クリーニング代の勘定科目は?法人・個人に分けて仕訳と経費処理を解説

クリーニング代を経費として計上する場合は、クリーニングの内容や頻度に合わせて複数の勘定科目の中から該当するものを選択する必要があります。この記事では、クリーニング代の勘定科目について、法人・個人に分けて種類や注意点をくわしく解説します。クリーニング代の処理方法に悩む場合や理解を深めたい場合は、ぜひ参考にしてください。

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クリーニング代の勘定科目は?法人・個人に分けて仕訳と経費処理を解説

法人のクリーニング代の勘定科目5つ

法人がクリーニング代を経費計上する場合の勘定科目は、5つあります。それぞれの勘定科目がどのようなケースにおいて当てはまるのか、具体的な例を挙げながらくわしく解説します。

1.福利厚生費

従業員の制服やユニフォーム、工場で着用する作業服、コックやウェイトレスなどのユニフォーム、旅館で従業員が着用する浴衣などのクリーニング代は、福利厚生費として計上できます。ただし、福利厚生費で計上するにはいくつかの条件があります。

福利厚生費として計上するためには、すべての従業員が利用できる制度であり、支給額も常識の範囲内に設定することが重要です。

事業主や役員の制服や作業着のみのクリーニング代を会社が支払っている場合は、税務上は給与とみなされ、所得税の対象として課税されます。また、会社がクリーニング代を福利厚生費として計上するには、クリーニングした制服や作業服を私用では使わないことが条件です。

福利厚生費のくわしい内容は、以下の記事も参考にしてください。

経費の主な勘定科目16選|正しく仕訳をするための注意点や間違えないポイントも解説

2.外注費

外部業者へ作業代金を払った場合は、クリーニング代を外注費として計上できます。例えば、事務所の定期的な清掃代や害虫駆除代、事務所入口のマットクリーニング代、社宅入居者の引っ越しに伴うハウスクリーニング代などです。アパート経営している場合は、退去部屋のハウスクリーニング代や害虫駆除代なども外注費に該当します。

事務所の清掃を定期的に依頼している、全従業員の作業服や制服などを特定の業者に定期的に依頼し、毎月一定金額のクリーニング代が発生している場合なども外注費になります。

3.衛生費

会社や店舗において、衛生上必要となるクリーニング代は「衛生費」として計上できます。飲食業や美容業、宿泊業で使われることが多い勘定科目です。

例えば、エステサロンや美容院で使用するタオルやケープ、ホテルの枕やシーツなどのリネン類、飲食店等で使用するおしぼりのクリーニング代です。衛生費は会社によっては「衛生管理費」という勘定科目で計上されます。

福利厚生費と混同されるケースもありますが、クリーニングの対象が従業員の場合は「福利厚生費」、お客様の場合は「衛生費」です。

4.雑費

「福利厚生費」「外注費」「衛生費」に該当しない場合やクリーニングの頻度が低い場合など、「一時的に」出費しているのであれば、雑費として処理することができます。しかし、「継続的に」購入するのであれば、各々に適切な勘定科目を設定した方がよいです。

クリーニング代は目に見えない無形のサービスのため、雑費として計上されることが多い支出の1つです。例えば、従業員が取引先との接待中に先方の洋服を汚してしまい、クリーニング代として3,000円を支払わなければならなくなった場合は雑費で計上します。

ただし、定期的に行っているクリーニングの場合は、雑費ではなくほかの勘定科目にした方が管理しやすいでしょう。雑費についてのくわしい内容は、以下の記事も参考にしてください。

雑費とは何を含む?仕訳の具体例と消耗品費・予備費など他の科目との違いを解説

5.クリーニング費

クリーニングにかかる費用をどの勘定科目で処理するかは、年間のクリーニング代と会社における費用の重要性を基準として判断しても良いでしょう。

クリーニングを頻繁に行っていて経営的にインパクトがある場合、クリーニングにかかる年間総額が大きい場合、クリーニング代だけを独立した勘定科目で管理したい場合は、クリーニング費として計上します。

例えば、従業員の全員の制服、温泉施設や宿泊施設などで使うリネンのクリーニング代など、比較的大きな金額になるケースです。「クリーニング費」として独立した勘定科目で管理すれば、過去のクリーニング代との比較もしやすくなります。

個人事業主のクリーニング代の勘定科目3つ

個人事業主がクリーニング代を経費として計上するには、適切な帳簿管理との区分けが重要です。勘定科目は以下の3つになります。

1.外注費

法人の場合と同じように、定期的に外部の業者へ代金を支払った場合は外注費で計上できます。例えば、個人事業主としてアパート経営をしている場合の退去部屋のハウスクリーニング代や、害虫駆除代などは外注費です。

2.雑費

クリーニング代が少額で、頻度が少ない場合は雑費として計上します。例えば、企業との打ち合わせでスーツを着用しなければならない場合などは、クリーニング代を雑費で計上できます。ただし、仕事にスーツが必要ない場合は、クリーニング代も経費とは認められません。

3.クリーニング費

個人事業主としてクリーニング代が発生し、特定の業者などに依頼していない場合やクリーニング代を単独で管理したい場合などは、クリーニング費として計上します。経営する店舗で使うタオルのクリーニング代など、高額かつ頻繁な場合もクリーニング費で計上可能です。

法人・個人事業主共にクリーニング代を経費にする際の注意点

クリーニング代を経費にする場合は、法人・個人事業主共に注意しなければならない点がいくつかあります。以下の内容は特に注意が必要です。

業種・目的・頻度に適した勘定科目に統一する

先に解説したとおり、同じ「クリーニング代」という名目でも、業種・目的・発生頻度によって適した勘定科目は異なります。同一のクリーニングの場合でも、部や課ごとに勘定科目が異なるのはNGです。勘定科目の相違がないように、社内で勘定科目を統一することが重要になります。

万が一、会社全体で使用する勘定科目を統一していない場合は、管理が難しくなる以外に、会計が不自然だとみなされ、税務署から注目される可能性があるので注意しましょう。

勘定科目の変更は頻繁に行わない

クリーニング代は、自社ルールに基づいて社内で統一された勘定科目で記帳します。そして一度決めた会計方針は、基本的には変更しないようにしましょう。

ある日までは「外注費」で処理していたものを、明確な理由なく「クリーニング費」にするなどの行為は、会計においては不自然であり、同じ勘定科目で継続的に記帳を続けることが重要になります。

また、勘定科目を頻繁に変えると会計管理が難しくなったり、前年度との比較がしづらくなったりするデメリットもあります。

領収書が発行されるかどうかを事前に確認する

クリーニング代を経費として計上する場合は、領収書やレシートなど領収書の代わりになるものが必要です。無人のコインランドリーは領収書やレシートが発行されないケースもあるため、特に注意が必要です。

従業員には、領収書または領収書に代わる書類がないと経費精算ができないこと、領収書が発行されないコインランドリーがあることなどを周知しておきましょう。

個人事業主のクリーニング代は経費にできるケースとできないケースがある

個人事業主のクリーニング代は経費にできる場合とできない場合があるので、特に注意が必要です。個人事業主の場合は、業務で使用するものを対象としたクリーニングのみ経費の対象になります。そのため、業務で着用するスーツをプライベートで使用した場合のクリーニング代は、経費として計上できません。

クリーニング代として経費として計上する場合は、経費である理由を明確にしておく必要があります。例えば、仕事のみで使うスーツ、業務時のみ着用する作業着、厨房で着用する白衣やユニフォーム、長期出張中のスーツ、アパート経営の部屋のクリーニングなど、具体的に業務で使用したという根拠が必要です。

まとめ

クリーニング代を経費計上する場合は、法人・個人を問わずクリーニングの内容や頻度に合わせて勘定科目を選択しなければなりません。さらに、勘定科目を理由なく変更しない、領収書を発行してもらうなど、いくつかの注意点もあります。法人の場合は、同じ勘定科目に統一するなどの社内周知も必要です。

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