
通勤交通費は課税・非課税?判断基準や計算方法を詳しく解説
- 記事公開日:
- 最終更新日:2026-02-16
- この記事の3つのポイント
- 交通費の支給は福利厚生の一環であり、一定額までは非課税とすることが認められている
- 非課税限度額は通勤手段ごとに異なり、電車・バスは月15万円まで、自家用車は距離別上限がある
- 支給額の計算方法は通勤手段によって異なり、交通機関利用の場合は定期代を支給するのが一般的
通勤交通費は課税・非課税?判断基準や計算方法を詳しく解説
通勤手当は交通費の一つで、一定の額までは課税されません。ただし、給与に含んで支給する場合には、課税の対象となる点に注意が必要です。 本記事では、交通費・通勤手当の非課税ルールや具体的な限度額、支給額の計算方法、通勤手当支給時の注意点を解説しています。また、社会保険料への影響についても触れていますので、支給ルールについて理解を深め、支給申請や精算処理にお役立てください。
1.交通費は全額非課税
交通費とは、従業員が業務を行うために、日常的な勤務地以外の場所へ移動した際にかかる費用のことです。交通費は勘定科目の「交通費」や「旅費交通費」として計上され、従業員が先に立て替えた実費分を会社が後から精算する形で支給されます。
そして、業務に必要な交通費を給与に含まず支給した場合には、全額が所得税非課税です。
非課税になる交通費の具体例は、以下のとおりです。
- 出張時の新幹線や飛行機の運賃
- 訪問先で利用したタクシー代
- 日常的な営業活動に伴う電車やバスの運賃
たとえば本社の社員が地方支社での打ち合わせに出向き、その往復交通費を会社が支払った場合には、課税されません。
一方で、私的な買い物や休日の娯楽目的の移動にかかる費用まで会社が負担すると、給与としてみなされ課税対象となります。つまり、非課税が認められるのはあくまで「業務上必要な移動費用」であることを押さえておきましょう。
交通費精算や旅費交通費などについて詳しくは、以下の記事をご確認ください。
関連記事:交通費精算とは?精算書の記載方法、ルールなど押さえるべきポイントを解説
関連記事:旅費交通費とは?交通費との違いや該当する費用、仕訳例などを解説
関連記事:出張に伴う交通費とは?出張費と旅費交通費の違いや費用の目安についても解説
2.通勤手当が非課税になる理由
通勤手当とは、自宅から勤務先までの移動費を補助するために企業が支給する手当です。電車やバスの定期券代、自家用車のガソリン代などが該当します。
通勤手当は、支給が法律で義務づけられているわけではありません。企業が福利厚生の一環として導入しているため、住宅手当や扶養手当と同様に「任意の制度」といえるでしょう。
また、通勤手当は一定額までは非課税とされ、その範囲内で支給する会社がほとんどです。超過分は所得税の課税対象になります。
なお、通勤手当が非課税とされる理由は、所得税法において通勤に通常必要と認められる費用には所得税を課さない、と規定されているからです。国も従業員の通勤にかかる費用は生活上避けられない支出とみなし、税負担を軽減する仕組みを整えています。
参考:e-GOV法令検索「所得税法(第九条)」
3.通勤手当の非課税限度額の判断基準
通勤手当をどこまで非課税にするかは、明確に法律で定められています。限度額について、通勤手段別に確認しておきましょう。
3-1.公共交通機関は1カ月15万円まで非課税
電車やバスといった公共交通機関で通勤する場合、通勤手当として支給される金額が月15万円までなら所得税の課税対象になりません。かつては上限が10万円でしたが、平成28年の税制改正で現在の15万円に引き上げられました。
非課税が認められるのは「合理的かつ経済的」とみなされる経路を選んだ場合に限られ、たとえば新幹線のグリーン車利用や、意図的に遠回りして高額な運賃になるルートを選んだ場合は対象外となります。
また、定期券を購入している場合でも同様に月15万円までが非課税です。たとえば、月額5万円の定期代を会社が全額負担している場合には課税されません。しかし、17万円の定期を利用する場合は15万円を超える2万円分が課税対象です。
公共交通機関を用いた通勤費は実費精算とみなされるものの、上限を超えた部分は給与扱いになるため注意しましょう。
参考:国税庁「No.2582 電車・バス通勤者の通勤手当」
3-2.車やバイク・自転車は距離に応じて非課税
自家用車やバイク、自転車などを利用して通勤する場合は、公共交通機関と異なり「片道の距離」に応じて非課税となる上限額が細かく定められています。国税庁が定めた基準を基に、通勤に要する実費を合理的に補助しています。
たとえば片道が2km未満であれば手当は全額課税されますが、距離が伸びるにつれて非課税枠が拡大し、最大で月31,600円まで非課税です。
具体的な額は以下の表をご覧ください。
片道の通勤距離 | 1カ月あたりの限度額 |
|---|---|
2km未満 | 全額課税対象 |
2km 〜 10km未満 | 4,200円 |
10km 〜 15km未満 | 7,100円 |
15km 〜 25km未満 | 12,900円 |
25km 〜 35km未満 | 18,700円 |
35km 〜 45km未満 | 24,400円 |
45km 〜 55km未満 | 28,000円 |
55km以上 | 31,600円 |
参考:国税庁「マイカー・自転車通勤者の通勤手当」
マイカー通勤で有料道路を利用する場合は、通行料金を非課税枠に上乗せすることが可能です。
たとえば片道50kmの通勤で月4,500円の高速代がかかるケースでは、上限額28,000円に加えて4,500円が認められ、合計32,500円となります。ただし、月極の駐車場代を会社が支給する場合、駐車場代は非課税ではありません。
近年では、環境配慮や健康促進の観点から自転車通勤を推奨する企業も増えており、自転車通勤手当も距離に応じて非課税が適用されます。たとえば片道4kmで月1,500円の支給や、20kmで8,000円の支給であれば、いずれも非課税の範囲内です。
3-3.交通機関と自家用車の併用は1カ月15万まで非課税
交通機関と自家用車・自転車を併用している場合には、それぞれの限度額を合算したものが月15万円以内であれば非課税です。
具体的な例として、自宅最寄り駅から勤務先まで電車を利用し、自宅最寄り駅から自宅までは自家用車を使って通勤しているケースを見てみましょう。
電車の定期代が月10,000円で、自宅から最寄り駅までの距離を片道8kmとすると、「10,000円+4,200円(片道10km未満の限度額)=14,200円」となり、15万円に満たないため全額が非課税です。
ただし、合理的なルートと認められない場合は課税対象となることもあるため、注意しましょう。
3-4.給与に通勤費が含まれている場合は課税対象
交通費を「通勤手当」として給与とは別枠で支給すると、非課税限度額の範囲で所得税がかかりません。しかし、給与に含めて一括支給した場合には、実際の交通費とは切り分けられず、全額が課税対象です。
対象かどうかを従業員が確認する際は、給与明細に「通勤手当」の欄があるかを確認するとよいでしょう。また、実費と関係なく一律で定額を配る場合も給与扱いとなり課税されます。
近年普及したテレワークでも、通勤がないのに手当を支給すると給与とみなされ、課税対象になります。さらに、在宅勤務者向けに「テレワーク手当」を独自に導入している場合は、交通費とは別物として扱われ、原則として給与所得となり課税される点に留意しましょう。
4.通勤手当の計算方法
通勤手当を計算する方法は、従業員の通勤手段によって異なります。
電車・バスなどの交通機関を利用している場合は、定期券代をそのまま支給する会社が多いでしょう。定期券がない場合には「片道運賃×2×月間労働日数」で求めた額を支給します。
支給は1カ月分とするのが一般的ではあるものの、定期券を3カ月や6カ月でまとめて購入している場合には、その期間分を一括で支給することも可能です。
自家用車の場合は、1kmあたりのガソリン代を会社ごとに定め、以下の計算式を用いて支給額を算出します。
1kmあたりのガソリン代(1Lあたりのガソリン単価÷平均燃費)×往復通勤距離×月間労働日数
ガソリン代をいくらに設定するかは会社の自由です。ガソリン単価の変動に影響されるものの、10円〜20円程度に設定する会社が多く見受けられます。また、駐車場料金を支給することも可能ですが、駐車場料金は非課税にならない点に注意しましょう。
自転車通勤代を支給する際は、駐輪場費用や保険費用、悪天候時に別の手段を利用する必要性などを加味して、一律定額で支給することもあれば、電車・バス利用者の定期代相当額を支給するケースもあります。
また、通勤距離に応じて独自に算出方法を定めるケースもあるでしょう。つまり、自転車での通勤手当に関しては明確な計算ルールがなく、会社によって支給方法が異なる状況です。
ただし、非課税限度額は自家用車と同額となっているため、その範囲内で支給することが望ましいといえます。駐輪場費用については、自家用車の駐車場料金と同様に課税対象となる点にも注意が必要です。
5.通勤手当は社会保険料の計算に影響する?
通勤手当は、税法上では一定額まで非課税とされますが、社会保険料の計算では課税・非課税の区別なく報酬に含められます。健康保険や厚生年金などの「標準報酬月額」は、基本給に加え通勤手当など恒常的に支給される手当を合算して算出するためです。
そのため、同じ給与額でも通勤手当の有無で保険料に差が生じます。
また、扶養判定にも影響し、通勤手当を含めた年収が130万円を超えると、扶養から外れる可能性がある点も注意が必要です。社会保険料は労働の対価とされる報酬のすべてを対象にしているため、通勤手当も報酬に含まれることに留意しなくてはなりません。
6.通勤手当の支給で注意したいポイント
ここからは、通勤手当を支給するときに気をつけるべきポイントを解説します。
6-1.支給の要件を明記する
通勤手当を支給するためには、前もって要件を就業規則に記載しておくことが必要です。たとえば、以下のような項目について明記します。
- どの通勤手段を使っている人が支給対象か
- 通勤手段ごとの支給額算出方法
- 支給上限額
- 支給時期
- 申請方法や手続きフロー
なお通勤手当の支給において、従業員の雇用形態によって支給額や方法に差をつけることは認められません。アルバイトやパートの従業員であっても、正社員と同じように正当な算出方法で通勤手当を支給する必要があります。
通勤手当の支給は「月に◯回」と回数が定められていないため、まとまった期間分を一括で先払いしても問題はありません。実際、電車やバスの定期券は一括購入したほうがお得となるケースも多く、まとめて支給すれば支給時の業務負担軽減や支給額の節約になります。
6-2.テレワークの場合は実費分を支給する
テレワークを推進している会社であれば、従業員の出社回数が少ないため、実際の出勤日数に応じて従業員ごとに実費分を計算し、全額を支給するのがよいでしょう。
また、場合によってはクライアント先を訪問し、そのまま直帰して自宅でテレワークをすることもあるかもしれません。その際は通勤手当ではなく「交通費」として訪問時の費用を支給し、通勤手当にカウントしない対応も可能です。
7.交通費の精算は「バクラク経費精算」で効率化
交通費や旅費交通費は全額が非課税ですが、通勤手当として支給する際には上限が設けられています。また、給与に含んで支給すると課税対象となる点には注意が必要です。
支給額の計算や支給ルールについては通勤手段に応じて変わるため、社内規程を明確に定め、従業員にしっかりと周知するようにしましょう。
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