従業員のクレジットカードで会社経費の立替はしても良い?仕訳方法や注意点を解説
- この記事の3つのポイント
- 従業員個人のクレジットカードを使って経費の支払いをすることは可能で、法的にも問題ない
- クレジットカードの立替えを仕訳する際には、立替金・役員借入金・未払金の勘定科目を使う
- 立替え分を精算するには領収書や利用明細書が必要で、各書類も一定期間保管しなくてはならない
従業員のクレジットカードで会社経費の立替はしても良い?仕訳方法や注意点を解説
クレジットカードを使って経費を立替える場合、法人であれば法人名義のカードを利用するのが一般的です。しかし、従業員個人のカードを使用して急な立替え払いを行った場合は、経費として精算できるのでしょうか。 本記事では、従業員のクレジットカードで経費の立替えが可能かについて解説します。 また、立替え時の仕訳処理方法や、クレジットカード使用における注意点やメリットについても載せておりますので、クレジットカードによる経費精算について理解を深めるのにお役立てください。
1.クレジットカードの経費精算書テンプレート
クレジットカードを用いた経費精算では、専用の経費精算書が必要です。
当サイトにて経費精算書のテンプレートを配布しておりますので、テンプレートを活用したい方はこちらからお受け取りください。
経費精算書の種類や書き方については、以下の記事で解説しています。併せてお読みください。
関連記事:経費精算書とは?種類や書き方、作成時の注意点を解説
2.従業員は個人クレジットカードで経費を立替できる?
従業員が自分名義のクレジットカードを使って会社の経費を立替えても、会計処理上は特に問題ありません。実際に創業間もない企業などでは法人カードをまだ発行できず、やむを得ず個人カードを利用するケースも珍しくありません。
ただし、誰が・いつ・どこで・どの費用を・いくら支払ったのかといった情報をきちんと事実として証明できるようにしておくことが必須です。立替えの支払いが現金・カードなどどの決済手段であっても、領収書や明細を整えておくのが経費精算の原則といえます。
3.経費を個人クレジットカードで立替えたときの仕訳方法
個人のクレジットカードを使って経費の支払いを行った場合の仕訳方法について、立替え時・精算時に分けて見てみましょう。
3-1.立替えて購入したとき
従業員が上司に頼まれて、社内備品を個人のクレジットカードで購入し、経費申請をした場合、一般的には「立替金」もしくは「未払金」で計上します。
ここでは、コピー用紙1,500円を立替えたケースを確認しましょう。コピー用紙は消耗品のため、「消耗品費」を使います。
借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
消耗品費 | 1,500円 | 立替金 (または未払金) | 1,500円 |
ただし、立替金とすると誰の何に対する費用なのかがわかりにくいため「摘要欄」に詳細を記載するか、別途補助科目を設けて整理しておきましょう。
また、会社役員が個人的に立替えた場合は「立替金」ではなく「役員借入金」を使うこともあります。
3-2.立替金を精算したとき
従業員の立替金を精算する際には、同様に「立替金」「未払金(役員であれば役員借入金)」で処理します。1,500円の立替金を現金で精算した場合の仕訳は以下のとおりです。
借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
立替金 (未払金・役員借入金でも可) | 1,500円 | 現金 | 1,500円 |
精算時にも摘要欄や補助科目を活用するとよいでしょう。
もし立替金を給与と合わせて支払う場合には、合算して仕訳することも可能です。摘要欄は「従業員〇〇の備品立替金(◯月◯日)および◯月分給与」などとします。
借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
立替金 (未払金・役員借入金でも可) | 1,500円 | 現金 | 201,500円 |
給与 | 200,000円 | ||
4.従業員のクレジットカードで経費を立替えする際の注意点
従業員による個人的な立替えは問題ありませんが、精算にあたっては複数の注意点があります。特に気をつけておきたい4つのポイントを確認しておきましょう。
4-1.利用したことがわかる領収書が必要になる
従業員が自分のクレジットカードで経費を立替える場合、購入の事実を示す領収書やレシートの提出が必須です。会社が経費として処理するには、利用日や店舗名、支払内容が明記された書類が必要なためです。
電子決済なら電子データの保存が求められます。精算時に困らないよう領収書を入手・保管しておきましょう。
4-2.領収書がなければ利用明細書でも代替できる
経費精算では領収書が基本ではあるものの、店舗によってはクレジットカード決済で領収書が発行されないこともあります。発行されないときは、利用明細書や売上票をレシートと併せて提出すれば代替可能です。
必要事項が記載されていれば、消費税法上における証憑書類として経費処理に活用できます。
4-3.7年間の領収書保管をする必要がある
個人カードの支払いに限らず、経費精算のために添付した領収書や明細書は、法人の帳簿書類として7年間保存しなくてはなりません。電子決済データも同様で、保管期間は確定申告期限の翌日から起算されます。
適切に保管していないと、青色申告の取り消しや追徴課税といった不利益を招く可能性があるため注意が必要です。
参考:国税庁「No.5930 帳簿書類等の保存期間」
4-4.私用と事業経費で分ける
従業員が個人カードで経費を立替える際は、公私の利用を切り分けることが重要です。私的な支出と経費が混在すると、精算時に誤りが発生したり、不正と疑われたりする可能性もあります。
利用目的を明確にし、経費として申請される支出については、明細やレシートで内容が妥当であるかを確認・判断することが原則です。
5.会社経費をクレジットカードで立替するメリット
個人のクレジットカード使用における代表的なメリットを5つご紹介します。
5-1.クレジットカードのポイントやマイルが溜まる
個人のクレジットカードで会社経費を立替える大きなメリットは、ポイントやマイルが従業員本人に還元される点です。
経費精算を行えば支出した分は返金されるため、実質的に無料でポイントを獲得できます。特に、交通費や宿泊費、光熱費など金額の大きい支払いであるほど効率良くポイントを蓄積でき、私的な利用にも回せるでしょう。
ただし、高額なポイント取得は、税務上において一時所得や雑所得として扱われる可能性があるため留意が必要です。また、ポイントの扱いについては企業ごとにルールが異なるため、あらかじめ社内規定を確認し、トラブルが起こらないようにしましょう。
5-2.利用明細で把握・管理ができる
クレジットカードを使用すると、利用明細で支出を一括確認できるため、管理が容易です。
明細を見れば金額や利用先が整理されて表示されるため、精算時の記録や会計処理もスムーズに進められます。会計ソフトと連携すれば、自動仕訳が行えて経理業務の効率化にも役立つでしょう。
ただし、一部の支出先を除き、カード会社の利用明細のみで消費税の仕入税額控除を行うことは原則認められていません。そのため、利用明細と合わせて店舗発行の領収書やレシートも揃える必要があります。
5-3.キャッシュフローが改善できる
キャッシュフローが改善できるのも利点です。カード決済は実際の引き落としまで1〜2カ月の猶予があるため、その間に社内資金を別の用途に回せます。
社内規程によっては立替金の精算が数カ月先に設定されていることもあり、支払い時期をさらに延ばせるケースもあるでしょう。
支払いまでに猶予がある仕組みを上手に利用すれば、余裕をもった資金繰りができます。ただし、基本は法人カードを活用し、あくまで一時的な資金調整手段として位置づけるのが望ましいでしょう。
5-4.急ぎの支払いに対応できる
法人名義のカードを持たない従業員でも、個人カードで立替えることを認めておけば、出張先での宿泊費や備品購入などが発生した際でも対応が可能です。会社ですぐに資金が用意できない状況でも支払いできるため、急な対応に迫られるリスクが軽減できます。
緊急時の利用範囲や金額上限を明確に定め、社内ルールとして周知徹底しておくとよいでしょう。
5-5.基本収入印紙がいらない
収入印紙の貼り付けを求められない点もメリットといえるでしょう。
通常、5万円を超える支払いには、印紙税納税の証明として収入印紙を領収書へ貼り付ける決まりです。「現金を受け取った事実を証明する課税文書」へ収入印紙を貼り付けをするのが税法上のルールで、領収書は上記の課税文書に該当します。
しかし、カード決済だと現金の授受がないため、領収書は課税文書とみなされません。そのため、5万円を超える支払いでも印紙税が発生しないのが一般的です。
ただし、領収書に「クレジットカード払い」「カード決済による受領」などの文言が明記されていないと、形式上は現金取引と同じ扱いで、印紙税の対象となります。
印紙を省略すると過怠税が課される恐れもあるため、発行時に必ず表記があるかを確認し、不備があれば発行店舗に修正を依頼するようにしましょう。
収入印紙の購入方法や貼り方の詳細は、以下の記事をご確認ください。
関連記事:収入印紙とは?必要性や金額、購入方法、貼り方などを徹底解説
6.経費精算するために必要な書類
クレジットカードを使用した支払いの精算で、必要となる書類を紹介します。
6-1.領収書
経費精算の基本書類は領収書です。クレジットカード決済の場合、店舗には領収書を発行する義務がなく、発行されないケースもあります。
ただし、発行された領収書が消費税法で定められている発行者名や取引日の記載といった5つの要件を満たしていれば、税務上の証憑書類として扱うことが可能です。
領収書が得られない場合は、後述するカード会社の利用明細やレシートを添付して精算に利用するのが一般的です。
領収書の発行ルールや書き方は、以下の記事で詳しく解説していますので、併せてお読みください。
関連記事:領収書の書き方・発行・保存のルール|インボイス・電子帳簿保存法への対応も解説
6-2.利用明細書
経費精算では、クレジットカードの利用明細書を領収書の代替資料として使用できます。ただし、前の項目で伝えたとおり消費税法で定められた5要件を満たしていなければ証明として認められないため注意が必要です。
6-3.レシート
利用明細書と同様に、レシートも領収書の代わりとして使用できます。ただし、レシートの記載内容も消費税法に則った項目が過不足なく記載されていることが必須です。
7.必要書類の必須記載項目
経費精算で証憑として扱うには、領収書や利用明細書、レシートに一定の情報が揃っている必要があります。必須項目は以下の5つです。
- 発行者(店舗名や住所など)
- 宛名(交付を受ける者の氏名や名称)
- 金額(税率区分ごとの合計額)
- 決済日
- 取引内容(購入した商品やサービス)
小売店や飲食店、タクシー、駐車場など不特定多数に対し領収書を発行する事業者へ支払った場合は、宛名が省略されても差し支えありません。
また、カード会社が発行する利用明細書のみではインボイス要件を満たさないため、仕入税額控除を受けるために領収書やレシートなど他の書類も用意しておきましょう。
法人カードにおける領収書については、以下の記事をお読みください。
8.従業員の立替払いを精算する流れ
従業員が業務上の費用を一時的に立替えた場合、精算手続きを経て後日返金を受けます。精算フローは会社ごとに異なるものの、以下の流れで行うケースが一般的です。
- 従業員が立替えて購入
- 領収書を受領・確認
- 経費精算書を作成・提出
- 上長など承認者の確認・承認
- 経理が仕訳・精算処理
- 従業員へ返金(現金・振込等)
立替払いが発生したら、支払先から領収書やレシートを受け取り、内容を確認しながら社内規定に従って経費精算書を作成し、証憑類を添付して承認者に提出します。承認者が金額や記載内容に誤りがないかを確認し、問題なければ経理部門へ回付します。
そして経理担当者がさらにチェックしたうえで仕訳を行い、返金処理を進め完了です。返金方法は現金、小口現金、銀行振込、給与との合算など企業により異なるため、社内規定を確認しておきましょう。
各手順の詳細は以下の記事でも解説していますので、併せてご確認ください。
関連記事:立替精算とは?立替経費の精算手順や仕訳、注意点、負担軽減方法を解説
9.バクラクビジネスカードなら従業員数に合わせて何枚でも発行可能
従業員個人のクレジットカードを用いた経費精算は、法律上問題なく、管理のしやすさやキャッシュフロー改善、収入印紙が不要となる点などから実際によく行われています。
ただし、クレジットカード払いでは領収書が発行されないケースも多く、経費精算に利用できる証憑書類を別途用意する必要があります。
税法上認められる証明書類を準備できるのであれば、メリットの多い決済手法ですので、社内規定を整備しカード払いでの経費精算をスムーズに進められるようにしましょう。
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