収入印紙はいくらから必要?文書ごとの金額一覧表(領収書・契約書等)
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- 最終更新日:2025-01-17
- この記事の3つのポイント
- 収入印紙は税金などを徴収するために国が発行する証票で、内容や金額により税額が異なる
- 収入印紙を貼らなければ過怠税が課せられ、収入印紙の3倍の税金を支払わなくてはならない
- 電子決済や電子データ取引の場合、収入印紙は不要となる
収入印紙は、税金や手数料などの収納金を徴収するために国が発行している証票で、文書の内容や契約内容などにより金額が異なります。
本記事では収入印紙はいくらから必要なのか、文書ごとに金額を一覧表にして記しています。収入印紙の購入方法や、貼らなかった場合の過怠税についても解説するので、ぜひ参考にしてください。
収入印紙はいくらから必要?文書ごとの金額一覧表(領収書・契約書等)
収入印紙の金額一覧
収入印紙とは、税金や手数料などの収納金を徴収するために、国が発行している証票です。印紙税が課せられる課税文書に割印し、貼り付ける必要があります。
国税庁によると、課税文書とは、以下のすべての条件を満たした文書のことをいいます。
“(1) 印紙税法別表第1(課税物件表)に掲げられている20種類の文書により証されるべき事項(課税事項)が記載されていること。
(2) 当事者の間において課税事項を証明する目的で作成された文書であること。
(3) 印紙税法第5条(非課税文書)の規定により印紙税を課税しないこととされている”
引用:国税庁「No.7100 課税文書に該当するかどうかの判断」
なお、課税文書に該当するかどうかは名称だけではなく、その文書に記載されている内容に基づいても判断します。「覚書」や「合意書」という名称でも、内容が企業間取引の契約にあたる場合は課税文書扱いとなり収入印紙が必要です。
また非課税文書とは、印紙税の課税対象を記載した「課税物件表」に該当していても、印紙税が課税されない文書です。契約金額が少額のものや、国や地方団体、その他の非課税法人が作成するものなどが該当します。
収入印紙の納付額は、各文書の契約内容や契約金額、領収書の金額により納付すべき印紙税額が異なります。
- 領収書に貼る印紙の金額
- 不動産売買契約書や金銭借用証書などに貼る印紙の金額
- 工事請負契約書や工事注文申請書などに貼る印紙の金額
- 売買取引基本契約書や業務委託契約書などに貼る印紙の金額
それぞれについて詳しく解説します。
領収書に貼る印紙の金額
金銭または有価証券の受取書や領収書は、印紙税額一覧表の第17号文書の「金銭または有価証券の受取書」に該当し、印紙税が課税されます。
受取書とは受領事実を証明するために作成し、支払者に交付する証書のことです。領収書はもちろん、受取書やレシート、預かり書だけではなく「代済」や「相殺」、「了」などと記入した請求書や納品書なども該当します。
第17号文書に貼る収入印紙の金額は、以下のとおりです。
記載された受取金額 | 収入印紙の金額 |
5万円未満 | 不要(非課税) |
5万円以上100万円以下 | 200円 |
100万円超200万円以下 | 400円 |
200万円超300万円以下 | 600円 |
300万円超500万円以下 | 1,000円 |
500万円超1,000万円以下 | 2,000円 |
1,000万円超2,000万円以下 | 4,000円 |
2,000万円超3,000万円以下 | 6,000円 |
3,000万円超5,000万円以下 | 1万円 |
5,000万円超1億円以下 | 2万円 |
1億円超2億円以下 | 4万円 |
2億円超3億円以下 | 6万円 |
3億円超5億円以下 | 10万円 |
5億円超10億円以下 | 15万円 |
10億円超 | 20万円 |
受取金額の記載のないもの | 200円 |
記載された受取金額が5万円未満の場合は非課税となり、収入印紙は不要です。また営業に関わるものではない領収書については、金額に関わらず非課税となります。
原則として、金額には消費税は含みません。消費税額が記入されていても、本体価格のみの税抜きの金額で判断されます。
不動産売買契約書や金銭借用証書などに貼る印紙の金額
不動産売買契約書や金銭借用証書などは、第1号文書の「不動産、鉱業権、無体財産権、船舶もしくは航空機または営業の譲渡に関する契約書」や「消費貸借に関する契約書」に該当し、契約金額に応じた収入印紙が必要です。
第1号文書は不動産売買契約書や金銭借用証書だけではなく、他にも以下のものが該当します。
- 不動産交換契約書
- 不動産売渡証書
- 土地賃貸借契約書
- 土地賃料変更契約書
- 金銭消費貸借契約書
- 運送契約書
- 貨物運送引受書 など
第1号文書に貼る収入印紙の金額は、以下のとおりです。
記載された契約金額 | 収入印紙の金額 |
1万円未満 | 不要(非課税) |
1万円以上10万円以下 | 200円 |
10万円超50万円以下 | 400円 |
50万円超100万円以下 | 1,000円 |
100万円超500万円以下 | 2,000円 |
500万円超1,000万円以下 | 1万円 |
1,000万円超5,000万円以下 | 2万円 |
5,000万円超1億円以下 | 6万円 |
1億円超5億円以下 | 10万円 |
5億円超10億円以下 | 20万円 |
10億円超50億円以下 | 40万円 |
50億円超 | 60万円 |
契約金額の記載のないもの | 200円 |
土地建物売買契約書など、不動産の譲渡に関する契約書のうち、契約金額が10万円を超えるものについては、印紙税額が半額程度になるなどの軽減措置が取られています。
工事請負契約書や工事注文請書などに貼る印紙の金額
工事請負契約書や工事注文請書などは第2号文書に該当し、契約金額によって印紙税が課せられます。
工事請負契約書や工事注文請書のほか、第2号文書には以下のものがあります。
- 物品加工注文請書
- 広告契約書
- 映画俳優専属契約書
- 請負金額変更契約書 など
第2号文書に貼る収入印紙の金額は、以下のとおりです。
記載された契約金額 | 収入印紙の金額 |
1万円未満 | 不要(非課税) |
1万円以上100万円以下 | 200円 |
100万円超200万円以下 | 400円 |
200万円超300万円以下 | 1,000円 |
300万円超500万円以下 | 2,000円 |
500万円超1,000万円以下 | 1万円 |
1,000万円超5,000万円以下 | 2万円 |
5,000万円超1億円以下 | 6万円 |
1億円超5億円以下 | 10万円 |
5億円超10億円以下 | 20万円 |
10億円超50億円以下 | 40万円 |
50億円超 | 60万円 |
契約金額の記載のないもの | 200円 |
第2号文書の中で建物建築工事請負契約書など、建設工事の請負に関する契約書で、記載契約金額が100万円を超えるものについては、軽減措置が取られています。
売買取引基本契約書や業務委託契約書などに貼る印紙の金額
売買取引基本契約書や業務委託契約書などは、第7号文書に当てはまります。他にも第7号文書には、以下のものが挙げられます。
- 特約店契約書
- 代理店契約書
- 銀行取引約定書 など
第7号文書の印紙税額は、4,000円です。ただし契約期間が3カ月以内で、更新の定めがないものについては、非課税となります。
収入印紙の購入方法
収入印紙は、以下の場所で購入できます。
- 法務省
- 郵便局
- 役所
- コンビニエンスストア
- たばこ屋
- 金券ショップ など
収入印紙には1円券、2円券、5円券といった少額から1万円、5万円、10万円と高額なものまで31種類あります。法務局や郵便局、役所では、基本的に31種類すべての収入印紙を購入可能です。
郵便局は規模によって在庫がない場合もあるため、金額の大きい収入印紙を購入する場合、事前に在庫を確認するとよいでしょう。
コンビニエンスストアでは、200円の収入印紙のみの取扱いです。一般的に200円以下、もしくは高額な収入印紙は取り扱っていないため注意しましょう。また個人経営や駅構内のコンビニエンスストアでは収入印紙自体扱っていない場合もあります。
最近では店舗自体が少なくなったものの、収入印紙はたばこ屋でも購入可能です。ただし収入印紙の販売をしているたばこ屋は「印紙売りさばき所」と登録を受けている店舗に限られます。
金券ショップは額面より安い金額で購入できますが、取扱のある収入印紙の種類や数は在庫次第のうえ、消費税の課税や仕訳時の勘定科目が異なります。
収入印紙の経費計上方法について詳しくは、以下の記事で解説していますので、気になる方はぜひご覧ください。
収入印紙を貼らなかった場合の罰則
収入印紙が必要な書類に収入印紙を貼らなかった場合、故意であるかないかに関わらず領収書を受け取った側にペナルティはありません。
収入印紙を貼るのは発行する側の義務であるため、発行した側に過怠税という税金が課せられます。過怠税の金額は、貼付すべき収入印紙の金額と、その印紙税額の2倍の金額の合計額です。
たとえば、10万円の領収書に200円の収入印紙を貼り忘れて発行してしまった場合、200円の3倍、600円の過怠税を払う必要があります。
ただし自ら税務署に申し出て貼り忘れを申告した場合、過怠税は納付すべき印紙税の額と印紙税額の10%の金額の合計額となります。当初払わなければいけない収入印紙額が200円であった場合、200円×1.1倍の220円の過怠税に減額されます。
収入印紙の貼り忘れに気がついたら、すぐに税務署に自己申告して過怠税を支払いましょう。
電子決済や電子データ取引の場合は収入印紙不要
クレジットカード決済などの電子決済や、FAX、PDFなどの電子データ取引の場合、収入印紙は不要です。クレジット決済の場合、購入時点では受け手は代金を受け取っていないため、印紙税法上の受取書に該当しないことが理由として挙げられます。
また印紙税は文書に対して課せられる税金であるため、電子化された契約書に対しても、収入印紙を貼り付ける必要はありません。
出力してしまえば印紙税の対象となりますが、電子データで発行する領収書や電子契約には、収入印紙を貼り付ける必要がないことを覚えておくとよいでしょう。
デジタル化が進む現代で、紙を使わないことによって収入印紙の負担軽減となることは、特に企業間取引において非常に大きなメリットです。
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収入印紙とは、税金や手数料などの収納金を徴収するために国が発行している証票のことです。文書ごとに金額が異なるため、いくらから収入印紙が必要なのか知っておくことも重要です。
収入印紙を貼り忘れた場合、発行した側に過怠税が課せられます。自己申告で過怠税の減額もできるため、貼り忘れに気がついたら早めに申告し、支払いを済ませましょう。
収入印紙を扱う際は管理が煩雑になることもあるため、収入印紙を含めた経費精算を効率的に行うためには、システム化が非常に有効です。「バクラク経費精算」は光学尾文字認識にAIを加えた技術である「AI-OCR」で手間のかかる経費申請や処理を正確に簡単に自動化し、ミスや漏れを防ぎます。
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