金 300,000円 現金 300,000円
また、原状回復で10万円を使用して残りの20万円を返金した場合には、原状回復費用を「売上」の勘定科目により仕訳をします。
借方 貸方
預り敷金 300,000円 売上 100,000円
現金 200,000円

出張のキャンセルにより返金を受けた場合

出張で新幹線や飛行機、ホテルなどを予約したものの、急遽キャンセルすることもあるでしょう。その際に、一部返金があった場合の仕訳について解説します。 ≪例≫航空券を4万円で購入したものの、キャンセルにより払戻手数料500円と取消手数料2,000円が差し引かれ、37,500円が返金された場合 まず、航空券を購入した際には、サービスを受けていないので「前渡金」の勘定科目を使用します。
借方 貸方
前渡金 40,000円 普通預金 40,000円
次に、キャンセルした際の仕訳です。キャンセルにともなう手数料には、課税取引と不課税取引があるため、それぞれ分けて計上しなければなりません。 課税取引にあたるのは解約にともなう事務手数料で、解約時期に関係なく発生し、「支払手数料」で処理します。一方、不課税取引にあたる手数料は逸失利益に対する損害賠償金であり、「雑損失」で処理します。
借方 貸方
普通預金 37,500円 前渡金 40,000円
支払手数料(課税) 500円
雑損失(不課税) 2,000円
上記のように、手数料の内容によって勘定科目が変わるため、内容を確認したうえで仕訳をおこなうようにしましょう。

まとめ:効率良く経費精算をするなら「バクラク経費精算」がおすすめ

経費精算では、商品購入のキャンセルや取引先からの過入金など、さまざまな場面で返金処理が発生します。

返金処理の仕訳は返金を「した」のか「受けた」のか、商品を返品するかどうかなどで仕訳の処理方法が異なり、個別の事例で対応が必要です。正確さが求められるため、経理担当者の業務負担は大きいといえます。

返金処理を含め、経費精算を速く正確におこなうには、経費精算システムを導入するのも選択肢の一つです。

「バクラク経費精算」では、領収書の一括自動読み取りや二重申請自動検知、交通系ICカードの読み取りなどにより、経費精算の効率化を実現します。仕訳も自動で入力するため、返金処理をおこなう際も安心でしょう。

経費精算の負担軽減を図る際には、ぜひ導入をご検討ください。

経費精算を効率化インボイス制度・電子帳簿保存法に対応「バクラク経費精算」

AIが大量の領収書を秒速処理する「バクラク経費精算」

パソコン、スマホから手軽に経費精算が可能。領収書をアップロードするとデータが自動入力されるので、原本の回収・ファイリングが不要に。手間のかかるインボイス制度・電子帳簿保存法にも対応しています。簡単で正確な経費精算を実現するツールをぜひご体感ください。