経理業務におけるAI活用例とは?メリットや成功事例も紹介
- 記事公開日:
- 最終更新日:2026-08-10
- この記事の3つのポイント
- 経理業務にAIを活用すると、業務効率化やヒューマンエラー・人的コストの削減を図れる
- AIは請求書処理・仕訳業務の自動化や、経費精算業務・決算業務の効率化などに活用できる
- AIを利用するときは機密情報の取扱いに注意し、最終的な内容確認や妥当性判断は人が行う
経理業務におけるAI活用例とは?メリットや成功事例も紹介
昨今はAI技術の発展により、経理業務の自動化が進んでいます。「経理の仕事がなくなるのではないか」と不安を感じている方もいるかもしれませんが、完全に置き換えられることはないといえるでしょう。
本記事では、経理業務におけるAIの活用方法を、メリットや注意点とともに解説します。AIを活用した企業の成功事例も紹介しますので、参考にしてください。
経理の仕事はAIでなくなるのか?
LayerXが2024年に実施した調査によると、業務に「AIを活用した機能を有するシステム」を導入した経理部門は24.3%でした。
また、経理業務において、今後AIの導入・活用がどの程度重要と考えるかを尋ねたところ、16.2%が「とても重要だと思う」、41.6%が「やや重要だと思う」と回答しています。つまり、半数を超える57.8%の経理担当者が、AIの活用を重要視している結果でした。
AIの普及によって経理業務は今後も自動化する流れが続くと考えられますが、完全に置き換えられる可能性は低いといえます。イレギュラーな処理や経営判断に関わる分析など、一部の業務には、現在も人間の介在を必要とするためです。
AIの活用で定型業務の負担が軽減されることで、経理担当者には、より高度で複雑な役割が求められると考えられます。
参考:【経理部門のAI活用実態調査】約4社に1社が、現在AIを活用したシステムを導入・運用中〜20代は50代を25.4ポイント上回る割合でAIの重要性を認識〜
経理業務でAIを活用するメリット
経理業務でAIを活用すると、経理部門だけでなく企業全体にさまざまなメリットがもたらされます。
代表的な3つのメリットを、詳しく見ていきましょう。
業務効率化につながる
仕訳入力や経費精算などの定型業務をAIで自動化すると、経理担当者の業務効率化を図れます。単純作業をAIに任せることで、担当者がコア業務に集中しやすくなるでしょう。
処理速度が向上して月次・年次決算の早期化につながるほか、残業の問題が解消され、担当者の負担軽減につながるケースもあります。
ヒューマンエラーを削減できる
AIはあらかじめ設定したルールに基づいて処理を行うため、計算ミスや入力漏れなどが発生しにくいといえます。ヒューマンエラーが生じやすいとされる証憑類のデータ読み取りや仕訳入力の正確性を高められるのは、AIの強みです。
入力漏れや二重計上が減少することで、経理データの信頼性向上につながるでしょう。
コスト削減につながる
システムの導入・運用に一定のコストはかかるものの、AIの活用で経理業務の効率化を実現できれば、人件費や残業代などのコスト削減効果も見込めます。
経理業務をアウトソーシングしている企業の場合、システムの導入を機に自社で業務を完結できるようになり、外注費の削減につながるケースもあります。
経理業務における6つのAI活用例
経理業務でAIを活用できる場面はさまざまです。
代表的な6つの活用例を紹介しますので、AIの導入を検討中の方は参考にしてください。
請求書処理の自動化
AI-OCRを搭載したツールやシステムを活用することで、請求書の処理を自動で行えます。AI-OCRとは、画像データのテキスト部分を読み取り、文字データに変換する機能にAI技術を組み合わせたものです。
具体的には、紙の請求書や領収書をスキャンすることで、AIが文字データを自動抽出します。請求書に記載された日付・品目・金額などの各項目を読み取ってデータ化できるため、入力ミスを最小限に抑えながら、経理担当者の手間を減らせるでしょう。
請求書処理を自動化する方法については、メリットや法的要件とともに以下の記事で解説していますのでご覧ください。
関連記事:請求書処理を自動化する方法とは?メリットや法的要件も解説
仕訳業務の自動化
昨今は、仕訳入力を支援する機能が備わったシステムも多く見られます。事前に設定した取引先情報や過去の取引データから、AIが仕訳パターンを学習し、最適な勘定科目の提案や仕訳の自動入力を行います。
自社の売上高や経費の情報を自動収集できるシステムを構築しておけば、仕訳作業がよりスムーズになるでしょう。
仕訳の基本ルールや手順について理解を深めたい方は、以下の記事を参考にしてください。
関連記事:簿記における「仕訳」とは?初学者向けに基本ルールとわかりやすい手順を解説
経費精算業務の効率化
AIは、経費精算業務の効率化にも役立ちます。たとえば、経費精算アプリと連携できるシステムの場合、領収書をスマートフォンで撮影するだけで、必要項目の抽出・データ化を自動で行えます。
また、過去データの学習による異常なパターンや不正の検出も可能なため、ミスやルール違反が生じにくくなるでしょう。
たとえば「出張時の宿泊費の上限は1万円」というルールを設定した場合、基準を超過した申請をAIが検出すると管理者に通知される仕組みです。担当者は履歴を一から確認しなくても良いため、迅速かつ効率的に対処できます。
経費精算の方法や対象となる費用について知りたい方は、以下の記事をご参照ください。
関連記事:経費精算とは?やり方や必要書類、経費対象となる費用について解説
入金消込業務の自動化
AIを活用すると、入金消込業務の自動化も可能です。従来は担当者が手作業で1件ずつ行っていた照合作業をAIに任せられるため、特に取引件数の多い企業では、業務時間の削減が期待できるでしょう。
手作業による照合はミスが発生しやすいですが、AIは事前に設定したルールやパターン認識に基づいて行うため、正確性の向上も期待できます。
入金消込業務については、以下の記事で解説しています。業務の流れや仕訳例、効率化の方法を知りたい方はご確認ください。
関連記事:入金消込とは?目的や業務の流れ、効率化・自動化する方法を解説
決算業務の効率化
決算業務では多くのデータを整理・分析する必要があるため、AIの活用が効率的です。決算データの確認や必要書類の作成、過去データとの比較分析などに役立つでしょう。
具体的には、誤ったデータを検出してアラートを発したり、仕訳データに基づいて決算書や財務諸表を自動で作成したりできます。
過去の決算データとはパターンが異なる収益や支出を異常値として特定し、アラートで知らせる機能が備わったシステムもあります。
自動で作成できる決算書や財務諸表を、最終的に担当者が確認・修正することで、より効率化が実現できるでしょう。
決算書の作成方法については、以下の記事で解説していますので併せてご覧ください。
関連記事:決算書の作り方とは?必要書類や作成手順、効率化のポイントを解説
問い合わせ対応の自動化
経理業務に関する社内からの問い合わせに、AIチャットボットを活用する方法もあります。
AIチャットボットとは、人からの質問や指示にAIが自動で回答する対話型のツールです。経理に関する基本知識や業務フローを事前に学習させておけば、担当者は通常業務を滞りなく進められます。また、担当者の不在時に対応できる点も強みです。
生成AIは経理業務でどのように活用できる?
生成AIとは、データから学習した関係性やパターンを活用し、テキスト・画像・音声・動画といったコンテンツを新たに生み出すAIのことです。ChatGPTなどの生成AIは、以下のような経理業務に活用できます。
活用アイデア | 具体例 |
|---|---|
経理マニュアルの作成 | 経理業務の手順書・引継ぎ資料の作成など |
メール・文書作成の効率化 | 督促メール・取引先向け文書の作成など |
データ分析・レポート作成 | 財務データ分析・報告資料作成など |
生成AIの活用は、経理担当者だけでなく、経費申請者や承認者の負担軽減に効果的です。結果として、社内全体の業務効率化を実現できるでしょう。
ただし、生成AIは入力したデータなどを学習するため、個人情報や機密情報の取扱いに注意が必要です。また、生成AIに対する指示文(プロンプト)が抽象的な場合は期待と異なる回答が出力されることもあるため、内容を鵜呑みにせずに確認することが大切です。
経理業務でAIを導入する際のポイントと注意点
経理業務にAIを導入する際、注意すべきポイントがいくつかあります。
4つの注意点を解説しますので、AIの活用を検討している方は今後の実務にお役立てください。
導入目的を明確にする
経理業務でAIを活用する際は、まず導入の目的を明確にすることが大切です。「どのような経理業務に利用したいか」「どのような課題を解決したいか」を洗い出して、対象の業務範囲を明確にしましょう。
最初は、データ入力や経費精算、請求書処理などの定型業務を自動化するのがおすすめです。導入の効果を確認しながら、徐々に広範囲へと拡大しましょう。早々に経理業務全体を自動化すると、計画通りに定着せず、失敗のリスクが高まるため注意が必要です。
AI任せにしすぎない
AIは経理担当者の負担軽減や効率化に寄与しますが、常に正しい回答が保証されているわけではありません。経理業務を支援するための補助的なツールと捉えて、依存しないように注意する必要があります。
業務の責任は人にあることを忘れずに、最終的な内容の確認や妥当性判断などは、担当者が行うことを徹底しましょう。
セキュリティ対策を徹底する
経理業務では取引先情報や個人情報、公開前の財務データといった機密性の高い情報を多く扱います。AIに学習させると、情報漏えいや不正アクセスのリスクが生じることを忘れてはいけません。
入力情報をAIに学習させないように設定するほか、データのマスキングや匿名化、アクセス権限の厳重な設定など、必要に応じたセキュリティ対策を講じましょう。運用ルールに違反がないか、実態を定期的にチェックすることも大切です。
社内ルールを整備する
AIは入力するデータや指示によって結果が左右されやすく、場合によっては誤った内容を出力するリスクがある点に留意が必要です。導入前に利用のガイドラインや運用ルールを策定し、社員に周知しておきましょう。
AIに業務をすべて任せるのではなく「重要な決定は承認者が行う」「システム上に履歴管理を残す」など、内部統制の観点を盛り込んだルールを作ることが大切です。
経理業務にAIを活用した企業の成功事例
最後に、経理業務にAIシステムのバクラクシリーズを活用した企業の成功事例を紹介します。
システム導入後の変化や導入の決め手を紹介しますので、AIシステムの活用を検討中の方は参考にしてください。
株式会社タイミー
株式会社タイミーでは営業職の移動や出張が多く、経理部における経費精算業務の対応を大きな課題としていました。
そこで、バクラクシリーズを導入した結果、申請者への確認工数の激減や、月次締め業務の前倒しなどを実現しています。具体的には、申請前にAIが不備を検知して指摘する「AI申請レビュー機能」で、申請者・承認者双方のコミュニケーションコストが軽減されています。
株式会社タイミーがバクラクシリーズを選んだのは、稟議と支払申請の紐付けをしっかりと解決できる点でした。また、構築がとてもシンプルで簡単だと感じたことも、導入につながったと言います。
オリエンタルモーター株式会社
オリエンタルモーター株式会社は、現金精算文化からの脱却と膨大な紙書類の管理コスト削減を、長年の課題と捉えていました。従来のERP付帯機能では法令への対応に限界があり、支払期日前は経理担当者に残業が発生したそうです。
そこで同社が導入したのが、バクラク経費精算とバクラク請求書受取です。AIによる自動化とペーパーレス化で、支払期日前でも定時退社できる「残業ゼロ」の体制を構築することに成功しました。
経理担当者だけでなく、ほかの社員も「申請がすごく楽になった」と、システム導入のメリットを実感しているとのことでした。
バクラクシリーズを導入した企業の事例をさらに見たい方は、以下のページをご参照ください。
経理業務のAI活用は情報収集から始めよう
経理業務にAIを活用すると、請求書処理・仕訳業務の自動化や、経費精算業務・決算業務の効率化が可能です。AIの導入には業務効率化や人的ミス・コスト削減などのメリットがありますが、人の手で最終確認を行う体制の構築や、セキュリティ対策の徹底が求められます。
AIの導入を成功させるには、まず企業の経理部門が、AIをどのように活用しているかを理解することが大切です。経理担当者のAI活用実態や企業の導入状況を詳しく知りたい方は、無料でダウンロードいただける以下の資料をご覧ください。