出張に伴う交通費とは?出張費と旅費交通費の違いや費用の目安についても解説

出張費の精算は、経理担当者にとって負担の大きい業務の1つです。交通費や宿泊費など多くの費用が発生する出張は仕訳が複雑で、出張した従業員が申請に不慣れな場合は、差し戻しが増えることもあるでしょう。

この記事では、出張費について、旅費交通費との違いや費用の目安、出張費精算の手順などについて解説します。ぜひお役立てください。

出張に伴う交通費とは?出張費と旅費交通費の違いや費用の目安についても解説

出張に関わる交通費は全て経費になる

合理的な手段の場合は、出張で利用した新幹線や飛行機などの代金は経費と認められます。しかし、利用した理由が合理的でないと判断されると、経費とはみなされません。例えば、本来なら電車で移動できたルートでタクシーを使用したときは、経費として認められない場合があります。

合理的かどうかは企業によって基準が異なるため、経費計上する前に出張に関わる社内ルールを確認しておきましょう。

出張費とは?旅費交通費や交通費との違い

出張費に関して、混同されやすい旅費交通費や交通費との違いを解説します。

出張費

出張費とは、役員や従業員が業務で遠隔地に行く際にかかる費用のことです。主な出張費には、以下の3つが該当します。

・宿泊費
・出張手当
・出張に関わる交通費

遠隔地に行くまでに新幹線や飛行機の料金、レンタカーの費用やガソリン代、駐車場代などが交通費の一例として挙げられます。

出張中の食事代は、一般的に出張費に含まれません。しかし、出張先で取引先の人と食事をしたときは、業務上必要な活動として出張費にできる場合があります。

旅費交通費

旅費交通費とは、出張・通勤に伴う費用を経費処理するための勘定科目のことです。出張費は「出張で発生した経費の呼び名」で、会計処理では使えません。帳簿に記載するときは、出張費を「旅費交通費」として仕訳します。なお、旅費は「出張に必要な移動費や宿泊代を目的とする経費」で、お金の使い道としては出張費と同じです。

交通費

交通費は、自宅から会社までの通勤にかかる費用や、日常業務で必要な移動にかかる電車代や飛行機代、タクシー代などを指します。一方、特別な用事で日常業務では訪れない場所に赴く場合は、移動で発生した経費を「旅費交通費」として仕訳します。

出張費の相場とは

出張費の相場について、宿泊費、出張日当、出張に関わる交通費に分けて紹介します。

宿泊費

出張者の役職や出張先により、宿泊費の相場は大きく変動します。国内の場合、社長・役員クラスは1泊1万2,000~1万6,000円、部長クラスは1泊9,000~1万円、一般的な従業員は1泊8,000~9,000円が相場です。

出張先が海外の場合は、一般的に国内よりも宿泊費は高くなる傾向にあります。例えば、アメリカ大陸への出張を想定すると、社長・役員クラスは1泊1万6,000円前後、部長クラスは1泊1万5,000円前後、一般的な従業員は1泊1万4,000円前後かかります。

出張日当

出張者の役職や出張先により異なりますが、国内出張における出張日当は2,000〜3,000円が相場です。役職別の出張日当の相場は、社長・役員クラスは1日5,000円前後、部長クラスは1日2,500~3,000円、一般的な従業員は1泊2,000~2,500円です。

また、国内出張と比べると、海外出張は出張日当が高くなる傾向が見られます。役職や出張先しだいですが、1泊の出張日当が1万円を超えるケースもあります。

出張に関わる交通費

出張に関わる交通費は、利用する席のグレードにより価格が異なります。多くの企業は、一定以上の役職でなければ、席のグレードアップを認めません。そのため、出張者の役職しだいで交通費は変わると考えるとよいでしょう。

例えば、飛行機や新幹線を利用するときに、「役員クラスはビジネスクラスやグリーン席利用可、それ以下は利用不可」と明確に線引きする企業もあります。

出張旅費規定を作成するメリット

出張旅費規程とは、出張費全般の取り扱いをルール化したものです。ここでは、出張旅費規程を作成するメリットを解説します。経理部門だけではなく、ほかの従業員や企業全体にとってもメリットがあるため、出張旅費規程の作成に取り組みましょう。

経理部門の負担が軽減される

出張旅費規定により出張費として認められる経費の範囲をルール化すると、経理部門の負担が軽減されます。移動距離や役職により一律で交通手段や宿泊費、出張手当を決めておけば、照らし合わせるだけで出張費の支給額を計算可能です。なお、出張手当の額を決めるときは、相場の範囲内に収めましょう。

また、差し戻す際は「出張旅費規程に反している」とすればよいため、出張者とのやり取りで消耗せずに済みます。

節税につながる

出張旅費規定を作成すれば、従業員も企業も節税できます。出張旅費規程に定められた範囲であれば、出張手当は所得税と住民税の非課税対象になるためです。また、企業側にとっても、出張費を給与ではなく経費として扱えると法人税を節税できます。

出張者のモチベーション管理につながる

出張日当を支給すると、出張者にとって非課税所得が支給されることになり、モチベーション管理につながります。仮に出張日当が余っても企業に返す必要はないため、従業員としては臨時収入を得たように感じるでしょう。また、出張日当が明確に決まっていれば、従業員間で異なる日当を受け取る不公平感がなくなります。

出張費の精算方法

出張費の精算方法を、先払いと後払いについて解説します。領収書がない場合についても、対処方法を紹介します。

先払い

先払いで出張者へ現金を渡す場合は、実費が確定していない状態でやり取りがなされます。そのため、先払いの勘定科目には「仮払金」や「前払金」などが使われます。

例えば、出張費として現金で1万円を先払いしたとしましょう。出張者に現金を渡したときは、以下のように帳簿に記載します。

借方

貸方

適用

仮払金

10,000円

現金

10,000円

旅費交通費仮払

 

出張で8,000円しか使われなかった場合は、出張者は差額の2,000円を返金します。

 

借方

貸方

適用

旅費交通費

8,000円

仮払金

10,000円

旅費交通費精算

現金

2,000円

   

一方、出張で1万2,000円かかった場合は、企業は出張者に対して、差額の2,000円を追加で支給します。

貸方

適用

旅費交通費

12,000円

仮払金

10,000円

旅費交通費精算

  

現金

2,000円

 

後払い

出張者が費用を立て替えた場合は、領収書をもとに後で企業から出張者に対して費用を支給します。勘定科目には、「旅費交通費」や「現金」などが使われます。

例えば、出張者が2万円を現金で立て替えたとき、精算時は以下のように帳簿に記載しましょう。

借方

貸方

適用

旅費交通費

20,000円

現金

20,000円

旅費交通費精算

帳簿は、企業のお金が動いたときに記載します。したがって、出張者が立て替えた時点では、帳簿に記載する必要はありません。

領収書がない場合の精算方法

紛失した、依頼しても発行してもらえなかったなどの理由で、領収書がない場合もあります。また、そもそも、電車やバスなどでは、基本的に領収書をもらえません。領収書がないときは、以下の内容を記載した出金伝票を起こして対応しましょう。

・起票者
・支払いをした日付(伝票を起こした日付ではない点に注意)
・支払先の正式名称
・勘定科目
・支払った金額
・摘要

なお、クレジットカードの利用・請求明細や確認メールなども、領収書の代わりにできる場合があります。

出張費を精算する流れ

出張費を精算する流れを解説します。申請後、実際に立替金が精算されるまでは時間がかかるため、経理部門には手際のよさが求められます。

1.事前申請と承認

出張者は、出張の目的や訪問先、移動手段、仮払いの有無などを申請書に記入し、上司や経理部門に承認してもらいます。申請内容の詳細は、各企業の出張旅費規程により異なります。

2.領収書の記載事項を確認

不正防止対策として、経理部門は出張精算内容を確認しなければなりません。出張者から提出される領収書の内容を調べ、不審な点がないか調べてください。

領収書の形式には印字や手書きなどがありますが、必要事項が記載されていなければ領収書として認められません。支払った金額や発行日、発行者名と捺印、但し書きなどの項目が書面に記載されているか確認しましょう。

3. 立替金があれば精算し支払う

出張者が出張費を立替えた場合は、立替金の精算書を作成してもらいます。会計の知識がない出張者は、仕訳に困るかもしれません。迷わずにスムーズに精算書を作成してもらうために、立替金専用の精算書を用意しておきましょう。なお、立替金は、給与と一緒に支払ったり、別途振り込んだりして精算します。

まとめ

出張に伴う交通費は、合理的であるとみなされれば全て経費として認められます。出張旅費規定を作成すると、経理部門の負担が軽減され、企業や従業員双方の節税や、従業員のモチベーション管理につながります。出張手当を決める際は、相場の範囲内に収めてください。なお、出張費のスムーズな精算には、経費精算システムがおすすめです。

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