経費削減とは?意味や具体例、進め方・注意点を解説
- 記事公開日:
- 最終更新日:2026-10-07
- この記事の3つのポイント
- 経費削減とは、事業活動における不要な業務や非効率なプロセスを見直し、無駄な支出を減らすこと
- 最初は印刷代削減や光熱費見直しなど、小さな労力・コストで効果が出やすい取り組みがおすすめ
- 従業員のモチベーションや業務効率、サービス品質の低下につながる経費削減は避けるべき
経費削減とは?意味や具体例、進め方・注意点を解説
経費削減は、安定した事業活動を行ううえで大切な取り組みの一つです。不要な業務や非効率なプロセスを見直すことで、収益性・生産性の向上を図れます。
しかし、無計画に経費削減を進めると、従業員のモチベーションやサービス品質の低下につながる恐れがあるため注意が必要です。
本記事では、削減できる経費の種類や、経費削減の具体的なアイデア・進め方などを詳しく解説します。
経費削減とは?
経費削減とは、事業活動を見直し、不要な支出を減らす取り組みのことです。
経費削減の主な目的は、収益性と生産性の向上です。物価・原材料費・人件費などのコスト上昇によって企業の負担が増えるなか、経費削減を行うことで、売上に左右されにくい経営基盤をつくれます。
また、単に支出を切り詰めるのではなく、不要な業務や非効率なプロセスを見直すため、人的リソースをほかの業務に配分しやすくなるでしょう。
経費節減との違い
経費削減と混同しやすい言葉に経費節減がありますが、両者は明確に定義が分かれているわけではありません。
一般的に、経費削減は事業活動の仕組みを社内全体で見直すのに対して、経費節減では、個人が日常の小さな無駄をなくして費用の発生を抑えます。
経費節減の主な目的は、目の前の支出を抑えることです。具体的には、不要な電気をこまめに消す、片面ではなく両面印刷にする、といった取り組みが挙げられます。
従業員一人ひとりが経費節減に取り組み、身近な無駄をなくす習慣を身につけたうえで、戦略的に経費削減を進めるのが理想的な流れといえるでしょう。
削減できる経費の分類
削減できる経費は、次の3種類に大別されます。
- オペレーションコスト:企業が事業を日常的かつ効率的に運営するための費用
- オフィスコスト:オフィスの維持・管理にかかる費用
- エネルギーコスト:事業活動に必要なエネルギーの消費にかかる費用
それぞれの具体例は、以下のとおりです。
コストの種類 | 具体例 |
|---|---|
オペレーションコスト |
|
オフィスコスト |
|
エネルギーコスト |
|
経費削減の具体例とアイデア
削減できる経費は多岐にわたり、効果的なアプローチはそれぞれ異なります。
本章ではいくつかの例を挙げて、経費削減のアイデアを詳しく解説します。実際に取り組む際の参考にしてください。
人件費
人件費を削減するための施策として、以下のようなことが挙げられます。
- 人員の再配置を検討する
- アウトソーシングを活用する
- 経費精算システムを導入する
社内の組織図を確認し、人手の足りない部署へ異動してもらうことで、新たな採用が不要となります。時期によって業務量が異なる場合は、繁忙期に合わせて人材派遣などのアウトソーシングを活用するほか、短期雇用の導入なども効果的です。
また、経費精算システムを導入し、経費精算業務を自動化する選択肢もあります。ペーパーレス化することで紙の書類をやり取り・保管する手間を省けるため、人件費の削減につながります。
ただし、システムの導入・運用にはコストがかかるため、費用対効果を見極めたうえで導入の必要性を判断しましょう。
通信費
通信費の削減に効果的なアイデアは、以下のとおりです。
- 社用電話の契約プランを見直す
- デジタルFAXに切り替える
- インターネット回線のプロバイダ・プランを切り替える
社内で使用する電話やインターネットの契約内容を見直すことで、通信費を削減できる場合があります。また、昨今は、法人向け格安SIMの導入やデジタルFAXへの切り替えも注目されています。
インターネットも同様に、契約内容を見直し、プロバイダやプランの切り替えを検討するとよいでしょう。
通信費について詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。
関連記事:勘定科目「通信費」とは?ネット代や携帯電話代などの仕訳例、注意点を解説
旅費交通費
旅費交通費とは、遠方の取引先への訪問・出張にかかる費用のことです。旅費交通費を削減するための取り組みとして、以下のことが挙げられます。
- Web会議を活用する
- 早特商品やオンライン予約サービスを利用する
取引先への訪問や出張をWeb会議に切り替えることで、旅費交通費の削減が可能です。交通費だけでなく、宿泊費や接待交際費も抑えられるメリットがあります。
出張が必要な場合は、早特商品やえきねっとなどのオンライン予約サービスの割引を利用するのが効果的です。取引先への訪問が定期的かつ頻度が高い場合は、定期券を使用する方法もあります。
旅費交通費については、以下の記事でも詳しく解説していますのでご覧ください。
関連記事:旅費交通費とは?交通費との違いや該当する費用、仕訳例などを解説
接待交際費
接待交際費は、取引先など社外の利害関係者と関係を築くために使用される経費です。接待交際費を削減するためには、以下の取り組みが効果的です。
- 事前承認制にする
- カテゴリごとに上限を設ける
接待が必要な際は、目的・場所・出席人数などを記載した申請書を事前に作成・提出し、上長の承認を得るルールにしておくと、使いすぎの防止につながります。
また「ランチは1回につき4,000円以内」「ディナーは15,000円以内」など、上限額を具体的に決めておくのも一つのアイデアです。
接待交際費についてさらに理解を深めたい方は、以下の記事を参考にしてください。
関連記事:接待交際費とは?経費にできる範囲(上限金額・内容)や仕訳例
オフィス賃料
オフィス賃料を支払っている場合は、以下のような施策で削減できる可能性があります。
- オフィスの統廃合・移転を検討する
- 賃料の引き下げを交渉する
複数のオフィスがある場合、統廃合が可能かを検討しましょう。統廃合に伴いリモートワークを導入することで、オフィスの光熱費や従業員の交通費削減にもつながります。安価な物件を見つけて、オフィスを移転するのも一つの選択肢です。
また、交渉材料を用意して、賃料の値下げを依頼する方法もあります。リモートワークの導入でデスクを減らして賃貸面積を適正化する、長期の契約を提案するといった手法をとることで、交渉に応じてもらえる場合があります。
消耗品費
消耗品費を削減するには、以下の施策が効果的です。
- ペーパーレス化する
- 消耗品の管理を徹底する
- 購入先・購入方法を見直す
請求書や契約書などの社内で扱う書類を電子化することで、紙代やインク代を削減できます。取引先が電子化に応じた場合は、メールやクラウドシステム上で書類の送受信ができるため、切手代や封筒代を抑えられる点もメリットです。
社内における消耗品の持ち出しが多い場合は、許可制を導入するなど、管理を徹底するのも効果的です。そのほか、オンラインショップの大量購入で単価を抑えるなど、購入先や購入方法の見直しが経費削減につながるケースもあります。
消耗品費の具体例などを詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。
関連記事:「消耗品費」とはどんな勘定科目?具体例や雑費との違い・仕訳例を解説
光熱費
光熱費の削減につながる主な施策は、以下のとおりです。
- 契約プランを見直す
- クールビズ・ウォームビズを推進する
- パソコンの省エネ設定を推奨する
電気代を抑えるには、契約アンペア数や電気料金プランを見直すのがおすすめです。また、電力会社を切り替えることで、単価を抑えられるケースもあります。
社内ではクールビズ・ウォームビズを推進し、空調の稼働を最小限に抑えるのが効果的です。パソコンなどの機器類についても、自動でスリープ状態になる設定をするなど、省エネに取り組みましょう。
以下の記事では、水道光熱費について詳しく解説しています。経費精算で使用する勘定科目も紹介していますので、併せてご覧ください。
関連記事:水道光熱費の内訳と平均額、経費処理の方法(勘定科目や仕訳)
関連記事:経費精算で使用する勘定科目20選!正しく計上するポイントや仕訳例も解説
経費削減の進め方
経費削減は、社内全体の取り組みとして計画的に進めることが大切です。
具体的な進め方を、5つのステップで詳しく見ていきましょう。
1.現在の経費を洗い出す
まずは、現在の状況を把握する必要があります。損益計算書や会計データなどから、どのような項目にどれだけの経費がかかっているかを洗い出しましょう。
Excelなどを活用してデータを集計し、グラフ化すると、各項目の割合を把握しやすくなります。
2.削減できる経費を見つける
現在の経費を洗い出したら、削減できる経費を見つけます。それぞれの経費について、削減の必要性を検討し「不要」「削減可能」「維持すべき」といった形で分類・整理しておきましょう。
経費全体に占める割合が大きいからといって、必ずしも削減効果が見込まれるわけではありません。むやみに削減を進めると事業運営に支障をきたす可能性もあるため、慎重に判断しましょう。
3.優先順位と削減目標を決める
「削減可能」と判断した経費について、削減に取り組む優先順位を決定します。
最初は小さな労力・コストで、効果に即効性のあるものから着手するのがおすすめです。一般的には、印刷代や接待交際費、光熱費の見直しなどが挙げられます。
削減目標として「年間○万円削減」「○○円までに抑える」など、具体的かつ計測可能な数値も設定しておきましょう。
4.経費削減策を実行する
契約プランの見直しやシステムの導入など、経費削減に向けた取り組みを実際に進めます。
施策を実行する際に大切なのは、施策の内容を社内にあらかじめ周知し、継続的に取り組める体制を整えておくことです。各部署でプロジェクトの担当者を選出し、期限を設定したうえで進めると、計画が頓挫しにくくなります。
5.効果を検証して改善する
施策の実施後は、経費削減の効果として実際に削減できた額を確認します。
期待した効果が出なかった場合は原因を分析し、次回の施策に活かせるように記録を残しておくと効果的です。改善点を見直して再度実施するなど、目標達成に向けた取り組みを継続しましょう。
やってはいけない経費削減の例
経費削減は企業の収益性と生産性の向上につながる大切な取り組みですが、やってはいけないことがいくつかあります。
やってはいけない経費削減の例を、以下で詳しく見ていきましょう。
将来の売上につながる経費
広告費や営業活動費、研究開発費など、将来の売上につながる支出の削減は慎重な判断が必要です。一律に削減すると、新規顧客の獲得機会や長期的な収益の機会を失ったり、企業の成長を阻害したりする恐れがあります。
経費削減を行う際は、単純な額だけでなく、支出が生み出す価値を確認することが大切です。
従業員のモチベーション低下につながる経費
福利厚生や職場環境に関する費用を過度に削減すると、従業員満足度や生産性の低下につながる可能性があります。経費削減のためにノルマを設定したり、空調設備の利用制限を行ったりすると、従業員の士気だけでなく体調面に影響する恐れもあるため注意が必要です。
一方的に経費削減を強いるのではなく、従業員の理解を得たうえで進めることが重要です。取り組みの前は意図や期待できる効果を社内で共有し、実施後は意見を積極的に募るなど、進め方に工夫を凝らしましょう。
業務効率やサービス品質の低下につながる経費
業務に必要なツールや外注費を削減すると、作業時間の増加やサービス品質の低下につながる可能性があります。
自社製品の品質が低下した場合、取引先や顧客からの信頼を失うことがあるため注意が必要です。経費削減が実現できても、顧客満足度や売上が悪化しては本末転倒です。
削減する経費は、単純な支出額だけでなく、削減によって発生する隠れたコストも見据えながら検討しましょう。
経費削減は「無駄を減らして生産性を高める」視点で進めよう
経費削減に取り組むことで社内の無駄な支出が減り、収益性・生産性の向上を図れます。削減に取り組む際は、現在の経費の状況を把握し、優先順位を決めて計画的に施策を実行しましょう。
経費削減に効果的な方法は経費の種類によって異なりますが、人件費やその他コスト削減には経費精算システムの導入がおすすめです。
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