
個人事業主が法人カードを持つメリットは?注意点や選び方・仕訳例も紹介
- 記事公開日:
- 最終更新日:2026-02-16
- この記事の3つのポイント
- 個人事業主も法人カードの保有が可能であり、経費処理の効率化など多くのメリットがある
- 法人カードを選ぶ際は、利用限度額や年会費などを比較し、事業規模に合った一枚を選ぶのが重要
- 申し込み審査は代表者個人の信用情報が重視される傾向にあり、法人成り後の対応には注意が必要
個人事業主として事業を運営する中で「経費の支払いを個人用カードで済ませているが、管理が煩雑だ」と感じている方もいるのではないでしょうか。 本記事では、個人事業主が法人カードを持つメリットや注意点を詳しく解説します。さらに、自社に合ったカードの選び方も紹介します。本記事を読めば、法人カードに関する疑問が解消され、導入すべきかどうかの判断の参考になるでしょう。
1.個人事業主も法人カードを持つことができる?
個人事業主の方でも法人カードの保有は可能です。法人カードは、事業用の決済に特化したクレジットカードで、対象となる事業者の規模によって主に2つの種類があります。
- ビジネスカード:個人事業主や中小企業向け
- コーポレートカード:大企業向け
ビジネスカードは、主に個人事業主や従業員数が比較的少ない中小企業を対象としたカードです。申し込みの際は、法人代表者の個人信用情報が審査の対象となる傾向があります。
一方、コーポレートカードは従業員数の多い大企業向けです。企業の業績や規模に基づいて審査され、発行可能な枚数も多く設定されています。このような違いから、個人事業主の方が申し込むのはビジネスカードが一般的です。
法人カードと個人カードの違いについては、以下の記事を参考にしてください。
関連記事:法人カードと個人カードの違いは?法人カードならではのメリットや使い分けのポイント
2.個人事業主が法人カードを使うメリット
個人事業主が法人カードを導入すると、事業運営において多くの利点があります。具体的にどのようなメリットがあるのか、6つの視点から詳しく見ていきましょう。
2-1.経費処理を効率化できる
法人カードの利用は、経費処理の大幅な効率化につながります。事業用の支出を一枚のカードに集約することで、経費の管理が容易になるためです。
利用明細を確認すれば、いつ、どこで、いくら使ったのかが一目でわかります。さらに、会計ソフトと連携させると、取引データを自動で取り込み、帳簿に反映させることも可能です。
手入力の手間や入力ミスを減らし、確定申告の準備もスムーズに進められるでしょう。
2-2.柔軟な資金調達ができる
法人カードは、資金繰りの改善にも役立ちます。支払いを先延ばしにでき、手元の現金を確保しやすくなるためです。
法人カードで決済した場合、実際の引き落としまでには1〜2カ月程度の猶予が生まれ、キャッシュフローの安定化が期待できるでしょう。
2-3.事業に役立つ付帯サービスがある
法人カードには、ビジネスシーンで役立つ多彩な付帯サービスがあります。これらのサービスを活用することで、経費の削減や業務の効率化が可能です。
たとえば、接待に使えるレストランの優待割引や、業務効率化に役立つビジネスツールの割引など、カード会社によってさまざまなサービスが用意されています。
2-4.利用限度額が大きい
法人カードは、個人カードと比較して利用限度額が高く設定される傾向があります。事業では広告費や仕入れ費用など、一度に高額な決済が必要になる場面が多いためです。
大きな金額の決済に対応できるため、事業用の支払い全般をカードに集約しやすくなり、経費管理の観点からもメリットがあるでしょう。支払い機会の損失を防ぎ、事業を円滑に進められます。
2-5.プライベートの利用と区別できる
法人カードを作る大きなメリットとして、プライベートの支払いと区別できる点が挙げられます。
個人カードで経費を支払う場合、個人の出費と経費の分類作業が必要です。法人カードを使用すれば、個人の支出と会社の経費を明確に区別できるようになり、経費処理を一本化できます。
また、税務申告や会計処理が簡素化され、個人の資産と法人の資産が混同することも防げるでしょう。
2-6.ポイントやマイルを貯められる
法人カードを利用すると、経費の支払いでポイントやマイルを効率的に貯められます。事業経費は個人利用よりも決済額が大きくなるため、ポイントも貯まりやすくなります。
貯まったポイントは、カードの支払いに充当したり、事務用品の購入や出張時の航空券と交換したりと、経費削減に直接つなげられる点も魅力です。
3.個人事業主が法人カードを作るときの注意点
法人カードには多くのメリットがありますが、導入する前に知っておきたい注意点もいくつか存在します。契約後に後悔しないよう、事前に注意点を正しく理解しておきましょう。
3-1.年会費がかかる
法人カードは、ビジネス向けの充実したサービスが付帯するため、年会費が有料であることが多い点に注意してください。
ただし、支払った年会費は「諸会費」などの勘定科目で経費として計上可能です。経費計上による節税効果や受けられるサービスを踏まえ、最適な一枚を選ぶとよいでしょう。
3-2.リボ払い・分割払いができないこともある
法人カードの支払い方法は、一括払いが基本です。個人向けカードでは利用できる、リボ払いや分割払いに対応していない場合があります。
高額な設備投資や仕入れなどで、分割での支払いを考えている場合は特に注意が必要です。キャッシュフローを圧迫しないためにも、申し込みを検討しているカードがどのような支払い方法に対応しているか、事前に確認しておきましょう。
3-3.確定申告・記帳を正しく行う
法人カードで支払った経費は、確定申告のために正しく記帳しなければなりません。特に、最大65万円の特別控除を受けられる青色申告では、複式簿記での記帳が必須です。
法人カードを利用した場合、取引があった日付で「消耗品費/未払金」のように経費を計上し、後日口座から引き落とされた際に「未払金/普通預金」として帳簿に記録します。
一方、個人用カードで経費を支払うと「事業主借」という科目での記帳が必要です。プライベートと事業の内容が混在すると支出を区別する作業が増え、処理が複雑化します。
法人カードは、こうした仕訳の煩わしさを解消し、経理作業の円滑化にも役立つでしょう。
3-4.法人成り後の対応は会社による
将来的に法人成り(法人化)を視野に入れている方は、カード会社の対応に注意が必要です。個人事業主のときに発行した法人カードは、法人成りした後にそのまま継続して利用できないケースがほとんどです。
一般的には、法人格が変わるため、改めて法人名義での新規申し込みが求められます。法人化の予定があるなら、申し込み前にカード会社の規定を調べておくと安心です。
4.個人事業主におすすめの法人カードの選び方
法人カードは種類が豊富なため、どれを選べば良いか迷う方もいるでしょう。カードを選ぶ際は、自社の事業規模や業種に合ったものを見極める視点が大切です。
これから解説する4つのポイントを比較検討し、最適な一枚を選択してください。
4-1.利用限度額
自社の事業規模や決算額に見合った利用限度額のカードを選ぶことが大切です。限度額が事業での支出に対して不足していると、必要な支払いに対応できなくなる恐れがあります。
まずは、毎月の経費がどの程度発生するかを試算してみましょう。その金額を十分にカバーできる利用限度額が設定されているカードが候補となります。
また、事業の成長に合わせて限度額の増枠を柔軟に申請できるカードであれば、将来的な事業拡大にも対応しやすく、長く使い続けられるでしょう。
4-2.年会費
年会費と、受けられるサービスのバランスを考える必要があります。年会費は経費に計上できるものの、毎年発生する固定費です。
一般的に、年会費が高額なカードほど付帯サービスは充実する傾向があります。しかし、どれほど手厚いサービスがあっても、利用する機会がなければコストが無駄になってしまいます。
年会費を抑えたいのか、サービスを重視するのかを明確にし、支払うコスト以上のメリットを享受できるカードを選びましょう。
4-3.ポイントの還元率
経費削減を意識するなら、ポイント還元率も確認しましょう。自社が頻繁に利用する店舗やサービスで還元率が高く設定されているカードを選ぶと、効率的にポイントが貯まります。
たとえば、社用車でガソリンを多く使うなら、特定のガソリンスタンドで優待があるカードが適しています。自社の支出傾向を分析し、どの支払いでポイントを貯めたいかを明確にすると、よりお得なカードが見つかるでしょう。
法人カードのポイント還元率については、以下の記事をご参照ください。
関連記事:法人カードのポイント還元率はどれくらい?ポイントを貯めるコツと活用方法
4-4.付帯サービスの内容
どのような付帯サービスがあるかも、カード選びの比較軸になります。自社の事業内容や働き方に合ったサービスが付帯しているカードを選ぶと、業務効率化や経費削減につながります。
たとえば、国内外への出張が多い場合は、旅行傷害保険や空港ラウンジサービスが充実していると心強いでしょう。また、会計ソフトとの連携割引や、福利厚生サービスの優待などは、多くの事業者にとってメリットがあります。
自社で活用する場面を具体的にイメージし、本当に必要なサービスが備わっているかを見極めましょう。
5.法人カードの審査基準とは
法人カードの審査基準はカード会社によって異なりますが、特に個人事業主や設立間もない企業向けのカードでは、代表者個人の信用情報が重視されることが多いです。
事業の歴史が浅い場合、事業そのものの信用度を客観的に測るのが難しいため、代表者個人の信頼性が審査の判断材料となります。申し込みの際に、決算書や事業計画書の提出が不要で、代表者の本人確認書類だけで手続きが進むカードはその典型例といえるでしょう。
これらのカードでは、過去のクレジットカードやローンの利用履歴など、個人の信用情報が丁寧に確認されます。したがって、事業を立ち上げたばかりで明確な実績がなくても、代表者個人の信用情報に問題がなければ、法人カードの発行は十分に可能です。
審査に通りやすいカードについては、以下の記事でも詳しく解説しています。
関連記事:設立1年未満でも法人カードは作れる?審査に通りやすいカードの選び方と注意点
6.個人事業主が法人カードに申し込むときの必要書類
個人事業主が法人カードを申し込む際に準備する書類は、申込書と本人確認書類の2点です。本人確認書類としては、運転免許証やマイナンバーカードの写しが一般的です。
ただし、カードの種類によっては事業の実態を示す資料として、直近の確定申告書の控えが必要になるケースもあります。申し込み手続きをスムーズに進めるためにも、公式サイトで事前に確認しておきましょう。
法人カードを作る際は、以下の記事で手順をご確認ください。
関連記事:法人カードの作り方|申し込みの流れと必要書類を解説
7.法人カードで決済したときの仕訳方法
法人カードを利用した場合の経費の仕訳方法について、正しく理解しておく必要があります。ここでは、よく使う2つのケースについて、具体的な仕訳例を紹介します。
7-1.支払いをしたとき
法人カードで経費を支払った際は、2段階で記帳するのが原則です。取引が発生した時点で費用を計上する「発生主義」の考え方に基づきます。
たとえば、10月1日に事務用品10,000円をカードで購入し、11月27日に口座振替で支払った場合の仕訳は、以下のとおりです。
<カード利用時(10月1日)>
借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
消耗品費 | 10,000円 | 未払金 | 10,000円 |
<引き落とし時(11月27日)>
借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
未払金 | 10,000円 | 普通預金 | 10,000円 |
口座から代金が引き落とされ支払いの義務がなくなったため、借方に「未払金」を記載して消し込む処理をします。
ただし例外として、継続して同じ処理方法を用いることを条件に、引き落とし日に1回で記帳する方法も認められています。その場合の仕訳は、以下のとおりです。
<引き落とし時(11月27日)>
借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
消耗品費 | 10,000円 | 普通預金 | 10,000円 |
7-2.年会費を払ったとき
法人カードの年会費は、経費として計上可能です。勘定科目は「諸会費」や「支払手数料」を用いるのが一般的です。
たとえば、年会費5,000円が口座から引き落とされた場合、以下のように仕訳します。
<引き落とし時>
借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
諸会費 | 5,000円 | 普通預金 | 5,000円 |
年会費は、カード利用時の経費のように購入の都度発生するものではないため、口座から引き落とされた日付で記帳すれば問題ありません。
8.バクラクビジネスカード導入による経理効率化事例
法人カードは経理業務の効率化に役立ちます。数あるカードの中でも、特に経理の効率化に強みを持つのが「バクラクビジネスカード」です。ここでは、実際に導入した企業の事例を見ていきましょう。
8-1.株式会社with様
恋活・婚活マッチングアプリ「with」を提供・運営する株式会社with様では、内部統制の強化と経理業務の効率化を目指して、バクラクビジネスカードを導入しています。
同社で以前使用していた法人カードは、カード利用の締め日が自社の月次締め日と合致せず、経理作業に手間がかかる状況でした。さらに、アプリの広告費支払いで与信枠がすぐに足りなくなるという課題も抱えていたのです。
バクラクビジネスカードを導入してからは、カード利用の締め日と月次締め日が同じになり、利用明細を確認する工数は半分に削減されました。
さらに、保証金制度によって利用可能枠を増やして決済できるようになり、与信枠の不足という課題も解消されました。
さらに詳しい内容は、以下の記事で紹介しています。
関連記事:広告費用で限度額に。マッチングアプリのwithが新しいカードにバクラクを選んだ理由とは
8-2.株式会社Sparty様
パーソナライズ×D2Cブランドの企画・販売を行う株式会社Sparty様では、利用上限額の確保と経理業務の効率化を図るために、バクラクビジネスカードを導入しています。
これまでは、役員配布用カードで出張などの個人利用とシステム利用料をまとめて決済しており、その仕訳作業で経理業務が煩雑化していました。
そこで、バクラクビジネスカードを導入したところ、用途ごとにカードを発行できるため目的や決済額が把握しやすくなり、経理業務がスムーズになったということです。
また、明細連携が迅速なため、タイムリーに利用明細を確認でき不正利用のリスク軽減にもつながっています。
詳細は以下の記事をお読みください。
関連記事:「バクラク一択」。自社で柔軟に統制できる新しい法人カードの魅力とは
9.法人カードなら「バクラクビジネスカード」を導入しよう
個人事業主が法人カードを導入すると、経費の公私混同防止や会計ソフト連携による経理効率化、資金繰りの安定化など、多くのメリットが期待できます。
カードを選ぶ際は、年会費や限度額、付帯サービスの内容を比較し、事業内容に最適な一枚を見極める必要があります。将来的に法人化し、経理業務のさらなる自動化を目指す際には「バクラクビジネスカード」が有力な選択肢となるでしょう。
バクラクビジネスカードは、領収書とカード明細の自動突合や仕訳の自動作成、会計ソフトへのデータ連携機能を備えています。利用明細も即時に反映され、バックオフィス業務の負担を大幅に軽減します。
現在は法人向けのサービスのため、個人事業主の方は法人成りした後の選択肢となりますが、将来の業務効率化を見据え、ぜひ一度その機能をご確認ください。

