経費精算の年度またぎは認められる?遅れるデメリット・原因・対策を解説!

経費精算が期日までに終わらないと、年度またぎが発生します。年度をまたいでしまうと、「経理の負担が増える」「会社の評判に大きな影響を与える」といった事態が想定されるため、年度またぎはできる限り防止することが重要です。

この記事では、経費精算の年度またぎについて、概要やデメリット、対策などを解説します。年度またぎの主な原因やケース別の会計処理方法もまとめているため、ぜひ参考にしてください。

経費精算の年度またぎは認められる?遅れるデメリット・原因・対策を解説!

経費精算の年度またぎ

はじめに、経費精算の年度またぎとは何か、どんなときに起こりやすいのかを見ていきましょう。

経費精算の年度またぎとは

通常の経費精算は、発生した年度中に費用計上する必要がありますが、申請の不備などで年度をまたいでしまうケースがあります。これを「年度またぎ」と呼びます。事業年度の区切りは会社によって異なりますが、3・9・12月を決算時期に設定している会社が多い傾向です。例えば、3月決算の会社では、3月に発生した経費を4月分として精算すると「年度またぎ」となります。

3月〜4月にかけて長期出張が予定されているなど、継続して経費が発生する場合はやむを得ない処理となりますが、対策することで防げるケースも少なくありません。申請の遅れによる年度またぎは、できる限り防止することがスムーズな経費精算と安定経営につながります。

経費精算の年度またぎが起こりやすいケース

経費精算の年度またぎが起こりやすいケースとして、下記が挙げられます。

・出張の経費が発生した場合
・接待費が発生した場合
・経理処理でイレギュラーが発生した場合

出張の経費や接待費は従業員が立て替えることも多く、精算を忘れてしまいがちです。また、3月下旬の出張や接待は、最短で申請を行っても年度内に承認手続きが間に合わないことがあります。3月〜4月にかけての長期出張など、経費処理のイレギュラーが発生した場合も、年度またぎに注意しなければなりません。

経費精算の年度またぎは認められるのか

経費精算の年度またぎは、「企業会計」「法人税法」の2つを考慮する必要があります。

企業会計における年度またぎ

企業会計とは、企業の経済活動に関する収入や支出について、一定のルールに基づいて記録・測定したものです。企業会計では、一度締めている期末決算は修正できません。決算で確定済みの数値は変えられないため、過年度の経費精算は「前期損益修正損」として、翌期への計上が一般的です。

また、年度またぎの経費精算が多いと決算の遅れにもつながるため、会社の繁忙期を避けて決算月を決める企業も少なくありません。

法人税法における年度またぎ

法人税法とは、企業の経済活動にかかる税金について定めた法律です。税務上は、確定申告の期限までは、経費精算の年度またぎが認められています。例えば、3月決算の会社であれば、5月末までは前年度の経費として精算が可能です。ただし、6月に入り確定申告の期限を過ぎてしまうと、原則として損金計上できなくなるため注意しましょう。

期日までの経費精算が重要な理由

企業会計には「発生主義の原則」という考え方があります。発生主義の原則では、現金が動いたかどうかは関係なく、取引が発生した時点で費用と収益を計上します。経費に関しても、発生主義を徹底することで収支を正確に確認しやすくなります。企業会計では、発生主義に基づいて経費を迅速に精算し、年度またぎを発生させないことが重要です。

年度またぎで経費精算するデメリット

年度またぎで経費精算することで、「会社の信用低下につながる」「経理担当者の負担が増える」といったデメリットがあります。

会社の信用低下につながる

年度またぎの経費精算は会社の信用低下につながります。年度またぎの経費精算が生じると、税務報告や決算の修正が必要です。正しく経費精算できていないと、「会社の財務状況が正確に把握できていない」「経営スキルが低い」とみなされて、取引先や投資家からの信頼を失うリスクがあります。

経理担当者の負担が増える

年度またぎの経費精算は経理担当者の負担も大きくなります。通常の経費精査と比べて手間が増えるだけでなく、従業員とのトラブルの原因になりやすいため注意が必要です。

例えば、「1年以上前の経費精算」は社内ルールに違反していますが、民法上は「権利の消滅は原則5年」となっています。よって、法律を根拠に年度またぎの経費精算を求める従業員がいた場合は、企業は対応を検討しなければなりません。

年度またぎの経費精算の会計処理

年度またぎの経費精算の会計処理について、経費を支払うタイミング別に2つのケースを解説します。

先に経費を支払うケース

先に料金を支払うケースでは、「前払金」という勘定科目を使います。年度またぎの出張などの場合は、領収書の日付に基づいた経費処理が必要です。例えば、2万円の往復切符を従業員が立て替えた場合は、次のように会計処理を行います。

 

借方(資産)

貸方(負債・純資産)

3月31日

旅費  1万円

前払金 1万円

現金  2万円

4月1日

旅費  1万円

前払金 1万円

後で経費を支払うケース

後で経費を支払うケースでは、「未払金」という勘定科目を使います。例えば、2万円の往復切符を代理店経由の後払いで購入した場合は、次のように会計処理を行います。

 

借方(資産)

貸方(負債・純資産)

3月31日

旅費  1万円

未払金  1万円

4月1日

旅費  1万円

未払金 1万円

現金   2万円

先払いか後払いかによって、勘定科目の変更が必要です。

経費精算の年度またぎが生じる原因

ここからは、年度またぎが生じる主な原因を解説します。

経費精算の期日が守られていない

経費精算の締め日が徹底されていないと、年度またぎが発生しやすくなります。また、締め日やルールが決まっていても、厳守する文化や風土がなければ高い効果は見込めません。ペナルティを設定するなどして、経費精算に対する緊張感を持ってもらう仕組みづくりを検討してみましょう。

経費精算のルールが分かりにくい

分かりにくいルールでは、守る意識がある従業員でも申請の期日を過ぎてしまうことがあります。期日までに申請しない従業員が多い場合は、ルールの見直しや周知徹底が必要かもしれません。また、新入社員向けに経費精算の講習を行ったり、定期的にガイドラインを配布したりすることで、組織全体の意識改革につながります。

経費申請の手間が大きい

経費申請に時間がかかってしまうと、本来の業務を優先することで手続きが後回しになりがちです。手書き作業や捺印が多いと、期日が迫ってからまとめて申請しようと考える従業員も多く、抜けや漏れが生じやすくなります。紙での申請を行っている企業は、デジタルに移行するだけでも従業員の負担を軽減できます。

年度またぎを防止するための対策

経費精算の年度またぎは発生する前に防止することが重要です。対策ができていない企業は、早急に環境を整備していきましょう。

経費の申請方法を明確にする

経費の申請方法を明確にすることで、期日までに申請する従業員の増加が期待できます。そのためには、経費精算のガイドラインを作成するのがおすすめです。ガイドラインは定期的に見直して、修正が発生した際は、社内全体に周知することで文化・風土として定着しやすくなります。

期日厳守を徹底する

期日を定期的に通知することで、申請を忘れてしまうことによる年度またぎが防止できます。期限遵守を徹底させるためには、ペナルティの設定が有効です。ペナルティの例としては、「期限を過ぎた従業員には始末書の作成を義務付ける」「評価のマイナス要因になると明記する」などが挙げられます。

経費精算システムを導入する

経費申請の手間が大きく、手続きが後回しになりやすい場合は、経費精算システムの導入が効果的です。経費精算システムとは、企業の支払いに関する業務を自動化することで、経理にかかわる工数を大幅に削減できるツールです。経費精算システムによって、経理担当者・従業員双方の労力を軽減でき、申請ミスによる年度またぎの防止にも役立ちます。

まとめ

経費精算の年度またぎは複雑な修正手続きが必要となるだけでなく、自社の信頼低下につながるリスクもあるため、発生しないよう対策を講じることが重要です。

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